『Thunderbolt Fantasy Project』総監修・虚淵玄インタビュー|魅力を増す美しすぎる人形たちの武侠譚

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『Thunderbolt Fantasy』総監修・虚淵玄インタビュー numan2

▲こちらが蠍瓔珞(かつえいらく)。

『Thunderbolt Fantasy』総監修・虚淵玄インタビュー numan3

▲こちらが 嘯狂狷(しょうきょうけん)。

──その別案、一体どんな案だったのでしょうか?
虚淵 まず、「サソリ女」と「鬼畜眼鏡」ってそれだけの指定で描いてもらいました(笑)。

──では嘯狂狷の眼鏡は確定だったのですね(笑)。
虚淵 そうです(笑)。
三杜シノヴ(ニトロプラス)の嘯狂狷も、源覚(ニトロプラス)の蠍瓔珞もいたんですよね(※9)。
でもどちらもわりと共通していたんですよ。確か三杜のほうが金髪の嘯狂狷、ゴールドメインで。源覚の蠍瓔珞はブルー主体でしたね。その辺りお互い踏襲している感じがありました。その中から選ばせてもらいました。

※9……実際は蠍瓔珞のキャラクターデザインは三杜シノヴ(ニトロプラス)、嘯狂狷のキャラクターデザインは源覚(ニトロプラス)。

──何が決め手になったのでしょうか?
虚淵 やはりデザインの美しさですね。蠍瓔珞に関しては、サソリのモチーフにした装飾が素晴らしかったので。嘯狂狷は帽子と扇子ですよね。お役人(笑)って感じがね。

──鬼畜眼鏡の嘯狂狷ですが、眼鏡を使った仕草も印象的です。
虚淵 あれは霹靂社さんの現場の方のアドリブでした。脚本の中で一行も書いてないですからね、ここで眼鏡直すとか(笑)。
眼鏡をつけた以上はこだわる、というあちらのスタンスだと思うんですよね。終始こうやって眼鏡キャラを眼鏡推しで撮ってくださっているのは素晴らしいですよね。

──眼鏡萌えは世界共通……と。
虚淵 そう、特に日本風の演出にしているわけではなく、完全に霹靂社さんにお任せです。眼鏡を直すだけでなく、光をあてて白く飛ばしたりとか、髪をかきあげたりとか、すごくやってくださっていて。

──新キャラクターといえば、第9話『強者の道』から俄然存在感を増した諦空(ていくう※10)ですが、最初からこういうキャラクターにしようと思っていたのですか?  
虚淵 諦空って引き算でできているキャラクターなんですよね。婁震戒から七殺天凌を抜いたら諦空という人間になる。まさに婁震戒と七殺天凌が出会う話、という想定で今期の物語ができているので、第9話で七殺天凌と巡り合って、元のキャラクターに逆に戻る形です。  

※10諦空(ていくう)……CV:石田彰。2期に登場するキャラクター。流浪の苦行僧だったが、七殺天凌を手に入れたことで還俗し婁震戒と名乗るようになる。  

以上が公式webのキャラクター紹介ですが、要するに、イケメンすぎる美坊主。仏像の丸まった髪型でパンチパーマのような螺髪(らほつ)なのにとにかく美人。只者ではないのは、石田彰さんのボイスでもわかりますが、一見すると問答好きのこじらせ男子(※主観的な感想です)。  

『Thunderbolt Fantasy』総監修・虚淵玄インタビュー サンファン numan6

▲こちらが諦空(ていくう)。

──螺髪が解けるという演出が非常に斬新でした!  
虚淵 あれは布袋劇でも定番の演出です。お坊さんが闇落ちすると長髪になる(笑)。  
霹靂社さんの素還真シリーズにも一頁書(いっこうしょ※11)というキャラクターがこの髪型で登場します。もっときっちりした螺髪なのですが、日本だと見慣れないヘアスタイルなんですよね。  
そこをすんなり入ってもらうためには、Thunderbolt Fantasy Projectでもそういうキャラクターを出した方がいいなと常々思っていたので、婁震戒を出すときにやってしまおうかと。婁震戒はもともと長髪のキャラクターだったので、螺髪が解けて長髪になるというお約束を、布袋劇の予習という意味合いで入れました。  

──螺髪は虚淵さんからのオーダーだったのですか?  
虚淵 はい、これはなまにくATK(ニトロプラス)(※12)に言ってありました。それこそ一頁書のキャラクターも見せました。そしたらね、螺髪を大きめに作ったんですよね、彼は。それが彼なりのアレンジで、見た時になんとなく抵抗感が薄まると思いました。いきなり僧侶だと言われても、「なるほどな」って受け入れられる位に。  

※11 一頁書(いっこうしょ)……『素還真』を主人公とする、台湾の布袋人形劇「霹靂布袋戲」シリーズの主要人物で、武学も心得る螺髪の高僧。  
※12 なまにくATK……ニトロプラスのデザイナー。諦空・婁震戒のキャラクターデザインを担当した。  


──初登場時、螺髪でイケメンは初めて観た!? と、衝撃が走りました。  
虚淵 いやいやいや、霹靂さんの作品にはざらにいますよ(笑)。どんだけ坊さん色っぽいんだって。

Thunderbolt Fantasy Projectをさらに魅せるキャスティングの妙──

──Thunderbolt Fantasy Projectが台湾布袋劇と大きく違う点は声優の起用だと思いますが、キャスティングについてはいかがですか?
虚淵 1期も2期もオーディションですが、当初からイメージが明確にあったキャラクターはこちらから指名という形でお願いしています。特に、婁震戒と七殺天凌は、それぞれ石田彰さん、悠木碧さんをぜひ、とは思いましたね。

──生死一劍でも登場した浪巫謠(ろうふよう※12)は、当初西川貴教さんをモデルとして先に人形が作られ、2期では重要なキャラクターとして、御本人も声優として出演されています。キャラクターも西川さんに寄せた部分はあるのでしょうか?
虚淵 浪巫謠は、確かに人形は西川さんをモチーフにして作りましたが、パーソナリティは真逆です。浪巫謠はとんだコミュ障ですから。
西川さんをこの世界観に出すのではなく、浪巫謠というキャラクターを作るので西川さんに演じてくださいといった形ですね。

※12 浪巫謠(ろうふよう)……CV:西川貴教。劇場上映作品より登場する、殤不患(しょうふかん※2)の相棒だった吟遊詩人。喉に魔力を宿すため極度に寡黙で、喜怒哀楽は魔性の琵琶「聆牙(りょうが)」を爪弾いて表現する。

以上が公式webのキャラクター紹介ですが、一言で言えばイケメンコミュ障。琵琶は友達、怖くない。第5話にて歌で歿王と戦うシーンは2期での見せ場のひとつで、やはり男はギャップ(※主観的な意見です) 。

▲こちらが浪巫謠(ろうふよう)。琵琶のほうが聆牙(りょうが)。

──浪巫謠の相棒、聆牙(りょうが※13)役の小西克幸さんもコミカルな演技が印象的です。  
虚淵 聆牙役もオーディションですね。  
キャラクターが固まりきってない時は、むしろ仕上げを声優さんにお任せすることもありますね。  

──聆牙の変形は虚淵さんのアイディアですか?  
虚淵 あれは霹靂社さんです。  
最初は琴だけで戦う予定だったのが、アクションが組み辛いので刀に変身するギミック入れていいかと言われまして。  
凜雪鴉の煙管が刀になるように、光って羽が舞うと刀になるぐらいかなと思ったら、あんな変形があがってくるとは。あれは爆笑しましたね(笑)。「もう素晴らしい!」って! 昭和世代の自分にはぐっさり刺さる演出だった。さらに加えてあそこで「聆牙、変形」(笑)。  
あれ小西さんのアドリブなんですよ。聆牙の名台詞、ことごとくアドリブです!  

※13 聆牙(りょうが)……CV:小西克幸。浪巫謠が愛用する魔法の琵琶。魔力のこもった浪巫謠の言霊を手元で浴び続けた結果、人格が備わり言葉を発するまでに至り、浪巫謠の心情を代弁するようになる。  

以上が公式webのキャラクター紹介ですが、その実は、やたら愉快な琵琶兄さん。過去に浪巫謠が琵琶にこんこんと語りかける図を想像すると、ちょっとキモ可愛い……かも(※主観的な感想です)。  
また、聆牙が琴から刀に変形する際の掛け声が、「聆牙、変形」。小西克幸さんの名台詞は一度聞くと病みつきになりますが、毎話聞けるわけではありません。


──変形の言い方も一回一回違いますよね! 昭和世代に刺さるといえば、第5話の『業火の谷の歿王(ぼつおう)』との戦闘シーンも刺さりますね。  
虚淵 わざわざ東映さんのご協力で造形のスタジオを探して、作っていただいたんです。日本の特技監督(※14)の方に現場で指導いただきながら作ったんですよ。  

※14 特技監督……日本の特撮映画やテレビにおいて、SFXが主となるシーンまたはカットの演出を担当するスタッフのこと。

──歿王(ぼつおう)の造形は、虚淵さんのご希望だったのですか?  
虚淵 いや、最初は1期のCGの石巨人みたいに、人形ではないものと合わせたSFX枠で考えていたのですが、せっかくならCGよりアナログでという話になり、結果着ぐるみになりました。  

──竜をグチャリと踏み潰しての登場は、胸踊りました(笑)。  
虚淵 あの小さいのも、よく出来てるんですよ!  
現場で見せてもらって、すごく作り込んであってもったいないなあと思いました。一瞬で出番は終わるのに(笑)。

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