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「ちるちる」が開催する「2023年 腐女子の平均消費額と推しコンテンツ」をテーマとしたBLセミナーに、numanの腐女子編集部員が参加してきました!
約500人の「ちるちる」ユーザーを対象に集計したアンケート結果をもとに、前編では昨今の腐女子が好むアニメについてお届けしました。【後半】となる本記事では、アニメ・漫画以外の推しコンテンツ事情についてお伝えします。BLCDの減少が声優人気に影響していた……!?
■【前編】はこちら!
・Z世代の女性オタクは新作を観ない?いまだ『ユーリ!!!』『BANANA FISH』が支持されるわけ
https://numan.tokyo/column/Fq0UV/
via ドラマCD「幼馴染じゃ我慢できない」とけあう体温盤
中堅声優がいまだ根強い人気。BLCDの減少も原因か
昨今の声優人気に関してもアニメ人気と同じことが言えるそうで、「現在腐女子から人気があるのはもっぱら2000年代後半~2010年代のはじめにデビューした声優さん」なんだそう。
今回のアンケートでトップ3を獲得したのは2010年デビューの斉藤壮馬さん、声優としてのデビューが2001年の内山昂輝さん、2012年デビューの内田雄馬さんなど。ほか江口拓也さん、古川慎さんなど2000年代後半~2010年代前半デビュー組が続きます。
「活動期間が10年と聞くとベテランのようにも思えますが、アニメ声優業界では“中堅”“若手”とされる文化があります。声優はアイドルやVtuberのようにデビューしたらすぐに人気になるわけではなく、10年かけて認められていきます」(井出さん・以下同)
好きな声優に関するアンケート結果(腐女子マーケティング研究所作成)
via 好きな声優に関するアンケート結果(腐女子マーケティング研究所作成)
この現象について、声優特有の文化も関係あるなかで、BLCDの減少もひとつの要因ではと井出さんは考えています。
「BLCDが昔は新人声優の登竜門とされていましたが、BLCDの売上が振るわなくなってきたことで、目立った新人声優が出づらくなっているのでは。2015年頃は活気があったのですが、それ以降はBLCDからのビッグな新人声優が輩出されていない印象があります」
【参考】BL声優は“受け”に始まり“攻め”に行く!? 漫画家の忘れられないエピソードとは…
https://numan.tokyo/column/FGec4
Z世代特有の推しはVtuberや歌い手。大人世代には刺さらない?
では、これからのオタク文化を担うZ世代は、はたしてどんなコンテンツを推しているのでしょうか?
Z世代とそれ以上の世代では好きな作品が変わらないという結果でしたが、Z世代特有の推しコンテンツも発見されました。それは、アニメや声優以外にZ世代が好むのはVtuberや歌い手であること。ただ、Vtuberは10代以外からの興味は薄いという印象があるようです。
Blu-ray『にじさんじ Anniversary Festival 2021-VACHSSステージ- 』
via Blu-ray『にじさんじ Anniversary Festival 2021-VACHSSステージ- 』
「Vtuberは実在するアイドルと違った独特のシステムが存在するため、作法がわからないという人もいます。そのため、なかなか30代以上に浸透するスピードが遅いのでしょう。ただし、声優とアニメの文化と被っているところもあるので、恐らく今後伸びていくことが期待されるコンテンツです」
歌い手もZ世代の45%が好むという結果が出ていますが、対して30代以上はあまり興味がないという結果に。昨今出てきた新たなコンテンツは、やはり世代によって興味の差が大きいことがわかります。
海外BLの勢いがすごい。関心は韓国・アジアBLへ
海外BLについての興味(腐女子マーケティング研究所作成)
via 海外BLについての興味(腐女子マーケティング研究所作成)
最近のアニメが下火になり、二次創作も昔と比べてやや落ち着いた傾向にある現在。では、昨今の腐女子はどういったコンテンツからBLを摂取しているのでしょうか。
まず挙げられるのが創作BLだそう。創作BLとは作者のオリジナルキャラクターで展開されている、SNS発信の作品のこと(※)。4枚程度の画像、1エピソードで完結するものが好まれています。最近ではSNSで人気を集めた結果、書籍化する作品も増えているよう。
※商業BLを含む場合もありますが、本セミナーではSNS発の作品と定義。
アンケートによると、約8割強が創作BLを読んでいると回答、なんと二次創作よりも3割も多い結果となりました。以前行ったアンケート結果より30%ほど増えています。
『ENNEAD エネアド』 1巻(東亞日報社)
via 『ENNEAD エネアド』 1巻(東亞日報社)
そして、最近Z世代で人気を集めているのが
韓国やアジア発の海外BL作品。
2022年6月に公開された、エジプト神話をもとにした韓国発のBL作品『ENNEAD(エネアド)』から韓国BLが盛り上がり浸透していったようです。Z世代では約4割が「興味がある」と回答しています。
韓国BLが浸透していった理由について、井出さんはWebtoonに関しても述べています。
「韓国のデジタルコミックはWebtoonという縦スクロールのスタイル。私達には馴染みがないですが、慣れると日本のコマ割りよりも読みやすいんです。日本の文化を守ることも大切ですが、世界で戦っていくのならば縦スクロールの方が適切ではないでしょうか」
また10代~30代から熱狂的な支持を集めているのが、タイの実写BL。2020年に放送された、大学生2人のラブストーリー
『2gether』からブームに火が付き、着実にファンが増えているんだとか。
「海外のものは全体的にZ世代の票が他の年代よりも上回っており、若い人の興味はアジアに向いています。局所的ではありますが高いチケットでも売れてしまうぐらいファンの熱量がすごい。私自身、最初は懐疑的だったのですがここ半年で考えが変わりました(笑)。今後、もっと流行っていくと思います」
Blu-ray BOX『2gether』
via Blu-ray BOX『2gether』
Vtuberやゲームなどアニメやマンガ以外の娯楽の増加や、海外の情報が入りやすくなったことによる若者の海外志向。
多様化する腐女子の推しコンテンツにさまざまな可能性を見出しつつ、すでに自身のアニメや声優に関する新陳代謝が滞っているアラサー腐女子としては、もっと新しいコンテンツを吸収していきたいと思える結果となりました。
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