阿部裕華
編集者/インタビューライター。映像・漫画・商業BL・犯罪心理学の沼に浸かる者。推しは2次元の黒髪メガネキャラ・英国俳優・BUMP OF CHICKEN・愛猫2匹。共著「BL塾 ボーイズラブのこと、もっと知ってみませんか?」発売中。
「推しは“応援する存在”というよりも、“自分のモチベーションを高める存在”」
声優アーティスト・鬼頭明里さんは常に何かにハマってきたそう。幼少期からアニメに触れ、学生時代はアニメ『イナズマイレブン』にドはまり。大人になってからは寝る間を惜しんでゲーム『NieR:Automata』をプレイすることも。
そして現在は、ゆるくK-POPグループKep1erにハマっているとのこと。
しかし、鬼頭さんはこう話します。「私はこれまで本当の意味で推し活をしたことがなかったかもしれません」と。なぜなら、アニメやアーティストのライブを見ても、常に「私もこうなりたい」という思いを抱いてきたから。
そんな彼女は今、声優、そしてアーティストになるという思いを叶え、2024年10月にはアーティスト活動5周年を迎えます。そこで、鬼頭さんがハマってきた沼や推しに迫るとともに、アーティスト活動の5年間を振り返っていただきました。
また、「久しぶりにこういう楽曲が来た!」と語る2024年1月31日リリースの6thシングル「夢の糸」の推しポイント、さらに自身が推し活で抱いてきた苦しみとその苦しみがあったからこそアーティスト活動に還元されていることについても語られます。
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INDEX
――はじめに、鬼頭さんが人生の中で1番ハマってきた沼を教えてください。
鬼頭明里(以下、鬼頭):
人生で1番ハマってきた沼……なんだろう……。いろいろハマってきたのですが、1番は『イナズマイレブン』ですかね。高校生の時にすごくハマっていました。
当時放送していたアニメは、ジャンルとか関係なくほとんど観ていたんですけど、その中で1番熱中していたのが『イナズマイレブン』だったと思います。人生で1番ハマっていましたね。
――どれくらいハマっていたか覚えていますか?
鬼頭:
当時、バイトをしていたのですが、絶対にリアルタイムで見たいから、『イナズマイレブン』の放送日時には絶対バイトを入れないとか(笑)。
あと、好きなアニメやゲームはあってもグッズはあまり買わないタイプだったのですが、『イナズマイレブン』だけはめちゃくちゃ買っていました。スーパーにいろんなタイプの食玩がたくさん売っていたので見かけるたびに買って、ガチャガチャも見かけるたびに回して……ここまでお金をかけた作品はこれまでないと思います(笑)。
――なぜそれほど『イナズマイレブン』にハマっていたのでしょう。
鬼頭:
シンプルに面白かったんです。『イナズマイレブン』はサッカーがわからなくても楽しめたので……(笑)。
――『イナズマイレブン』は超次元サッカー作品ですからね(笑)。
鬼頭:
そうなんですよ(笑)。私は、(基山)ヒロトというキャラクターを推していて、ビジュアルが好きだったんですけど……。でもやっぱり、作品そのものを推していましたね。
あとは、一緒にハマっている友達がいたのは大きかった気がします。どちらかの家に集まって一緒に観たり、一緒に観ていない時もチャットで実況し合ったりしていて。それが楽しかったんですよね。『イナズマイレブン』以外にハマったのも、友達と一緒にハマれたというのが大きな理由かもしれません。
――『イナズマイレブン』以外だと何にハマっていたんですか?
鬼頭:
いろいろハマっているんですよね。基本的に流行りものにハマってきていて、例えば『うたプリ(うたの☆プリンスさまっ♪)』『黒バス(黒子のバスケ)』とか。
当時は地元の愛知県に住んでいたのですが、池袋サンシャインのナンジャタウンでコラボイベントを開催していた時には、わざわざ愛知から東京まで友達と遊びに行っていました。そこでグッズを買って楽しんでいたことはありますね。
声優の悠木碧さんからプレゼンを受けて、ゲームの『NieR:Automata』にすごくハマったこともあります。3周くらいしないと全部のルートをクリアできないので、2〜3日かけてプレイしたんですけど……寝る間も惜しまず朝5時くらいまでプレイしていました(笑)。
――2〜3日続けて朝5時までプレイしていて、体調とか大丈夫だったんですか……?
鬼頭:
さすがに頭が痛くなりましたね。「続きが気になるから止められない……でも頭痛い……めっちゃ痛いのに止められない……」と思いながらプレイしていました(笑)。
ご飯を食べる時間も惜しいので、ちゃんとしたご飯も食べずにパンをかじりながら……仕事だけはちゃんと行って帰ってきてまたゲームをプレイして。無事クリアはできましたけど、自分で「自分、ヤバいな」と思いました(笑)。
最近も『スイカゲーム』にハマって、3日間くらい朝までプレイしてしまったのですが、スイカがつくれたので引退しました(笑)。
――引退したんですね(笑)。
鬼頭:
ゲームはハマると抜け出せなくなって、後悔することになるので、ハマらないように自制しています(笑)。
――鬼頭さんが直近でハマっている沼はありますか?
鬼頭:
ゆるくハマっているのはK-POPグループのKep1erですね。アニメやゲーム以外にK-POPも好きで、そんなに詳しいわけではないけど、「好きだな」と思うグループの楽曲はずっと聴いていました。
少女時代、TWICEも好きですね。その中でも今1番聴いているのがKep1erです。
――いろいろなK-POPグループがある中で、Kep1erのどこに惹かれたのでしょう。
鬼頭:
Kep1erが誕生したオーディション番組(『Girls Planet 999』)を観ていて、それが面白かったからハマったというのが大きいです。デビューしてからは、全部の曲を満遍なく聴いているほど好きな曲調の楽曲ばかりというのもあります。
また、曲を聴くのも好きですがMVを観るのも大好きで、気に入ったMVは大画面で観たいので、出かける準備をしている時などはずっと家のテレビで流しています。
あと、推しメンがいるのもKep1erが好きな理由の一つです。
――Kep1erのどのメンバーが推しなんですか?
鬼頭:
みんな好きなのですが、特に好きなのはヒカルちゃんとシャオティンちゃん。2人共オーディション番組の時点から推していました。
ヒカルちゃんは、オーディション番組の時点でエースと呼ばれているほど、ずっとパフォーマンスが素晴らしかったんです。「すごいな」と思うところがたくさんあって、尊敬します。
シャオティンちゃんは、とにかく顔、ビジュアルが良すぎる。それに加えて実力もあるから、ハマらざるを得ないなと(笑)。
――Kep1erはライブに行くこともあるのでしょうか。
鬼頭:
行かないですね……。もともとあまりライブに行く習慣がなくて、片手で数えられるくらいしか行ったことがないです。K-POP系は高校生の時に1回行ったくらい。
逆にライブBlu-rayとかはよく観ています。私はライブってステージから遠い席だと、「同じ空間にいるのに遠いな……」と寂しさを感じたりするんです。なので、一人ひとりの顔がちゃんと分かるライブ映像を観る方が好きです(笑)。
――推しに実際に会えなくても楽しめるということですよね。
鬼頭:
そうですね……。考えてみると、私はこれまで本当の意味で推し活をしたことがなかったかもしれません。
昔からアニメやライブを見ていても、「私もこうなりたい」「自分も同じステージに並びたい」「アーティストになるのは無理かもしれないけど、何かしら同じくらい有名になりたい」と思ってしまうタイプだったんですよ。
Kep1erとかK-POPアイドルも「その人たちになってみたい」という気持ちで観ているかも。 絶対に無理だし、本当になれると思っているわけじゃないけど、 「そういう風になれたら楽しいだろうな」「尊敬できる部分を自分にも取り入れたいな」と思ってしまう。
だから、私の中での推しって“応援する存在”というよりも、“自分のモチベーションを高める存在”というか……。皆さんの定義する推しとはまた違う感覚かもしれません。
――実際、「私もこうなりたい」という思いを叶え、声優として活躍されています。さらに、アーティスト活動も今年で5周年を迎えます。この活動期間を振り返り、どんな瞬間にやりがいを感じられていますか?
鬼頭:
ライブでたくさんのお客さんが来てくれているのを目の当たりにしながら歌えることですかね。
アーティスト活動をしていなかった時は、出演作品のイベントに来てくださるお客さんは、私単体のファンというよりも「作品やキャラクターのファンの方たち」と思うようにしていました。
でも、アーティスト活動を始めてからは「鬼頭明里を好きで来てくれている方たち」と思えていて。特に、ライブに集まってくれるって相当濃く好きでいてくれている方だと思うんです。それはすごく嬉しいし、ありがたさを感じますし、大事にしていかないといけないと思っています。
――中でも特に印象に残っているライブはありますか?
鬼頭:
全部印象に残っていますけど、1つに絞るなら1stライブ(『Colorful Closet』)かな……。
私、アーティストデビューしてすぐにコロナ禍に突入してしまったんですよ。1stライブもコロナ禍真っ只中。コロナ禍になってライブ開催に踏み切るのにはさまざまな葛藤がありました。
「ライブをしてもいいのか?」「するにしてもどこまで制限をする必要があるのか?」「ライブができても声出しができなかったら、お客さんは楽しめないのではないだろうか」「やっぱり中止した方がいいのでは……」といろいろな思いが巡っていたんですよね。
だから、たくさんの方たちが来てくださってすごく嬉しかったのを今でも覚えています。
――コロナ禍でのアーティスト活動は大変だったかと思うのですが、もう一つ気になるのが声優業との両立です。数多くの作品に出演されていた中、声優業とアーティスト活動の両立に大変さを感じることはなかったのでしょうか。
鬼頭:
週に何回もレコーディングが重なってしまった時なんかは、たまに「大変だな」と思うことがありました。ありがたいことに、私はキャラソンを歌わせていただく機会が多くて。アーティスト活動のレコーディングとキャラソンのレコーディングの時期が同じだと、レコーディングばかりしている時も。
とはいえ、アーティスト活動は自分の気持ち、感情をそのまま表現してレコーディングに臨めるんです。ですので、そこまで気負わずにレコーディングができています。そういう意味で、大変さばかりではないと思っています。
――逆に両立していることで、どちらかの活動に還元されることもありますか? 例えば、「アーティスト活動を始めたことで声優業の表現の幅を広げられた」とか。
鬼頭:
還元し合っていることはあまりないかもしれません。それこそ私は声優とアーティストでは表現の仕方が違うと考えているんですよね。
また、声優業を始める前から歌を歌うことが好きで、よくカラオケに行ってアニメソングやロックなどいろんなジャンルの楽曲を歌っていたんです。その経験のおかげで、「この声を出す時はこういう喉の形」と何となくイメージできて、いろんな役を演じられていると思っています。
逆にアーティスト活動で歌を歌う時は、曲によって歌い方を変えている意識はないので、声優業に還元されているという感覚があまりないんだと思います。
――アーティスト活動をする前から、すでに歌うことで声の表現を学んでいたのですね。では、アーティスト活動をする上で意識していることはありますか?
鬼頭:
声優をしている時はあまり自分の意志を出さないようにしていたのですが、アーティスト活動では逆に自分の意志を出していかないとなと最近思うようになりました。
ちゃんと自分の意志を持って、「自分は何を表現していきたいのか」「どういう活動をしたいのか」を考えるようになってから、曲や衣装などに対して少しずつ自分の意見を伝えるようになりました。
普段も「どんな曲を歌いたいか」を意識して音楽を聴いたり、日常的に触れている雑誌やMV、音楽で「いいな」と思ったものがあれば覚えておいたり。それを楽曲制作の時に伝えるようになりました。最近は毎回、オシャレな曲や難しそうな曲を自分で選ばせてもらっています。
次ページ▼ジャケ写やMVに自身の意見を取り入れた、6thシングル「夢の糸」
阿部裕華
編集者/インタビューライター。映像・漫画・商業BL・犯罪心理学の沼に浸かる者。推しは2次元の黒髪メガネキャラ・英国俳優・BUMP OF CHICKEN・愛猫2匹。共著「BL塾 ボーイズラブのこと、もっと知ってみませんか?」発売中。
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