ふくだりょうこ
大阪府出身。大学卒業後、フリーランスのライターとして執筆活動を開始。ゲームシナリオのほか、インタビュー、エッセイ、コラム記事などを執筆。たれ耳のうさぎと暮らしている。ライブと小説とマンガがあったら生きていける。
――最新シングル『グッドラック』は、タイプの違う楽曲が3曲収録されていて聴いた時には少し驚いてしまいました。ぜひ、畠中さんご自身から3曲それぞれの“推しポイント”をお聞かせください。
畠中:
まず表題曲の「グッドラック」は、少し疲れてしまったり、傷ついてしまったりした時に寄り添える楽曲になっているのが推しポイントです。
というのも、この楽曲はフォーミュラ4という車を題材にしたTVアニメ『オーバーテイク!』のED主題歌になっています。本作は、登場人物たちがトラウマや傷を乗り越えていくヒューマンドラマが描かれてる作品です。
「グッドラック」も作品に合わせて、「背中を押そう!」と応援するよりかは、「近くで見守っているよ」とちゃんと寄り添える楽曲になったらいいなと思って、優しさをマシマシで歌いました。
――とても優しい声で、まさに疲れた時に聴きたくなるような楽曲でした。
畠中:
疲れた時に、ぜひ聴いてもらいたい楽曲です。
アニメの雰囲気に合わせて、抜け感重視というか……「爽やかな感じで歌ってほしい」とディレクションを受けました。歌っている側の僕自身もいっぱい傷ついたり、悩んだりもしますけど、「それでも朝は来るよね」と思えるような楽曲になったんじゃないかなと。
歌詞に<駆け抜けた孤独な夜>とあるように、人間は夜に悩むものなので。眠れなくなる夜を超えて、朝が来た時には少し気持ちが軽やかになっていて欲しいな、という願いを込めました。
ミュージックビデオには、まさにそんなメッセージが込められています。
綺麗ごとではなく、誰かの言葉やぬくもりに生かされる瞬間がある。それを、この歌の中に散りばめられたらいいなと思って、歌っています。
――シングル2曲目の「Psycho」についてはいかがでしょうか。こちらは長編映画『家族という病』の主題歌ですね。
畠中:
「Psycho」は、楽曲に込められた“息苦しさ”みたいなものが推しポイントですね。
映画の内容にも通じる楽曲になっていて。繋がりによって生まれてしまったしがらみって、誰しもきっと感じたことがあるはずです。そうなってしまった時、しがらみを立ち切っていく強さや、しがらみにとらわれない孤独が必要なこともあると思います。
そんなしがらみによって生まれてしまった息苦しさをこの楽曲にはぎゅっと閉じ込めることを意識して歌いました。
サウンド自体もすごくかっこよくて、お気に入りの曲になりました。
――難易度の高そうな曲調だと感じたのですが、レコーディングではどのようなディレクションを受けましたか?
畠中:
「Psycho」の楽曲制作をしてくださったJeff Miyaharaさんは海外に住んでいる方なので、日本に帰国されている時にレコーディングをしたのですが、そのレコーディング方法が特殊だったんですよね。
「音程はいいから、とにかく息苦しさ、息が詰まる感じをやってほしい」「1人で森の中にいて、孤独を感じてほしい」とか。歌で遊ぶ感覚がちょっと必要というか。高いイメージ力と、そのイメージをさらにアーティスティックに歌い上げる力が必要で、お芝居みたいで面白かったです。
「どこで、誰と、何を話しているのか」「その中でどんな息苦しさを感じているのか」と状況をイメージして歌うことで、曲の説得力にも繋がる。それが新発見でしたね。
僕自身、これまでいろんな歌を歌わせていただいていますけど、歌の技術的なことばかり考えて歌ってきて、お芝居のような感覚で歌ったことはなかったなと刺激を受けました。
――そして、前述の2曲とはさらに打って変わり、王道なラブソングである「Endless Love」。恋愛ゲーム『イケメンヴァンパイア◆偉人たちと恋の誘惑』の 5周年記念タイアップソングです。
畠中:
「Endless Love」はかなりこってりしていますよね。そこがまさに推しポイントかなと思っています。
『イケメンヴァンパイア◆偉人たちと恋の誘惑』というゲーム自体がそもそもこってりしているんですけど(笑)、そのテーマソングということもあり、楽曲もこってりになりました。
歌詞を見ていただくと分かると思いますが、この楽曲は1人の女性に愛を捧げ、愛を求める歌になっています。
歌う側としては、今までと求められているものがまったく違っていて。僕はいつも歌いながら試行錯誤するんですけど、試行錯誤の仕方がちょっと違うというか……。
――どのように試行錯誤したのでしょう。
畠中:
いつもは、レコーディングの時に原曲から少し音程やリズムをズラして遊ぶんですけど、それとは違うクセの付け方をしています。
スタッフの皆さんからは「もっとこってりいこう!」「もっとこってりがほしい!」と求められていて(笑)。僕自身も聴いていて、「これはあっさり歌ったら楽曲に負けてしまうな」と思ったので、自分でもこってりめに愛をささやくように歌わせてもらいました。
『イケメンヴァンパイア』スタッフの方たちも、高い熱意を持って制作に取り組んでいらっしゃるので、「それに応えたい!」という気持ちもありました。
――それぞれ表題曲となり得るくらい濃い楽曲が揃った『グッドラック』ですが、リスナーの皆さんにはどう届いてほしいと思いますか?
畠中:
それぞれ楽曲の印象はまったく違うんですけど、共通点があって。それは、全部“愛”について歌っていること。
「グッドラック」は人の寄り添う愛を歌っていて、「Psycho」で歌われているしがらみは愛ゆえに生まれている。「Endless Love」は、タイトルや歌詞からまさにラブ(愛)ですし(笑)。
そういう共通点を持ちながら、それぞれまったく違う愛への向き合い方が楽しめるシングルになったのかなと思います。
――畠中さんにとって、「音楽」や「歌」はどういう存在なのでしょうか。
畠中:
年月が経つにつれて形を変えているけれど、総じて“相棒のように寄り添ってくれる存在”だと思います。
小さい頃、僕にとって「音楽」「歌」は遊び道具でした。気に入った曲を必ず歌っていたのは、自分が楽しくてやっていたことだから。それは、おもちゃで遊ぶ感覚と同じだったと思います。
それが大人になるにつれて、日常的に音楽が寄り添ってくれていたんですよね。自分がフラれちゃった日、落ち込んだ日、逆に元気が出た日、嬉しかった日……自分の気持ちを代弁してくれるかのように、音楽が歌ってくれる日があった。「音楽、歌は裏切らないよな」と感じています。
――ご自身が音楽をやり始めても、その気持ちは変わらない?
畠中:
たまに、プレッシャーばかり感じてしまって、音楽や歌が楽しいことだというのを忘れてしまいそうになる瞬間はあります。そうやって楽しい気持ちを忘れそうになるのが怖いんですよね。
お芝居をしている時も同じですけど、プレッシャーばかり感じていたら苦しいじゃないですか。音楽や歌が好きだったのに、いざ自分が歌の世界に飛び込んでみると、すごく苦しい瞬間がある。その苦しさとずっと向き合っていると、楽しさを忘れてしまうんですよ。
だから、そういう時は「いやいや、もっと楽しかったじゃない!」「なんとなく歌っていて歌詞を間違えても楽しかったじゃない!」と思い起こすようにしています。どこかには絶対「歌、音楽が楽しい」という感覚がある。それはプレッシャーによって消えてしまうものではないから、って。
だから、プレッシャーを感じた時こそ純粋に楽しむ気持ちに頼ろうと考えていて。その楽しさは、スタッフさんやバンドメンバー、ファンの方たち、お客さんたちと作っていきたいなと思っています。「楽しい」を原動力に、音楽や歌と向き合っていきたいですね。
――畠中さんの音楽活動の軸である「何が楽しいのか」を自分で考えることに通じますね。
畠中:
そうですね。そもそも音楽や歌って、国や言葉を超えていく力があると思うんですよね。みんな自国の曲だけではなく、言葉が分からなくても他国の曲を聴きますよね。それは「こういうところが好きだから」と理屈で聴くのではなく、「なんとなく楽しい」と感覚的に聴くのだと思うんです。
だから、僕自身も音楽活動をしていく上で、理屈ではなく感覚的な「楽しいか」「楽しくないか」を追っていきたい。それを考えられないのなら、音楽をやる意味はないなとさえ思っています。
(執筆:ふくだりょうこ、取材&編集:阿部裕華)
TVアニメ『オーバーテイク!』ED主題歌
「グッドラック」
2023年11月29日発売
【初回限定盤(CD+Blu-ray)】
価格:¥2,970(税込)
品番:LACM-34464
※ランダムフォトカード(全3種のうち1種封入)
【通常盤(CD only)】
価格:¥1,430(税込)
品番:LACM-24464
※TVアニメ『オーバーテイク!』描き下ろしイラストを使用した長帯仕様
<CD>
1. グッドラック (TVアニメ『オーバーテイク!』ED主題歌)
作詞:yumeiroecho 作曲・編曲:イケガミキヨシ
2. Psycho (長編映画『家族という病』主題歌)
作詞:Kanata Okajima 作曲・編曲:Jeff Miyahara
3. Endless Love (恋愛ゲーム『イケメンヴァンパイア◆偉人たちと恋の誘惑』 5周年記念タイアップソング)
作詞・作曲:綿貫直行 編曲:はな (Gacharic Spin)
4. グッドラック (Instrumental)
5. Psycho (Instrumental)
6. Endless Love (Instrumental)
<Blu-ray>
1. グッドラック (Music Clip)
2. Making of グッドラック
畠中祐(はたなか・たすく)
1994年8月17日生まれ、神奈川県出身。O型。
ランティス公式アーティストプロフィール:https://lantis.jp/artist/hatanakatasuku/
公式X(旧:Twitter):https://twitter.com/tasuku_kenpro
ふくだりょうこ
大阪府出身。大学卒業後、フリーランスのライターとして執筆活動を開始。ゲームシナリオのほか、インタビュー、エッセイ、コラム記事などを執筆。たれ耳のうさぎと暮らしている。ライブと小説とマンガがあったら生きていける。
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