zash
子供の頃から培ってきた映画、海外ドラマ、特撮、アニメの知識を活かして活動中。各媒体でコラム、取材レポート、インタビュー記事を執筆する他、雑誌やマスコミ用リリースへの寄稿も行っている。
カフカと相棒の市川レノの関係性が同作の五代雄介と刑事の一条薫の関係性とダブって見えてしまったり、割と前半の戦いで防衛隊と8号が対峙し、討伐対象として狙われる展開、怪獣を出現順にナンバリングしている点、そして単純に怪獣8号のシルエットがクウガと重なる(二本角にシンプルなボディライン)など、随所に『仮面ライダークウガ』を想起せずにはいられない!
このように特撮ファンにとっては思わずハッとさせられる瞬間が多々あり、目を離さずにはいられない要素が数多く存在するのが『怪獣8号』なのです。
しかしながら、単に特撮ファンだけが唸る仕様になっているわけではなく、『新世紀エヴァンゲリオン』のような通信シーン、映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のヒロインを連想させる亜白ミナの存在感などなど、アニメ、洋画ファンであっても楽しめる数多くの魅力を備えた作品でもあるのです。
特撮ファンを唸らせる今期のアニメは、もう一作品あります。それが『戦隊大失格』です。
『戦隊大失格』は、「週刊少年マガジン」にて2021年より連載中の春場ねぎ原作による同名マンガを基にした作品。
竜神戦隊ドラゴンキーパーという大戦隊が、悪の怪人軍団と死闘を繰り広げる日々が続く世界。長年にわたる戦いは、毎回、必ず大戦隊の勝利で決着がつく……なぜか? それはこの戦い自体が大戦隊の仕組んだ茶番だったから! これに異を唱えた怪人軍団の戦闘員Dは、大戦隊に挑むことを決意し、単身、組織への潜入を試みるのだった。
「スーパー戦隊」などのヒーローものにとっての“お約束”……それは悪役がヒーローによって最後は必ず倒されるということ。しかしながら、なぜ敵である怪人が毎回倒されなくてはいけないのかと疑問に思ったことはないでしょうか。その疑問に一つの答えが示されるのが本作で、実はすべてが“芝居”だったと言うのです。
当たり前じゃないか!という声がなんだか聴こえてきそうですが、確かに、ヒーローものは全て脚本があってこそ成立するものであり、フィクションの世界だからこそ、悪が成敗されるわけですよね。(現実ではそう易々とはいかない…)
それを普通に物語として成立させているところが本作の凄いところ、面白いところであり、すべてが茶番だったら、怪人軍団は一体どのような行動に出るのか? というのが物語の肝になっているのです。ヒーローものを観ていて疑問に思った部分、そしてその答えにより生み出された新たな盲点を描き出した唯一無二の作品と言えるのではないでしょうか。
また、本作は「スーパー戦隊」シリーズのパロディ的な要素にも充実しており、大戦隊と怪人軍の戦いが、有観客の中、一種のエンターテイメントとして機能している世界線で物語が進んでおり、戦いの最中には観客からの声援が飛んできたりもします。まるでヒーローショーのような構成になっており、遊園地などで行われる巧みな演出が光るショーを見事に再現して見せます。
しかも、その戦いの名称が「日曜決戦」。これは「ニチアサ」こと毎週日曜日の朝に放送されている「スーパーヒーロータイム」へのオマージュと見受けられます。エンディングでは、戦闘員たちがダンスを披露しており、これまた「スーパー戦隊」ジリーズへのオマージュと、作者の「スーパー戦隊」への愛がとことん伝わってくる内容となっているのです。
今回ここで紹介させていただいた2作品は、どちらも特撮ファンにとっては胸アツな作品であると同時に、本家本元の作品たちでは決して描かれないであろう視点をメインにしているという魅力もあります。
『怪獣8号』は怪獣撃退後の死体処理を請け負う会社で働いた経験を持つ主人公で、怪獣災害の事後処理について言及される場面がしばしば。『戦隊大失格』では、毎日のように倒されてはまた復活する、“その他大勢”扱いの戦闘員が主人公。
どちらも一風変わった視点から特撮の世界を見つめ直すきっかけにもなるので、多くの特撮ファンに観てほしい作品です。一見の価値ありですよ!
(執筆:zash)
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子供の頃から培ってきた映画、海外ドラマ、特撮、アニメの知識を活かして活動中。各媒体でコラム、取材レポート、インタビュー記事を執筆する他、雑誌やマスコミ用リリースへの寄稿も行っている。
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