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岡垣 『NARUTO』はAiiA 2.5 Theater Tokyoの第一弾として上演されるということで、スタッフもかなり気合いが入っていました。打ち合わせでも、ネルケプランニング代表取締役(現会長)の松田さんが「こういうのがやりたい!」という熱い思いを語られていて、その情熱をビジュアルにも込められたかなと思います。
――顔や衣裳に"汚し"を入れているのも印象的でした。
岡垣 実際にナルトが現実世界に存在していたら新品な服を着ていないですからね。こうした汚しを入れたのは、私もこの作品が初めてでした。『NARUTO』には、「今までの2.5次元舞台とは違うことをしよう」という大きな流れが全体にありましたね。
――キャラクターの熱量みたいなものが伝わってきます。
岡垣 空気や温度、風はあるのか、水は暖かいのか冷たいのか、そのキャラはそこで何を考えているのか……そういうものを感じ取れる温度感のあるビジュアルを作りたくて。そもそも、"舞台"自体がそういうものだと思うんです。五感でその場の熱量を感じ取ることができる場所。劇場で熱量を感じて感動することにビジュアルは絶対に敵わない。だからこそ、そこに少しでも近づきたいと思っています。
そのためには、ただ立っている人間を撮影しただけでは作れないので、役者さんには撮影現場で実際にそのキャラクターを演じてもらうようにしています。我愛羅役の須賀健太さんの撮影はとくに印象に残っていて、実際に泣き叫ぶような勢いの我愛羅をその場で演じていただきました。
岡垣 基本は素材集から使用していますが、"九尾の炎"は、いろいろな素材をちょっとずつ組み合わせていますね。実はこの炎の中には、当時私が持っていたファーのマフラーをスキャンしたデータが入っているんですよ(笑)。
そんな異素材でも写真に溶け込むように、いつも絵を描くような感覚で作っています。絵の具で描くのと似ているかもしれません。絵の具って、黒い画用紙に色を塗ったときと、普通の画用紙に色を塗ったときとでは深みが全然違うんです。
一色で色を作るより様々な色が重なって作られた色が好きなので、ビジュアルでもそうした奥行きが出るように意識しています。
岡垣 『~NOAH'S ARK CIRCUS~』はサーカスという分かりやすくて可愛いモチーフがあったのですが、『-Tango on the Campania-』で豪華客船が舞台と知ったときはどうしようかと……(笑)。豪華客船とはいえ、船の中を作ろうするとただの部屋になってしまう。そのため、それぞれのキャラクターをどういうシチュエーションで撮影するかという点で悩みましたね。
――公演グッズのひとつ『Visual Book』では本編でお目にかからない、服がボロボロなセバスチャンの姿もありますね!
岡垣 主催、監修と多くの方がアイディアを出し合った結果です。セバスチャンとシエルが手を伸ばし合う写真は、原作や劇場版アニメにもあったシーンの再現。どの作品でも、グッときたシーンは絵にしたくなりますね。
岡垣 ちょうど写真と絵を組み合わせたビジュアルを作ってみたいと考えていたときの作品です。物語の中に日本のモチーフがいっぱい出てくるので、それを上手く組み合わせて現代っぽい感じにできればと。
こうしたビジュアルは、写真や絵を切り抜く作業に時間がかかりますし、上手く調整してハマるようにしないといけないので、人間だけで構成されているビジュアルよりも時間がかかります。
――『京都紅蓮篇』のビジュアルは躍動感のあるポーズですが、指定されての撮影ですか?
岡垣 撮影の指針となるラフは描いていますが、ポーズはラフと全く同じということではなく、その場で「本当に戦っているようにしてほしい」と役者に伝えています。奥村 燐役の北村 諒さんにはジャンプをリクエストしました。
基本は役者の持っているものに合わせてリクエストしますが、北村さんも奥村雪男役の宮崎秋人さんも、こちらがやりたいことを伝えればそこに対して全力で応えてくださる方なので遠慮なくリクエストすることができました。
岡垣 プロデューサーから「舞台俳優には優れた人がたくさんいるのに、なかなかTVで活躍できる人が増えないから、そういう場を作りたい」というお話を伺いました。そこで、TVドラマ版のビジュアルは上昇している、上に泳いでいく、彼らの活躍の場を広げていきたいというイメージで作りました。
逆に舞台版のビジュアルはTVドラマから彼らが戻ってきたというイメージです。そして役者たちが灯台のような道標になり、ファンの方が「私はこの役者についていく」と思えるような一枚を目指しました。
岡垣 よく会う役者さん、次の仕事で一緒になる役者がどんな仕事をしているのかは自然に気になるし、 舞台を観に行けばその役者がどういうタイプの人かということが感じられます。特別に何かしている意識もなく、ごくごく自然にそうなってます。
それから舞台のライティングが好きなので、観劇のときはライトや舞台美術、演出なども意識して観て、撮影の際の参考にしています。
あとは「いつかやってみたいな」「こういう写真を撮ってみたいな」「こういう構図いいな」というものを普段から集めているくらいです。それも日常を過ごすうちに忘れていくんですけれど、自然と身についていればいいなと思っています(笑)。
――ありがとうございました!
2018年9月22日には岡垣さんが宣伝美術を担当する舞台『文豪ストレイドックス 黒の時代』もスタート。舞台『文スト』は前回から担当しており、こちらの原作も相当読みこんだのだとか。これから随時発表となるキャストビジュアルも楽しみです!
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