双海 しお
エンタメジャンルで執筆するフリーライター。2.5次元舞台が趣味かつライフワークで、よく劇場に出没しています。舞台とアニメとBLが好き。役者や作品が表現した世界を、文字で伝えていきたいと試行錯誤の日々。
3年半という月日は、中学に入ったばかりの1年生が中学を卒業して高校生になるほど長い時間です。ですが、いくら長い時間であっても、濃く充実した日々が過ごせるとは限りません。振り返ったときに「最高の時間だった!」と言えるには、成し遂げるべき目標や、そこに向けて苦楽をともにしてくれる仲間の存在が不可欠でしょう。
そんな3年半を体現してくれる存在が、ミュージカル『テニスの王子様』4thシーズンの青学(せいがく)3年生キャストの6人です。作中の青学(せいがく)メンバーがそうであったように、彼らを演じた手塚国光役の山田健登さん、大石秀一郎役の原 貴和さん、不二周助役の持田悠生さん、乾 貞治役の塩田一期さん、菊丸英二役の富本惣昭さん、河村 隆役の大友 海さんの6人もまた、公演を経る度に絆を強くしていったそう。
2024年5月・6月開催のミュージカル『テニスの王子様』4thシーズン Dream Live 2024~Memorial Match~出演を控えるキャスト陣は、3月で『テニミュ』4thシーズン本公演は卒業となりました。そして『テニミュ』4thシーズンのキャストが大集結する「ドリライ」で、本当の“旅立ち”を迎えます。「集大成」と語るライブ公演を前に、それぞれどんな思いを抱いているのか。おそらくこの青学(せいがく)メンバーではラストとなるであろう座談会の様子をお届けします。
ミュージカル『テニスの王子様』は、許斐 剛さんの原作をもとに2003年にスタート。彼らは2021年に始動した『テニミュ』4thシーズン最初の青学(せいがく)キャストとしてそのジャージに袖を通しました。2020年には、『テニミュ』初となる『新テニスの王子様』を原作としたミュージカル『新テニスの王子様』シリーズが始動。『テニミュ』と『新テニミュ』が並走するという“新時代”が幕を開けます。
今回は、その“新時代”の開拓者となった青学(せいがく)3年キャスト陣に、改めてこの3年半を振り返ってもらいました。熱さ伝わる思い出のシーンや楽曲のエピソード、嬉し恥ずかし他己紹介、自身が演じたキャラクターへのメッセージなどを、1万字超えの大ボリュームでお届け!
6人の掛け合いを再現しているので、ぜひ“ニヤッ”としながら楽しんでください。
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INDEX
――まずはこれまでの公演を振り返ってみて、お互いの芝居でとくにグッときたシーンや、好きなシーンなど、印象に残っていることを教えてください。
山田健登(以下、山田):
すごく印象に残っているのは、氷帝公演の対跡部戦のベンチですね。試合中にふっとベンチを見る瞬間が何回かあって。そのときのみんなの顔を鮮明に覚えています。
持田悠生(以下、持田):
とくに誰がよかった? 俺、けっこう目力を入れていたんだけど。
塩田一期(以下、塩田):
(山田にアピールしながら)俺もかなり入れていた。もう涙も流していたし、なんなら鼻水も出てた!
原貴和(以下、原):
あのシーンはみんな涙流しちゃうよ。
山田:
(にっこり微笑んで)とくに誰とかはないんだけどね。
持田:
(反対側に座る富本と大友に向かって)2人とも入ってこいよ!
一同:
(笑)。
塩田:
ベンチで言うと、俺も立海公演の柳とのS3(シングルス3)はすごくベンチにいるみんなのことを感じた。氷帝公演の海堂とのダブルスでは、ベンチを見るということを芝居に入れていなかったから、立海のS3で初めて見たときにすっごいパワーをもらえて。
山田:
あれやばいよね。
塩田:
だから、今までベンチからめちゃくちゃ熱を入れて応援してきてよかったって、改めてそこで思いましたね。
富本惣昭(以下、富本):
(無言で頷きながら塩田を見つめる)。
塩田:
ちょっと! 「真面目な話するじゃん」みたいな顔やめて(笑)。原ちゃんは?
原:
いっぱいありすぎて選ぶのが難しいんだけど……氷帝公演で手塚が肩を壊しちゃうじゃない。あそこは見ていて本当に苦しくて。その記憶がすごく残っているかな。
持田:
氷帝公演はストーリー的にも重かったよね。氷帝公演でいうと一番好きなのが(大友)海のタカさんだね。
一同:
(口々に賛同の声があがる)。
大友 海(以下、大友):
よかったですか?
持田:
うん。いつもこんなにのほほんとしている海が熱を込めてやっているからこそ、いろんな思いや感情をもらったよね。
富本:
僕は立海公演かな。レーザービームを打たれてベンチに戻るときの、みんなの温かい表情ね。「お前ら信じてるぜ」っていう顔をめっちゃ覚えている。
持田:
とくに誰?
富本:
ちょっとそれやめて(笑)。
山田:
(静かに挙手)。
富本:
手塚(そのシーン)いないから!
持田:
あとインタビューだからさ、手上げてもわかんないから。
山田:
ふふふ(笑)。
大友:
僕は六角公演の「Best of the best!」の振付で、青学(せいがく)が手塚くんを真ん中に集まるところが、今までの振りの中で一番大好きで。青学(せいがく)の一体感がすごく印象的でした。
塩田:
つい最近、各種音楽配信サービスで六角公演の楽曲も聴けるので、ぜひ購入してそちらでも楽しんでください。
富本:
急に宣伝が始まった。
持田:
誰に話しているの(笑)。
――長く役を演じてきた中で、それぞれのキャラクターの魅力や、やりがいに感じていた部分はどんなところでしょうか。
山田:
以前からよくインタビューで言っているのですが、キャラとの共通点がなくて。だからこそ、自分とは違うものや足りないものを持っている手塚部長から、それを教えてもらっている気がして、すごく楽しかったし、やりがいもありました。
あと、チームができて、公演をする度に結束力がね……ってしゃべり出したら止まらないんですけど。でも本当に、チームのパワーが同じ方向を向いたときに、たぶんどの学校よりも強いなというのを感じていました。
原:
僕はなんだろう……(大石と)似てる?
一同:
似てる。
原:
みんなそう言ってくれるんですけど……。でも、大石の正義感が強いところは自分に足りないと思っているので、大石を演じていてもずっと尊敬があったし、公演のたびに原作を読んでは感心する気持ちがあって。ずっと大石に近づきたいなって思いながらやっていましたね。
持田:
不二周助は、唯一青学(せいがく)の中でちょっとだけみんなと心の持ちようが違う。みんなが全国を目指して勝ちたいと思っている中で、そこまで勝ちへの強い執着がなく……から始まって、立海公演までの間ですごく心境の動きがあったので、そこを演じるのがすごく楽しかったですね。
塩田:
俺は乾と似ているところは1個もないと思う。
乾はもう努力の塊で。それこそ乾が私生活でグリップを巻き直すならどこで巻き直すんだろうとか、乾だったら部室に何番目で入ってくるんだろうとか。本当に色々考えて。そう考えると、乾は絶対に高確率で最初の方に入ってくるだろうなってなる。だから、一番最初に稽古場に入るように意識したり。
あとは、自分自身があまりダンスや歌が得意ではなかったので、それこそずっと努力を続けたり。少しでも乾という素晴らしい存在に近づけるようになろうって考えながら、稽古に臨んでいました。その結果、(大真面目な顔で)本当によくしゃべるようにもなりましたし。
持田:
いや、もともとよ。
山田:
そこはもう成長しなくていいよ。
塩田:
いや、まだまだこれからステップアップするんで。
持田:
(笑)。でも、そういうことだったんだ! いや、いつも一期は稽古場一番乗りじゃん。でも、本当に最初の頃って、俺が一番だったの。
塩田:
そうだね、もっちー早く来ていたよね。
持田:
で、知らないうちに「なんかいつも一期いるな」って思って、俺、一番最初に入るのを諦めて普通に来るようになったんだけど、そういうことだったんだね。
塩田:
そうそう。『テニスの王子様』の技術や知識も追求し始めたら、どんどん面白くなってきちゃって。役ではなくて、テニスもやりたいなとも思ってきているし、本当にここまで楽しくできたのは、自分が乾という役をいただけたからなのかなって思いますね。はい、そうちゃん!
富本:
やりがいというか、一緒に成長できたなというメンタル的な話なんですけど。氷帝公演で大石とダブルスを組めない菊丸が成長するという流れがあるのですが、そこで僕も菊丸と一緒に成長できました。
今まで別に自分ができていればいいやと思っていたんですが、菊丸も成長するから、僕ももっと成長しなきゃなって思い始めて。1人じゃダメなんだ、チームなんだから1つのものをみんなでちゃんと目指さなきゃいけないんだなっていう精神が生まれました。
塩田:
惣ちゃんはダンスの練習動画とかもまとめてくれたよね。
持田:
そう、家でもやってくれたよね。で、そのまとめた動画をみんなに送ってくれてさ。
富本:
それは僕がみんなから教わったことだったからさ。
持田:
(ドヤ顔で)まぁ、そうなんだけどね。
富本:
ちょっと! 今僕のターン!
一同:
(笑)。
大友:
僕の演じる河村は、ラケットを持っているときと、持っていないときで二面性がある役なんですが、今思うと性格が180度違う2人のキャラクターを演じているみたいな感じで、役者としてすごくいい経験をしたなと思いますね。
――ご自身はバーニング中とそうでないとき、どちらが近いですか?
大友:
持っていないときですね。どちらかといえば。
原:
いや、それは絶対そうでしょ(笑)。
持田:
でもたまに、ラケット持った状態になるときあるじゃん。
大友:
あれはなんだろうねぇ。なんかちょっとふざけたくなっちゃうときがあるんだよね。それがラケットを持った時と、ちょっと重なる部分かな、と。
――せっかく横並び(注)で座っているので、お隣の方について他己紹介をお願いします。出会った頃から印象が変わった部分や、「こういう人だよ」というのを長い付き合いだからこその視線で語っていただきたいです!
(注:左から山田・原・持田・塩田・富本・大友の順。山田が原を、原が持田をといった順で、最後に大友が山田を紹介することに)
山田:
原ちゃんは本当に大石そのまんまなんです。でも、六角公演以前は僕もチームと一緒にいたので、稽古も大体一緒にやっていたんですが、あるとき僕が稽古に参加できないことがあって、原ちゃんにまとめ役をお願いしたんです。「原ちゃん、俺この日いないからよろしくね」って。そうしたら「どうしよう。やばい」みたいな。1日いないだけでそう言っていた原ちゃんが、六角公演からは人が変わったかのようにチームをまとめ出して。
今だから言えるんですけど、本当に何もアドバイスしてないんですよ。「これはもう1回言わないようにしよう」と思っていたので。そうしたら、原ちゃんの人柄ありきでまとめていて、みんなもちゃんとついていく。こんなにもしっかりした副部長がうちにはいたんだということを改めて思いましたね。
原:
こりゃ大変(照れ笑い)。ありがとうございます。
山田:
こちらこそです。
原:
これは照れるな。次は僕からもっちーか。本当に最初の印象は、話しかけづらい印象だったんですよ。「ウェェ゛ェ゛ェ゛ェ゛ィ」みたいな感じで。
持田:
ちょっと待って。文字にしたら濁点つくみたいな、なにその声(笑)!
原:
ようは元気だったんですね(笑)。でも、公演を重ねるごとに、もっちーって心の裏側に持っている情熱がものすごく強いんだなって思うようになってきて。それは普通にしゃべっていたら絶対わからないような部分。いい意味で裏と表がある熱い男というか。面倒見もすごくよくて、優しくて、もっちー好きですね。
持田:
あはは(照れ笑い)。
――次は持田さんから塩田さんですね。
塩田:
(小声で)楽しみだな。
持田:
一期はマジでうるさいんですよ。これどこにも話したことないんですが……話していい?
大友:
ぜひぜひぜひぜひ。
持田:
青学(せいがく)すごく仲がいいんですよ。気持ち悪いくらい仲いいじゃん(笑)。だけど、最初からこうだったわけじゃないんですよ。最初の頃は一期のこと全然わからなかったし、今より全然仲良くなかったよね。
大友:
そうね。
持田:
あんまりしゃべらなかったし。でも今は、意味がわからないくらい仲いいんですよ。(塩田に向けて)なんでなんだろう?
塩田:
いや、なんだろうね。でもそれは、僕が心を解放したというかさ。
一同:
(笑)。
持田:
一期も最初からうるさかったわけじゃないもんね。最初は壁もあったし。しゃべり始めてからも、独り言か独り言じゃないのか、よくわからない期間があった。
山田:
あったあった! 一期が1人でしゃべっていてこれどうしよう……みたいな。
持田:
それに慣れなくて、僕はどう接していいのかがわからなかった。だけどあるとき、「これ無視していいんだ」っていうのに気づいたんですよ(笑)。そこからどんどん仲良くなっていったね。で、 この人は一言で表すと一番ふざける人なんです。だけど、実際は一番努力する人だと思います。
山田:
そうだね。見習うべきところがたくさんあった。
持田:
「乾が努力の塊」って一期は言っていたけど、一期も努力の塊。本当に普段から乾を意識しているのも伝わってきていたし。頑張ったよね。
塩田:
……(無言でニヤける)。
山田:
褒められるの、ちょっと苦手? 急に静かになる(笑)。
持田:
あとスタイルがいい。
塩田:
あぁ~! こればっかりは恵まれたよね。
一同:
(笑)。
塩田:
え、終わり!?
持田:
まだほしいんだ。
原:
照れるくせに(笑)。
塩田:
俺に対しての告白でもいいよ。
持田:
うん、まぁ、好きです。
塩田:
ありがとう!
原:
次いこっか。
――お次は、塩田さんから富本さんですね。
富本:
俺もそろそろ褒められたいと思っていた。
塩田:
あの~海はですね。
富本:
お~い! 俺だよ俺! 背ちっちゃくて見えなかった!?
塩田:
(笑)。惣ちゃんは、自分でもさっき言っていたけど、急激に精神的な成長を遂げて。最初の頃は、表情に出やすい場面もあったんですよ。でもだんだん、違う考え方をするようになったのかなというのを感じましたね。「ん?」って思うことがあっても、物事を俯瞰して見るようになったところが、惣ちゃんの変化として印象深いところですね。
同じ3年生なので芝居中も絡む機会が多くて、俺のS3(シングルス3)のときも、ベンチで惣ちゃんが心の底から応援してくれていた姿がすごく目に入っていて、僕はそれがすごく嬉しかった。
富本:
乾が勝って普通にめっちゃ嬉しかったもん。
塩田:
惣ちゃんとは、不動峰公演の日替わりのことで負担をかけすぎちゃって、喧嘩したこともあったけど、それも今となってはいい思い出だね。いろんなことを積み重ねて今に至るんだなと感じています。
――次は、富本さんから大友さんです。
富本:
次、海くんね。最初はまじでわからなかったですよ。得体の知れない人すぎて。でも、僕の中で尊敬するポイントがあって。
持田:
えぇ?
大友:
そりゃ1個くらいあるよ。
一同:
(笑)。
富本:
海くんって自分のワールドを持っているんですよ。自分の世界をすごく強く持っていて、それを簡単に他人に崩されない。僕は人に流されやすいタイプなので、海くんを見ていると「うわ、かっこいいな」って思う。あとは、ダンスもめっちゃ上手い。僕がみんなに聞かれることが多いんですけど、やっぱり分からないこととかもあって。そういうときは海くんを頼っていましたね。
大友:
ありがとうございます。
富本:
でも本当に馴染んだよね。
持田:
「青春チーム」の歌詞(注)そのまんま。今となっちゃ、惣昭と兄弟みたいなコンビだよね。
※注:「俺が馴染めるようにしてくれた 一緒に駆け抜けてくれてありがとう」
山田:
今、親友やろ?
塩田:
立海公演で親友になったんだよね?
大友:
(大きく頷く)。
富本:
最初はそんなに馴染めていなかったから、立海公演の「青春チーム」で海が一番最初に泣き始めたときはびっくりしたし、青学(せいがく)に愛情持って参加していたんだなって思って……ちょっとおもしろかった(笑)。
――最後は、大友さんから山田さんの紹介をお願いします。
大友:
健登くんは初めて会った不動峰公演から、いい意味で何も変わらなくって。部長としてのオーラがすごくあって、手塚が声をかければみんながパッて集まるように、健登くんが声かければ騒いでいても、みんなすぐ集まる。生まれ持った才能だなと。
持田:
うん、カリスマだよね。
山田:
いやいやいや(全力で否定するジェスチャー)。
持田:
違うって、自分で思ってないだけだよ。才能あるよ。
山田:
えぇ!?
原:
僕が一応副部長だから「みんなやるよ」って言うんだけど、誰も聞いてない。でも、健登くんが言ったらみんなピッてみんなそっち向くんだよね。
一同:
(副部長と部長の「やるよ」の違いを実践する6人)
大友:
こんな感じで、すごいなって思うんですね。その理由の1つとして、青学(せいがく)で一番男らしい要素が強いのは健登くんだと思っていて、そこが部長として一番大きいんだろうなって。あとは初期の頃から歌で引っ張ってくれた部分が、青学(せいがく)としては大きいのかなと思いますね。
持田:
僕からもちょっと言っていいですか。本当にこれだけは言わせて。僕らこんなに仲いいんですけど、健登がいなかったらこんなに仲良くなっていなかった。個性が強すぎてまとまらないんですよ。健登が全部のバランスを保っている。でも本人はそれに気づいてない。それがいいところなんですけどね。
山田:
今日は僕、スキップしながら帰っちゃいそう。
一同:
(笑)。
――先ほど「青春チーム」や「Best of the best!」の話題も出ましたが、皆さんが好きな楽曲やフレーズを選ぶとすると? どれも思い出深いと思うので、選ぶのは難しいとは思うのですが……。
塩田:
いっぱい好きな歌詞はあるけれど、やっぱり立海公演で歌った「過去を凌駕する」。乾としては柳との過去を超えていくという意味で発している言葉だと思うんですが、その中には昨日と同じままじゃ成長がないっていう意味も込められているんだろうなと思っていて。だから、努力を絶やさぬよう胸に刻んでおきたいフレーズです。
持田:
真面目に答えるじゃん。
塩田:
まあ、僕真面目だからね(笑)。不二だと「異次元ビッグウェーブ」好きよ。
持田:
あぁ! 「ああ君で、お前でよかった」ね、あれはよかった。よすぎて泣いたもん。
富本:
あれはよすぎた。もっちーが舞台上でちょっと(泣きそうで)危なかったよね。
持田:
危なかった。試合中(に泣きそうになったの)はたぶんその千穐楽の1回限りだ。
富本:
だからびっくりした。涙が流れそうなもっちーを見て、少しでもそうやって思ってくれていたんだなって嬉しかったなぁ。
――ほかに「あの歌がよかったなぁ」と思う楽曲はありますか。
山田:
海の「終わらない夢」!
一同:
(口々に)いいよね。
持田:
タカさんのソロなんだけど、しゃべらない樺地の心を歌うっていう歌詞もあって。
大友:
僕も一番好きですね。
塩田:
あと「Two as one(リプライズ)」とかね。あの作り、感動するよね。
持田:
僕らも立海公演でああなるって思いつかなかったよね。
原:
たしかに僕も「Two as one(リプライズ)」だな。聖ルドルフ・山吹公演で大石が歌って、(大石が)怪我をしたあと、氷帝公演で菊丸が歌って。僕たちも「まさか、立海公演で回収……する?」って思ってたよね。
富本:
そうそう。
原:
そうしたら本当に立海公演でその流れがきて。
富本:
「きたぁぁぁぁ!」ってね。
持田:
ついに2人でダブルスが組める喜びっていうのもあるし、キャストとしてこの2人でこの歌を歌える喜びがめちゃくちゃリンクしているのがさぁ、香さん(演出の三浦 香)の洒落ているところだよね。
塩田:
そこからの「青学(せいがく)黄金(ゴールデン)ペアを待ちわびたのは」の流れもすごくよかったよね。ベンチから「青学(せいがく)黄金(ゴールデン)ペアを待ちわびたのはお前たち」って僕らが逆に歌うっていう。
持田:
この曲の稽古中さ、誰よりも待ちわびたのはたしかに2人(原・富本)なんだけど、「俺たちも待っていたよ!」と思って、替え歌で「待ちわびたのは俺たち」って歌ってたよね。もしだよ? もし「ドリライ」で歌うことがあったら、そのときは「俺たち」で歌ってもいいですか。
原:
ダメだよ。「俺ら」もずっと組みたかったもんね。
持田:
いや、「俺ら」も待っていたし!
原:
「俺ら」のほうが待っていたし!
一同:
(笑)。
原:
「Two as one(リプライズ)」は、最初は「やっと歌えた」感が強すぎて、目を合わせられなかった。(お互いに)「泣く? 泣く?」みたいな感じで、目を合わせるのが気恥ずかしかったというか。あと、ラケットの振付も不動峰公演でやった振付とかが入っていて。
富本:
そう。「青春ジャンクション」の振付ね。
持田:
へ~そうなんだ。知らなかった。
原:
そういうのもあって、本当に感動したよね。
双海 しお
エンタメジャンルで執筆するフリーライター。2.5次元舞台が趣味かつライフワークで、よく劇場に出没しています。舞台とアニメとBLが好き。役者や作品が表現した世界を、文字で伝えていきたいと試行錯誤の日々。
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