千葉翔也

声優アーティスト・千葉翔也、令和ロマンやフースーヤなど好きな芸人を語る「お笑いは前向きに、元気になれる存在」

憧れのキングレコードからのソロアーティストデビューにプレッシャーも

――そもそもソロアーティストデビューは、どのような経緯で決まったのでしょうか?

千葉:
以前に作品でお世話になっていたキングレコードのプロデューサーさんから昨年声をかけていただき、ソロアーティストデビューが決まりました。

もともと歌を歌うことが好きで、すごくやりたい気持ちがあったのでとても嬉しかったのですが、「ソロアーティストとして活動ができるんだ!」と実感を得るまでは、かなり時間がかかりました(笑)。

――作品を背負わず1人で活動することへ不安やプレッシャーを感じることは?

千葉:
声をかけてくださった方など僕のことを知ってくださっている人がいるという意味では、0スタートではないので、不安はありませんでした。

ただ、キングレコードというレーベルに対してとても憧れがあり、プレッシャーは感じていましたね。

――キングレコードに憧れていたんですね。

千葉:
僕ら世代って、「アニソンと言えばキングレコード!」というイメージを持っている人が多いと思うんですよ。水樹(奈々)さんや宮野(真守)さんはもちろん、angelaさんのラジオも聴いていました。

声優になってからは、その存在の大きさを肌で感じるようになりました。そこから、「いざ、ソロアーティストデビュー!」となるとどこか他人事のような感覚です。同時にめちゃくちゃ嬉しいなと思っています。

「キングレコードからソロアーティストデビューする」とお知らせして嬉しかったのが、いろんな方から「キングレコード、すごく合っているね!」と言われたことで。僕、10月8日を「千葉=千・8=1008…ということで、チバの日」として定めたのですが(笑)、その日に日頃お世話になっている方たちにあいさつ回りを兼ねてお知らせしたんです。

そしたら、「おめでとう!」という言葉と同時に、そんな風に言っていただいて、心強い意見だと思ったと同時に「そうやって言ってもらえる自分でいられたんだ」と思いました。

――皆さんから「キングレコードに合っている」と言われている中で、千葉さんご自身はどのようなアーティスト像を思い描いていますか?

千葉:
デビュー発表前に「今、僕のことを知ってくださっている方たちが僕に対してどのような印象を抱いているのだろう」と、たくさんのスタッフさんと一緒に考えてみました。

でも、僕は声優としていろんな役を演じているから、作品によって印象が変わるんですよね。エキセントリックな役を演じることもあれば、熱血な役を演じることもある。だから、1つの印象に絞ることができませんでした。

なので、まずは自分に嘘をつかず、素直に納得できるものを出していきたいと思ったんです。1st EPを制作する上でも、見栄えを気にするのではなく、「今の自分が咀嚼できる言葉を表現していこう」と。その先に、自分の見せ方が決まってくるのかなと今はぼんやり思っています。

千葉翔也『Blessing』初回限定盤スリーブ

千葉翔也1st EP『Blessing』初回限定盤スリーブ

初EPで2曲の作詞に挑戦「アーティスト活動の指標をテーマに詞を書きました」

――1月17日発売の1st EP『Blessing』は、どのように制作を進めていったのでしょうか?

千葉:
楽曲を制作するにあたってコンセプトを決め、作家さんたちが送ってくださった楽曲の中からコンセプトに沿った形でまずは曲を決めていきました。

曲を決める際には、「すごくいい曲だけど、この曲は僕以外の人が歌った方が素敵に表現できるだろうな」「これはただ好きなだけで僕が上手く表現できる曲ではないな」といろいろなことを考えました。

また歌詞に関しても、自分で書いている曲はもちろん、書いていただいた曲も、「ここは自分的にほかのワードの方がしっくりきます」「このワードは自分的にネガティブな印象があります」といろいろ提案して変えることもありました。

――千葉さんのアイデアがかなり反映したEPということですね。今回、作詞曲が2曲ということにも驚かされました。

千葉:
作詞はもともとやってみたいと思っていたんです。ソロデビューという大切なタイミングだからこそ、自分の想いがより伝わるだろうと、作詞に挑戦させてもらいました。

僕が書いているからという理由で、あまり良くない出来の歌詞でも「いいんじゃない?」と言われることってすごく悲しいので、自分で自分にプレッシャーをかけながら、僕なりに曲と向き合って作詞をしました

――「曲を制作するにあたってコンセプトを決めた」とお話されていましたが、千葉さん作詞曲の「I’ll be」「Blessing」はどのようなコンセプトで制作を進めていったのでしょう。

千葉:
まず、EP1曲目の「I’ll be」は、先ほどのアーティスト像でもお話したような「現状の見え方を変えて自分を肯定できるようになろう」という活動指標をイメージして歌詞を書きました。サビで繰り返し歌っている<悲しい言葉の意味を塗り替えて>という歌詞が指標を表しています。

「Blessing」も同じく活動指標ではあるのですが、「Blessing」には曲の中で完結する世界観があります。デモ段階でいただいた仮の歌詞には「風」がモチーフになっていて。風は目に見えないけど、そばにいたり力になったりする存在で、そんな風と同じ存在が過去の自分だと思ったんです。過去の自分って目を閉じても絶対的に近くにいる存在じゃないですか。

そう思った時、過去の自分を切り離さないと成長はできないけど、僕は過去の自分を否定したくないなって。「昨日の自分から今日の自分、明日の自分に伝えたいこと」をベースに、背中を押すというよりはそっと隣にいるような言葉を選んで歌詞を書きました。聴いてくださる皆さんにとって、この曲や僕との距離感がそうであってほしいなと思っています。

――歌声もすごく優しくて、歌詞の優しさと相まって、より隣に寄り添うような楽曲だなと思いました。

千葉:
本当ですか!? 声優の仕事をしていると「優しい声」と言われることが少ないので、そう言っていただけて安心しました(笑)。

「Blessing」のミュージックビデオ Short ver.を発表した時、いろんな方に「前向きな歌詞ですね」と言ってもらえたんです。そう言われること自体はすごく嬉しいのですが、 実はよく聴くとあまり前向きなことは言っていなくて。例えば、サビの<未来へと手を引く優しい言葉が もうこの世界にはありふれてるけど>という歌詞。

100人中100人が「この言葉で元気が出る!」「この言葉に支えられている」と思える言葉ってなかなかないですし、多くの人が「元気が出る!」と思うワードが正しいとされがちだけど刺さらなかった人はすごく疎外感を覚える。だから、「疎外感をできるだけ排除した言葉で、1人でも多く元気になれる歌詞を書きたい」というのはとてもこだわりました

――作詞曲以外の楽曲のこだわりポイントもお伺いしていきたいのですが、EP2曲目の「Hi-Five!」は作詞曲とガラッとイメージが変わりますよね。アニメのオープニングテーマのようなキャッチーさを感じました。

千葉:
何かのオープニングで使ってほしいですね(笑)。「Hi-Five!」にはハイタッチという意味があるので、曲調的には“元気さ”や “楽しさ”にフォーカスしている曲です。

ライブでやることを見据えて制作した曲だったのですが、イヤホンで聴いても「いいな」と思えたり、ライブに行った時のように「 元気が出るな」と思えたりする曲がほしいなと。なので、街を歩いた靴の音、手拍子をした手の感触……そういう感覚を持ち帰ってほしいというコンセプトで制作しました。

――まさにライブで聴きたい曲だなと思いました。みんなで一緒にクラップしているところがイメージできます。

千葉:
だけど、歌詞的には“色男”のようなことを言っているんです。「自分、カッコいいこと言っている」
と自覚を持って歌っている人のイメージですね。

一方で、歌詞にある<爽快な朝も饒舌な夜も大丈夫 ここにいるよ><「出会えてよかった」 そんな台詞そっと 心で呟き 噛みしめるそのたび あふれ出してくる 願い込めて 今>とかは、照れくささを感じながら歌っている感じを残しています。

最初は、ただただ「パッショナブルでカッコいい曲」というイメージだったのですが、ギターなどの楽器を歌に合わせて収録したものを聴いてみると、EPの5曲の中では言葉だけじゃなく存在そのものが心強いと思える曲になりました。作業が進むごとに、どんどんいい曲になっていった気がします。

――また、3曲目の「感情論」も1、2曲目とは雰囲気がかなり異なり、すごくオシャレな印象を抱きました

千葉:
そうなんです! 最初は別のコンセプトで集めていただいた曲のために提出されたものだったのですが、「この曲は絶対に使いたい!」「フルで曲をつくってほしい!」と、ワンコーラスのデモからコンセプトに合わせて歌詞やサビを大幅に変えていただきました。

もともとはもっと打ち込みっぽい音だったのですが、EP全体を通してバンドサウンドに統一したかったので、その路線に変更いただいています。なので、歌い方も感情的になりすぎず歌っていますね。歌い方がシンプルな代わりに、オケがお芝居してくれているように感じています。

また、僕から「ラップをやりたい」とお伝えして、挑戦させてもらいました。「千葉翔也がEDM的な曲を歌うとこういう世界観になります」というイメージの曲ですね。ソロアーティストだからこそ生まれた曲だと思います。

――最後に、4曲目の「WISH」。最初はギターのシンプルな音色から始まりますが、徐々に音数が増えて盛り上がっていくのが印象的な1曲です。

千葉:
「WISH」も集めていただいた曲から選ばせていただいたのですが、もともと「アコースティックな曲」「日々笑っていられたらそれでいい」というコンセプトで制作を進めたんですね。

そしたら、作曲・編曲を担当した小野(貴光)さんが、アコースティックにとどまらない本気の楽曲を作ってくださいました。大きいことを伝える歌詞ではないけど、小野さんの曲で壮大に伝えられる曲になったと思います。

バラードでもなく弾き語り曲でもない、バンドサウンドに乗せて些細な思いを届ける。すごくコンセプチュアルに仕上がっていて、僕らが思い描いていたEPの幅を、 いい意味で広げてくれた曲です。サビ前に楽器だけの長いパートがあるのですが、詞がなくても曲で思いが伝わるところが、僕はすごく好きです。

――バンドサウンドが軸にありながらも、それぞれが全く違う印象の楽曲なのがおもしろいです。

千葉:
歌い方も5曲全て違う声で歌うのではなく、 千葉翔也として素直に歌った表現の中から制作チームが曲に合わせた表現を提案してくれてブラッシュアップしていきました。だからこそ、より曲の違いが分かるようになっているのかもしれません。

千葉翔也『Blessing』初回限定盤

千葉翔也1st EP『Blessing』初回限定盤ジャケット

――EP全体をバンドサウンドにしたのは、バンドがお好きだからというのもあるんですか?

千葉:
はい。学生時代からJanne Da Arcなどを聴いてきました。バンドってカッコいいじゃないですか。「カッコいいは正義!」と思っているので(笑)、ずっとバンドが好きです。また、制作してくださったスタッフの皆さんもバンド好きが多かったのも影響していると思います。

――素敵なお話をありがとうございました! それでは最後に、千葉さんにとって“沼”とはどのような存在ですか?

千葉:
前向きに、元気になれる存在です。お笑いに限らずエンターテインメント全般ですが、その人が持っている可能性を最大限に生かしているものを見ることがすごく好きなんです。

また、芸人さんやアーティストの方たちのライブを見ると、「自分の持っている能力や可能性を100%しっかり活かせているかな?」と自問自答させてくれる存在でもあります。

(執筆:羽賀こはく、取材&編集:阿部裕華)

1st EP『Blessing』リリース情報

2024年1月17日リリース

【初回限定盤(CD+M-CARD)】
品番:KICS-94133
定価:¥3,630(税込)
※スリーブケース仕様 / 2枚組フォトカード封入(3種ランダム / 2枚の対は同じペア)

<CD>
・表題曲「Blessing」含む全5曲収録
・「Blessing」作詞:千葉翔也 作曲・編曲:加藤祐平

<M-CARD> ※初回限定盤のみ
・「Blessing」Music Video
・1st EP「Blessing」MAKING 収録予定
※MAKINGはレコーディングやジャケット撮影、Music Videoへの密着を予定しています
※M-CARDは動画コンテンツをスマホ/タブレット/パソコンなどでダウンロードしてお楽しみ頂けるカードです
※ダウンロード有効期限は2026年1月17日まで。

【通常盤(CD only)】
品番:KICS-4133
定価:¥2,530(税込)
※2枚組フォトカード封入(3種ランダム / 2枚の対は同じペア)
※2枚組フォトカードの絵柄は初回限定盤と同様になります

<CD>
・表題曲「Blessing」含む全5曲収録
・「Blessing」作詞:千葉翔也 作曲・編曲:加藤祐平

千葉翔也PROFILE

千葉翔也(ちば・しょうや)
1995年8月29日生まれ、東京都出身。B型。

千葉翔也 アーティストページ:https://chibashoya.com/
千葉翔也 公式X(旧:Twitter):https://x.com/Shoya_Chiba
千葉翔也 アーティスト公式X(旧:Twitter):https://x.com/ShoyaChibaMusic
千葉翔也 公式Instagram:https://www.instagram.com/shoya_chiba_official/
千葉翔也 公式YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/@ChibaShoya_Official

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羽賀こはく

横浜市出身。インタビュー記事をメインで執筆。愛猫2匹に邪魔をされながらゲームや漫画を楽しむことが生き甲斐。

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