『仮面ライダーギーツ』は龍騎やカブトファンに勧めたい。多人数ライダー作品の“答え”となるか

「さあ、ここからがハイライトだ……」
2022年9月よりテレビ朝日系にて放映中の特撮ドラマ『仮面ライダーギーツ』。「令和仮面ライダー」シリーズ4作目となる本作は、仮面ライダーたちによる生き残りをかけた熾烈なサバイバルゲームを描きだす作品です。

平成の時代には多くの作品で見受けられてきた「多人数ライダー」設定を組み込み、最初からいきなり多くの仮面ライダーたちがしのぎを削る壮絶なストーリーが展開されていきます。そんな『仮面ライダーギーツ』の魅力に迫ってみましょう。あの過去作品との共通点、また今後の展開はどうなる?

『仮面ライダーギーツ』 テレビ朝日公式サイト

『仮面ライダーギーツ』 テレビ朝日公式サイト

『仮面ライダーギーツ』は、世界を想うがままに作り変えることができる「デザイアグランプリ」への参加権を手に入れた参加者たちが仮面ライダーとなり、様々なミッションをクリアしながら、自らの願いを叶えようとする物語。

その「デザイアグランプリ」に参加する主人公の浮世英寿(演:簡 秀吉)は、仮面ライダーギーツとして毎回、好成績を残しており、ゲーム優勝者に与えられる「デザ神」の称号をほしいままにしていました。

そんな英寿によって作り変えられた世界でも、新たに「デザイアグランプリ」が始まることになり、うだつの上がらない就活生の桜井景和(演:佐藤瑠雅)、人気セレブ動画投稿者の鞍馬祢音(演:星乃夢奈)らが新たに参加者として選ばれます。

彼らが英寿がトップに君臨する「デザイアグランプリ」にどんな影響を及ぼしていくのかが、物語の注目ポイントとなっていくのでしょう。

孤独から解き放った『仮面ライダー龍騎』との共通点

本作は生き残りをかけたサバイバルゲームをテーマにした作品となっていますが、「仮面ライダー」の歴史におけるサバイバルゲーム、つまりはバトルロワイヤルを描いた作品と言えば、やはり2002年放映の『仮面ライダー龍騎』を忘れてはなりません。
同作は「仮面ライダー」の歴史に新風を巻き起こした「多人数ライダー」設定を初めて組み込んだ作品として知られています。

元来、「仮面ライダー」というのは1号、2号の2人、多くても3人といった少人数で主役ヒーローを構成し、選ばれた者だけが仮面ライダーになれる、孤独な戦いを強いられるヒーローの姿を描いてきました。

『仮面ライダー龍騎 Blu-ray BOX 1』

『仮面ライダー龍騎 Blu-ray BOX 1』

via 『仮面ライダー龍騎 Blu-ray BOX 1』
しかし、この『仮面ライダー龍騎』という作品は、モンスターと契約さえしてしまえば、どんな人間でも仮面ライダーになれる。悪徳弁護士であっても、連続殺人犯であっても、汚職刑事であっても…。

この斬新な設定が後の「平成仮面ライダー」シリーズに大きな影響を及ぼし、仮面ライダーが絶対に孤独な戦いをしなければならないというしがらみを解き放ったのです。

『仮面ライダーギーツ』はそんな『仮面ライダー龍騎』のDNAを受け継いだ作品でもあり、参加者に選ばれてしまえば、どんな人間でも仮面ライダーになれるのです。
劇中では現在、主婦であったり、サラリーマンであったりといったような人々が参加者として選出されている描写があり、今後も異色の経歴を持つ仮面ライダーたちがわんさか登場しそうな予感です。

加えて、サバイバルゲームというものが受け入れられやすい世の中であるという現代の世相も大きく反映されているように思います。

【予告】「仮面ライダーギーツ」第5話

フォートナイトやApex、スプラトゥーンといった生き残りをかけたサバイバルゲームが流行しているのもあるのですが、実はドラマや映画といったエンターテイメントでも、サバイバルゲームを題材とした作品がヒットする傾向にあるのです。
2021年に世界中で大ヒットを記録したNetflixの韓国ドラマ『イカゲーム』が最たる例でしょう。
人々がサバイバルゲームやデスゲーム作品を求めている中で、「仮面ライダー」も再びその分野に足を踏み入れたというのは、偶然ではなく必然だったと言えるでしょう。

“デザイアグランプリ”は今後どう活かされていく?

「デザイアグランプリ」の設定もまた非常に練り込まれたものになっているのも面白いです。
ドライバーとIDコアが届いた時点で後戻りはできなくなり、もしも参加者である仮面ライダーがゲーム中に命を落としてしまったら、現実世界での死を意味しています。

その代わりに、最後まで生き残ることが出来たなら、理想の世界を叶えることができるという、まさにハイリスクハイリターンのサバイバルゲーム。

本作における仮面ライダーはゲーム内のアバター的な捉え方をされており、手にしたアイテムは参加者全員が共有できる点やゲーム内課金制度など、オンラインで容易に繋がることができるソーシャルゲームが日常生活の一部となりつつある、現代社会の視聴者にとっては、とても現実的かつリアルな設定が多く組みこまれている印象です。
ただ、このようなゲーム設定が今後どのように活かされていくのかという心配もあります。

本作の仮面ライダーたちはゲーム内のミッションという形で、敵怪人である「ジャマト」と戦うことになるのですが、このミッション制を今後1年間にわたって、どう推し進めていくのか気になるところ…「デザイアグランプリ」がどれほどの長期戦なのかもわからない現在では、若干の懸念材料でもあるわけです。

ここまでは『仮面ライダーギーツ』のゲーム的な部分に目を向けましたが、物語の視点という部分にも目を向けてみましょう。

「多人数ライダー作品」の一つの答えとなるか

『仮面ライダーギーツ』第3話までの時点で、本作は主人公であるはずの浮世英寿の視点から物語が展開されているわけではなく、準主人公的な立ち位置であろう就活生の桜井景和の視点で語られている印象を強く受けます。
世界平和を願う理想主義者である景和は決して争いを好まず、戦わずしてポイントを手にする道を模索していくキャラクター。主人公ではない存在の視点で語られるところは、さながら『仮面ライダーカブト』を彷彿させるところがあります。
『仮面ライダーカブト』もまた「多人数ライダー」設定を組み込んだ作品でしたが、同作も物語の導入部では主人公の天道総司ではなく、ZECTのメンバーである加賀美新(演:佐藤祐基)の視点から展開されました。
奇しくもどちらのキャラクターも理想主義者という点で共通しており、天道総司(演:水島ヒロ)も浮世英寿もオレ様キャラである点なども重なります。
つまり「仮面ライダーギーツ」は、平成の時代に「多人数ライダー」制度を組み込んだ『仮面ライダー龍騎』と『仮面ライダーカブト』、この2作品が描いたものを結集させた集大成的な作品であり、「多人数ライダー作品」の一つの答えであると言えるのです。

同2作品のファンであれば、絶対にハマること間違いなしの作品と言えるでしょう。

浮世英寿がキツネをモチーフにした仮面ライダーギーツで、桜井景和がタヌキをモチーフにした仮面ライダータイクーン、まるでキツネとタヌキの化かし合いとでも言いたげなキャラ配置にも注目の『仮面ライダーギーツ』。

ここで一つ小ネタを紹介させていただくと、同じく「ニチアサ」枠で放映中の『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』で鬼頭はるか/オニシスター役に扮する志田こはくの実の姉である志田音々が、景和の姉役で出演しており、「ニチアサ」での間接的な姉妹共演が実現しています。今後、作品を超えた“共演”が実現するのかにも秘かに注目していきたいです。

バイクに乗らないことでも有名な「令和ライダー」ですが、しっかりとしたバイクアクションもあり、特撮作品特有の廃墟や倉庫を舞台としたスピード感のあるアクションも魅力的。
これから1年間『仮面ライダーギーツ』を見守っていきましょう!

(執筆:zash)

【新番組】「仮面ライダーギーツ」予告

『仮面ライダーギーツ』概要

『仮面ライダーギーツ』は毎週日曜午前9時よりテレビ朝日系にて大好評放送中です。

■公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/geats/
■公式Twitter:@krGEATS_toei(https://twitter.com/krGEATS_toei
■公式Instagram:@kamenrider_tvasahi(https://www.instagram.com/kamenrider_tvasahi/

原 作 石ノ森章太郎
脚 本 高橋悠也
音 楽 佐橋俊彦
主題歌タイトル Trust・Last
アーティスト 倖田來未 × 湘南乃風
作詞 藤林聖子
作曲・編曲 Hi-yunk (BACK-ON)
クリーチャーデザイン 竹谷隆之
アクション監督 藤田 慧(ジャパンアクションエンタープライズ)
特撮監督 佛田 洋(特撮研究所)
監 督 中澤祥次郎 杉原輝昭 ほか
プロデューサー 井上千尋(テレビ朝日)武部直美(東映) 
制 作 テレビ朝日・東映・ADKエモーションズ

© 2022 石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映

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*1:テレビシリーズ150作6500話以上、映画&Vシネマ200本以上。
*2:放送翌日以降に適宜、「日本語字幕」を追加しています。
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numan編集部

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