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「仁義を切る」(じんぎをきる)とは、何か物事を成したり進めたりしようとしたとき、それらを円滑にするためにあらかじめ挨拶をしておいたり、連絡をしておいたり、根回しをしておいたりすることを意味する。
転じて、裏でこそこそとするのではなく、正面からきちんとした言動を心がけたり、申し入れたりすることの意。
なによりも、自分の口から伝えるということが大切。
逆に最もマイナスなケースは、仁義を切るべき人が、人づてにそのことを知ってしまうこと。人づてで耳に入る前に、誠心誠意、自分の口から伝えることが重要である。
「人が守るべきもの」「守って当たり前である道徳」というニュアンスを含む。
仁義を切ることは、ビジネスにおいては常識を守ることと同義と見られることが少なくないため、仁義を切ることを重要視する人に対してしっかりと仁義を切らないと、常識知らず・礼儀知らずとみなされたり、取引がなくなったりとデメリットが大きい。
後述するが、若者以下の層にはほとんど馴染みがない用語で、中高年以上でも高齢の層ほど認知され、使用されることも多い。
ちなみに、類語としては「筋を通す」「報連相を行う」「礼を尽くす」「敬意を払う」などがある。
もともとは極道、ばくち打ち、香具師などの間で、先述の意味で使われていた。だが、それより前の時代をみると、中国の儒教において使われていたとされる説がある。
道徳を何よりも大切にする儒教において、道徳がない……つまり常識がない、礼を尽くせない人間というのは、信頼に値しない。
このことは人としての道徳や縦のつながりなどを大切にする極道、ばくち打ち、香具師 などの世界でも通じることとして「仁義を切る」が広く使われることとなり、やがてビジネスの世界や一般社会でも使われることとなった、とみられる。
2022年7月27日、ツイッター上で「くそ暇な会議中に自作おっさんビジネス用語ビンゴをやっているんですが、いまだにリーチが最高でビンゴに至らず」という文章とともに「おっさんビジネス用語」で埋められたビンゴカード画像がバズり、「おっさんビジネス用語」を知らない若者を中心に話題となった。
この「おっさんビジネス用語」の中に、当用語「仁義を切る」も含められていた。
ちなみに、似たような用語「仁義を通す」は誤用であるが、たいていのシーンで意味は通じる。「仁義を切る」を好んで使いすぎると“おっさん認定”されるだけでなく、ヤクザ映画が好きなのかな、そういった界隈に憧れがある人なのかな、とレッテルを貼られる可能性があることも意識しておきたい。
社会に出ると「仁義を切る」という用語を使うシーンや、行為として同じようなニュアンスを求められることがしばしば訪れる。当用語を即座、柔軟に使えるようになることで、社会人生活が円滑にいくものといえる。
「君は仁義を切ったのか?」
「一応は仁義を切っておくように、頼むよ」
「ところで、あの会社には仁義を切ったか?」
「仁義を切らなかったから失敗したんだろう」
「最近は、仁義を切らないで自分勝手に進める若者が増えたようだ」
「あの土地に支店を出すなら、特にしっかりと同業者へ仁義を切る必要があるぞ」
「推しに仁義を切る意味でも、あのグッズを入手しなければならない」
「あのライブに行くことは、仁義を切るようなものだ」
「仁義を切るつもりなら、オフ会に参加して」
「今回の失態については、相手方に誠意を伝えるためにも、仁義を切る必要があるな」
「彼が仁義を切らなかったばかりに、この取り引きは信頼が揺らいでしまった」
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