岩井俊二監督の映画『リリイ・シュシュのすべて』が期間限定でYouTubeにて配信中。親友だった中学生ふたりの「絶望的なすれ違い」を架空のミュージシャン「リリィ・シュシュ」を軸に描く名作

 10月6日、岩井俊二氏が監督を務めた2001年公開の映画作品、『リリイ・シュシュのすべて』の期間限定配信がYouTubeにて開始した。

 配信期間は10月6日から10月12日(木)までとなる。

 『リリイ・シュシュのすべて』は一般人も書き込めるかたちで2004年に開設された掲示板サイト「Lily holic(リリイホリック)」にて、岩井俊二氏が登場人物として書き込み連載したインターネット小説が原作の映画だ。

 地方都市を舞台に、ミュージシャンであるSalyu氏が演じる架空のミュージシャン「リリィ・シュシュ」への愛と中学校での陰惨な群像をとおして、ふたりの少年の絶望的なすれ違いが描かれる。物語は市原隼人さん演じる中学生の主人公・蓮見雄一と、忍成修吾さん演じる優等生・星野修介との関係性、そして蓮見雄一が運営する「リリィ・シュシュ」のファンが集う掲示板「リリフィア」でのやりとりを軸としている。

 物語の中盤では蓮見雄一の親友であった星野修介がとある事情で豹変し、いじめのリーダー格としてクラスに君臨。主人公と彼の親しい人物へ暴力の矛先が向かう地獄のような日々が綴られていく。

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(画像は 岩井俊二映画祭 / Xより)

 本作では「地方都市」という舞台や「中学生」という年齢の設定を携え、搾取的な暴力としての援助交際やいじめの光景が高い解像度で描写されている。ロマンティックでありつつもダウナーである劇伴も相まって、作品に通奏低音のように鳴り響く「あどけなさ」と共存する「希死念慮」のような感覚が作品の大きな特徴だ。

 同時に、「掲示板の描写」を駆使したユニークなストーリーテリングも大きな見どころとなっており、このアプローチを駆使して雄弁に語られる「ふたりのすれ違い」とその結末を刮目して見届けよう。

『リリイ・シュシュのすべて』YouTubeにて期間限定で配信中_002
(画像は 岩井俊二映画祭 / Xより)

 このたびの配信は『リリイ・シュシュのすべて』を手掛けた岩井俊二氏の最新作『キリエのうた』が10月13日に公開されることを記念して実施されている。

 同作は石巻、大阪、帯広、東京を舞台に、歌うことでしか“声”を出せない住所不定の路上ミュージシャン・キリエをはじめとする4人の男女による13年間の群像を描く「音楽映画」となっている。

 興味がある読者はYouTubeにて無料で公開されている『リリイ・シュシュのすべて』を欠かさず視聴してみてはいかがだろうか。

音楽映画『キリエのうた』公式サイトこちら

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電ファミ編集部

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