「Unity」の新制度「Unity Runtime Fee」へ『Among Us』『Slay the Spire』『Rust』など有名インディーデベロッパーの抗議文が続々。各スタジオ反応まとめ

 9月13日、Unityによる新たな利用料システム「Unity Runtime Fee」が発表されてから、デベロッパーによる猛反発とさまざまなリアクションが続いている。たとえばカイロソフトは、同社が開発した4タイトルを収録した「🥹カイロゲームはUnityで作っちゃってるよバンドル🥹」の販売をSteamにて開始した。

 収録作品は『ゲーム発展国++』、『ジャンボ空港物語』、『バスケクラブ物語』、 『開店デパート日記」で、価格は4148円。現在はセール販売が実施されており、81%オフの972円にて購入できる。なお、販売期間は「このバンドルは終了したら終了します」とされている。

 名だたる名作を含め多数のインディーゲームで使用されてきたゲームエンジン「Unity」。9月13日に発表された新たな商用利用料に関する「Unity Runtime Fee」に対しては、カイロソフトのようにさまざまな中小規模やインディーのデベロッパーが激しい反応を見せている。SNS上では”Unity税”とも皮肉で呼ばれているこの規約は、累計のインストール数と年間の収益の基準を超えた作品を対象に、インストールごとにデベロッパーへ支払いを求めるという制度だ。

 発表があってから、海賊版などを除いて正確にインストール数を集計する方法が不透明である点や、2024年1月1日からスタートすることが事前説明なしに突如発表された点、各フォーラムやSNSでの担当者の回答が異なるといった点が問題視され、多数のデベロッパーが不安と懸念を示す事態となった。Unity側は「しきい値」を高く設定しており影響の出るデベロッパーは少ないと説明を続けているが、現在もその混乱は収まっていない。

 『Cult of the Lamb』の開発Massive Monsterは、この制度が停止される2024年1月1日にゲームをストアから削除すると宣言。この発言については冗談である可能性を仄めかしつつも、登場キャラクターにUnityのロゴを排便させるという、過激な抗議文をXにて投稿している。

 『Darkest Dungeon』の開発スタジオRed Hookは公式Xアカウント上にて、「我々は狂気について知っている」と語り始め、Unityの新たな料金メカニズムが重大な間違いでると伝え、さらにリリース済みのゲームにも適用することで「間違いを3倍悪化させた」と伝えている。企業が運営方法を変更しなければならない考えには共感したものの、その新しいルールは慎重に計画し伝達される必要があるとし、この”失策”を撤回するよう求めている。

 新作の開発にUnityを利用していたという例もある。『Slay the Spire』開発The Mega Critは、『Slay the Spire』はUnityではないものの2年以上にわたり開発している新作がUnityを使用しており、TOS保護がされない限り新しいエンジンに移行すると公表している。

 また逆に、現在はUnreal Engine 5に移行したものの過去作をUnityで開発してきた『Monstrum』のデベロッパーTeam Junkfishも抗議文を投稿した。8年前にリリースしたゲームを誰かがダウンロードするたびに料金が請求されるとし、「成功が重荷になってはならない」と伝えている。

 すでにゲームエンジンの変更を決定しているデベロッパーも存在する。人体ポーズアプリの『イージーポーザー』は、会社の破産を避けるためにゲームエンジンを別のものにすることを決定したと伝えている。

 配信者界隈で人気のサバイバルゲーム『Rust』もUnityを利用した作品のひとつだ。Facepunch StudiosのGaryy Newman氏は、この制度が始まっていたらこれまでで41万ドル、年間なら約4万ドル、先月であれば2517ドルが『Rust』で発生する計算になっていたと投稿し、多くのデベロッパーが疑問視しているインストールのトラッキングなどについて疑問を呈した。

 『Among Us』のInnterslothは、我々だけでなくすべての予算規模のゲームスタジオが被害を被ると訴えた。今回の制度が始まる場合、コンテンツをプレイヤーに提供するのが遅れるため、ほかのゲームエンジンに移行することになることを検討していると続けている。そして多くのデベロッパーにはそのような時間もないとしている。

 抗議文を出しているのはこれだけではない。カニゲームを開発しているAGGRO CRAB、 『Floppy Knights』のデベロッパーでもありパブリッシングもしているRose City Games、『Totally Accurate Battle Simulator』のLandfall、インディーゲームのショーケースイベントを開催してきたWholesome Gamesもだ。

 海外ではUnityに関する報道も連日続いている。KotakuによればUnityのCEOのJohn Riccitiello氏が今回の発表の前に2000株を売却したほか、BloombergではUnityのオフィスは殺害予告が出され閉鎖されているとの報道がなされている。

 CEOのJohn Riccitiello氏の過去の発言などにも目が向けられており、多数のデベロッパーを巻き込んだ今回のUnityの新制度は、いまだに鎮火せず大きな騒動や議論を巻き起こし続けている。

電ファミ編集部

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