ふくだりょうこ
大阪府出身。大学卒業後、フリーランスのライターとして執筆活動を開始。ゲームシナリオのほか、インタビュー、エッセイ、コラム記事などを執筆。たれ耳のうさぎと暮らしている。ライブと小説とマンガがあったら生きていける。
アニメ、映画、マンガ、ドラマ、音楽、舞台など、さまざまな“沼”コンテンツを生み出す人たちから、ご自身の“沼”について聞くインタビュー連載企画「沼、聞いてみてイイですか?」。
今回登場いただくのは、声優アーティスト・茜屋日海夏さん。声優とアイドルの活動を両立するハイブリッドユニット「i☆Ris」のメンバーで、キレと華のあるダンスに定評があるダンスリーダー。さらに、高い歌唱力の持ち主でもあります。
そんな彼女がここ数年ハマっている沼……それは“K-POP”です。BTSをきっかけに、さまざまなK-POPグループにハマり、現在の特に注目しているのはBLACKPINK、MAMAMOO、SEVENTEENとのこと。
そして、2023年7月に「Himika Akaneya」名義で満を持してソロデビューを発表した茜屋さん。11月22日発売のデビューシングル『Stereo Sunset(Prod. AmPm)』収録のカップリング曲「SARANG」は、韓国語で“愛”という意味を持ちます。
これは、「沼であるK-POPの影響もあるのでは……?」ということで、彼女を虜にする“K-POP沼”について話を聞きに行きました!
好きなアーティストたちについて語る茜屋さんのキラキラとした表情だけでも熱量の高さを感じ、「周りには積極的に推しを勧める」「ライブDVDのファンサにも全力で応える」といったオタクエピソードからK-POP沼に深くハマっている様子がうかがえます。
茜屋さんが感じているK-POPや推しの魅力に迫るとともに、イチオシのK-POP楽曲についても紹介してもらいました。
INDEX
――茜屋さんは小さいころからK-POPがお好きだったんですか?
茜屋日海夏(以下、茜屋):
いえ、がっつり好きになったのは、ここ数年のことなんです。
私が幼少期のころからK-POPは流行っていましたし、当時はKARAや少女時代がすごく人気だったのですが、そこまで沼ってはいなくて。
K-POP沼にハマり始めたのは、2020年くらいだと思います。
――なぜ、そのタイミングでK-POP沼にハマったんですか?
茜屋:
BTSの「Dynamite」を聴いたのが一番大きな理由ですね。実はそれまでにも友だちからBTSを勧めてもらったことはあったのですが、その時はまだ「素敵だね」くらいで止まっていました。
そこから少し経って、また友達が「これ、ひみちゃんが好きだと思うよ」と紹介してくれたのが、「Dynamite」だったんです。この曲が刺さりすぎてしまいました。
あとは、仕事で一度、K-POPのダンスを覚える機会があったのも理由の一つです。
YouTubeでK-POPのMVやダンス動画を観ていると、関連動画にいろんなK-POPグループが出てくるので、そこからたくさん曲を聴くようになって。K-POPってオシャレな曲ばかりなんですよね。曲にハマり、そこから派生していろんなグループにハマり……と、どんどん沼にハマっていきました。
――BTSのほかにハマったK-POPグループを教えてください!
茜屋:
BLACKPINKやMAMAMOOです。どちらも“ガールズクラッシュ”感が大好きです。
BLACKPINKもBTS同様に存在は知っていたのですが、最初はハマっていなくて。たまたま観た「Kill this Love」のMVがすごくかっこ良かったんですよ!
ジェニーちゃんとリサちゃんがギャルみたいな姿でラップしているシーンがあるのですが、画面の色彩が豊かで、2人のパフォーマンスがめちゃくちゃ強くて大好きになりました。
今年の4月には、ライブにも行きました。MAMAMOOを含め、“強い女”が大好きです(笑)。
――BLACKPINKとMAMAMOOってガールズクラッシュの代表的な存在という印象があります。彼女たちのことは、「パフォーマーとしての憧れ」のような目でも見ているのでしょうか。
茜屋:
そうかもしれないですね。日本のアイドルの方たちってカッコよさというよりはかわいさ重視だと思っていて。パフォーマンス中、ファンの人と目線を合わせてレスを送ることが多い印象があって、それはそれでもちろん素敵です。
だけど、K-POPグループの方たちってファンにレスを送ることよりも、パフォーマンスの見せ方を重視しているように感じます。
中でも、視線の動きはすごく勉強になります。斜めを見たり、目線を外したり。それがすごくカッコ良くて。「そういう表情でもカッコよく見せられるんだ!」と毎回気づきを与えてもらっています。
――「これはすごく勉強になったな」というパフォーマンスはありますか?
茜屋:
例えば、MAMAMOOのパフォーマンス。緑と黒の奇抜な髪型や衣装が印象的なライブ「 MAMAMOO at 2019 MAMA All Moments」で、メンバー一人ひとりをカメラが追っていくという演出があるんですよ。
カメラワークがそもそもカッコいい中、ソラちゃんがカメラを掴んで向きを変えたり、フィインちゃんが衣装の手袋を口で外して指を舐めてその指で次のカメラの向きを指示したり。カメラを使ってパフォーマンスする姿がとにかくカッコよくて。自分でもいつかやってみたいです(笑)。
そういう「自分がパフォーマンスする身としての憧れ」もありますが、同時に「自分が目指している女性像はこっちだな」という憧れの目で見ちゃっているところもありますね。
――ちなみに、ボーイズグループで注目しているグループもいるんですか?
茜屋:
ボーイズグループだと、SEVENTEEN(以下、セブチ)。セブチは「HOME;RUN」を知り合いに勧めてもらって。ほかのグループ同様に、やっぱり曲からハマりましたね。
最初は「メンバー13人も覚えられない!」と思っていたのに、沼にハマったら「あれ……? 結構分かるぞ?」って(笑)。
――13人の中で特に注目しているメンバーは誰になりますか?
茜屋:
ディエイトくんです。「HOME;RUN」を聴いた時、「高くて艶のあるこの声は、誰の声だろう?」と最初に耳に残った歌声がディエイトくんでした。次点で、ジョンハンくんとウォヌくんも推しています。歌声やラップが素晴らしい。
私、昔はハロプロが好きで、モーニング娘。を見ていたんです。ハロプロは歌もダンスも上手な子が多くて好きだったんですよ。昔からアイドルグループにハマるとスキル推ししていたので、セブチも同じく。みんなレベル高いのですが、中でも個性やちょっと自分を持っている人は見ちゃいますね。
とはいえ、いろいろ考えていくと、「結局みんな良い!」ってなります。箱推しですね(笑)。
――BLACKPINK、MAMAMOO、セブチなど、推しを推している時、ご自身で「私って超オタクだな」と感じるエピソードはありますか?
茜屋:
友だちには積極的に推しを勧めているのですが、紹介する立場なのにMVで推しメンが来ると声にならない声が出てしまったり、変な動きをしちゃったり……何回も観ているのに、感情が漏れ出てしまうんですよね……。
ほかにも、ライブDVDでメンバーがカメラの向こう側にいる私たちファンに向かってファンサをする瞬間があるじゃないですか。そういう時に、全力で乗っかってしまうことがありますね。以前、i☆Risメンバーの家で鑑賞会をしていた時も、全力でファンサに応えていました(笑)。そういう時に「私ってオタクだな……」と感じます(笑)。
――推し活を全力で楽しんでいるんですね(笑)。
茜屋:
超楽しいです! その瞬間は「今の自分が一番かわいいんじゃないかな!?」って思います(笑)。
――ここまで推しのグループについてお話しいただきましたが、ここからは茜屋さんがこれまで聴いてきた中から、お気に入りの楽曲を4曲ほどピックアップしていただきたいです!
茜屋:
すごく悩みますね……!
でも、セブチを好きになったきっかけの楽曲「HOME;RUN」が印象深いです。少しショーのような雰囲気がある楽曲のジャンルや構成がすごくオシャレじゃないですか。ワクワクさせてくれるし、MVもファッションもすごくおしゃれで気に入っています。
BTSは「Let Go」。この楽曲は全編日本語詞なのですが、日本語だから歌詞がダイレクトに刺さるんですよね。
また、ライブ映像やダンスも込みで好きな楽曲です。普段はあんなにキレキレのダンスをしていてカッコいいのに、「Let Go」で時折見せるみんなの切なげな表情や、いつもニコニコ笑っているJ-HOPEさんがこういう曲になるとちょっとアンニュイな表情をしたりする。そのギャップがすごくいいな、と思います。
BLACKPINKだと「Lovesick girls」が好きです。私がBLACKPINKを好きな理由でもある、“ガールズクラッシュ”を強く感じる楽曲なんですよね。恋愛の歌を歌っているのに、やっぱりちょっと強さが残る曲。何回も聴きたくなるメロディで、それがすごく刺さります。
MAMAMOOは、「HIP」が好きなんですよね。MVの2番あたりで、ファサちゃんが子どもの目をふさいで唾を吐くような仕草をするところが大好きです。そういうMVの細かいところもしっかり観ちゃいます(笑)。曲と映像で、その世界観に浸るのがすごく好きです。
――改めてK-POPの沼にハマるポイントはどこだと思いますか?
茜屋:
やっぱり楽曲で惹かれる部分が強くあります。
私、父が韓国人ということもあってカラオケで韓国の曲を歌っているところを子どもの頃から聴いていたんですけど、当時はK-POPというジャンルではなくて。一度、「K-POPを習いたいな」と自分でボイトレを探して、韓国の方に教わっていたことがあったのですが、その方も「もともとはK-POPというジャンルはなかった」と言っていたんですね。
それがこの数十年で大陸を渡り、洋楽のエッセンスが取り入れられ、いろいろな研究がされていった結果、K-POPというジャンルができた。その歴史は、すごくおもしろいと思います。
日本語の楽曲は1音に「あ」「う」とか、母音をはめて歌うんですよね。でも、韓国語の楽曲は1音に「ちゃ」「じゃ」など、ちっちゃい音をぎゅっとはめて歌います。日本語の曲と言葉のはめ方が全然違うのがおもしろくて、じっくり考えて聴いちゃいますね。
――音楽が好きでご自身も歌に携わっているからこそのハマり方な気がします。また、今や数多くいるK-POPグループ。どうやって自分に合ったグループを探せばいいと思いますか?
茜屋:
本当にたくさんいるから難しいですよね! 私も最近のグループはあまり推せていないんですよ……。
でも、最近はTikTokで先行してバズっているK-POPの楽曲もあるじゃないですか。それこそTikTokで流行った「Boom boom boom」と言っている曲を最初は知らなくて。調べてみたらLE SSERAFIMの「Eve, Psyche & the Bluebeard’s wife」だと知りました。聴いてみたら「すごくいい曲!」と思ったんですよね。
そうやってTikTokから知って好きになることもあります。だから、まずはSNSでバズっている曲から聴いてみるのがいいんじゃないかなと思います。
次ページ▼海外志向を取り入れたソロデビュー曲へのコダワリとソロデビューへの思い
ふくだりょうこ
大阪府出身。大学卒業後、フリーランスのライターとして執筆活動を開始。ゲームシナリオのほか、インタビュー、エッセイ、コラム記事などを執筆。たれ耳のうさぎと暮らしている。ライブと小説とマンガがあったら生きていける。
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