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「えびすくい」(えびすくい)とは、2023年NHK大河ドラマ『どうする家康』にたびたび登場する宴会芸のこと。
ドラマ内では、大森南朋氏演じる徳川家家臣の酒井忠次の得意芸として披露されているが、史実でも酒井忠次の得意芸であったとする史料が残されている(※1)。
酒井忠次は、家康の父、広忠の代から松平家に仕えており、家康が幼いころに今川の人質となり、駿府に向かった際にも同行している。そして忠次は、本多忠勝・榊原康政・井伊直政ら、江戸幕府設立のため大きな功績をあげた家臣らとともに徳川四天王と呼ばれることとなる。
そんな忠次が事あるごとに家康の前で舞って見せているのが「えびすくい」である。ドラマで最初に登場したのは、第1話。それぞれの登場人物の紹介も兼ねるような場面で、岡崎に里帰りしたばかりの家康に「ほら、えびすくいの! えびすくいの!!(忠次です)」と言ったところ家康がそれに「覚えておる」と応じたというもの。
その後も踊りが披露されることが多くあり、第22話の長篠・設楽原の戦い前夜のシーンでは、頭となった忠次からの「明るく送り出してほしい」という頼みから、家康と家臣団が「えびすくい」を舞ってみせていた。
そして、その数週間後に放映された第26話では、これまで視聴者の心を和ませていた「えびすくい」が一転、涙を誘うものとなった。描かれたのは、信長の命令により家康の妻・瀬名と息子の信康が命を絶ったあとのこと。武田勝頼及び武田軍を打ち滅ぼし、信長が安土に帰還する道中、家康は妻子のことなどまるでなかったかのように信長を接待。あくまで従順に接し、さらには家康自らが信長の前で「えびすくい」を披露した。その姿に、忠勝ら家臣は不信感を抱くが、後に家康の真意は「信長を討つ」「私が天下を取る」というものであると明かされることになる。
この家康の姿に視聴者からは「えびすくい泣けた…」「何度見ても泣ける」「かなしい…悔しい…」という声があがった。
インターネット上では有志により、「えびすくい」を原案とした「えびすくい音頭」という盆踊りが考案されており、岡崎市の観光PR隊「グレート家康公「葵」武将隊」の酒井忠次がYouTubeで「えびすくい音頭」の指南動画を公開している(※2)。
また、織田信長・豊臣秀吉に仕えた戦国武将の古田織部を主人公とした漫画『へうげもの』がNHKでアニメ化された際、第11話からのオープニングテーマのタイトルに「えびすくい」(正式タイトルは「Ebi Sukui」)が採用された例もある。
※1
『譜牒余録 上巻』天正3年(1575)に織田信長が酒宴で酒井忠次に海老踊りを命じた、家康が忠次に海老すくいの踊りを命じたなどの記載がたびたび登場する。
※2
OKAZAKI盆踊り えびすくい音頭
https://www.youtube.com/watch?v=tfOar8KtKFw
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