numan編集部
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松田岳(以下、松田):正直に言うと、第一印象では暗いお話だなとは思いました。事件を解決しても後味がどうしてもスッキリしないというか……。犯人を逮捕しても、それで終わるわけではなくて、犯人や被害者の家族、周りの人たちにすごく影響が残ってしまう様子が、フィクションの世界ではないようなリアルさだなと感じました。
山中健太(以下、山中):確かに。”居た堪れない”という感覚ですね。過去の舞台版2作品のDVDは勿論、アニメもじっくり見させていただいたのですが、見終わった後に「あー、終わった、楽しかった」とはならない作品。これって誰の考えが正しいんだろうか、どうしたら防げた事件だったんだろうか、など色々考えさせられました。物語の中に様々な問題提起があって、見た人それぞれに受けとめ方、考え方が生まれるであろうところが、この作品の魅力だなと思います。
山﨑晶吾(以下、山﨑):そう……ですね。そうなんです。全部2人が言ってくれた通りです。
松田:いや、ずるいずるい(笑)!
山﨑:(笑)。本当に、フィクションとは思えないんですよね。事件が起きる場所も新宿だから、想像しやすくて、こういう事件ありそうだな……というリアリティがあって。登場人物たちのスペックの高さは非現実感があるんですけどね。
山中:僕が演じるハシバくんは、財閥の御曹司です。その設定だけはちょっと現実離れしているんですが、ただ彼は個性的でつかみどころのないキャラクターが多いこの作品の中では、最も現実主義で、正義感が強く、一般的で”まとも”な感覚を持っている子ですね。お客様に共感してもらいやすいポジションだと思うので、お客様の思っていることを代弁するというか、感情移入してもらえたら、と思っています。
ハシバの見どころとしては、ネタバレなので詳しくはお伝え出来ないのですが、とある一大決断をしてすごく頑張るシーンがあるので、ぜひ観ていただけたらと思います。
山﨑:僕が演じるナミコシは、アケチの中学時代の同級生です。印象としては、儚くて、触れただけで壊れてしまいそうな脆さがあります。でもつかみどころがないわけではなく、意外と考えていることはシンプルなんです。自分なりの正義があり、ブレずに進んでいる……アケチにとってのキーパーソンでもあり、この物語の「らすぼす」的な存在です。なんとなくですが、カタカナじゃなくて、ひらがなで(笑)。
松田:ハナサキは舞台オリジナルキャラクターで、分かりやすく言うと、アケチとナミコシの元同級生でありながら、アケチを窮地に陥れようとする敵、という役どころです。嫉妬心が抑えられない人で、本当はまっとうに生きることも出来ただろうに、どこかでひん曲がってしまったのかな、という印象を受けました。もしアケチとナミコシの中に入れて、3人で仲良くなれていたら、違った未来が待っていただろうになと思ってしまいますね……。
山﨑:どこかでボタンをかけ間違えなければ、そんな未来もあったかもしれないですね……。
松田:ミナミ検視官をやってみたい! 殺人事件が起きた時、被害者の殺され方をコミカルでポップに説明するちっちゃい女の子のキャラクターで、”死体君”って人形の腕をちぎって投げたり、ちょっとクレイジーな感じなんですけど。ああいうぶっとんだ役で「わぁー!」って舞台上を暴れてみたいです。
山﨑:僕はコバヤシを演じてみたいです。アニメでも舞台版でもコバヤシを演じている高橋さんが女の子、っていうのもありますが、最初に見た時は女の子キャラかと思いました。中性的な役って憧れるんです。
山中:うわ、どうしよう……僕、ミナミかコバヤシって言おうとしたらまさかのどっちも2人とかぶりました……。
山﨑&松田:(笑)。
山中:ミナミは舞台上でストレスを発散できそうだなってまず思って(笑)。膨大な台詞を1人でわぁーって話すので大変だとは思うんですけど、やりきれたら楽しそうだなと思います。コバヤシくんは、感情がどこにあるのか分からない、他の人とは違う観点で物事を考えている感じが魅力的だなと思います。あと影男さんもやってみたい。
松田:影男さんいいよね!
山中:絶対好かれるキャラクターですよね。紙袋をかぶることで、色々なキャラクターに扮装できる、1つの舞台上で色々な役を演じられるというのは役者としては羨ましいです。ビジュアルのインパクトもあるし!
山﨑:あの見た目のインパクトはずるい(笑)!
山中:僕は眼鏡をかけているキャラクターを演じるのが初めてで、こんなに難しいんだなって苦戦しました。角度によっては反射してしまうので、撮られる角度によって少しずつ上下にずらしてみたりして……。あとは今作のとあるシーンにちなんで、一生懸命走っているシーンを躍動感たっぷりに沢山撮っていただいたのですが、すごく体力を使いました(笑)。
松田:ハナサキはオリジナルキャラクターなので、元のビジュアルがない分、自分で作り込んでいきました。宗教団体の一員、ということで「勧誘する感じで」「優しそうに」というディレクションをいただいて、宗教家か政治家か、みたいなビジュアルになりましたね。
山﨑:僕はキービジュアルに写っている17歳のナミコシの姿と、キャラクタービジュアルに使われている中学生のナミコシの姿と、2パターン撮りました! ウィッグもメイクも全く違うんです。中学生の姿では、いじめられていて顔が傷だらけになっているカットもあり、絆創膏を貼ったりはがしたり、様々なパターンを撮っていただきました。
屋上でロケ撮影で、「今にも飛び降り自殺しそうな感じで!」というディレクションをいただいて撮られた時には、スタッフさんたちには「すごく良かったよ! 今何を考えながら撮られてたの!?」って言われちゃいました。中学生役って、結構実年齢とは離れているのでドキドキしましたね。
山﨑:僕は自転車でどこへでも行っちゃうような元気な中学生でした! 大阪出身なんですけど、京都まで自転車で行っていましたね。
山中:岳くんはミステリアスというか、中学生時代が全然想像できない。すごいテンション高いときと、今何を考えているんだっていう時のギャップがすごくて。
松田:いやー、中学くらいの頃は暗かったような気がする。1人でずっと本読んでました。健太は?
山中:僕は鹿児島出身で、ひたすら自然の中で遊んでいましたね。田んぼの畦道を弟の翔太と2人で自転車で疾走して2人で田んぼに落ちて、びしゃびしゃになったりして。
山﨑:双子で! 絵面がかわいすぎるでしょ(笑)!
松田:最初に作品の印象でお話した通り、確かに重い物語ではあるのですが、魅力的な登場人物たちによって、爽快に進んでいく物語でもあります。それぞれのキャラクター性が立っていて、色鮮やかで、惹きつけられます。そんなキャラクターたちの生き様をぜひ劇場で生で観て、楽しんでいただけたらと思います。
山中:今回、僕は3代目のハシバ役として出演させていただきますが、1作目、2作目のDVDも見させていただき、特に前作の兄とのエピソードは胸に来るものがありました。ハシバの今まで人生を背負ってこの完結編の舞台、精一杯臨みますので、ぜひこの奇怪で魅力的な世界観に没頭していただければと思います。
山﨑:自分が出ているシーンは勿論、それ以外にも刺さる台詞やシーンが沢山ある作品だと感じています。SNSが発達している現代に生きている僕らへの投げかけが多く含まれていて、僕自身にも刺さる言葉が多くあります。他の舞台では観られない生々しい感情をキャッチしてもらえる舞台かなと……。ぜひ私生活でもやもやしていたり、何かに足掻いている人にこそ、観てほしい、なんて思っています。この舞台が自分と向き合う、誰かと向き合うきっかけになれば幸いです。劇場でお待ちしています。
numanでは、舞台『乱歩奇譚』初演から3作通して出演している北園涼さん、髙木俊さん、富田翔さんのインタビューも近日掲載予定です! そちらもお楽しみに!
インタビュー・執筆/通崎千穂(@tsu_otometsu)
山中健太
1992年5月6日生まれ。
【主な代表作】
『あんさんぶるスターズ!オン・ステージ』(葵ひなた)
2.5次元ダンスライブ『S.Q.S(スケアステージ)』(久我壱星)
舞台『アオアシ』(黒田勘平)
松田岳
1992年11月20日生まれ。
【主な代表作】
ミュージカル『薄桜鬼』(土方歳三)
2.5次元ダンスライブ『ツキウタ。』ステージ(弥生春)
舞台『Collar×Malice -岡崎契編-』(白石景之)
ブルーシャトルプロデュース『戦場の翼』
【原案】
乱歩奇譚倶楽部
【協力】
立教大学・大衆文化研究センター(旧江戸川乱歩邸)
https://www.rikkyo.ac.jp/research/institute/rampo/
【脚本・演出】
鈴木智晴(劇団東京都鈴木区)
【脚本監修】
上江洲 誠
【キャスト】
アケチ:北園 涼
コバヤシ:高橋李依
ハシバ:山中健太
ナミコシ:山﨑晶吾
ナカムラ:福地教光
影男:髙木 俊
ミナミ:堀越せな
コモダ:竹石悟朗
タマムラ:立道梨緒奈
ハナサキ:松田 岳
春山大輔
矢野たけし
湯谷崇仁
チャパ・R・田中
西 健太
大桃准耶
田所 勉
八幡舞子
近藤雛子
松井草太
ヤマネ:森山栄治(*pnish*)
カガミ:富田 翔
黒蜥蜴 日笠陽子
(※事前収録による声の出演)
【企画・製作】
合同会社シザーブリッツ(公式ホームページ・ http://www.scissors-blitz.com/ )
© 乱歩奇譚倶楽部 All Rights Reserved.
焦燥にかられる少年探偵団は、巧妙に張り巡らされた“ラプラスの悪魔”の解読に挑みます。
コバヤシ少年の身に一体何が起きたのでしょうか?
そしてアケチ探偵は、その暗黒の先に、死したかつての親友の幻を見るのです。
さあ、遂にゲームの幕が降りる──
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