すなくじら
下町育ちのエンタメライター。アニメ&映画ジャンルを中心に執筆活動中。ダークファンタジーやゴシックなテイストの世界観の作品が好きです。乙女ゲームの新作情報が生き甲斐。
2021年のプロジェクト発足から3年、熱狂的な支持を集めるバーチャルアイドルオーディション『VS AMBIVALENZ』(以下、『ビバレン』)。
1st オーディション“勝者”である7人組グループ・XlamVをはじめとしたアイドルたちの、個性が活きるMVや衣装、そしてSNSでの魅力的な“写真”は、いまや多くのファンの心を掴んで離しません。
そんな注目のコンテンツ・『ビバレン』のビジュアル面を生み出しているのが、アートディレクターの斎藤千晃さんとイラストレーターの風李たゆさん。キャラクターデザインから衣装、グッズまで……幅広いクリエイティブを二人三脚で作り上げています。
そこでnumanでは、毛利プロデューサーへのインタビューに続き、お二人のインタビューを敢行。魅力的なビジュアルが生まれる背景を探ると、それぞれの専門性を活かしながらも領域を超えて意見を出し合い、アイデアを形にしていく独自の制作スタイルが明らかになりました。
さらには、「狙った演出はしない」「最初から完成されすぎず、あえて“伸びしろ”を残す」など、リアリティを生み出すための極意も。
XlamV・fun4re・illuvistaそれぞれのキャラクターおよび衣装デザインの制作秘話、そして2024年11月24日(日)に解禁され期待が高まる2ndオーディションの展望など、“ここだけの話”をたっぷりと伺いました!
INDEX
──お二人は『ビバレン』のビジュアル面を総合的に担当されているとのこと。まずは、役割分担について教えてください。
風李たゆ(以下、風李):
私はイラストレーターという立ち位置から、キャラクターデザインやCDジャケット、MVやイベントのキービジュアルにおけるメンバーのイラストを担当させていただいてます。
斎藤千晃(以下、斎藤):
自分が担当しているアートディレクターの役割は、プロデューサーの毛利泰斗さんや脚本家の関根アユミ先生、音楽ディレクターの青山正太さんなど運営チームが示すプロデュースの方針を視覚的な表現に落とし込むことです。
衣装などを含めたキャラクターの魅せ方や楽曲ごとのビジュアルコンセプトを決めて、風李先生と一緒に作り上げています。
例えば、今年(2024年)の10月26日(土)に開催された2ndファンミーティングのキービジュアルだと「デビューして14人が揃う初のアニバーサリーなので、アイドルらしいチェキ風のデザインに。『ビバレン』シリーズ全体の一体感を出すためにライバル同士意識したポージングを。」と決めたうえで風李さんに“撮影(※イラスト作成)”していたただきました。
ほかにも、イベントやグッズなどビジュアルに関わるコンテンツには企画考案から携わらせていただいている......という具合です。
──MVや CDジャケットのタイトルロゴも、斎藤さんがデザインを担当されているのでしょうか?
斎藤:
最初のオーディション期間は自分がほぼ全て手を入れていました。XlamVデビュー後のMVなどは各分野のより専門性の高いクリエイターさんに依頼していますが、楽曲イメージとの整合性やトーンの調整など、必ずディレクションに入るようにしています。
風李:
外部の方に一部の制作をお願いする場合でも、作品としての統一感を保つため、必ず私たちが監修するようにしています。
──風李さんも、監修に携わっているのですね。
風李:
ビジュアル面に関しては、斎藤さんと私で話し合いをしながら決めていく部分がすごく多くて。「イラストレーター」という肩書きにとらわれず、さまざまな提案をさせていただいてます。なので、斎藤さんとは毎日連絡を取り合っているんですよ。
斎藤:
四六時中連絡を取っていますよね(笑)。
『ビバレン』で初めてアートディレクターを担当したので、「プロに教えてもらって引き出す」ところを頑張った方がいいかなと。自分だけで決めるよりも、「今回はこういう方針があって、メンバーたちを絶対こう魅せたい」という大枠の考えをぶつけて、あとはお任せした方がより良いものができると思ったんです。
1キャラクターとしてではなく、1人の“アイドル”としてファンの方に応援してもらえるように、風李先生には「その子の全部を理解して描いてもらう」ことが大事だと考えているのも理由の一つです。
本日で僕たちXlamVは1周年を迎えました。
ここまでこれたのはひとえに応援してくださるクラリスや支えてくれる皆様のおかげです。本当にありがとうございます。
1周年より2周年、2周年より3周年と、よりパワーアップを目指して進み続けますので、どうぞこれからもよろしくお願いいたします🌟#xlv_all pic.twitter.com/R3tQ2UBOFu— XlamV (@xlv_members) April 21, 2024
風李:
「次はこういう衣装を着せたい」「こういうコンセプトで打ち出したい」など、毎回まさに二人三脚で考えていますよね。こうやって斎藤さんに信頼していただいて、イラストのみならず演出面に関しても気軽に提案できる環境を整えてくださるのは、本当にありがたいです。
斎藤:
たぶん、お互いの好みを知っているから、引き出しやすいんだと思います。普段から、エンタメ分野のトレンド情報はお互いによく共有するようにしています。
風李:
斎藤さんとは、個人的に好きなファッションも共有し合っていますよね(笑)。こうした日々のインプットが、『ビバレン』でのアウトプットにつながっている部分もあるのかもしれません。
──『ビバレン』のクリエイティブには、お二人ならではの感性が活きているんですね。初期の段階から、今のように密にアイデアを出し合っていたんですか?
斎藤:
オーディション候補生14人のキャラデザを考えていた段階では、そうではなかったと思います。
でも、風李先生に色々と描いていただくうちに、「風李先生なら、自分の想像を超えたものが出てくるかも」と気づき始めて。細かい指示で縛るのではなく、大枠を示した上で自由に発想してもらう“余白のあるディレクション”になっていきました。
今ではラフだけを自分が作って、細かいところは風李さんに託すことも多いですね。
──なんでも言い合える雰囲気はいつ頃から出来上がっていったのでしょう?
風李:
実は、意見を出しやすい雰囲気の土台は、プロデューサーの毛利さんが作ってくださっていたんです。
最初にお話をいただいた時、当時私が住んでいた長野県までわざわざ来てくださって。「風李さんなら『ビバレン』をどう作りますか?」と聞いてくれたので、当時の絵柄のトレンドやニーズの話も交えながら、私の中にあったイメージをお伝えしました。
斎藤:
直接やり取りするようになったのは、最初のキャラデザが固まってきた頃からでしたっけ?
風李:
ですね! 最初は別の方と連絡を取り合っていたのですが、毛利さんが「チームで直接コミュニケーションを取りながら制作した方が良いだろう」と、その方と斎藤さんと私のチームを作っていただいて。そこから、お互いの意見を出し合える関係性が自然と築かれていきました。
──2ndファンミーティングでは、シリーズ構成の関根アユミさんが「候補生14名のキャラクター案は約30人から絞り、風李さんにデザインを考案してもらった」という話もありました。最初に、どのような依頼を受けたのですか?
風李:
内面はある程度決められていたのですが、外見に関して細かい指示は一任して頂いていました。例えばCIONくんだったら丸眼鏡とか、必須のアイテムは決まっていましたが……「カラーリングはこんな感じです」みたいな、余白がある状態でご依頼いただきました。
なので、ビジュアル面はかなり自由に提案させていただいて。関根先生も斎藤さんも、すごく柔軟に捉えてくださってますよね(笑)。
──風李先生から最初に上がってきたキャラデザを見て、斎藤さんはいかがでしたか?
斎藤:
「イメージと違う!」ということは一切なくて、ほかの担当者も含めてみんな「言うことないね」みたいな感じでしたね。だからこそちょっと欲が出てきて、いくつかパターンを出してもらいました。
例えばLIONだったらもうちょっと内向的なイメージを加えるために、前髪伸ばしてもらったりとか。
──キャラデザで特に意識されたポイントはありますか?
風李:
“ポテンシャル”を残すことですね。ステージに立った時にメイクや衣装で“垢抜け感”を出しつつ、いろんな楽曲コンセプトに合わせられるように、ヘアスタイルにも幅を持たせたんですよね。
(公式YouTubeチャンネルで配信している)フラグメンツドラマの中で色々なヘアスタイルをお見せする機会もあるので、その時に「この子って、実はもっとかっこいいのかも?」とファンの方に思っていただきたかったのもあります。
斎藤:
最初からバチバチにヘアメイクされているのではなくて、“磨けば光る原石”という感じで。まさに「これから光るぞ……!」と思ってもらえるようにしています。
キャラデザを考えている途中で、「これはちょっとベテランのアイドルくらい完成されちゃっているから、やめておこう」みたいなこともありましたよね(笑)。
風李:
はい(笑)。関根先生も2ndファンミーティングで「必ず欠点のある人間にする」とお話されていたと思うのですが、ビジュアルも突き抜けすぎないように意識していて。
見た目的な欠点ではなくて、「もっといろんな姿を見たい!」と思ってもらえるような、“伸びしろ”を残すことを大切にしていました。
──『ビバレン』のクリエイティブを作るうえで、特に譲れないこだわりはありますか?
斎藤:
ちょっと極端な言い方かもしれませんが、「アイドルファンってこれ好きだよね」みたいな枠組みに当てはめないように気をつけていますよね。
風李:
応援してくださる方に対して「皆さんはこういうのが好きだろうな」と最初から決めつけるような魅せ方はせずに、模索してみることは心掛けています。
同時に、メンバーがそれぞれどんな魅せ方をしたいのか?という本人の主体性も織り込むようにしています。
──メンバーの主体性を大切にする方針は、最初から……?
斎藤:
はい。XlamVがデビューしてからは、特にそうかもしれないです。
与えられたコンセプトのもとで、メンバー本人がどうしたいか。一人の人間として恥ずかしくないか。例えば、「ISSEIだったら、甘いセリフは言えるけど、これ以上はちょっと違うかな?」とか。
AUGURIに関しても、キュートな衣装やポージングが得意だけど、本人がクラリスに見せたい自分の幅はもっと広いのかなと思うんです。
◤ ̄ ̄ ̄
XlamV 7th Digital Single
『The Chain』
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🔗https://t.co/6m6ewMC0MU#ビバレン #クランヴ pic.twitter.com/pRejaHzbr6— VS AMBIVALENZ(ビバレン)公式 (@vsa_official_jp) October 29, 2024
風李:
AUGURIくんがそういったコンセプトをやりたくないってことではなくて、「かっこいい姿もかわいい姿も認めてほしい」のかなって。そうなると、かわいいだけじゃない魅力も大事にしてあげたいんですよね。
斎藤:
衣装に限らずMVやビジュアルデザインも同じように、キラキラさせすぎず、あくまでメンバーが主役になれるちょうどいい塩梅を探っています。トレンド感は意識しつつ、邪魔にならないように工夫しているんです。
自分はもともとゲームデザイナーだったのですが、その時からプレイの邪魔をしない画面設計に気を遣っていて。メニューボタンが主張しすぎると、そっちに目が行っちゃうじゃないですか。
そうではなくて、プレイヤーの体験を良くすることの方が大切なので『ビバレン』でも“クリエイティブは引き算で魅せる”ことを大事にしています。
風李:
その考え方は、最近のMVの画作りにもつながってきていますよね。私も最初の頃は、イラストを描く……つまり“撮影”する際に、なるべくメンバーの顔がちゃんと分かることを目標にしてたんですよ。
グッズにもなる素材ですし、ファンの方もお顔を大切に見てくれるので。でも最近はそれを見直して、「顔、ちょっと隠れてもいいですか?」と。
──なぜ“顔が分かる”ようにするこだわりを、見直したのでしょうか?
風李:
グッズになった時の事などを考えすぎて固定概念に囚われてしまうと、キャラクター一人ひとりが持つ魅力を、それ以上に引き出す事に限界が来てしまうので、特に最近のMVなどではもっと動きの流れの中を切り取るような意識で描いています。
そうすることで、1つの表現のみに囚われず多彩な表現のできるアイドル に見えてくるのでは無いかと考えています。
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XlamV 6th Digital Single
『About Us』
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— VS AMBIVALENZ(ビバレン)公式 (@vsa_official_jp) September 17, 2024
とはいえ、1周年記念の時は王道のタキシードで決めていたり、2ndファンミーティングの時にはアイドルらしいカラフルなスーツを着ていたり。押さえるところはしっかり押さえる、バランスを大事にしていますね。
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THANKS FOR GLANZ
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グランツの皆さまへいつも
14人への応援ありがとうございます。
1周年を記念してプレミアムな
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──お二人が撮影されるメンバーのお写真は、どれもそれぞれの個性が引き立っているように思うのですが、制作はどのように進めているのでしょうか?
風李:
まずは斎藤さんが、撮影のシチュエーションやコンセプトを提案してくださるので、その中で私が具体的なポーズや表情を決めていきます。
その際、メンバーがそれぞれどのように解釈して表現に落とし込むのかと、まずは動きを想像してみるんです。そうやって自分の頭の中に浮かんできた映像のワンシーンを、“写真”として1枚に切り取る。そうすることで、リアリティのある仕上がりになるんです。
斎藤:
今までの経験から、なんとなくイメージが見えてくるんですよね。例えば椅子に座ったポーズで撮影をするとしたら、「このメンバーはこういう座り方をするだろうな」と。自分も、まずは頭の中で映像を思い浮かべてから、具体的に落とし込んでいくことが多いです。
風李:
あとは、カメラとの距離感も意識していますね。「今自分は、メンバーとどのくらいの距離で撮影しているのだろう?」と。
私のSNSでは「イラストを描きました」と書くのではなく、「撮影しました」とするのも、そういう背景があるからなんです。
すなくじら
下町育ちのエンタメライター。アニメ&映画ジャンルを中心に執筆活動中。ダークファンタジーやゴシックなテイストの世界観の作品が好きです。乙女ゲームの新作情報が生き甲斐。
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