舞台『アオペラ』長江崚行&佐奈宏紀インタビュー

長江崚行&佐奈宏紀「アカペラは音を通じてコミュニケーションを取れる瞬間が、最高に気持ちいい!」舞台『アオペラ』インタビュー

「アナタの推しを深く知れる場所」として、さまざまな角度で推しの新たな一面にスポットを当てていくnuman。今月の深堀りテーマは“音楽”

うれしい時、悲しい時、幸せな時。そして、ちょっぴりつらい時も。いつも私たちに寄り添ってくれる…「音楽を推す」特集を実施中です。

あの曲を聴けば、青春時代の風景が色鮮やかに蘇る。

そんな経験は誰しもあるのではないでしょうか。舞台上でキラキラと歌って、踊って、芝居を届けてくれる役者にもそんな経験がきっとあるはず。そんな期待を抱いてお話を聞いたのは、数多くの舞台・ミュージカル作品で活躍している俳優の長江崚行さん佐奈宏紀さんです。

舞台『アオペラ』長江崚行&佐奈宏紀インタビュー

幼い頃から芸能活動をしてきた長江さんは、自然と歌が好きになっていたと言います。一方で、長江さんからも「いい声」と絶賛された佐奈さんは、意外にも歌うことが好きになったのはつい最近だとか。

そんな意外性あふれる話題からスタートした音楽トークは、おふたりを形成する音楽のルーツや、青春の楽曲、舞台本番前に必ず聴く楽曲まで、和気あいあいと続きました。洋楽好きな佐奈さんに対し、長江さんはK-POPが好きなど、一見すると好みが分かれるようで、意外な楽曲で意気投合したり……!?

長江さんは「音楽は“サンドバッグ”」、佐奈さんは「音楽は“血液”」と語ります。そこにはどんな想いが込められているのでしょうか。“表現者”として舞台に立つおふたりの音楽観に迫るとともに、おふたりが出演する舞台『アオペラ』についてもお聞きしました。

舞台『アオペラ』長江崚行&佐奈宏紀インタビュー

舞台『アオペラ』は、アカペラに魅了された高校生たちを描く音楽原作プロジェクト「アオペラ -aoppella!?-」を原作とした作品で、2024年11月に上演されます。

「アカペラは、音を通じてコミュニケーションを取れる瞬間が最高に気持ちいい」。

アカペラ初挑戦となるおふたりは、そう笑顔をこぼしました。話題がアカペラ稽古やチームメンバーに及ぶと、おふたりの表情にはなんとも温かな笑顔が。お互いに自分のチームのよさを伝え合う姿は、まさに「アオペラ -aoppella!?-」で描かれている、“音楽でつながる青春”そのものです。

インタビューではジャンルレスにさまざまな曲名が飛び交いました。ぜひその楽曲をBGMに、おふたりの音楽の軌跡を追体験してみてください。

音楽が身近だった幼少期。ふたりに影響を与えた音楽遍歴とは?

――様々な舞台で歌を披露されてきたおふたりですが、歌はもともとお好きですか?

佐奈宏紀(以下、佐奈):
僕は聴くのは昔から好きで、歌うのは本当にここ最近好きになった感じですね。

長江崚行(以下、長江):
え、本当に? あんなにうまいのに!?

佐奈:
僕は生まれたときから喉が弱くて、声変わりで声帯が作り変えられる13~14歳くらいまでまともに声が出せなかったんです。家族は全員歌が上手くて、週に2回は家族でカラオケに行くという習慣があったのですが、僕は声が出せないからずっと嫌で。歌うようになったのは本当にこの仕事を始めてからでした。だけどずっと歌に自信は持てなくて。ただ最近「声がいい」って褒めてもらえることが増えて、そのおかげで歌うことも好きになりました。

長江:
そう! これだけは言いたい。本当に声がいいんです!

佐奈:
ありがとう(照)。

長江:
僕、佐奈くんが出演している『Paradox Live on Stage』を観させてもらったのですが、もう衝撃! 歌もうまいし声もいいし、楽曲の持っている強さをチームの3人で遺憾なく発揮した上で、先頭をぶっちぎりで走りきっている姿にめちゃくちゃ感動して。

佐奈:
(ニヤけながら)やばい、めちゃくちゃ嬉しい。“最高のつまみ”が増えた。録音しておけばよかった(笑)。

長江:
今回も、壱がアカペラを始めるきっかけになったFYA'M'に佐奈くんがいると知って、「絶対大丈夫」と思えたんです。だから、佐奈くんが「最近歌うのが好きになった」と聞いて、嘘だろって思っちゃいました。

佐奈:
なんか……ありがとう(照)。でも、長江くんも歌うまいじゃない。

長江:
小さい頃から事務所で練習していたからね。でも、歌はずっと好き。歌が一番好きかな。

舞台『アオペラ』長江崚行&佐奈宏紀インタビュー

――歌を好きになったきっかけはありますか。

長江:
気づいたら好きでしたね。母親が地元ののど自慢大会で優勝するくらい歌がうまくて。事務所に入ったのも母親の影響だし、母のおかげでずっと歌が身近にありました。

佐奈:
初めて人前で歌ったときのことって覚えてる?

長江:
9歳とか10歳の頃かな。事務所の人に歌を聴いてもらうために、初めてCDを買って練習しました。GReeeeNの「キセキ」でしたね。

舞台『アオペラ』長江崚行&佐奈宏紀インタビュー

――佐奈さんが初めて買ったCDはなんでしょう?

佐奈:
くずの「全てが僕の力になる!」です。

長江:
懐かしい~!

――番組の企画で宮迫博之さんと山口智充さんが結成したデュオですよね。くずがお好きだったんですか?

佐奈:
実は当時、僕はそこまで音楽に興味がなくて……。ビヨンセが大好きな姉に連れて行かれたCDショップで、姉が買い物をしている間にブラブラしていたときに、一番キラキラしていてキレイなディスクを選んだらこれだったんです。

長江:
ジャケット買いみたいな感じで、ディスクデザイン買いしたんだ(笑)。

佐奈:
そうそう。大人になってからこの曲を知っていい曲だなと思いましたけど、当時は買うだけ買って聴いていませんでした(苦笑)。きれいだなって盤面を見て満足していました。

舞台『アオペラ』長江崚行&佐奈宏紀インタビュー

歌唱力抜群なふたりの音楽のルーツは、長江「東方神起」&佐奈「QUEENとお姉ちゃんの歌声」

――ではいったん、くずは置いておくとして……(笑)。聴きたくて買った初めてのCDやアーティストは覚えていますか。

佐奈:
CDはあまり買った記憶がないのですが、ずっと聴いていたのはQUEENです。お父さんがQUEENを好きで、車でずっと流れていたんですよね。体内に流れている音楽はQUEENからきている感覚があるので、QUEENは僕の音楽のルーツです。

長江:
QUEENとくずの振り幅がすごいね(笑)。

佐奈:
アハハ。あとはお姉ちゃんの影響で、「ひろくん、これ一緒に聴こう」と誘われて聴いていたビヨンセですね。

長江:
QUEENとビヨンセ! かっこいいなぁ。

佐奈:
あと、姉の歌声も僕のルーツですね。僕が思うに、姉は世界一歌がうまい。ガチで。姉の歌声はビヨンセの影響を受けていて、僕はその姉の歌声の影響を受けているので、僕の歌い方ってR&Bっぽさが入っているんですよね。自然とフェイクを入れて歌うのも、QUEENやビヨンセが体内に流れているからだと思います。

舞台『アオペラ』長江崚行&佐奈宏紀インタビュー

――長江さんの音楽のルーツはなんでしょう。

長江:
僕はK-POPが流れていますね。

佐奈:
へぇ~そうなんだ!

長江:
僕は東方神起さんが大好きで、全部のライブ映像を見たし、全楽曲歌えます! 韓国語の発音って、日本語よりも喉に負担がかかるらしくて、長く歌い続けるには喉をしっかりトレーニングしないといけないらしいんです。

佐奈:
じゃあその喉も?

長江:
そう。僕も喉だけはK-POP仕様になっています(笑)。

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――では、青春時代の自分を形成した音楽を2曲ずつ教えてください。

佐奈:
ジャスティン・ビーバーの「ベイビー」と、ブラック・アイド・ピーズの「アイ・ガッタ・フィーリング」。これを一生聴いていましたね(笑)。昨日、この取材の準備をしながら久々に「ベイビー」を聴いたら、本当に色褪せない。一瞬で思い出とか風景が蘇ってきて、イントロで泣けました。

――それは高校生の頃ですか?

佐奈:
そうだと思います。あとはお姉ちゃんに教えてもらったネオン・トゥリーズの「アニマル」も好きでしたね。姉は当時「本物のビヨンセになる」とアメリカに留学していて。

長江:
え! めちゃくちゃかっこいいね。一度お姉さんの歌を聴いてみたいわ。

佐奈:
アメリカで最先端の音楽をプレイリストにして送ってくれたんですよ。その中で好きだったのが「アニマル」で、疾走感が本当に気持ちいい。僕は歌詞の意味を知らずに聴いていたのですが、帰国した姉に歌詞の意味を聴いたら、どうやらヤンチャなパーティーに行くぞっていう内容だったらしく……。それは聞かなかったことにしました(笑)。

長江:
僕はマイ・ケミカル・ロマンスの「ウェルカム・トゥ・ザ・ブラック・パレード」です。2006年の楽曲なのですが、本当に色褪せない。

佐奈:
へぇ~、今度聴いてみよ。

長江:
ぜひアニメのオープニングだと思って聴いてみてほしい。僕は聴くと毎回、頭の中で『進撃の巨人』のエレンたちが立体機動で飛び交う映像が出てくる。それくらい躍動感がある曲で、僕はいまでも本番前にこの曲を聴いてテンションを上げています。マジでおすすめです!

佐奈:
あと1曲は?

長江:
X JAPANの「Rusty Nail」です。

佐奈:
おお、激しい。

長江:
中高生の頃、ずっと歌っていました。これも東方神起つながりで、チャンミンがライブのソロで「Rusty Nail」を歌うんですよ。しかも原曲キーのプラス2の高さで。これがもうかっこよすぎて! 僕も歌えるようになりたくて、朝から晩まで事務所のレッスンスタジオにこもって歌い続けていました。まさに青春の1曲ですね。

舞台『アオペラ』長江崚行&佐奈宏紀インタビュー

――先ほど、本番前に聴くというお話もありましたが、ほかにルーティンとして聴いている音楽や、気持ちのスイッチを入れたいときに聴く音楽はありますか。

佐奈:
僕は「アシタカせっ記」です。映画『もののけ姫』のサントラで、歌ではないのですが大好きです。先日、出演した舞台(地球ゴージャス『儚き光のラプソディ』)で、僕は戦地に赴く日本兵の役を演じたのですが、舞台に出る前に鏡の前で「アシタカせっ記」を聴きながら、ゆっくり敬礼をして。文字にするとちょっとおもしろくなっちゃうかもしれないのですが、あのメロディに合わせて敬礼をするとぐわっと気持ちが入るんですよ。これはまさに音楽の力ですね。

長江:
すごくわかる。僕はさっき挙げた「ウェルカム・トゥ・ザ・ブラック・パレード」もそうですが、この時期は久石譲さんの「Summer」を聴いています。

佐奈:
おお、(ここまで共通点はなかったのに)ここで久石譲さんがつながった(笑)。

長江:
聴き方にもこだわりがあって、劇場の最寄り駅に着いて、地上への階段を上がっていくあたりから流し始めるの。あとメイク中も絶対聴く2曲があります。まずメイクが始まったら、メイクさんに一言断ってから松平健さんの「マツケンサンバ」ね。その後に、藤井隆さんの「ナンダカンダ」を聴いて、聴き終わる頃にちょうどいい感じにメイクが完成するの。

佐奈:
好きな曲のジャンルがバラバラなんだね。僕は、メイクしてもらっているときが一番緊張するんですよ。

長江:
わかる!

佐奈:
じっとしているから緊張を発散できなくて。だから、僕はメイク中にディズニー映画のオープニングで流れる「星に願いを」を聴いて、ハッピーな気持ちになっています。僕は今から始まる素敵な映画のキャストのひとりで、その世界に溶け込むんだという気持ちで緊張を解していますね。

長江:
メイク中といえば、僕の十八番のネタがあって。たいてい何人か一緒にメイクルームに入るのですが、そこで僕の大好きなディズニーアトラクション「シンドバッド・ストーリーブック・ヴォヤッジ」のBGM「コンパス・オブ・ユア・ハート」を流すんですよ。あの壮大なイントロが終わってAメロに入る瞬間に音楽を消して、僕がアカペラで歌って「お前が歌うんかい」というボケを必ずやります(ニヤリ)。

佐奈:
ちょっと今回の『アオペラ』ではやめてほしい(笑)。

長江:
いや、もう先に言っとくね。『アオペラ』の現場でも歌うので「お前が歌うんかい」のツッコミだけお願いします。

一同:
(笑)。

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――すでにいろんなジャンルの楽曲が挙がっていますが、カラオケに行ったときに絶対に歌う十八番はありますか?

佐奈:
僕はオリジナル・ラブの「接吻」。日本で一番色気のある曲だと思っているんです。歌詞も最高だし、メロディも最高だし。僕はひとりで飲みに行くことが多くて、気分が乗ってきたら「接吻」を歌っています。

長江:
カラオケといえば、この前、リルハピメンバーで行ったの。(畠山)理温(四方 ルカ役)は予定が合わなくて4人だったのですが、僕はどうも人に合わせちゃうんですよね。周りの人が歌いたい曲を一緒に歌うことが多くて、十八番って難しい。基本は周りに合わせるけど、空気が停滞しているなと思ったら、「Rusty Nail」を入れます(笑)。

佐奈:
本当に好きなんだね。

長江:
そうなの。僕、本当に「Rusty Nail」だぁ~いすき!

佐奈:
アレン様が出てきちゃってる(笑)。僕はまったく逆で、全然周りに合わせないですね。宝塚歌劇団の「エリザベート -愛と死の輪舞-」を、ひとりで気持ちよく歌ったりもします。

長江:
これ、ちょっと座組みんなでカラオケ行きたいですね。

――それは見てみたいです。ぜひカメラを入れてほしいくらいです!

佐奈:
いいですね。宣伝担当さん、ぜひ企画よろしくお願いします!

一同:
(笑)。

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アカペラの手応えはバッチリ!事前稽古で見えたリルハピ・FYA'M'、それぞれのカラー

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双海 しお

エンタメジャンルで執筆するフリーライター。2.5次元舞台が趣味かつライフワークで、よく劇場に出没しています。舞台とアニメとBLが好き。役者や作品が表現した世界を、文字で伝えていきたいと試行錯誤の日々。

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