佐藤元⇒赤澤遼太郎へ、♤2のカードでバトンを繋ぐ！ アニメ『HIGH CARD』＆『HIGH CARD the STAGE - CRACK A HAND』フィンキャスト対談

１月から放送が始まったアニメ『HIGH CARD season2』、1月29日に千穐楽を迎えた舞台『HIGH CARD the STAGE - CRACK A HAND』で主役のフィン・オールドマン役を演じる、佐藤元さん（アニメ）と赤澤遼太郎さん（舞台）に『HIGH CARD』の魅力を語っていただきました。

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舞台映えするスタイリッシュさ

――2023年1月から放送されたTVアニメ。2024年1月にはseason2の放送が開始しました。２期と同時期に舞台公演がありますが『HIGH CARD』という作品の魅力とは？

佐藤元（以下、佐藤）：
舞台とアニメ、同タイミングでできるのはすごくいいなと思いました。アニメのseason2ではバディに中心を置きつつも、『HIGH CARD』ってこういう世界観なんだよ、こういうキャラクターたちがいるんだよという導入もありますし、漫画や小説、そして舞台を含めてより立体的に皆さんへ作品をお届けできるといます。伏線もありますしね。

赤澤遼太郎（以下、赤澤）：
第一印象は、すごくスタイリッシュな作品だなと思いました。そして、そのスタイリッシュさが舞台映えしそうだなと思って。異能の能力だったりカーチェイスだったり、舞台でどう表現するんだろうというものもあり、アニメを見ながらワクワクしていました。アニメの魅力をしっかり舞台に落とし込めたら、とてもいい作品になるんじゃないかと思うんです。僕自身、アニメがすごく好きなので、オタク心をくすぐられる作品です。

――アニメの放送が先行していますが、佐藤さんが『HIGH CARD』の舞台化をお聞きになった際、赤澤さんはフィン役に決まった際のことを教えてください。

佐藤：
やはり嬉しかったです。自分が演じたキャラクターと同じ人物を演じられる際、何をどんな風に気を付けているのかというのは結構気になります。舞台ではどんな風にフィンが形作られていくのか、一役者としてもすごく勉強になりますし興味が尽きません。『HIGH CARD』はファンタジーではありますが、わりとリアル寄りな世界観ですので、それを舞台上でどう表現していくのかも楽しみです。

赤澤：
フィン役に決まった際は、めちゃくちゃ嬉しかったです！　僕自身としても成長を見せられますし、主演なので出番も多いのが嬉しくて。キャストの皆さんも、他の舞台で共演したことのあるメンバーが多くて気心が知れていますし、信頼感もあります。この面子だったら、絶対おもしろいものになるだろうなと思いました。

赤澤さんは佐藤さんの出演アニメをチェック済み

――おふたりが、フィンというキャラクターを演じる上で心がけていることは？

赤澤：
これ、めちゃくちゃ気になります！

佐藤：
アニメのオーディションの際も、多くの情報があったわけではなくて。スタッフ陣があえて情報を出し過ぎないようにしていたようで、台詞やイラストを見て、自分のなかで想像する部分が多かったんです。
僕個人の役作りとしては、キャラクターの歩んできた過去をすごく大事にするようにしています。いつ、どこで、誰と、どのように関わったのか、という感じですね。フィンの場合は孤児ですが、両親は存在していて。親を亡くしてしまったトラウマがあるはず。
では、それ以前はどんな子供だったのか……というのを分析し、その後の孤児院では誰と関わって今のフィンになっていったのか、誰にどういった影響を受けたのかというのをすごく考えます。

赤澤：
今のお話、伺えて良かったです！　実は僕ら同い年で、そこにもシンパシーを感じました。僕は本当にアニメが好きで、佐藤さんが主役を演じていた『天国大魔境』も見てたんです。

佐藤：
えー、嬉しい！

赤澤：
佐藤さんのお芝居すごく好きだなと思っていたので、こうやって同じ役を演じられるのがとてもありがたいです。

佐藤：
ありがとうございます！

赤澤：
稽古を始める前（取材時点）に、一番最初に役に命を吹き込んだ人から「自分はこうやってました」というお話を聴けることがめちゃくちゃアドバンテージになります。今お聞きしたことを大切にしつつ、自分なりのフィンを模索していけたらいいなと思います。

佐藤：
僕たち声優は、声や呼吸で体温や熱量、体制、思考回路、状況を表しています。そんな風に呼吸で表現していたものを、どんな風に身体全体で表現するのかが気になります。

赤澤：
舞台上の表現としては目線なんかも使います。フィンは手癖が悪いじゃないですか。ということは人のことをよく観察していると思うので、人を見るときの目線なんかも普通とはちょっと違うんじゃないかと思うんです。カードの力も持ち前の目の良さを活かしたものだし、相手が何をしているか、何を身に着けているか、そういう部分を観察する目線や集中力が出せればすごく面白いキャラクターになると思うので、そこはこだわって演じていきたいです。

佐藤：
「こういうフィンもいる」というのを、ぜひ赤澤さんから学びたいです。

――２期からのアニメが気になる人、舞台を見てアニメが気になっている人にオススメしたい『HIGH CARD』のウリとは？

佐藤：
アニメ・舞台に関わらず共通しているのは、スタイリッシュということですね。１期のときから「洋画っぽさ」というのはよくお話していました。スタイリッシュな裏に秘められた言葉ひとつひとつが実はちゃんと伏線になっている脚本も素晴らしいので、映像を見返して発見することも多いです。
１期１話での５のスリーカードも最終話に繋がっていたりするので、小さな出来事にも何かしら意味があって、それがミスリードになっているのではないかという謎解き要素もウリですね。それを舞台で表現する際には、どうなるのかとてもワクワクしています。アニメだと声や吐息での演技だったアクションシーン、舞台では実際に赤澤さんが演じられるので大変だろうな……とも思っています。

赤澤：
そこは、スタッフさんたちの力もお借りしながら……！（笑）　カンパニーのメンバーも各々の仕事をしっかりこなすプロフェッショナルな方たちがそろっていますし、舞台ならではのアドリブシーンも結構あると思うので、そういうところも魅力になっていくと思います！

お互いへの質問で、あわやネタバレ！？

――おふたりは今日が初対面とのことですが、お互いの印象は？

佐藤：
今日が初対面ではありますが、舞台化が決まったと聴いた瞬間に赤澤さんはどんな作品に出られている方なんだろう？　と調べてしまいました。そういった研究をするのが大好きなので、これに出られているならこういったお芝居をしてくるのかな、早く見たいなと思っていました。
公開されたPVもとてもスタイリッシュでかっこいいですし、フィンがいる！と感じました。『HIGH CARD』を通して、お互いに高めあっていけたら嬉しいなと思います。

赤澤：
そんな風に言ってもらうと、もう頑張りますとしか言えません……！（笑）　僕の佐藤さんへの第一印象は、やっぱり「声がいい」です。俳優陣とはまた違うしゃべり方というか声の響きなんですよ。声優さんにお会いする機会はそんなに多くないのですが「何かが違う」「すごい！」に尽きますね。アニメで佐藤さんの声を聞く機会が多かったし、やっぱり同い年ということで業界は違えども第一線を走っている人と出会えたことが嬉しいです。刺激的な１日になりました！

佐藤：
ありがとうございます！

赤澤：
今後も仲良くしてください。

佐藤：
ぜひお願いします！

――おふたりは今回の取材のように、俳優さん・声優さんとお話する経験ってありますか？

佐藤：
本当に短い時間、ステージ上にゲストで呼んでいただいたことはあります。映画の主役をする俳優さんとの対談とか。けれど、やはり短い時間なので、深い話はできなくて。今回みたいに、どこを意識していてといったお話が聞ける機会はとてもありがたいです。

赤澤：
いやいや、僕のほうがありがたいですよ！　僕もそんなに回数は多くないのですが、皆さん「舞台は舞台としてのお芝居を作り上げてほしい」という感じに背中を推してくださることが多いです。
2.5次元の舞台作品って原作があるものなので、若干のプレッシャーはつきものだと思うんです。元々の作品ファンで、実写や舞台化を不安に思う方たちも中にはいますから。だから、原作サイドの人たちに強く背中を押してもらえると、何よりも安心できて勇気をもらえます。

――赤澤さんからアニメの『HIGH CARD』、アニメのフィンについて聞いてみたいことは？

赤澤：
佐藤さんに聞いてみたいこと……。それよりもまず、リンジーが裏切っているのかいないのかが気になっていて。

佐藤：
あはははは！（笑）

赤澤：
絶対裏切るんじゃないかって思ってたんですけど。

佐藤：
大丈夫です、収録現場でもリンジー役のご本人が「俺って裏切るのかな？　心が痛い……」って言っていたくらいです。他のキャスト同士も「この人絶対裏切ってるよね」ってコソコソ話したりしていました（笑）。でも、フィンがああいう性格になれたのは、リンジーのおかげなので！

赤澤：
そっか、よかった。もう見ていて本当に気が気じゃなくて。リンジーいい人だな、でもこういう人に限って……と思っていたので（笑）。

佐藤：
『HIGH CARD』の面白いところは、お互いがお互いを思い過ぎて交錯する人間関係がありますよね。相手のためにと自己犠牲の精神が強すぎるところがテーマになっていて「誰かのために」「何かのため」にという部分が、狂気的に見えてしまうところがあると思います。

赤澤：
やりすぎてしまう感じなんですね。あと気になっていたのは、オーディションのときなど、最初にどんなディレクションを受けたのかお聞きしてみたくて。

佐藤：
最近になって、やっとオーディションでガチガチに緊張はしなくなってきて。もちろん多少はするのですが、フィンのオーディションのときはものすごく緊張していて。一番最初が僕だったというのもあり、「どうしよう」「わからない」となってしまいました。
手も震えるしどうしようと思ったのですが、もらった資料のなかに「信念だけは通す」とあったので、ヤンキーっぽさは出さずに信念を貫くという部分を意識して臨みました。

赤澤：
フィンの揺るぎないものですね。

佐藤：
ありがたいことにフィン役に選んでいただけて、そこから監督や音響監督、フィンのバディであるクリスを演じる増田（俊樹）さんなど皆様の背中を追いながら、自分の役を作り上げていきました。

赤澤：
フィンはやっぱり、信念が大事なんですね。

佐藤：
そうですね。『HIGH CARD』は各々の信念のぶつかり合いなところもありますし。それぞれの信念が見えれば見えるほど、勝手にヒートアップしていくというか……。フィンがクリスに対してかけた言葉も、最初の頃よりどんどん強くなっていっていますし。
それは彼の信念だったり、彼がカードに選ばれる理由というものにも関係してくると思います。

――佐藤さんから舞台のフィンに期待していること、舞台で見てみたいシーンは？

佐藤：
フィンは信念が強くて情にも熱いし、まっすぐですよね。ちょっとヤンキーっぽいのも口調だけですし、スリだって個人のことを思ってのこと。そういった不器用に生きている部分を舞台上でどんな風に表現するのか、気になっています。
過去にまつわる部分では、ものすごく繊細な部分も見せますし。僕らは絵や音に助けてもらっていますが、舞台では赤澤さん自身のお芝居でどんな風にフィンを見せていかれるのか、ワクワクしています。フィンの内情ですね。

赤澤：
一役者としても、そこは佐藤さんに観ていただきたい部分です。僕はこういう表現でいくぞ、という信念を持って、楽しみながらお芝居できたらいいなと思います。

佐藤さんからの『HIGH CARD』進呈式