登場して早数年、既に配信界隈では
不動の地位を築いた“Vtuber”。最近でも一般お嬢様・壱百満天原サロメがデビューして2週間でチャンネル登録者数100万人を達成するなど、まだまだ快進撃が続きそうな存在です。
しかし、ここまでの盛り上がりを以てしても配信黎明期から視聴し続けている方たちのなかには、未だに波に乗り切れていないという方も多いのではないでしょうか?
今回は、そんな古の動画視聴者にもオススメしたい男子高校生Vtuber・剣持刀也の魅力を、十数年あらゆる動画や配信を見続けてきた筆者が紹介します!
剣持刀也 プレスリリースより
via 剣持刀也 プレスリリースより
剣持刀也は2018年3月14日に配信デビューした「にじさんじ」グループ(ANYCOLOR株式会社運営)所属のVtuberです。
16歳の高校2年生。剣道部所属の隠れまじめ系男子。
普段は周りと合わせてじゃれているがダメな時はダメという。
以前から他の人の配信を見るのが好きで、その憧れから始めた。
練習のしすぎで怪我が絶えないので、常に救急セットを所持している。
(※にじさんじ公式サイトから引用)
見た目は普通の高校生であり、属性にもそこまで捻りがないように思える剣持刀也。しかし剣持にはその普通属性には収まりきらない、古の動画視聴者をも唸らせる一面が存在するのです。
全肯定するって言って募ったお便りを全否定する配信
剣持の配信スタイルは、リスナーと容赦なく殴り合うプロレス配信。お互いにキレのある言葉で殴り合い、爆速で捌き捌かれるそのやり取りは一見の価値ありです。
リスナーに過激に反応し早口で煽り捲し立て、炎上スレスレを攻めていくその姿は、まだ動画文化がアングラだった頃のかつてニコニコ生放送などでもよく見かけた光景であり、もはや懐かしさすら覚えます。
一歩間違えると炎上を招きかねないが、爆発的な面白さを生み出す可能性を持つプロレス配信を基本スタイルに据えていることからもわかるように、剣持は
エンターテインメントに非常に貪欲です。リスナーのために常にツッコミ所を用意し、エンターテインメントを追求するためなら、普段の澄ました雰囲気からは考えられないような茶番もこなします。
一例として、彼の配信サムネイルをご覧ください。
リスナーだらけの世界で生き残れ【スリザリオ】
配信後はちゃんとしたものに差し替えられることも多いですが、
通称・生首サムネと呼ばれる剣持の顔だけが中央に浮かぶサムネイルが基本。配信タイトルも「やぁ」「剣持刀也です」など、わかりやすさが重視される現代コンテンツのなかで
燦然と輝く圧倒的無意味さ。
一目で内容がわかるサムネイルが並ぶ現代では逆に新鮮に映りますが、一昔前の動画界隈ではあるあるな光景だったため安心感を抱かせます。そして剣持の狙い通り、毎回当然のようにリスナーからは総ツッコミが入り、コメント欄が盛り上がるのです。
また、剣持はにじさんじの公式男性Vtuberユニット・ROF-MAOに所属しています。男性Vtuberユニットならアイドルユニットらしいことをする……かと思いきや無人島に連行されたり、サイコロ旅をさせられたりとお笑い芸人的な活動ばかり。周りからもアイドルユニットではなく、「顔の良いお笑い集団」として扱われています。
そして、剣持自身もROF-MAOとして活動していて一番良かったことは「(企画のなかで)メンバーを自転車で轢いたこと」であると度々嬉しそうに語っています。
格好良さよりも面白さ、エモさよりもエンターテインメント。その貪欲ぶり、徹底ぶりは狂気の沙汰です。しかし、今もなお活躍しているニコニコ動画出身の配信者はこういう傾向の方が多い印象であり、その方々のファンには刺さる可能性が大いにあります。
滲み出る「古参ネット民」「インターネット老人会」の空気感
剣持はVtuberであるためネット文化においては最先端の存在であり、若い人たちから人気があることは言うまでもありません。しかし、剣持の配信からは
「古参ネット民」「インターネット老人会」の空気感が漂っており、古の動画視聴者とも非常に親和性が高いのです。
歌枠ではセリフを含めて「組曲『ニコニコ動画』」を披露し、「くぅ疲w」などの古の語録をさらっと使いこなします。
これらの文化は16歳の剣持にとっては小さい頃に発生したものであり、同年代なら知らない人の方が大多数を占めるでしょう。にも関わらず、剣持はこの文化自体に対して照れや揶揄するような雰囲気を醸し出すことなく、当たり前かのようにサラリと使いこなします。そして、同じく「わかってる」古参じゃないと反応できないようなツッコミ所まで用意します。
この一連の流れからも、剣持の醸し出す古参ネット民の空気感が一朝一夕で培われたものではないことが伺えます。こういった雰囲気が形作られるのは、そもそも剣持自身がネットに蔓延る
「大衆が作り出すカオス」を信仰していることに由来します。
今や大衆化されたネット文化、万人が楽しむためにはモラルやルールが設定された場所も多くなりましたが、剣持は基本的に配信にルールを設けていません。
※ただし、昔から配信界隈でよく言われるようなルールは遵守して欲しいとも度々配信では話しています。
とはいえ現代でネットのカオスが手放しに盛り上がりすぎると、あまりにも奔放に見えてしまい、ハラハラすることが多いのも確かです。
しかし、そこはプロレス配信を基本とする剣持刀也の得意分野。剣持の手腕によりリスナーも配信の熱もある程度コントロールされているため、一番面白い温度で安定した状態の配信を、安心して視聴することができます。
剣持の配信は、ネットのカオスが生み出す奇跡的にくだらない面白さを安心して摂取できる、新旧ネット文化のいいとこ取りの配信と言えるでしょう。
“隠れまじめ系男子”な属性では隠しきれない剣持刀也
「古参ネット民」「インターネット老人会」の空気感があるとはいえ、剣持の配信そのものが過去の動画文化の再放送、もしくは懐古しているだけということでもありません。
価値観が現代版にアップデートされ、バランス感覚の優れた安定感と、ネットのカオスが持つ奇跡的なくだらなさ、爆発的な面白さが剣持の手により調和された、まったく新しい配信となっているのです。
そんな剣持の配信は、古の動画視聴者でVtuberに苦手意識をもつ方にもきっと刺さるはず。ぜひ一度、視聴してみてはいかがでしょうか?
(執筆:宮本デン)
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