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最大限「NO!!3密」を意識した上で、「キャスト・スタッフらに活動の場を作りたい!」「舞台に立つキャストの姿をお客様に観てもらいたい!」という想いから実現した、講談社とOffice ENDLESSの共同プロジェクト『ひとりしばい』。
稽古はオンラインミーティングアプリ「Zoom」などを活用し、観劇は配信課金システム「ファン⇄キャス」、 会場は池袋に誕生したLIVEエンターテインメントの複合施設ビル「Mixalive TOKYO」(ミクサライブ東京)の「Hall Mixa」を使用という、新感覚舞台の内容をレポート!
6月27日に行われた、荒牧慶彦さん主演、岡本貴也さん作・演出の「断-Dan-」。
一回限りの公演ということで、その内容に込められたものを、岡本貴也さんにお聞きしました♪
INDEX
予想をはるかに上回る手応えを感じています。
やってよかった、が素直な一言です。配信演劇という概念をひっくり返せたかな、と。
――無観客・配信型だからこその演出など、苦労された点や工夫された点を教えてください。
どんな演劇であろうと、映像で切り取った瞬間にそれは「映画」になります。ならば逆に映画を作ればいいのだと気がつきました。また、このコロナ禍で配信作品を20本以上作りましたが、映像と音声のクオリティは高くあるべきだと常々感じています。
作家になって20年。そろそろ一人芝居なるものを書いてみたい、と考えていたところへのオファーでした。それも荒牧さんからのご指名とのことで、飛び上がるほど嬉しかったです。
稽古もリハーサルもかなりスムーズに進みました。空間で一番悩んだのは、劇場の使い方でした。テロリストが劇場に閉じ込められている、という発想はあったのですが、それをどこにするか、この綺麗で新品の劇場をどう廃墟風に見せるか、など、スタッフみんなで知恵を絞りました。
荒牧さんとは『音楽朗読劇 ヘブンズ・レコード』の神戸ツアーで、夜な夜な演劇について語り合った仲です。今回も素晴らしい演技と気迫を見せてくれました。終わった今、またご一緒したいと強く思っています。「この戯曲を生の舞台でやりたいね」などとも話しました。とにかく最高の50分間でした。ありがとうございます。
感謝しかありません。
ありがとうございました。またどこかの劇場でお目にかかれたら嬉しいです。
どうやら、劇場のステージではなく楽屋を使っているようですが、“俳優”という設定ではないようで……。荒牧さんが演じるのは、西堂昴(にしどう すばる)という男性。彼は“ヤマダタロウ”という偽名を名乗り、マスメディアや首相官邸にメールを送るテロリストのようです。
舞台上(楽屋ですが)で描かれるのは、今の日本と少しだけ似ている世界。
RSウイルスによる伝染病が蔓延し、爆発的に感染者が増えたことで病院で収容しきれない病人が、ホテルや客船に溢れ、工場、倉庫、オフィスビル、劇場、地下駐車場を使って隔離される軽症患者。荒牧さん演じる西堂昴のいる楽屋にも「外出禁止」「徹底した消毒のお願い」「うがい手洗い忘れずに」と書かれた紙が貼ってあります。
ヤマダタロウの要求は、新型ウイルスの感染で隔離・監禁された人々を救済。
もし日本政府が要求を飲まない場合は、爆弾を爆発させるという過激な要求を叩きつけるも、官邸からは何の発表もなく、テレビをつけても爆破予告のニュースは流されていません。
どうやら、昴は父親や兄との折り合いが良くないようで、母親が死んだときもゴルフに興じていた父親をなじります。その想いは、現在の日本の状態を放置している父や兄への苛立ちや失望へと繋がっていきます。
そんな彼がスーツケースから取りだした、赤い長財布。
そこに入っていた宅配便の伝票から電話をかけた先は、“ナガイヒカリ”という財布の持ち主。財布を警察に届ける時間がなく、直接返したいと話し、一度は拒絶されるものの対話を続けることで芽生えていく温かいもの。誰もいない、たったひとりの空間で人と“繋がっている”という安心感。
一度はヒカリと東京駅での財布の受け渡しを約束する昴。テロリストへの捜査令状が出され、警察やマスコミが昴の元に押し寄せ……たはずが、秋葉原病院で爆破テロが起こり“ヤマダタロウ”が犯行声明を出したことで、劇場を捜査しに来ていた人々も消えていて……。
爆破テロのニュースに驚き、たまらず電話をかけるも、ヒカリからの応答はなく――。
「まだ会ったこともないんだぞ……!!」
という昴の叫びが劇場に響き渡り、『ひとりしばい』「断-Dan-」は幕を下ろしました。
「疲れたー!」「もうエネルギーがありません」と汗だく&息切れの荒牧さんに、「座り方が疲れ果ててるもん」と岡本さん。今回の脚本はなんと12000文字に及び、50分ひとりでしゃべり通しで、酸素がなくて立ちくらみを起こすほどの熱量。
一人芝居ということで、もちろん電話相手はおらず、全部自己発電をして熱を積み重ねていくのが大変と語る荒牧さんですが、岡本さんの「泣きそうになった」という言葉からも、大成功だったことが分かります。今回の『ひとりしばい』は、演者から演出家を逆指名するシステムということも、ここで明かされました!
最初のシーンは劇場「Hall Mixa」の楽屋で、劇場内に仕込んだ12台ものカメラが荒牧さんの姿を追っていたということで、もはや映画のような贅沢さ。それは、今年の自粛期間にリモート配信や無観客上演が行われたことで、演劇と映画やテレビの境界線が何なのかと考えた岡本さんの「いっそ境界線をあいまいにしてしまいたかった」という思いから生まれたもの。
「断-Dan-」という表題は、岡本さんが今の演劇界の繋がりや断絶を込めたもので、一人芝居なので、一文字がいいなと思ったというこだわりのタイトル。「劇場ひとりじめは悪くないけど、やっぱり会話がしたいかな」と語る荒牧さん。「いつかまた劇場でお会いしましょう!」というおふたりの言葉通り、また劇場で生の演劇の熱量を感じられる日が待ち遠しくなるような公演でした。
会場:Zoom
チケット料金:3,000円(税込)
主催:舞台「ひとりしばい」製作委員会
企画・制作:講談社/Office ENDLESS
公式HP:http://officeendless.com/sp/hitorishibai
公式Twitter:@hitoshiba2020
ハッシュタグ:#ひとしば
©舞台「ひとりしばい」製作委員会
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