『うた☆プリ』企画は大反対された――原作者・上松範康の"アイドル"を生む覚悟

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声優の皆さんにはできるだけ純度を高めた生命を吹き込んでもらう。そうして生まれたキャラクターたちには尊さが宿る。
(『アニソン・ゲーム音楽作り 20年の軌跡~上松範康の仕事術~』より)

上松さんのTwitterなどでも言及されていることですが、『うた☆プリ』の中には、最初から担当声優へのオマージュという形で設定が構築されているキャラクターがいます。

たとえば一ノ瀬トキヤには、宮野真守さんの隠し持つストイックさが与えられたのだそう。
『うた☆プリ』以前から宮野さんを知っていたという上松さん。宮野真守にほれてしまった、とまで語る上松さんにとって、エンターテイナーとしてもアーティストとしても素晴らしい才能を持つ宮野さんは『うた☆プリ』の企画に必要不可欠な存在でした。

同様に、蒼井翔太さんの存在は、美風藍というキャラクターが生まれるきっかけになったとのこと。
蒼井さんの持つ切なさやはかなさを感じる美しさに触れ、『うた☆プリ』に登場させたいと考えていたロボットのキャラクターとどこか重なると感じたのだそう。
実際の声優のイメージからこぼれ落ちるように生まれたキャラクターのエピソードは、ほかのゲームでもアニメでも、なかなか聞いたことはありません。  

こんなふうに、上松さんが担当声優とキャラクターの絶妙な距離感や設定を構築するのには、理由がありました。
担当声優に、キャラクターへの共感を抱いてもらいたい、より深く入り込んでもらいたい。何よりキャラクターを好きになってもらいたい、という願いです。  

その思いが声に込められれば、キャラクターはより生き生きとしはじめる。そうして血の通ったキャラクターは、ユーザーにとっては紛れもなく"本当のアイドル"になる――。

そして、"本当のアイドル"である彼らの歌に熱狂し、愛を注ぎ、彼らの成長を感じながら、この先どんな展開が待っているのだろうかと楽しみにしている、ファンの私たち。

作り手と受け手からの双方向の愛がぶつかって瞬く、それこそが『うた☆プリ』が私たちを惹きつけて止まない理由であり、今日までの8年間少しも陰らず輝き続けてきた理由なのだと、本書を読んで強く感じました。

『うた☆プリ』を生んだ責任を果たす覚悟

今、『うた☆プリ』のアイドルと私たちの関係は、まぎれもなく上松さんの願ったとおりに築かれています。
一方で、上松さんの心にはこんな想いも生まれました。

多くのユーザーの皆様が青春や人生の一部を捧げてくださる作品になったということを自覚しています。それはある意味で罪深いことでもあるのかもしれませんが、僕は『うた☆プリ』を永久に続けることで、その責任を果たしていこうと思っています。
(『アニソン・ゲーム音楽作り 20年の軌跡~上松範康の仕事術~』より)

キャラクターを生みだし、多くのファンを得ただけで終わらせず、その先の未来まで見据える。

『うた☆プリ』が永遠であるならば、私たちもまた、永遠に彼らを愛し続けることができる――その幸福な予感こそが、ファンを惹きつけてやまない『うた☆プリ』の魅力なのかもしれません。

『アニソン・ゲーム音楽作り 20年の軌跡~上松範康の仕事術~』目次

Chapter1 音楽のルーツから探る、上松範康サウンド
Chapter2 戦友・水樹奈々 ~高め合っていくふたりの天才~
Chapter3 『うたの☆プリンスさまっ♪』はこうして生まれた
Chapter4 『戦姫絶唱シンフォギア』で変えた業界の常識
Chapter5 『BanG Dream!』エレガ流ガールズバンドの作り方~
Chapter6 『ファイナルファンタジー ブレイブエクスヴィアス』~ファイナルファンタジーの音楽を創りたい!~
Chapter7 これからの上松範康とElements Garden

著者:上松範康/単行本(ソフトカバー): 196ページ/出版社: 主婦の友社

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