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本作の原作となるアニメ『少女革命ウテナ』が放送されていたのは1997年。独特な世界観やキャッチーな楽曲、そして個性的なキャラクターの姿に多くの視聴者が魅了されました。
本作で、その魅力的なキャラクターを演じるキャスト陣はいわゆる“ウテナ世代”より少し若い世代ですが、どのような心境で今回の舞台に臨まれるのか、キャストコメントをご紹介します。
天上ウテナ役:能條愛未さん
『ウテナ』には欠かせない決闘シーンが1番の見どころではないかと思います。それぞれが守りたいものや、貫きたいもののために戦います。どのキャラクターも非常に個性的で魅力的なので見ていて飽きない舞台ではないかと!
20年前のアニメが舞台化されるということで、放送されていた当時よりもさらにパワーアップしたものを皆様にお届けできたらと思います。座長として物語をしっかり引っ張っていけるよう頑張りたいです。
姫宮アンシー役:山内優花さん
音響・照明、キャストの所作などでアニメやマンガで描かれた美しい世界観を大切に作り上げてきた意識があるので、注目していただきたいです。原作のウテナを見ていた皆様には、アニメのキャラクター達が舞台で歌って踊るミュージカルならではの楽しさを実感していただけたらと思いますし、世代でないという方々にも、しっかりと楽しんでいただけるものを作った自信があります。
桐生冬芽役:戸谷公人さん
殺陣も含めてとにかく華やかで、世界観の美しさが再現されています。ラストシーンはより一層派手なのでぜひ楽しみにしていただけたらと。舞台上の役者が演じることで、アニメでは体感できない感覚を味わってもらえたらと思います。もしかしたら1度観ただけでは理解できない部分もあるかもしれませんが、ぜひ何回でも足を運んでいただきたいです。
西園寺莢一役:横井翔二郎さん
稽古初日に、山内さんと自己紹介をするよりも先に、西園寺がアンシーをしばくシーンの稽古があって、最初は怖がられてしまいました……。(山内さん「こわかったー(笑)」)。
ウテナ世代ではない僕らですが、この『少女革命ウテナ』という作品に本気で向かい合って取り組んでいます。楽しみにして下さっている方々、これまで作品を愛し支えてくださった方々に最上のものをお届けできたらと思っています。
有栖川樹璃役:立道梨緒奈さん
自分の出ているシーン以外でも「もっとこうした方が……」という案を出し合って、お互いを高め合っていくいい空気が出来ている稽古場でした。アニメでお馴染みのシーンが舞台で次々と描かれ、演じている側もわくわくしてしまいます。ぜひ楽しみに観ていただけたらと思います。頑張ります!
薫幹役:大﨑捺希さん
すごく和気藹々として楽しい稽古場で、毎日、今日よりもっといいものを明日は作って行こう! という気合が入っていました。ウテナのキャラクター達は、心に闇を抱えながら、貫きたい信念を持っていると感じています。そういうキャラクター達の姿を見て、明日を生きる糧にしていただけたらと思います。
幼いころに自分を救ってくれた「王子様」に憧れるあまり、自らも王子様になろうとする男装の少女・天上ウテナ(能條愛未さん)。彼女の左薬指には「王子様」からもらった薔薇の指輪が光ります。
親友の篠原若葉(竹内夢さん)は、生徒会のメンバーである西園寺莢一(横井翔二郎さん)に恋心を抱いていますが、想いを込めたラブレターを衆目にさらされるという心無い仕打ちを受け、ひどく傷つきます。憤慨したウテナは西園寺に直接怒りをぶつけに行きますが、逆に彼女の左薬指の指輪(薔薇の刻印)に気付いた西園寺と決闘することに。
裏の森に呼び出され、決闘に向かうウテナ。 門の向こうに待っていたのは、逆さまになった城、そして空へと続く螺旋階段。 ここで『絶対運命黙示録』の大合唱が!
脚本・演出の吉谷光太郎さんが「絶対に使う」とおっしゃっていた楽曲に思わず鳥肌が。『ウテナ』ファン興奮の瞬間です。
決闘広場には真っ赤なドレスに身を包んだ姫宮アンシー(山内優花さん)の姿が。彼女は決闘の勝者とエンゲージする「薔薇の花嫁」。
現在の決闘の勝者であるという西園寺は、アンシーの体内から「ディオスの剣」を取り出します。この西園寺が剣を取り出すシーン、ぜひご注目を。「ねえどうしようそれ!」と脚本・演出の吉谷さんがおっしゃっていたシーンです。
アンサンブルキャストをフル活用した、これぞ吉谷さん! と頷ける演出でした。
分が悪いかと思われたウテナでしたが、奇跡的に西園寺の胸の薔薇を散らし、決闘に勝利します。自らの元を去るアンシーに縋る西園寺ですが、ウテナが勝利したことでアンシーの態度は一変。
「ごきげんよう。西園寺……先輩。」
とにこやかに彼の元を去ります。このなんともいえない不気味さがアンシーそのもの。
ここから西園寺の転落人生が始まってしまうわけですが、彼の純情で不器用な愛情表現、ぜひ最後まで見届けていただきたいです。
「薔薇の花嫁」とエンゲージした者は「世界を革命する力」を手に入れることができる――。
ウテナはアンシーとエンゲージしたことで、生徒会の面々による決闘ゲームに巻き込まれ、次々と戦いを挑まれることに。
薫幹(大﨑捺希さん)はウテナよりも年下ながら、大学生のカリキュラムを受ける天才少年。一見穏やかでウテナと戦う意志を見せなかった彼ですが、アンシーのピアノの音色に、自分の妹の音色を重ね、執着します。生徒会ではストップウォッチを使って会話をするコミカルな姿にも注目です。
有栖川樹璃(立道梨緒奈さん)は、ウテナとはまた違った男装の麗人。声色までもが凛々しく惚れ惚れしました。意外なことに、どうやら彼女は恋に苦悩している様子。彼女の内心の葛藤はアンサンブルキャストの動きによって描かれていました。
ウテナにとって、アンシーと同じくキーパーソンとなるのが生徒会長の桐生冬芽(戸谷公人さん)。自称フェミニスト、女性の扱いに慣れているプレイボーイ。ウテナのことを以前から知っているような口ぶりですが、果たして……? 幼馴染の西園寺との関係性も見どころです。
そんな冬芽の妹、桐生七実(鈴木亜里紗さん)は非常にアクの強い少女で極度のブラコン。原作でもコミカルなシーンが多いキャラクターですが、今作でも舞台上で大暴れします。若葉を巻き込んでのデュエットシーンは、圧倒的歌唱力での素晴らしいパフォーマンスだったのでぜひ注目していただきたいです。
そしてウテナといえば影絵少女(熊田愛里さん、NENEさん)!
お馴染みの「かしら、かしら、ご存じかしら?」というフレーズとともに登場する彼女たち、本当にアニメで見ていた姿、テンションそのままの再現度です。ストーリーテラーの役割も担っている彼女たちの一言一句も、ぜひ聞き逃さずにお楽しみください!
20年の時を経て、改めて舞台化された『少女革命ウテナ』。
個性的なキャラクターが抱えるそれぞれの葛藤や心の闇が複雑に編み上げられ、そのドロドロとした人間模様が、美しい世界観の中で描かれる……それこそが『ウテナ』の大きな魅力の1つなのかもしれません。
“ウテナ世代”の方も、そうでない方にも、ぜひ観ていただきたいです。
numanでは、ミュージカル『少女革命ウテナ~白き薔薇のつぼみ~』の脚本・演出を担当された吉谷光太郎さんのインタビューも掲載。
『絶対運命黙示録』や剣を取り出す演出など、本作についても触れていますので
すでに御覧になった方は思い出に浸りながら、これから御覧になる方は予習として、ぜひこちらもチェックしてくださいね!
執筆:通崎千穂 @tsu_otometsu
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