羽賀こはく
横浜市出身。インタビュー記事をメインで執筆。愛猫2匹に邪魔をされながらゲームや漫画を楽しむことが生き甲斐。
人生に潤いを与えてくれる存在である“推し”。「アナタの推しを深く知れる場所」として、さまざまな角度で推しの新たな一面にスポットを当てていくnumanで、マンガ・アニメ・映画好きの編集部員が推し作品を週に1本紹介していく「numan編集部員 今週の推し作品」。
今回紹介する作品は、ぬー先生(キャラクター原案:こよいみつき先生)の小説を原作に描かれた小埜聖華先生によるマンガ作品『ちったい俺の巻き込まれ異世界生活』(双葉社マンガアプリ『マンガがうがう』にて連載中)。
ブラック企業に勤め、仕事に疲れたアラフォーのサラリーマン・五木恵太。聖女に選ばれた高橋莉奈と一緒に「聖女召喚」に巻き込まれ、幼児「ケータ」として異世界に転生してしまいます。しかしそこは、ダメな女神が暇つぶしで作った世界。女神が好きな“乙女ゲーム”がモデルで、最後は滅亡の運命だとわかり……。
そんな女神に対抗するため、聖女をしのぐ魔力を男神から与えられたケータは、世界を救うことを決意します。前世で得た知恵、懐の広さ、なにより愛らしい幼児の姿で、優しい異世界人に大事にされつつ愛されるケータ。本作は、そんな主人公・ケータの見た目と中身のギャップ、成長ストーリーが楽しめるだけでなく、自己中心的な女神と聖女に、知恵や機転を活かして対抗する爽快感が味わえる異世界転生作品です。
本作の推しポイントは、“主人公・ケータのギャップ”と“爽快感”。かわいい見た目で守られるだけではないのです。強い学習意欲と前世での知識を生かして信頼関係を築き、「守られるだけの存在」から「頼られる存在」へと成長。かわいいのに頼れるというギャップが最高です。そして、自己中心的な登場人物たちには、しっかりと天誅が下る本作。この爽快感も、心がスカッとしておもしろいです。
INDEX
まずひとつめの推しポイントは、“主人公・ケータのギャップ”。
縮んでるみたいなんですが!?(1/6)
『ちったい俺の巻き込まれ異世界生活』
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第1話で王国の第2王子・キャベンディッシュが独断でおこなった聖女召喚。表れたのは聖女に選ばれた莉奈と、巻き込まれて転生してしまった恵太。見た目は幼児、中身はアラフォーの姿で異世界に転生した恵太は、自己紹介時に呂律がまわらず「いちゅき けーた」と発言したことで、「ケータ」と呼ばれるようになります。
聖女召喚の場から取り残されたケータが、第3王子・アールスハインに抱っこされて向かったのは魔力測定の場。その結果、ケータは聖女よりも強い魔力を持っていることが明らかになりました。納得のいかない聖女は「あんたっ 私の魔力を奪ったわね!!」とケータに言い放ち、襲いかかります。アールスハインに守られたケータは無事でしたが、この描写で、聖女はかなり自己中心的な人間であることがわかります。
しかし、ケータはただアールスハインに守られるだけではありません。周囲の人間を観察して、光のようなもの(魔力)が体を巡っているのを発見します。そして、アールスハインだけ魔力が滞っていることにも気づき、アールスハインの心臓に巻き付く呪いの原因を掴んで引っ張り出します。
この状況に周囲は驚きますが、ケータのすごいところはこれだけではありません。学習意欲が強く、吸収も速いのです!
第3話では歴史の本で聖女について学んだケータは、「聖女が現れた国はすべて滅んでおり、このままでは自分の暮らす国も滅びてしまう」と考え、女神が作った“乙女ゲーム”の設定を壊すと決意! 第4話からは魔法の練習を始め、1時間で魔力コントロールを習得。なかなか上手くできないアールスハインやほかの王族の手助けをします。
さらに、第6話では前世の知識を生かしてアールスハインの仕事を手伝い、「金銭出納表」を作りました。作業効率が格段に上がり、周囲に褒められるケータ。ちったい(小さい)のに頭が良いので、公務の面でも頼られる存在になります。
このように、ケータは周囲の人々と信頼関係を築き「守られるだけの存在」から「頼られる存在」へと成長していきます。かわいいのに頼れるというギャップが最高です。
もうひとつの推しポイントである、“爽快感”についてもお話します。
ケータとともに召喚された聖女は、自己中心的でお世辞にも品位があるとは言えない人物です。第7話では、魔法の練習中に王城の庭園を破壊。通りかかったケータとアールスハインに言いがかりをつけ、無視されると攻撃魔法を撃つ。冷静なケータにバリアで攻撃魔法を返されると、睨んで逆恨みもします。このように聖女は、読んでいて少しイラっとさせる人物なのです。
そんな聖女と同じくらいイラっとさせる人物が、聖女を独断で召喚した第2王子・キャベンディッシュ。聖女の世話人に任命された彼は、彼女とともにケータとアールスハインに対して事あるごとに因縁をつけます。しかし、聖女とキャベンディッシュが第7話で国王に怒られる姿は、爽快感がありました。
ことの発端は、キャベンディッシュが国王に、「訓練中に乱入してきたケータが聖女に火魔法を放った」と怒声を放ったこと。もちろんでっち上げた告発なのですが、周囲は少しの間騒然とします。ところが、国王は至極冷静に状況確認をし、虚偽の発言をしたキャベンディッシュと聖女に対してお互いの接触禁止を命じるなどの処罰を与えます。
毎回ケータに理不尽な言いがかりを付けてきた2人に対して、筆者は「こいつら、なんて理不尽で自分勝手なんだ。ギャフンと言わせたい…!」と考えていたので、このシーンは非常にスカッとしました。
さらに、すべての元凶であり自己中心的な性格の女神も、処罰されます。その影には、実は第8話で再登場となった筆者の推し・男神の存在がありました。
第1話以降、なかなか出てこなかった男神。チャラいけれどしっかりと世界のことを考え、迷惑をかけたケータに、便利な能力を付与してくれるギャル男の神。登場していなかったのは、何やら天界で女神を処罰するために動いていたからのようです。男神が「女神を人族に落とした」と笑顔で話す描写は、安心感と爽快感があり、本作1番の見所。推しの笑顔がかわいいです!
男神により女神が力を失ったことで、聖女にも影響が出ます。魔力測定を再度おこなうと、女神の加護が消えていました。聖女は怒り狂いますが、国王と周りの人間は毅然とした態度で修道院に行くように聖女に言い放ちます。王城でわがままを言い放題だった環境から、清貧・純潔・服従を守る生活を送ることを強いられる修道院で、世俗的な生活とはかけ離れた生活を送る。しかも、元世話人・キャベンディッシュとも引き離されてしまいます。このことは、彼女にとってはかなりの屈辱だったはず。好き勝手に行動し、わがままを言っていた聖女を退場させた第8話はかなり爽快感がありました。
ストーリーにはまだ先があり、爽快感あるエピソードもたくさんあるので、ぜひ本作を読んで楽しんでいただきたいです。3巻では修道院に放り込まれたはずの聖女が再登場して、キャベンディッシュと何かしでかそうと企んでいます。
かわいい見た目と、男神からもらった能力に驕ることなく、努力をして信頼関係を築き、「守られるだけの存在」から「頼られる存在」へと成長するケータ。ほのぼのと日常を過ごしながらも、勘違いした聖女と、世界を作った女神に対抗する爽快感が楽しめる『ちったい俺の巻き込まれ異世界生活』。そんな本作で、ケータのギャップとストーリーの爽快感をnuman読者の皆さんもぜひ体感してみてください。
羽賀こはく
横浜市出身。インタビュー記事をメインで執筆。愛猫2匹に邪魔をされながらゲームや漫画を楽しむことが生き甲斐。
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