すなくじら
下町育ちのエンタメライター。アニメ&映画ジャンルを中心に執筆活動中。ダークファンタジーやゴシックなテイストの世界観の作品が好きです。乙女ゲームの新作情報が生き甲斐。
──『ビバレン』から誕生した各グループの、クリエイティブ面での違いについても伺います。まずはXlamVで意識していることを教えてください。
斎藤:
前提として、XlamVは「I am V(=勝利、優勝)」をクリエイティブ面でも体現していけるように考えています。ただ、代々受け継がれてきた王の座ではなくて、「地下から這い上がってきた王者」というコンセプトが軸にあるんです。
もちろんそれはファンの皆さんの応援があってこそなのですが、自ら努力を重ねたことで成長し、羽化できた……という意味で、“登る”イメージを大切にしています。
風李:
衣装デザインとしては、「“climb(=山を登る)”という要素が出てきたので、クライミングで使う道具や命綱など、山登りの器具の要素を衣装に入れたらどうでしょう?」と提案したのが採用されています。
例えば、胸のリボンのところにカラビナを使ったり、靴はトレッキングブーツをモデルにしたり。よく見ると、衣装の細かい部分にクライミングの要素が取り入れられているんです。
──「fun4re」と「illuvista」についてはいかがでしょう?
斎藤:
どちらのユニットも、イメージカラーはXlamVの対比にしたくて。(XlamVの)黒に対して白にしようと決めていました。別グループになるので、本来ならfun4reとilluvistaでそれぞれ違う色にしたくなると思うのですが……。2つを“白だけど違うテイスト”にしたかったんです。
fun4reのメンバーは、親近感のあるフレンドリーな雰囲気の子たちが集まっているので、実は「同級生のアイドル」みたいなコンセプトがあって。ついつい応援したくなるようなグループを表現できるといいなと考えました。
風李:
文化祭で、クラスのちょっとかっこいい男の子がステージに立っているみたいな。親近感は沸きつつも、つい心がときめいてしまう……例えるなら、バスケ部のかっこいい先輩が放課後に練習しているのを見た時の、あの感情に近いかもしれません(笑)。
──XlamVの衣装ではクライミング要素を盛り込んだとのことでしたが、fun4reとilluvistaの衣装はどのようにイメージを固めていったのでしょうか?
風李:
fun4reの衣装は、本当に悩みましたね。最初は「探検隊のイメージで」という提案があって、斎藤さん含めたチームのみんなで「いいね!」となっていたのですが……デザインを詰めていくうちに「これはちょっと違うかも」と(笑)。
見栄えの観点から、もう少しアイドルらしい要素も入れたいと思ったんです。ただ、カーキのようなアースカラーがメインになると、どうしてもそこから外れてしまって。逆にそのカラーリングをやめると、今度は探検隊のイメージが崩れてしまうので、どうやってキラキラした要素を取り込むか、すごく考えました。
斎藤:
いろいろと悩んだ結果、学園祭のような親しみやすさのある、現在の方向性に落ち着きましたよね。
風李:
アメリカンハイスクールっぽい大きめのカレッジジャケットみたいな、ゆったりとした感じに。オーバーサイズで、衣装なのかカジュアルなのか、その境界線を意識して作っていきましたね。
斎藤:
対照的に、illuvistaはすぐに方向性が決まりました。
風李:
そうですね。REY様がいますから(笑)。この3人だったらfun4reとは対照的に、夜のような、よりクラシカルな雰囲気にしようと。
斎藤:
「朝起きて『おはよう』って言いたくなるのがfun4reで、『おやすみ』と言って夢の中でまた会いたくなるのがilluvista」というイメージですね。fun4reを太陽に、illuvistaを月になぞらえています。
風李:
あくまで妄想なのですが、例えばイルビスタがライブをするなら「illuvia(イルビア)のみんなおやすみ」と言って終わるだろうな、とか(笑)。そういう細かい想像も重ねながら作り込んでいきました。
斎藤:
illuvistaのメンバーは王子様っぽい雰囲気の子が集まっているので、少し“やんごとない印象”に仕上げています。
風李:
どちらのグループもアイドルとしての完成度は追求しつつ、XlamVの王者という立ち位置が引き立つよう、バランスを意識してデザインしています。その中で、それぞれのメンバーの個性も大切に表現するように心がけていますね。
──今年4月12日に開催された、XlamV初の3Dライブ『XlamV 1st LIVE -To You-』についても伺います。ここでは、お二人はどのようなことを担当されていたのでしょうか?
斎藤:
ここでも風李先生がイラストレーターでキャラクターデザイン担当、自分がアートディレクターという立場ではありますが、その枠組みにとらわれすぎないようにはしていました。
風李先生は舞台演劇の経験があって、歌もお上手で楽器も弾けるマルチな方なので、その才能を絶対に活かしたいと考えたんです。
なので、3D制作や収録現場のスタッフの皆さんには大変お手数をお掛けしたと思うのですが、風李先生には前に出てもらって、メンバーの動きについて意見をもらうかたちで進めてみました。
風李:
そうなんです。3Dモデリングの制作期間から、膨大な確認作業をずっと一緒にやってきて。モーションキャプチャー収録の初日は、いよいよ迎えた撮影の日という感じでした。
現場監督さんや演出の方とも意見交換できるような環境を、斎藤さんが事前に整えてくださっていたからだとは思うのですが、当日撮影スタジオに入ったら、いきなりマイクを渡されて(笑)。
向こう側に確認用モニターと机が並んでいて、制作陣が全員座っているんです。みなさん私の顔を見て「どうぞ、仕切ってください!」みたいな(笑)。
──当日にいきなり現場の指揮を任されたのですね。その後はどうされたのでしょうか?
風李:
最初は戸惑いましたが、とりあえず全員で輪になって自己紹介することから始めて。(3Dのモーションを演じる)アクターさんたちと「このメンバーの性格を、どのように解釈されましたか?」と、演じる役に対する認識を、最初にすり合わせていきました。
斎藤:
振付師の緑喜一紗さんが考案された振付をもとに、アクターさんがそれぞれのメンバーに合わせて動きを事前に作ってくださっていて。それに「ここの振りはもっとアイドルらしく、こうしてみたらどうでしょう?」と、提案させていただきました。
そうやって何度もテイクを重ねるうちに、だんだんとアクターさんたちもアイドルらしい動きや、メンバーの性格面や動きの踊り方のクセに対する理解を深めてくださって。吸収力の高さに、とても驚きました。
風李:
2nd ファンミーティングでも少しだけ触れた「You&Me」のサビの振り付けについてですが、最初に私たちの方で振り付け動画を確認させていただいた際に、「ありがとう」という歌詞がより明確にたくさんの方に伝わると良いなと考えまして。そこで、「手話の<ありがとう>の動きを、ダンスの中に取り入れて頂けないでしょうか」というご提案をして、実現しました。
ダンス以外にも、演技面もメンバーに合わせた細かい動作までこだわっています。
歩き方や歩く速度、顔の向け方に笑い方、手の振り方や歌う時の仕草など……一挙手一投足にメンバーの息吹が伝わるように、 アクターさんにもダンサーさんにも、それぞれの個性について指導をさせていただきました。
もちろん、
──逆に、当日の現場でのアクターさんの動きがヒントになっている部分も?
風李:
また、こちらもファンミで話題にしましたが、ライブ中にAUGURIくんがよろめいてしまって、それをLIONくんがさっと助けるという場面があり、それは実際にアクターさん同士で起きたアクシデントがもとになっているのです。
事前に頂いた振り付け動画の中で起こっていたのですが、斎藤さんと確認している時に発見して「このアクシデントを振り付けにそのまま活かせたら、メンバーをより身近に感じて頂けそうですよね」と意見が一致して、ダンスの中に反映していただきました。
──そんな裏話もあったのですね。XlamVメンバーのパフォーマンス映像ももちろんですが、当日彼らの後ろに投影された楽曲ごとのムービーもすごくクオリティが高くて、すばらしかったです。
斎藤:
ありがとうございます。普段からMVを作ってくださっているチームの皆さんが一貫して担当しているので、メンバーやXlamVのことをすごく理解している方々で制作しています。
なので基本はお任せしていたのですが、ムービーの演出で自分が特にこだわったのが「Go My Own Way」です。
──具体的にはどのようなオーダーを……?
斎藤:
「候補生時代のXlamVメンバーたちの姿を出してほしい」とお願いしました。ライブ中は歌って踊るメンバーたちの姿に集中して、なかなか映像をゆっくり楽しめないと思うのですが、XlamVとしての成長を感じられる瞬間を作りたいなと思ったんです。
──ステージ衣装も素晴らしかったです。ただ、デザインが繊細で映像に落とし込むのには苦労もありそうだと思ったのですが……実際はいかがでしたか?
風李:
3Dになった時の動きとの兼ね合いは本当に難しかったです。
とはいえ、「どんな衣装でも3次元で実現できるように作る」というのが自分の中のポリシーとしてあったので、もともと立体でも実現できるようにデザインを考えていたんです。さすがに3Dライブとして実現するとは、当初予想していませんでしたが(笑)。
──特に苦労したポイントはありますか?
風李:
マントは、本当に最後までこだわりました。もともとはもっと垂れていたんですけど、揺れ感がギリギリまで納得いかなくて……。最終的には、裾を背中側に持ってくるようなデザインにしました。
あとは、髪の毛の揺れ方。例えばAUGURIくんだと髪の毛が重ためのボブなので、どのくらい軽やかに揺らすか、重みはどうするかとか。軽すぎると毛量とのギャップが生まれてしまって、質量が生きてこないんです。
斎藤:
大変でしたよね。3Dチームの皆さんと一緒に、1フレームずつ髪やマントの揺れ具合を確認して。
こういう調整ってなかなか言いづらかったり、現場の空気が硬くなったりしがちなんですけど、本当にいろんなプロフェッショナルたちが集まってくださって、自由な制作ができたといいますか。プロジェクト発足から約3年、これまで築いてきた関係性があったからこそ実現できたのだと思います。
お互いにすべてを共有して、すべてを引き出し合う。そういうコミュニケーションの積み重ねが、初ライブの成功につながったのではないかと思います。
──2025年5月に開催する、豊洲PITでの「XlamV 2nd LIVE」の発表もありました。多くのファンの方が待ち望んでいるライブだと思うのですが、率直な今の気持ちは?
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✦ XlamV 2nd LIVE開催決定‼️ ✦
@豊洲PITにて2DAYS開催!
2025.5.30(Fri) - 31(Sat)
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3rd EP「landscape」
初回盤・バンドル版に
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斎藤:
「間違いなく、前回より良いものを作らなきゃ」という気持ちがあって。1stライブは、“初めてのライブ”というところにファンの皆さんは期待していたと思うんです。
でも、2ndライブはさらにクオリティを高めて、「絶対にまた見たい」と思っていただける魅力を作らないと。メンバー本人の歌唱やダンスパフォーマンス、MCもですが、我々が担当する衣装や全体のビジュアルコンセプトも、全部ブラッシュアップが必要だなと考えてます。プレッシャーは、やばいですね。
風李:
そうですね。実は1stライブは、「XlamVにとって最初のライブ」という点をすごく大事にしたかったので、「初めてだから全部は完璧にいかないよね」というところを、あえて残していました。
例えば、ダンスのフォーメーションや、多少のタイミングのズレみたいなものがあったとしても、初めてのライブで緊張している彼らの姿として大切にしたんです。
でも、2ndのライブでは、XlamVの7人の成長をお見せしたい。1stライブを乗り越えた経験を感じられるような、そういう余裕を次はもっと出していきたいなと思っています。
斎藤:
アイドルとしての成長を感じられるように、ですね。
風李:
次のライブの時は、デビューしてもう丸2年。3年目に突入しますから! その厚みというか、人間としても成長し続けていることをぜひ感じていただきたいなと思います。
斎藤:
ファンの方も、もっと彼らのプロフェッショナルな姿が見たいという期待があると思うので、叶えられるようにチーム一丸となって作っていきたいです。
──11月24日には、2ndオーディションに参加する新メンバー10名が発表されました。これから期待してほしいポイントを教えてください!
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VS AMBIVALENZ
2nd Seasonキービジュアル公開
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リニューアルされた
公式サイトをCHECKしよう✅🔗https://t.co/8NoPkZxHGW#ビバレン pic.twitter.com/EAxmZsaSpk
— VS AMBIVALENZ(ビバレン)公式 (@vsa_official_jp) November 24, 2024
風李:
いい意味でXlamV、そしてilluvistaとfun4reにとって脅威になるような個性やビジュアルの子たちにできたかなと思ってます。
斎藤:
2ndオーディションはREISENプロダクションとテイルウィンドオフィス、2つの事務所で開催される点もビジュアル面ではポイントになってくるかなと。
キャラデザはもちろんですが、グラフィックとしての全体のコンセプトやデザインも、よりバージョンアップを意識しなければ……! と思っています。
風李:
あとは1stの時は3Dライブの影響もあって、オーディションが終わった後からファンになっていただいた方もすごく多かったみたいで。
そういう方々にも、2ndオーディションは“ライブ感”を持って応援していただける絶好の機会になると思います。魅力的な子たちがいっぱい登場するので、ぜひこれからも『ビバレン』を楽しんでいただけたら嬉しいです。
(文=すなくじら、取材・編集=阿部裕華、柴田捺美)
すなくじら
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