劇場へ一歩足を踏み入れた瞬間から、目に入るのはたくさんの本棚が並んだステージ! まるで主人公たちが所属する”帝国図書情報資産管理局”にいるかのような気分に……。
ニルアド1
この物語の舞台となるのは、帝都大震災から復興を遂げた大正25年の帝都東京。
華族である久世家の長女・久世ツグミ(大和田南那さん)は、実家の困窮を救うため、顔も知らない八代汽船の息子との結婚を決意する。その矢先、弟のヒタキが焼身自殺をはかり入院。そして、ツグミ自身も弟の事件をきっかけに“アウラ”と呼ばれる、稀モノが発する情念の光が見えるようになってしまいます。
“稀(まれ)モノ”とは、書いた者の情念や記憶などが宿った本で、その内容により読んだ者に大きな影響を及ぼすもの。ツグミは稀モノを調査する帝国図書情報資産管理局――通称“フクロウ”で働くことに……。
そして、舞台は一転。煌びやかな照明がステージ上を照らし、音楽とダンスが融合したオープニングが! ダンスとともに次々とキャラクターが紹介されていく様子に魅入ってしまいます。
ニルアド3
接近していくツグミと隼人たちの心
オープニング後、ツグミが帝国図書情報資産管理局の扉を開いたシーンから物語は再び動き出します。
彼女が所属することになった探索部の仲間は、妹が稀モノによる焼身自殺をはかったという尾崎隼人(杉江大志さん)、無口で人と関わることを避ける鴻上滉(仲田博喜さん)、自身の容姿にコンプレックスがある星川翡翠(星元裕月さん)、そして稀モノによる焼身自殺で夫を亡くした朱鷺宮栞(黒田絢子さん)。
汀紫鶴(健人さん)はフクロウが拠点とするアパートで生活する作家。さらに、研究部の隠由鷹(吉岡佑さん)は、以前久世家に住んでいた顔見知りの書生でした。
不穏でどこか重苦しい空気を漂わせた舞台上では、次々と稀モノによる事件が発生。首相の息子・鵜飼昌吾(大崎捺希さん)もツグミの弟と同じく稀モノの本を読んだことで焼身自殺をはかり、“フクロウ”のアパートへ身を寄せることに。
街の書店を巡回しては、和綴じの古書が売られていないかを調べるフクロウ探索部のメンバー。そして、回収した稀モノを調査する研究部の由鷹たち。その仕事は、稀モノの発するアウラを感じることができるツグミが加わったことで、効率を上げてゆく。
そんな探索の途中で出会ったのは、鷺澤累(古畑恵介さん)。彼は、和綴じ本を燃やす活動を行う学生集団“カグツチ”のリーダーで、ツグミに自分の仲間になってほしいと誘いをかけます。稀モノをすべて悪だとする累に対し、ツグミ書かれた内容自体に罪はないと主張します。
滉や翡翠とは日々の探索を通して、最初はケンカ腰だった昌吾とは銀座のダンスホール「ナハティガル」への潜入を通して徐々に距離を縮めていくツグミ。
小瑠璃(栞菜さん)を交えての紫鶴との恋バナからの発見。そして、ツグミを優しい視線で見つめる隼人――。それぞれのキャラクターとツグミの距離が近くなっていく様子が手に取るように感じられます。
さまざまな組織と関わることで危険な目に合いながらも、久世の屋敷や女学校では経験したことのない自由を感じ生き生きと成長していくツグミの姿、そして彼女の想いに動かされ心を通わせていく男性たちとのやりとりも見どころ。
ツグミの言動に照れる姿や戸惑う彼らの姿が可愛らしく、思わずこちらも微笑みが漏れてしまいます。
急展開するストーリー!黒幕は……?
フクロウの面々と行動を共にするツグミ。彼女を狙う四木沼喬(和泉宗兵さん)が登場することで、物語は急展開を迎えます。
四木沼財閥の当主にして、会員制高級ダンスホール“ナハティガル”のオーナーである喬は、フクロウが摘発を試みている稀モノや盗難品などの闇オークションを行う裏組織“カラス”の総元締め。アウラを見る能力とその血筋からツグミに自分の子供を産ませたいと考え、ついにツグミをなんと誘拐する暴挙に……!
フクロウのメンバーはツグミを助け出すことができるのか?
フクロウに潜む、裏切り者とは?
そして、故意に稀モノと作り出していた黒幕とは――?
暗めの照明、どこか重苦しい音楽。映像は一切使わず、光と音による演出、そしてキャストによりドラマのすべてが表現される様は、大正時代という舞台設定にもぴったり。アウラの演出方法にもきっと驚かされます。
それぞれの演技やアクションで翻る、和と洋の入り混じった独特な衣裳は必見です!
ニルアド17
舞台『ニル・アドミラリの天秤』は11月11日まで、東京・全労済ホール/スペース・ゼロで上演中。サスペンス仕立ての本作、後半にかけてのいくつものどんでん返しと、驚くべきフィナーレにもご期待ください!
フォトレポート
ニルアド16
{% assign title = "舞台『ニル・アドミラリの天秤』" | split: "," %}{% assign items = "日時,会場,出演,舞台公式HP,公式twitter,コピーライト" | split: "," %}{% assign contents = "2018年11月1日~11日,全労済ホール/スペース・ゼロ,尾崎 隼人役:杉江大志、鴻上 滉役:仲田博喜、星川翡翠役:星元裕月、汀 紫鶴役:健人、鵜飼昌吾役:大崎捺希 、鷺澤 累役:古畑恵介、久世ツグミ役:大和田南那、燕野太郎役:大原海輝、朱鷺宮栞役:黒田絢子、柾 小瑠璃役:栞菜、隠 由鷹役:吉岡 佑、百舌山識郎役:末野卓磨、笹乞藤⼀郎役:湯本健一、葦切拓真役:瀬戸祐介、四木沼喬役:和泉宗兵,http://wup-e.com/nilad-stage/,https://twitter.com/nil_stage (@nil_stage),(C)2016 IDEA FACTORY ©IF/Nil Admirari PROJECT、(C)2018 舞台「ニル・アドミラリの天秤」製作委員会" | split: "," %}{% render 'article_table2', arg1: title, arg2: items, arg3: contents %}