『イケメン戦国』『イケメンヴァンパイア』イラストレーター・山田シロ先生スペシャルインタビュー

『イケメン戦国』『イケメンヴァンパイア』イラストレーター・山田シロ先生スペシャルインタビュー

『イケメン戦国◆時をかける恋』、『イケメンヴァンパイア◆偉人たちと恋の誘惑』などのイラストレーター山田シロさんの、スペシャルインタビューをお届けします! デビュー当時から『イケメンシリーズ』のお話はもちろん、絵が大好きだった幼少期から学生時代のお話、お仕事に取り組む姿勢まで多岐に語っていただきました。

山田シロ 『イケメン戦国◆時をかける恋』 『イケメンヴァンパイア◆偉人たちと恋の誘惑』

山田シロ

プロフィール
イラストレーター、マンガ家。
繊細なタッチから零れる艶やかな色気に、悩殺されたいと望むファン多数。

■主なキャラクターデザイン
ゲームアプリ『イケメン戦国◆時をかける恋』
ゲームアプリ『イケメンヴァンパイア◆偉人たちと恋の誘惑』
ドラマCD『和奇伝愛』
■主なマンガ作品
『スクランブル☆スター』

■公式ツイッター https://twitter.com/yamashiro_k
■公式ブログ http://work.soul.sub.jp/

「この子みたいに絵がうまくなりたい」友達への憧れと悔しさ

――本日は、お時間をありがとうございます! まずは、イラストを描き始めたきっかけを教えてください。
山田シロ(以下、シロ) 小学校5年生くらいのとき、クラスに絵がとても上手な友達がいて、イラスト交換をしたときに、その友達になぜか憧れたんですね。さらに振り返ってみると、幼稚園のころ、みんなで画用紙に絵を描いたときにもすごくうまい子がいて、その絵をみてすごく悔しいと思ったのがきっかけかも(笑)。
体育や運動、勉強ができなくても全然悔しくなかったのですが、絵を描くことに対しては、悔しいな、絵では負けたくない、うまくなりたいなぁ、という感情が芽生えたんですよね。

――絵を描くことが好きだからこその憧れですか?
シロ 野心とかむき出しの競争心とかは、今でも強くはないのですが、やっぱり引っかかることがあったのは、幼いころから絵だったんですよね。もしかしたら、音楽が好きな人も、勉強や運動をする人でも、そういう感情が同居しているのかな、と考えると興味深いです。

――ちなみに、どんな絵だったのでしょう?
シロ 普通にマンガです。小学校高学年になると、みんなマンガの絵を描き始めるじゃないですか(笑)? その友達は、多分天才肌だったので、すごくいいなぁ、彼女みたいに自分もうまくなれたらいいな、という延長で、今でもずっと描き続けているのかなと思います。

デビュー、そしてプロになったけれど……!?

――デビュー当時は何をやっていらっしゃったのでしょうか?
シロ 美術系の大学に通いつつ、卒業したら広告や紙面のデザインをする仕事に就こうと思っていたのですが、でも同時に絵を描くことを辞めたくないなとも思い、同人誌を描いていました。
当時から絵を描ける仕事ができたらとは思っていましたが、その時はただひたすら描くのが楽しいという気持ちが大きくて、絶対にイラストレーターになるとか、プロになりたい、とまでは思っていなかったのです。

――そこで出版社から声がかかったんですね。
シロ はい。お声がけいただいたので、職業にしてもいいのかしら……って、やっぱりそこで思って。最初は同人誌も二次創作を描いていたので、急にオリジナルってなると、かなりたいへんで(笑)。
ちょうどタイミングよく、イラストのカットのお仕事とか単行本の挿絵の仕事が同じ時期に入ってきたので、マンガもイラストも同じラインでスタートしました。
どれがやりたいとか、何かを優先させるとかではなくて、声をかけていただいたので、挑戦してみようと描いてきました。

――当時の苦労を教えてください。
シロ やはりプロになろうと思ってスキルを培ってこなかった状態で、急に実力勝負の世界に出ていったので、なかなかドキドキというか、困惑しながら描いていました。プロを目指す学生さんもいらっしゃると思うのですが、即戦力にならないとプロでやっていくにはたいへんなので、そういうスキルを考えて学ぶほうがいいよ! ってすごく感じているので、その私の経験をお伝えしたいです。

――イラストを描くときに、心掛けていることはありますか?
シロ やはりこれがかっこいいよね、という一本のラインが私の中にあるので、そこをブレずに描くようにしています。『イケメンシリーズ』は、”王道”のイメージがあって、私の描きたい絵と求められている絵がけっこう一致しているので、そこを逸脱しなければ大丈夫かなと思っています。ただ、作品によって求められることは違うので、そこは意識して変えています。

――求められる絵を描くことは難しくありませんか?
シロ 私は元々、王道好きなんですよ(笑)。ミーハーなくらい、けっこうベタで万人受けする作品が好きなんです。ストライクゾーンが狭くてこの作品はこの層には受けるけれど……、という作品が好きな人もいると思いますが、世の中で盛り上がって流行っている作品を、けっこう無邪気に楽しめるタイプなんですね。だから『イケメンシリーズ』は、「イケメン好きでしょ?」と問われれば、確かにイケメン好きだなと自分の中で認めているので(笑)、無理なく描いている感じです。

――ちなみに、描くときに避けている表現はありますか?
シロ 自分の中で、嫌な気分になる、汚いもの、アンダーグラウンドのものは、好みではないので描きたくない、という気持ちがあります。それだったら、かっこいいものや綺麗なものなど、みんなウェルカムで好きだよね、というものを描きたい気持ちがありますね。

――イラストを依頼される際、細かく指定されると描きやすい、描きにくい、というのはありますか?
シロ 『イケメンシリーズ』はけっこう細かいのですが、クライアントさんによってざっくりしているところもあります。とりあえず赤髪だったらいい、和風だったらオーケー、だけとか(笑)。
個人的にはどちらでも描きやすいです。細いなら細かいだけ求められているゾーンが明確なので、それに沿えるように頑張ろうと思いますし、自由だったら自由で、作家性の部分を出してほしいというご依頼なので、こっちの方がかっこいいかもしれませんよ、というご提案ができますし。求められることを楽しんで描いている感じではありますね。

――イメージのすり合わせはたいへんではありませんか?
シロ キャラクターのイメージは自由でいいのですが、世界観やこういうゲームにしたいという意図などが伝わらないと、描くことが難しいです。だから画像1枚でも、イメージやテーマとか抽象的なものでいいので、「こういう方向を目指しています!」、というのを頂くと提案しやすいな、と思います。
それがないと、全然違う方向にキャラクターをデザインしてしまって、もっとこっちなんです、というリテイクになってしまったり(笑)。

――残念ながらよくあるお話のようで……。
シロ なので、例えば『イケメンヴァンパイア』なら、最初に、紫の月の夜の背景画(※同作のメインビジュアルの背景)をいただいたんです。それを私の中ではずっと意識して、そこからブレないようにしていました。
ゲーム制作の場合、シナリオライターがいて、作曲家がいて、と、いろいろな人々が同じ一つの作品を作ろうとしている中で、軸がないとバラバラの作品になってしまいがちです。
どんな世界観を表そうとしているのかが、クライアントさんにとって大事だと思うので、細かい設定というより、一つのカラーでもフォントでもいいので、作品の世界観がわかる何かをください、ってお願いしていますね。

イケヴァン、イケメンヴァンパイア

仕事の転機となった『イケメン戦国』

――仕事をしていくにあたって、転機になった作品は何になるのでしょうか?
シロ 『イケメン戦国』で、乙女ゲーム業界・市場に入ったことかなと思います。2011年ころは、依頼される仕事をこなしたり、少女マンガを描いたりで、自分が想像しうる描きたいものを全部描き尽くしてしまった、と感じていた時期だったんです。
それと同時にすごくやる気がなくなってしまって、なぜ描いているんだろうとモチベーションも落ちていました。1年ぐらい休んで緩やかにしようかなと思い始めたときに、ちょうど乙女ゲームのCDのお仕事をいただいたんです。

――よいタイミングだったんですね。
シロ それを描いてみたら普通に楽しかった(笑)。では、来月の仕事をどうしようか、初めて休みを入れようかな、前に声をかけて頂いたところに連絡してみようかな、と思案していたタイミングに、サイバードさんから、キャラクターデザインの依頼メールが、ポンっと一通届いたんです。

――まるでシナリオのようなお話です。
シロ (笑)。以前ゲームの仕事も軽くいただいていたんですが、一定レベルのテンプレートに則って描いてくださいと依頼されるので、自分の絵が描けない業界だな、とその時は思っていたんです。なので、最初はお受けするか迷ったのですが、でももう全部自分を出し切ってやりたいことをやったから、じゃあ次は求められるものを描こう、と頭の中を切り替えたんです。

――仕事のスタンスを変えられたんですね。
シロ 絵の仕事は、皆さんに楽しんでもらうエンターテイメントのお仕事なので、じゃあ皆さんが楽しい絵、ってなんだろうって考えて。自分が描きたい絵というより、ユーザーさんがかっこいいと感じる絵を精一杯考えて自分の今までの技術で描こう、と切り替えた作品が『イケメン戦国』でした。

――作家としては真逆のアプローチに見受けられます。
シロ 今ではスタッフさんと話し合って、結局自分のカラーを出してオーケーみたいな、こっちの方がかっこいいですよと提案するとそれを通してくださったりしています。ちょうど自分のモチベーションが変わって、今でもそうですけれど、ユーザーさんが求めるものを描く仕事をしたい、という気持ちが合致してスタートできたのが転機だと思っています。

イケメン戦国

音楽への寄り道が巡って個性とアイデンティティーに

――普段の日常生活で、心掛けていることはありますか?
シロ マンガやアニメに限らず音楽など話題になっている作品を、目に映るものはとりあえず見境なく見るようにしているかもしれません。どうして好かれているんだろうとか、アーテイストならどういうCDで、どんなキービジュアルを作っているんだろう、という点を注目して見ています。人気作には人気になる要素が詰まっているので、そこは勉強したいなといつも思っています。

――ゲームやアニメ、マンガだけでなく音楽の方にも関心をお持ちなのですね。
シロ 学生時代は、絵を描きながらバンドもやっていたので音楽も好きです。音楽も、アーティストさんが世に出る時に、作品として生み出していくジャンルだと思います。
そのアーティスト写真がどうなっているのか、ロゴ一つにせよ、アーティスト性が出ていてイメージが作られていきますよね。そのバンドは今どんなツアーをしているのか、新しい演出を取り入れたとか、あの会場でこういうライブをやるとか、そうやって売り出していく” 戦略”を、うまくやるバンドとそうじゃないバンドがあって(笑)。今回のジャケットすごく斬新でいいなぁ、とかデザインを見るのが大好きだったので、その当時は普通に楽しく見ていましたね。

――自分が絵を描くにあたって、影響を受けたものは何がありますか?
シロ 物心がついてからは少女マンガよりも少年マンガが好きになっていて、友情・努力・勝利が大好きで(笑)、キャラクターの魅力に惹かれました。ただ、興味があるジャンルがたくさんありすぎたので、マンガとアニメの道しか通ってなかったわけでもないです。

――音楽方面に興味が移られたんですね。
シロ なので学校卒業直後に仕事を頂いたとき、どうしてマンガやアニメを続けないで音楽に行ってしまったんだろう、と後悔してしまったんです。当時のあの時間、ずっと描き続けていたらもっと早くプロになれたかもしれない、自分が甘かった、なぜ寄り道してしまったのだろうって。

――ストイックですね!
シロ でも何年か描いていると、違う知識が必要になってくるんです。だから今は、マンガやアニメ以外の情報源や、音楽が好きだったことが活きています。自分では意識していないのですが、知人から「音楽を通ってきた絵を描くよね」、「あのアーティストが好きそうな絵を描くよね」って、後から言われて、それが自分のアイデンティティーや個性になっていたんだなって、振り返って気づきました。
今では、旅行に行ったり映画を見たりとか、マンガとは違うジャンルからいろいろ吸収した方が幅にはなっていくかな、と思います。やっとそこまで思えるようになったんですけれど(笑)。

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イケメン編集部の日常コメディーマンガ「毎日が沼!」隔週金曜更新

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