羽賀こはく
横浜市出身。インタビュー記事をメインで執筆。愛猫2匹に邪魔をされながらゲームや漫画を楽しむことが生き甲斐。
「アナタの推しを深く知れる場所」として、誰かと推しとなり得る人がハマっている人やモノ、コトを聞く連載企画【沼、聞いてみてイイですか?】。
「時間があればとにかくマンガを読んでいます!」
と言い切るほど“マンガ沼”にハマっているのは、俳優・声優・アーティストとして活躍する七海ひろきさんです。
七海さんはSNSで『冨樫義博展 -PUZZLE-』『ブラック・ジャック展』『花とゆめ展』などマンガ関連の展示会へ行っている写真がたびたびアップされていたり、投稿のテキストには作品への愛が綴られていたりと、かなりのマンガ好きであることが伺えます。そこで今回は、七海さんへマンガ沼を余すことなく語っていただくインタビューを実施。
幼少期から家族が所有していた名作マンガ、自分が手に取ってきた少年マンガや少女マンガなど、ジャンル問わずさまざまなマンガを読んできた七海さん。
これまでのマンガ遍歴を振り返っていただくとともに、声優の道へと進むキッカケとなったマンガ原作のアニメ『るろうに剣心』や芝居の根底を学んだ『ベルサイユのばら』など、七海さんが人生に大きな影響を受けたマンガ作品についてお話いただきました。
また、アーティストデビュー5周年を迎える2024年8月21日。「苦手意識のあった歌唱が克服できた」というアーティストとしての5年間を振り返ります。また、5周年記念日にデジタルリリースするAnniversary Song「Dearest」についても。七海さん自身が綴ったファンの皆さんへの“ラブレター”でもある同曲に込めた想いもお届けします。
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INDEX
――七海さんのSNSでは『冨樫義博展 -PUZZLE-』『花とゆめ展』など、マンガ関連の展示会へ行っているお写真がたびたびアップされていたり、投稿のテキストには作品への愛が綴られていたりと、かなりのマンガ好きとお見受けします。普段はどのくらいマンガを読まれていますか?
七海 ひろき(以下、七海):
時間があればとにかくアニメを観るか、マンガを読んでいます!
観ていて「面白いな」と思ったアニメ作品の原作マンガが気になってマンガを買うことが多いです。最近は夜にアニメを観て続きが気になったら、スマホで「ポチッ!」と購入しています。本当に便利で助かっているんですが、「欲しい」と思ったら無限に買えてしまう(笑)。「面白そう!」と思ったら一気に全巻買ってしまうこともあります。
――気になったら単話や単巻ではなく一気買いしてしまうんですね。
七海:
小さい頃はお小遣いを貯めて「この1冊!」と決めて買っていましたが、「今後もしかしたらこのマンガがアニメになって、こういうタイプのキャラクターを演じるかもしれない!」「表現のインプットのため!」という理由を無理やりつけて買っています(笑)。
――理由付けして買っているんですね(笑)。ちなみに、最近買ってハマったマンガはありますか?
七海:
最近は藤本タツキ先生の『ルックバック』(集英社)にハマっています! 長編マンガではなく1巻完結の作品ですが、尊敬する人と友達になって、一緒にモノをつくり、このまま仲良く過ごせると思っていた中で仲違いしてしまう。短い中に幼い頃の体験や経験から及ぶ人格形成が描かれているんです。
また、1つのものに「これだ!」と決めて集中していく登場人物たちの姿と、私自身の気持ちにリンクする部分があって……。思い返せば、私は幼い頃から「演じること」「表現すること」が好きだったんだなと改めて気づかされました。
“1つのことに集中する”というのも、ある意味“沼にハマっている”ということですよね。その沼にいつ本気になるかは人それぞれだと思いますが、私にとっての『ルックバック』は幼い頃の気持ちを思い返す作品でした。
(2024年)6月にはアニメ映画が公開されて話題になっていますが、映画もすごく良かったです。
――『ルックバック』の映画は色や動き、音がつくことで、より感情に訴えかける作品になっていましたよね。
七海:
(頷きながら)原作もそうなのですが、セリフが多くないのにいろんなことを感じ取ることができて、すごく素敵だと思いました。寝る間も惜しんでひたすらマンガを描いている。そんな何かに没頭する瞬間って、誰しも人生にあると思います。
何かに没頭している時の情熱や愛、夢中になる気持ち……そういうものを思い出させてくれるすごく素敵な作品だったので、最近読んだ中で最も心を持っていかれました。
――七海さんは、幼少期からマンガがお好きだったんですか?
七海:
好きでしたね。アニメかマンガ、どちらを先に好きになったのかは覚えていませんが、実家の本棚には母が所有していた名作マンガがたくさんあったんです。手塚治虫先生の『ブラックジャック』、山岸凉子先生の『日出処の天子』『テレプシコーラ』、美内すずえ先生の『ガラスの仮面』、『キャンディーキャンディー』(原作:水木杏子 作画:いがらしゆみこ)など。そんな家だったので、物心ついた頃からマンガを読み始めたと思います。
そのあと、武内直子先生の『美少女戦士セーラームーン(以下、セーラームーン)』をはじめ、「りぼん(集英社)」「なかよし(講談社)」「ちゃお(小学館)」など女の子が主人公の少女マンガ作品を読むようになっていきました。
同時に兄が買っていた「月刊コロコロコミック(小学館)」、「週刊少年ジャンプ(集英社)」なども読んでいました。兄が少年マンガを購入していたので、自身がお小遣いで買うのは少女マンガだった記憶がありますけど、少年マンガで描かれるバトル作品も好きでした。
――幼少期から往年の名作から少女マンガ、少年マンガとかなり幅広いジャンルの作品に触れてきていたんですね。
七海:
そうかもしれません。その後は「花とゆめ(白泉社)」「少女コミックス(現:Sho-Comi、小学館)」「マーガレット(集英社)」なども、読み始めて。
少年マンガはジャンプ作品をたくさん読みながら、「月刊少年ガンガン(スクウェア・エニックス)」で連載していた『魔法陣グルグル』(著:衛藤ヒロユキ)、『王ドロボウJING』(著:熊倉裕一)とか『PEACE MAKER 鐵』(著:黒乃奈々絵)なども好きで読んでいましたし……一条ゆかり先生作品など。
とにかくいろんな作品を読んでいました。友達とマンガをオススメしあって、語り合うのも楽しかったです。
――本当にたくさんのマンガを読まれてきているという印象を受けるのですが、そこまでマンガにハマるようになった“キッカケの作品”があれば教えてください。
七海:
幼い頃に一番ハマったのは冨樫義博先生の『HUNTERxHUNTER』です。『幽遊白書』も好きだったのですが、特に『HUNTERxHUNTER』は1話目を読んだときに「すごく面白い!」衝撃をと感じた記憶があります。『セーラームーン』も好きだったので、冨樫先生と武内先生ご夫妻の作品にはすごくお世話になっています(笑)。
ほかにも、好きだった作品は『少女革命ウテナ』(著: さいとうちほ)です。 『セーラームーン』もそうですが、女の子が頑張る作品がすごく好きだった思い出があります。
――さまざまなマンガ作品に触れてきた七海さんから、ご自身の人生やキャリア形成に影響を与えたマンガ作品をお聞きしたいです。
七海:
まず1つ目に、声優という職業に興味を持ったキッカケの作品は『るろうに剣心』(著:和月伸宏)です。これは、マンガはもちろんアニメから得た影響も大きい作品です。最初のTVアニメが放送された当時(1996年)は元宝塚歌劇団月組トップスターの涼風真世さんが主人公・緋村剣心の声をされていて。「宝塚出身の方が退団後に声のお仕事をしていて、しかも青年役を担当しているんだ!」と驚かされました。『るろうに剣心』から声優の仕事に興味を持ったので、自分の中では“人生を左右した作品”だと思っています。
“芝居の根底”をマンガから学んでいる部分もあって、お芝居や舞台に重きを置いているマンガ作品の中で一番影響を受けたのは『ガラスの仮面』(美内すずえ)です。
「ベルサイユのばら50」東京公演千穐楽終了しました🌹素敵な皆さんと同じ空間にいられて、アンドレとしてオスカルを愛せて幸せな時間でした✨
引き続き御園座公演もがんばります!!#ベルサイユのばら50 pic.twitter.com/u8L10bHsG3— 七海ひろき (@hirokinanami773) June 9, 2024
ほかにも、藤田和子先生の『ライジング!』(原作:氷室冴子)や赤石路代先生の『P.A(プライベートアクトレス)』も影響を受けました。お芝居のことが描かれている作品は学びもありますが、純粋におもしろくてたくさん読んできました。
あと、最近の作品だと野田彩子先生の『ダブル』もおもしろい!主人公は劇団員なのですが、演劇やお芝居に関するお話だけではなく、アイドルと役者どちらもしている子、映画監督や演出家なども登場するので、広く“表現”をテーマに描かれている作品なんです。私自身、お芝居以外にも歌やダンスなど、さまざまな表現に携わっている身なので、“表現者”の視点で読んで影響を受けました。
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――マンガからお芝居や表現を学んでいるとのことですが、アニメや舞台でキャラクターを演じる時も原作マンガを読み込んで参考にするタイプなのでしょうか?
七海:
読みますね。原作を読んで、演じるキャラクターの人生を最後まで知った上で、自分の中で「この人はこういう人だから、こういう生い立ちだったのではないか」と組み立てていくことが好きです。
それは、役者として舞台に立っていた時からずっとかもしれません。最後の展開を考えた上で、役づくりをしていくタイプだったから、声優をやる時も今までの経験上、結末を知っていた方が演じやすいと思っています。
――声優さんの中には、あえて原作を読まずにお芝居をする方もいらっしゃいますよね。
七海:
いらっしゃいますね。先に結末を知っていると、「実はこう思っていたのではないか」「こういう感情を抱いていたのではないか」とアニメではまだ描かれていないところまで考えてしまう。役者はキャラクターの“その瞬間”を演じなければいけないのに、先の感情がお芝居に反映されてしまうそうです。
なので、あえて原作を読まずにアフレコに挑む方もいらっしゃいます。初めてアフレコ現場でそういう役との向き合い方をしている声優さんを見た時、「いろんな方がいるんだな」と気づきを得ました。同時に、「アニメの台本からキャラクターを読み取って、“キャラクターと一緒に成長していく”のだろうな」とも思いました。
私は舞台でもアニメでも、先の展開を知っていても、役を演じる時には一旦忘れて、まっさらな気持ちで「このキャラクターの一瞬一瞬を生きる」という感覚で演じています。それはもしかすると、最初から声のお仕事だけではなく、舞台からお芝居をスタートさせたからこその感覚かもしれないです。
――舞台から今のお芝居が形成されたのかと思うのですが、マンガの表現から学びを得たお芝居の仕方はありますか?
七海:
マンガで描かれる登場人物の表情、セリフが書かれている吹き出しや字体はすごく参考になります。声優として仕事をするまでは、なんとなく「きっとこの書き方で感情を表現しているんだろうな」と感じてはいましたけど、そこまで気にはしていなかったと思います。だけど、声優として仕事をしてマンガ原作の作品に携わらせていただく中で、実はマンガから読み取れるお芝居の表現がたくさんあることに気づき、意識して読むようになりました。
特にギザギザや二重線などを使ったセリフの吹き出しの形、太字や大きさなどの字体から、登場人物の気持ちが分かりやすく表現されていることを、声優になってより感じるようになった気がします。“すごく驚いている”感情を表現する時は、吹き出しの形がすごくギザギザしていたり、文字が大きく太く強調されていたりするんです。そこで、「だから、驚いた気持ちでセリフを言っていると伝わってくるんだ!」と分かる。
マンガ家さんたちからすれば、それは普通のことかもしれません。だけど、私は「フォントでも人の気持ちって表現できるんだな」と感動しました。
羽賀こはく
横浜市出身。インタビュー記事をメインで執筆。愛猫2匹に邪魔をされながらゲームや漫画を楽しむことが生き甲斐。
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