金子大地、小越勇輝『腐女子、うっかりゲイに告る』第6話 ゲイと腐女子は分かりあえるの?

NHKよるドラ『腐女子、うっかりゲイに告(こく)る』。

ゲイであることを隠して生活する高校生・安藤純(金子大地さん)と、腐女子である三浦紗枝(藤野涼子さん)2人が直面する葛藤や、周囲を巻き込んで築き上げられていく関係性が描かれます。

そして同じくゲイであるミスター・ファーレンハイト(声:小野賢章さん)。ネット上だけの友人でありながら、純が唯一すべてを打ち明けられる彼の言葉が、純の心と物語を動かしていきます。

第7話の前に印象的なシーンとともに振り返っていきましょう!

第六話「Somebody to Love」あらすじ

校舎から飛び降りた純は、一命をとりとめ入院することに。病室で母親(安藤玉恵さん)に謝る純ですが、ゲイであることについて「間違いないの?」と問われ激昂。これまでの苦しみを、怒りとともに母親にぶつけてしまいます。

入院中の純のもとに、恋人のマコト(谷原章介さん)から電話が。温泉での一件以来、メールの返信をしなかった純に、近い内に会おうというマコト。「駅の階段で転んで入院してるから無理」と純は断りますが、「退院したら会いたい」と食い下がられてしまいました。

一方紗枝は、しばらく学校を休んでいた亮平(小越勇輝さん)に「純との思い出の場所を案内してほしい」と頼み、公園を訪れました。ベンチに腰かけ、少年漫画の話題や、純がこの公園でどんなふうに過ごしていたのかを亮平に聞きながら、紗枝は自分が純のことを何も知らなかったことを思い知ります。

「死のうとするぐらい辛かったなんて」--思わずそう口にする紗枝。それは亮平にとっても同じことでした。それぞれに、純のことを思う紗枝と亮平。しばらく黙り込んでいましたが、紗枝は決意を秘めた表情で立ち上ががり、「今度、純のお見舞いに行こう」と亮平を誘いました。

思いがけない二人の見舞いに驚く純。学校へはもう行かないかもしれない、と伝える純の言葉に動揺しつつも「大丈夫だよ、何かあっても私と高岡くんが守る」と気丈に言う紗枝。そんな紗枝の姿を見て、亮平は二人きりで話せるようにと席を外しました。

紗枝は“個人的なお土産”として持ってきたBL本を、ベッドの端に腰かけて純と並んで読みながら「同じ速度で同じものを見つめられるって最高だよね」笑うのでした。

紗枝「お互いがもっと理解できたときに、もう1回話そう」

お見舞いとして、BL本を純に渡した紗枝。
「私が安藤くんを知ったみたいに、安藤くんにも私のことを知って欲しいの」
「それでお互いがもっと理解できたときに、もう1回話そう?」

亮平との会話を経て、自分が純のことを何も知らないと知った紗枝は、同様に「自分が何を好きなのか」を通して、純にも自分のことを知ってもらいたかったのです。そのあと、紗枝はこんなふうに続けます。

「言っておくけど、私まだ安藤くんと別れるつもりないから」
「そう簡単に逃さないよ」

そう言って銃を撃つ仕草をし、病室をあとにする紗枝。その紗枝の姿を見送った純は、「撃たれた僕は死ななかった」「でも確かに、何か熱い弾丸のようなものが胸の中に残った」と思い返します。

6話の冒頭では「体がまだ生きたいんだと悲鳴をあげている」「心はもうとっくに死んでしまったのに」と、茫然自失だった純。紗枝はそんな純の心に、確実に、生きる気力を呼び戻しはじめているのだと感じました。

母親の前では笑えなかった純が、紗枝と亮平の見舞いから、徐々に笑うようになった姿からも、そのことがうかがえます。紗枝の愛情が揺らがないことが、純にとってどれほどの救いとなっているのかを感じられるシーンでした。

純の想い「僕もBL星に行きたいなあ」

「BLはね、BL星っていう架空の星が舞台なの」自分のことをもっと知ってほしい、そんな思いで純にBL本を渡した紗枝は、BLのことをこんなふうに純に説明します。
BL星人は女性人口が極端に少ない、メスを獲得できないストレスから命を失う個体があとを絶たなかったから、男性同士で性的欲求を覚えるように進化した……。

その説明を聞いた純は「なるほど BLはファンタジーじゃなくてSFだったんですね」と紗枝を茶化しますが、紗枝はニッコリ笑って「BL星人は、男であることと自分の性指向にめっちゃ肯定的なんだよ」と返します。

その言葉を聞き、少し考えるような表情をしたあとつぶやく純。
「僕もBL星に行きたいなあ……」

きっとそれは、調子をあわせたわけでもなく、純らしい皮肉でもなく、純の本心だったのではないでしょうか。
「もう疲れた」「僕自身が嫌で嫌で仕方なかった」--そんな純の苦しみを考えれば、「普通じゃない」と悩む必要がなく、自分自身に肯定的でいられる“BL星”は、純にとってどれほど生きやすい世界か想像ができてしまいます。

純は決して、死にたかったわけではない。自分自身を否定せず、本当に好きなものを隠さず、ありのままに生きたい。それこそが、純の本当の願いのように感じられるのです。
そしてその言葉を聞いた紗枝も、おそらくは、そんな純の心を感じ取ったのではないかと思います。

純のつぶやきを聞き、真顔で「私も一緒に行きたい!」と迫った紗枝に純は笑いますが、きっと紗枝は、純が純らしく生きられる世界で共に生きたいと願っているはずです。

そこにはもちろん「BLが好き!」ということも含まれているでしょう。だって紗枝自身も、自分が好きなものを隠さずに生きられる世界を求めているのですから。二人が生きたい世界は、究極的には同じ世界なのでは、と思うのです。

第7話、終業式で紗枝が衝撃の告白!

第7話予告では、終業式の様子が。紗枝との約束通り、純も出席していますが、壇上に上がっている紗枝がマイクを握りしめてまさかの発言。全校生徒の前で「私はBLが大好きでーーーーす!」と叫ぶのです。

ざわつく生徒、クラスメートたちも動揺しますが……純は一直線に駆け出し、壇上に飛び上がって紗枝に並び立ちます。二人の「恋」と「愛情」の行方は、いよいよクライマックス。第7話も見逃せません!

執筆:森本マリ

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