ヒイロ役・内田雄馬「最初にヒイロを見たとき〇〇っぽいなと」『劇場版 転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編』大ヒット記念インタビュー

原作者・伏瀬が自ら原案を手掛けたオリジナルストーリーとして、主人公・リムルが治める魔国連邦（テンペスト）の西に位置するラージャ小亜国を舞台に、呪いに蝕まれた女王トワを巡る陰謀と、大鬼族（オーガ）の生き残りにして、リムルの仲間であるベニマルたちの兄貴分だったヒイロとの再会から、新たな戦いと絆の物語が描かれていきます。

今作のキャストより、注目の劇場版オリジナルキャラクター・ヒイロを演じた内田雄馬さんにインタビュー！
作品の見どころやヒイロの魅力、さらには内田さんがハマっている「沼」トークまで聞かせていただきました。

内田雄馬（以下、『内田』）　今回、僕自身も『転スラ』シリーズには初参加だったので、すでにアニメシリーズが作られている中で作品を解釈しきれるかな、と結構ドキドキしていた部分があったんです。
でも、劇場版はオリジナル作品かつ、物語自体もすごく王道のストーリーだったので、台本も非常に読みやすくて。
「これなら初めて『転スラ』を見る人も見やすいだろうな、入りやすいだろうな」というのが、最初の印象でした。
元々かなり濃いキャラクターたちがいる『転スラ』の中でも、今回は大鬼族（オーガ）という種族にしっかりと焦点を当てている分、仲間たちの関係性も伝わりやすくなっていて、初めて見る方にも優しさが溢れている作品だなと感じましたね。

内田　ヒイロは真っ直ぐな性格で、言っていることと感じていることの差異があまりないんです。だから想いが伝わりやすいし、僕も役柄を解釈する上では、「そんなに気難しくない人でよかったな」と思いました（笑）。
本当にストレートなキャラクターだから、ほかの大鬼族（オーガ）たちから慕われている理由も分かりますし、男らしさがあって、器もすごく大きい。実際、今作でもゲルドと対峙して、里を滅ぼした豚頭族（オーク）を許せるのか、という話になった時に、「ベニマルたちがそう言うのであれば」と、ちゃんと言葉を聞いていて。

――現在はリムルの仲間として、ゲルドとベニマルたちは和解している、と。

内田　やっぱり大鬼族（オーガ）の生き残りとして、豚頭族（オーク）たちは里を滅ぼした存在でもありますから、許せる、許せないという想いがあると思うんですけど、それでも仲間の言葉をちゃんと聞いて、その気持ちを汲んで解釈ができる。そういう優しさが、すごく素敵な人だなって思います。
トワへの忠義も非常に強くて、その真っ直ぐさは非常に魅力的だなと思います。

内田　もう、僕とは全然違いますね！　「こんな体になりたいな～」と思って、僕もトレーニングを頑張りたいなと（笑）。

――ほかヒイロとご自身に重なる点や、「ここは違うな」と思うところはありますか？

内田　僕自身は、多分こんなにストレートな男にはなれないですね（笑）。こういう真っ直ぐな人の方がやっぱり慕われるだろうなと思いますし、憧れます。

――大鬼族（オーガ）の中ではベニマルたちの兄貴分だったヒイロですが、内田さんにも兄貴肌な一面はありますか？

内田　自分の中に、兄貴肌を感じたことは全くないです！（笑）　でも僕自身も大人になって、どんどん後輩も増えてきているので、やっぱり「頼りにされるような人になれたらいいな」とは思いますね。
あと今回は役柄としても、こういったキャラクターをいただけたことが個人的にとても嬉しくて。
普段の僕とは違う要素だからこそ、「そういう一面を僕に感じてもらえたのかな」「そういう面も引き出せるようになったのかな」と思いましたし、自分にとっても新しい要素を見せるチャンスであり、チャレンジでもあるなと思っています。

内田　そうですね。皆さんにも、劇場版を見ればヒイロがどんな人なのかはすごく知ってもらえると思いますし……世の中には「あいつ、どんな奴なんだろう？」って思うようなミステリアスなキャラクターもいて、そういうキャラほど考察をしたりして目が離せない、という人もいると思うんですけど、ヒイロはそれとは真逆の場所にいるくらい、分かりやすい人で。その分、見ていて気持ちがいいキャラクターなんじゃないかな、と思います！

――そんなヒイロの声を演じる上で、なにか意識されたことはありますか？

内田　特別、声を作ろうという感覚はなかったんですけど、最初に声をあてたオーディションの時には、もう少し荒くれ者な印象があって。忠義や誠実さというよりは、もっと自分の気持ちを爆発させているような、荒々しい感じの人なのかなと思っていたんです。
でも、役が決まって台本を読んでみると、非常に誠実で、器も大きくて、大人な部分がたくさんあるキャラクターだったので、実際の収録では、オーディションの時よりもそっちの印象をベースにして作っていきましたね。

内田　そうですね。実は、オーディションで最初にヒイロの姿を見た時には、僕の中ではベニマル役の古川 慎くんの声が聞こえてきて……。慎くんが『転スラ』に出ているのを知らなくて、「慎くんっぽいな」って思っていたんです（笑）。

――ヒイロの声で、まず思い浮かべたのがベニマル役の古川さんの声だった、と！

内田　そうです（笑）。オーディション資料を読む時に、「この人からはどんな声がするかな」とイメージすることがあって、もちろんそれが自分の声で「こういう声が合いそうだな」と客観的に思うこともあるんですけど、ヒイロの場合は、最初に「慎くんがやりそうだな～！」と思って。それで「この役は慎くんになるだろうな」と思いつつもオーディションを受けたら、もう慎くんはキャストにいたんです（笑）。

――そうなると、ベニマル役が古川さんだと知った時には驚かれたのでは？

内田　でも、ヒイロと同じ種族のベニマル役だったので、「僕の見立ては間違ってなかったな」というか、「すごくイイ読みだったな」って思いましたね（笑）。
だからと言って、慎くんを意識して演じたということは全くないんですけど、慎くんとは過去にも多く共演させていただいてよく知っている仲だったので、ヒイロとベニマルの関係性もすごく演じやすくて。楽しさもありましたし、本当にいい収録をさせていただいたなと思います。

内田　僕はベニマル役の慎くんと、あとブースは分かれていたんですが、ラキュア役の木村 昴さんと一緒での収録でした。

――では古川さんにも、「オーディションの時、最初は慎くんの声をイメージしたんだよ」というお話はされましたか？

内田　ああ～！　そういえば、雑談としてお話したかもしれないです（笑）。

内田　劇場版は尺が長いので、どうしてもトントン録っていかないと終わらなかったりするんですけど、今回は僕たちが自分で解釈して持っていったものをかなり尊重していただけましたし、僕は掛け合いでやれるところも多かった分、収録自体はそんなに滞りなく進みましたね。
あと、ヒイロはリムルたちとは別の場所で生きてきたキャラクターで、僕自身も『転スラ』の現場は初めてだったので、そのチーム感みたいなものを知らない状態で参加していて。その中で、僕をよく知っている慎くんがベニマルを演じているというのは、キャラクターの心の距離感と、作品に対する自分の立ち位置が同じだったと言いますか。

――ちょうど、内田さんと作品の関り方がキャラクターにも重なる感じですよね。

内田　そうなんです。初めて行く現場って結構ドキドキして、やっぱり緊張するものなんですけど、慎くんとは同じブースで収録ができまして。今回、慎くんがベニマル役として僕を受け入れてくれたというのが、キャラクターともいい感じにリンクしたんじゃないかな、と感じています。

内田　今回はやっぱり、大鬼族（オーガ）たちに注目してほしいですね！　原作も続いている作品なので、新しい要素を詰め込んだ劇場版オリジナルストーリーとして、大鬼族（オーガ）たちに焦点を当てて描くというのは、結構難しいチャレンジだなと思っていまして。
その中でも、まずはトワとヒイロ、次にヒイロとベニマルをはじめとする大鬼族（オーガ）たちと、それぞれを丁寧に描くことが今回は大切にした部分だと思っているので、個々のキャラクターというよりも、この関係性を知っていくことで、より楽しんでいただきたいです。

内田　う～ん、内田王国を作るとしたら！？　そうですね～、僕がルールを決められる王国というよりは、みんなで話し合って決める国がいいな。最終的な決定を下す人は必要だと思うんですけど、僕がどうこうより、みんなで話し合って作っていく方針にしたいですね。

――例えば国家事業として、自分が好きなものに力を入れたりできるとしたら？

内田　そこはやっぱり、自分たちの国の文化を大切にしたいです。日本のサブカルチャーは世界に誇れるものだと思っているので、僕なら誇るべき文化として、アニメの魅力をもっともっと打ち出すと思いますね！　日本のアニメには面白いものがたくさんあるので、世界中のみんなに見てもらえるような政策を作りたいです（笑）。

内田　今ハマっているのは、革ジャンです！　
革ジャンは毎日着込むことで、自分の形に変わっていく、つまりオンリーワンな一着に育っていく“エイジング”が楽しめるんですよね。
僕も30歳になったので、自分自身をちゃんとエイジングしていきたいというか、年齢を重ねることを老いではなく、味にしていきたいなと思うようになりまして。
経験を積んで、味のある人間になっていく……その時を共に過ごせるアイテムとして、革ジャンやデニムのように、自分だけの色に染まっていく、自分だけの形になっていくアイテムを一緒に育てていきたいなと思っています。

――こだわりのある方だと、常に革ジャンを着るようにしてどんどん体に馴染ませていくそうですね。

内田　そうなんですよ！　着たまま寝たり、味を出すためにお風呂に入る人もいる、なんて聞きますよね。僕はそこまでではないんですけど（笑）、そうやって体に馴染ませていくというか、自分らしさが出るまでちゃんと育てていきたいな、と思います。これは「沼」ですね！

内田　今作は、初めての方でも作品に入りやすい王道ファンタジーになっていますし、これまでの『転スラ』ファンの皆さんにも、迫力ある劇場の大画面と音響で、作品の新たな魅力を味わい尽くしてほしいと思います。
映画を観終わった頃には、たくさんの仲間との絆や、みんなの温かな想いにほっこりできると思いますので、ぜひこの冬は劇場で『転スラ』の世界をお楽しみください！