Bimi(廣野凌大)、俳優の道へ進んだ音楽少年が「音楽で2.5次元舞台に恩返ししたい」という想いを抱くまでの軌跡【1万字超インタビュー】

Bimi(廣野凌大)、俳優の道へ進んだ音楽少年が「音楽で2.5次元舞台に恩返ししたい」という想いを抱くまでの軌跡【1万字超インタビュー】

Bimiの喜怒哀楽と人生を描いた1st EP『心色相環』「人生に彩りが生まれたら嬉しい」

――ここからは、1st EP『心色相環』に収録されている楽曲の推しポイントを教えてください。

Bimi:
「博徒街道」はサブテーマに「喜」を置いているので、自分自身が一番喜ぶ“ギャンブル” “胸”について綴っています(笑)。

あと、鳥山明先生が好きでドクター・マシリトが出てきた時に「天才だな……」と思ったので、ドクター・マシリトを執刀医に見立てて、<ドクターマシリト サイボーグ状態 好機は斬り込む 即座に頂戴>という歌詞を書いたんですよ。自分でもこの歌詞はいいなと思っています(笑)。

――Bimiさんの好きなものが歌詞に詰まっているということですね。続く2曲目の「怒鈍器」。力強く、めちゃめちゃカッコいい楽曲だと思いました。

Bimi:
サブテーマは「怒」なので、すべてに対する無茶苦茶な怒りと、その怒りへ自然でぶん殴る=“ネイチャー殴り”について書いた曲です。鋭利な刃物で攻撃すれば血は出るけど血が出るって痛みを逃がしているということだと思うので、鈍器で殴って内出血させて痛みを留まらせるというイメージですね。そのネイチャー殴りを<Channel Discovery>と表現している部分は、自分で書いている歌詞だけどすごく好き。

また、<溜まりに溜まってるんなら抜いてスッキリしな>という詞は、いろんな意味の“抜く”が込められたいい感じのラップに仕上げることができたなと。難しいラップスキルをどんどん詰め込んでいきました。

――『ヒプステ』の空却役もですが、ラップスキルは「さすが」の一言に尽きます。

Bimi:
役者をして滑舌が良くなったんですよね、もともとラップは好きでやっていましたけど、そこに役者で培った発声が加わったので、歌唱は無敵になりました。最近、普通の会話やセリフの方が噛みますもん(笑)。

Bimi(廣野凌大)、俳優の道へ進んだ音楽少年が「音楽で2.5次元舞台に恩返ししたい」という想いを抱くまでの軌跡【1万字超インタビュー】

――ラップよりセリフの方がゆっくりなのに(笑)。では、先ほども少しお話していた3曲目の「インベーダーインバイト」。宇宙人がテーマということですが、こちらの推しポイントは?

Bimi:
「インベーダーインバイト」は、コンビニバイトをしている宇宙人について書いた曲です。半年くらいで辞めたけど、以前コンビニでバイトをしたことがあったんですよ。その時、疲れながら商品を乱雑に投げる人、死んだ目の人など可哀そうな人たちを見て、「何がお前をそうさせているんだ……」「そんなに嫌なことがあるなら逃げてもいいのに」と思っていました。

逃走本能はあるのに、その本能に従わないで向き合う生き物って人間だけじゃないですか。そういう、しがらみに縛られていることが人間の美しさでもあるし、哀しさでもある。それを歌いたいと思ったと同時に、同じ人間の俺が歌うと説教がましくなるし、「お前に何が分かる」と反感を買うだろうと。

そこで語り手を宇宙人に見立てて、「なんでそんなに哀しい想いをしなければいけないの?」という疑問をぶつけました。哀しみを背負いながらも、「そんなに苦しいなら、今日くらいは楽しいことをしよう」と伝えた曲です。

――サブテーマは「哀」なのに、メロディやサウンドには遊び心があって、すごく面白さを感じました。

Bimi:
哀しい時に「哀しい」と言える人って少ないじゃないですか。ネガティブな感情の押し付けって他人にとっては不快だから。

一方で、哀しみを我慢している時ほど哀しそうに見えるんですよね。そういう哀愁漂う感じを狙いたかった。「そういう哀しみを実は背負っているんだよな?」と寄り添うような曲にしたかったんです。

――ここまでの3曲もバラエティに富んでいますが、4曲目の「ミツ蜂」は和テイストな曲調でまた違ったカッコよさがありますね。

Bimi:
「ミツ蜂」は“ミツバチ”、“宗教”、“ライブハウス”の3つを掛け合わせた楽曲です。

「ミツ蜂」を含めて3曲連続リリースしたんですよね。最初の2曲「babel」「インベーダーインバイト」は「Bimiらしさがなくなったんじゃないか」「メジャーデビューしたから変わってしまったのではないか」と思われるような曲にして、3曲目の「ミツ蜂」で「お待たせ! Bimiサウンドが返ってきたよ!」としたくて。

――「待ってました」感を演出したんですね。

Bimi:
そうなんです。それで3曲目を作る時に、「EDM調でラップがあって踊れるBimi感マシマシの曲」とDJ dipに注文しました。

届いたトラックを聴いて、最初の“てんてててんてん”が警告音のようで、頭の中に黒と黄色の「WARNING」マークが浮かんできたから、「蜂だ!」と思ったんですよ(笑)。

じゃあ、どの蜂について書こうかと考えた時に、「スズメバチだと1人でも強いからアメリカやヨーロッパのイメージだな」「集団になって大きなスズメバチに立ち向かうミツバチの方が日本人っぽいな」と“ミツバチ”をモチーフに詞を書きました。また、そういう集団心理で誤魔化されてしまうところが“宗教”みたいだと思ったんです。

そして、アーティストという甘い蜜に誘われてたくさんの人が群がる宗教のような空間が“ライブハウス”だなと。<断然外より中は危険度高みなBee>の詞にもあるように、「ミツ蜂」の“ミツ”はライブハウスの密な空間という意味も込めています。

――なるほど。だから「蜜蜂」ではなく「ミツ蜂」なんですね。

Bimi:
そうなんです。「蜂蜜の蜜」「甘い蜜で釣られる人たち=宗教勧誘」「ライブハウスの密」という3つのミツで「ミツ蜂」です。

<フェロモン“美”が君刺す>の美は“Bee=蜂”、<一時の顛末 与 快楽美貌 喰う淫靡 はにかむ>の喰う淫靡は“クイーンビー=女王蜂”、はにかむは“蜂の巣の8角形=ハニーカム”といろいろ考えてリリックを書きました。サブテーマの「楽」も“音楽”や“快楽”など、“楽しい”以外の様々な“楽”が込められています。

――「楽しい」の意味だけではないのが面白い。そして、次の曲が「babel」。メジャーデビューの楽曲ですよね。

Bimi:
こっぱずかしくなるくらい、自分のこれまでの人生を全部載せた曲ですね。今までの自分の人生を曲の中に置いておきたくて、25年しか生きていない若造が思った今の音楽、人との対話で感じたこと、全部と向き合いました。

これから先、「なんでこの人はいろんな曲を書くんだろう」と思われた時に、バベルの塔みたいにどれだけ言語化しても伝わらない、分かり合えないこともあると思うんですよ。だけど、目には見えない感情的、精神的な部分で繋がれたらいいなと。DNAの2重螺旋構造のようなイメージで書いた曲です。

とはいえ、「自分語りみたいで嫌だな」と思っているから、実はライブで1回も披露していなくて。今歌うのは、自分のことを押し付けているみたいでカッコ悪い。いつか来るであろう区切りのタイミング、グッとくるエモいタイミングで披露するのを狙っています。

――いろんな想いが詰まったメジャーデビュー曲「babel」に続き、EPの最後にはインディーズ時代から披露していたライブの人気曲「輪」のリミックスバージョンとなる「輪 -味変-」が収録されています。

Bimi:
ずっと応援してくれているリスナーに向けて、「インディーズ時代の曲も捨てないよ!」という意思表示に、「味変」というサブタイトルでインディーズ時代のリミックスをやっていこうと思っていたんです。中でも、「輪」はライブですごく盛り上がる曲だったので、第1弾としてリミックスしました。

俺の中で『心色相環』は、「博徒街道」から「babel」までの5曲で1つのアルバムとして完成していて、「輪 -味変-」はボーナストラックだと捉えています!

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――そもそも『心色相環』に喜怒哀楽というテーマ性を込めたのは、どういう意味があったんですか?

Bimi:
自己紹介にしたかったんですよね。「初めまして! メジャーデビューしました。調子に乗っているBimiです! いろんな曲が作れます」という意味を込めたくて、バラエティを出せるテーマ性を考えました。

その中で、“喜怒哀楽”という人間を形成する感情をテーマにしたいなと。加えて自分の人生を歌おうと「babel」を作ったんです。この5曲が揃った時に、EPタイトルの『心色相環』と決めました。

喜怒哀楽って感情が4つしかないという単純なことではなく、すべての感情が表裏一体じゃないですか。喜びの感情が100%のこともあれば、喜びの中に哀しみが数%混じっていることもある。人間の感情ってまるで色相環の輪のようだと思ったんですよ。

とはいえ、ただ「色相環」だと感情という意味は伝わらない。「それなら心の色相環=『心色相環』だ!」「語呂もいいし、覚えやすいだろう」と。

――発想が素晴らしい。そんな『心色相環』をリスナーの皆さんにはどう聴いてほしいと思いますか?

Bimi:
音楽は人生の娯楽だから楽しい気分になってほしいし、Bimiの自己紹介だから仲間みたいな気持ちで「こういう人間もいるんだな」という感覚で聴いてほしいです。Bimiの人生を娯楽の一部として楽しんでもらって、聴いてくれた人の人生に彩りを与える存在になれたらいいなと思っています。

そして、EPを聴いて「ライブに遊びに行こうかな」と思ってもらえたら、ライブに来た人には「お酒が美味しい!」「あの人ちょっと好きかも、カッコいいかも!」と思ってもらえたら嬉しいです(笑)。

ライブで「お酒が美味しい」「体を振って楽しい」と思う感覚は、言語が生まれる前からある感情じゃないですか。そんな楽しい感情を言葉以外で引き出すための表現方法が音楽だから、『心色相環』に触れて人生に彩りが生まれたら嬉しい。信者になって欲しいわけでも、キャーキャー言われたいわけでもなく、気軽にライブに来てくれればそれでいいと思っています。

Bimi(廣野凌大)、俳優の道へ進んだ音楽少年が「音楽で2.5次元舞台に恩返ししたい」という想いを抱くまでの軌跡【1万字超インタビュー】

――音楽を始めた時の原動力である「モテたい」という気持ちは今もあるのでしょうか。

Bimi:
今はそこを超えたんですよね。「モテるなら音楽じゃないんだな」と悟りました。悟ってからは音楽はモテるためのツールではなく、自分を形成してきたもの、好きなものだと気づいた。だから今は、売れたい気持ちもありつつ、「刺さる人にだけ刺さればいい」と思っています。

「アーティストとして実力をつけて、2.5次元カルチャーとの架け橋になりたい」

――これから本格的に音楽活動を始動させていくと思うのですが、今Bimiさんが目指しているアーティスト像とは?

Bimi:
俺みたいな偏屈なやつらが認めてくれるような説得力を持つアーティストになりたいと思っています。説得力を持つことによって、これからの活動に仲間を引き入れやすいと思うんです。

同時に、2.5次元の舞台や役者には恩があるから、音楽で恩を返していきたくて。自分が売れていれば売れているほど、2.5次元舞台というものがカルチャーとしても商業としても大きくなるから。大きくなれば、もう少し海外にも誇れるようになるのかなと。だからまずは、自分の実力を上げて、説得力を身につけて、役者の仲間たちとアーティストの仲間たちの架け橋になれたらいいなと考えています。

昨年(2023年)に開催した『Bimi Fes』では、俳優仲間に来てもらって、チケットは仲間たちの方が売ってくれて、仲間目当てで足を運んでくれる人がたくさんいた。完全に俺がおんぶにだっこ状態だったんですよ。感謝と同時に、「ちゃんと売れて、有名になって、この恩は必ず返すから」と焦りもありつつ、思っています。

Bimi(廣野凌大)、俳優の道へ進んだ音楽少年が「音楽で2.5次元舞台に恩返ししたい」という想いを抱くまでの軌跡【1万字超インタビュー】

――「役者仲間とアーティスト仲間との架け橋になりたい」とのことですが、今俳優業とアーティスト業を両立している中で「両者が還元し合っているな」と感じることはありますか?

Bimi:
音楽への感情移入の仕方、ステージでの立ち振る舞いなど、技術的なことは俳優業から培われたと思っています。でも、それに頼って音楽が偽物になってしまうのは避けたくて。嘘をつかない今の等身大の自分でカッコよくいたいんですよね。

――相互的に実力を補っていくのではなく、それぞれの道で実力をつけていきたいというのとでしょうか。

Bimi:
それが1番いいなと考えています。どちらの実力にも頼らずにいたい。だけど、俳優とアーティストの垣根は無くしていきたいですね。

さっきの話とも繋がるけど、俺が音楽で実力をつけたら、もっと男性も2.5次元舞台を見に来てくれるかもしれないじゃないですか。そうやって敷居を広げることが、舞台や演技に対する俺なりの恩返しだと思っています。

そんなことファンは求めていないかもしれないけど、区切りがない方が楽しいんじゃないかって。それで万が一マナーが悪くなったら、俺たち役者側が「今までファンでいてくれたみんなを尊重しながら戦うよ」って言います。ファンを大切にしながら、いろんな人と一緒に末永くやっていきたい。そういう恩返しをしていきたいです。

Bimi(廣野凌大)、俳優の道へ進んだ音楽少年が「音楽で2.5次元舞台に恩返ししたい」という想いを抱くまでの軌跡【1万字超インタビュー】

――等身大の想いを語っていただき、ありがとうございました。最後に、Bimiさんにとって「音楽」とは?

Bimi:
モテるためのツールです!(笑) モテたい!!

――あれ!? 結局、最初に戻ってきた!(笑)

Bimi:
あはははは(笑)。

(執筆:羽賀こはく、取材&編集:阿部裕華、撮影:鬼澤礼門)

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Major 1st EP「心色相環」リリース概要

2024年3月13日(水)発売

【通常盤CD Only】
KICS-4135 / 定価:¥2,750(税抜価格 \2,500)
CD封入特典:ロゴステッカー通常Ver.(初回製造分のみ)
〈収録曲〉
M1. 博徒街道
M2. 怒鈍器
M3. インベーダーインバイト
M4. ミツ蜂
M5. babel
M6. 輪 -味変-

【ELR Store限定盤CD+Blu-ray】
NKZC-52~53 / 価格:\8,250(税抜価格 \7,500)
CD封入特典:ポスター風ブックレット+ロゴステッカー限定Ver.(初回製造分のみ)
〈Disc1(CD)収録曲〉
通常盤と同内容の6曲入りCD
〈Disc2(Blu-ray)収録内容〉
・Bimi Fes turn 1 本編より9曲
M1. Question (feat. ARIMATSU)
M2. LOVE
M3. Die young
M4. weapons
M5. inner child
M6. beast
M7. selfy
M8. babel
M9. 輪
・Behind the Scene 「babel」Music Video #03

Bimi プロフィール

Bimi(ビミ)
1998年4月28日生まれ

Bimi オフィシャルサイト: https://bimi-official.com/
Bimi 公式X(旧:Twitter): https://twitter.com/ise_ise_oysy
Bimi Instagram: https://www.instagram.com/bimi_official_dcc
Bimi 公式YouTubeチャンネル: https://www.youtube.com/c/Bimi_official_DCC

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羽賀こはく

横浜市出身。インタビュー記事をメインで執筆。愛猫2匹に邪魔をされながらゲームや漫画を楽しむことが生き甲斐。

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オタ腐★幾星霜