鈴木れな
物心ついたときから生粋のオタク人生を歩んでウン十年。最近の沼はアジアBLドラマ。 2次元から3次元までいろんなモノ・コトを推してます!
10月23日(水)より日台同時配信中の台湾BLドラマ『看見愛(カンジエンアイ)~See Your Love』。
これまでnumanでも何度も取り上げてきた台湾BLドラマ『奇蹟』『正負之間~Plus & Minus』『Be Loved in House 約・定~I Do』の制作陣が再び手掛ける作品とあって、日本でも大注目のドラマの一つではないでしょうか。
聴覚障害を持つ青年、ジアン・シャオポン(姜紹朋)と、家族の愛を渇望する富豪の三代目、ヤン・ズーシアン(楊子翔)が徐々に心を通わせる恋模様と、御曹司に仕える優秀な秘書、チョン・フォンジエ(成豊桀)と、秘書を御曹司と間違えて狙う天然なおバカ不良、ワン・シンジア(王信家)の偶然と打算から発展する恋──2つのラブラインが展開され、毎週続きが気になってたまりません!
numanでは、姜紹朋を演じるジン・ユン(金雲)さん、楊子翔を演じるリン・ユー(林宇/ライデン・リン)さん、成豊桀を演じるリン・ジアヨウ(林家佑)さん、王信家を演じるリン・ヨンジエ(林詠傑/エドウィン・リン)さんの4人にインタビュー!
撮影時やオーディションでのエピソードや役作りについて伺いました。
さらに、本作の監督・チーフプロデューサーであるアニタ・ソン(宋鎵琳)さん、脚本とプロデューサーを兼任するリン・ペイユー(林珮瑜)さんにもインタビュー。
本当はシャオポン(紹朋)と、ズーシアン(子翔)の役柄は逆だった?など、制作秘話を大公開。
これからクライマックスに向けてどのような展開が待っているのでしょうか?
今からでもまだ間に合う!『看見愛』について、大ボリュームでお届けします!
INDEX
──まずは、本作の魅力はどんなところだと思いますか? 見どころやぜひ注目して欲しいポイントをお聞かせください。
ジン・ユン(金雲):
怒りや好き、そして心配といった気持ちを手話で伝えるところに注目していただければと思います。ドラマを見ながら手話の勉強にもなるので、ぜひ一度ご覧いただけたら嬉しいです。
リン・ユー(林宇):
本作に登場するキャラクターには、それぞれに背景があり、問題を抱えています。でも彼らが自身の問題に直面したときは「こんな背景を持っているから、たぶんこうだろう、こう考えるべきだろう」と予想される対応ではなく、別の思考や対処をするんです。みんなそれぞれ別なんです。その点がすごくクールだな、と感じました。ぜひそういった点も気に留めていただけたらと思います。
リン・ジアヨウ(林家佑):
聞こえる人、聞こえない人との間でどのようにコミュニケーションをし関係を築くかについて、知らない方のほうが多いかと思います。私たちなりの方法でそれを表現しました。見る価値のあるドラマだと思います。
リン・ヨンジエ(林詠傑):
僕はベッドシーンをお勧めしたいです!はい!
(4人大爆笑)
──本作では聴覚障害が描かれるにあたり、手話での演技など役作りも大変だったのではないでしょうか。殺し屋や敏腕秘書などそれぞれに個性が際立つキャラクターが描かれています。演じるにあたってどのように役作りをされましたか?
ジン・ユン(金雲):
まずは聴覚障害者関連の映画やドラマをたくさん見ました。
それからとても静かで閉鎖的な空間に長時間閉じこもって音のない環境に自分を置いてみたり、撮影中や待ち時間ではヘッドフォンをして静かな空間にしたりと、物理的にも姜紹朋になりきろうと努力しました。
リン・ユー(林宇):
姜紹朋は手話を通じて楊子翔とコミュニケーションをとり、楊子翔も後半から一部手話を用いて姜紹朋と会話をします。
つまり2人がコミュニケーションをとるためには、相手の手話をしっかりみて、そしてその意味をちゃんとキャッチしなければいけません。この点は、目から鱗でした。
というのも、台本でセリフは決まっていますし、相手役のセリフが終わったら、自分のセリフをしっかり伝えればいいと思っていたんです。相手役が何を伝えようとするのかなど、見ていませんでした。でもこういう演技のやりかたでは演技力の積み重ねができないんだと気づきました。
手話の要素があったことで、今回気づけたと思います。現場で監督からいただいた「相手の手話をよく見て理解し、そして自分の中に溶け込ませてから自分の感情を表現する」というアドバイスも今では完全に理解できています。
リン・ヨンジエ(林詠傑):
王信家は少しおバカな自称殺し屋です。彼を演じるにあたって、彼のおバカさの度合いをどう判断するか、どの程度愚かであるべきか、またはどれくらいならず者っぽくすべきなのか、その点が非常に難しかったです。ならず者に寄せすぎてもよくないですし、おバカすぎてもだらしなく見えてしまいます。
それで彼をもっと掘り下げてみました。台本から得た彼に関する情報をつなぎ合わせ、それから彼の背景、つまり彼の出身地や家族を追加し、彼が子どもの時から恐れていたことは何か、大人になるまで彼はどんな困難に遭ってきたのか、そして何が彼をどう変えたのか……。彼が生まれた時から現在に至るまでの人物像を作り、私が理解する彼を自分の表現方法で演じました。
リン・ジアヨウ(林家佑):
成豊桀は非常に有能な秘書です。人との距離をしっかり保っている人物なので、親しくなるにつれて感情の表現も変える必要があります。
姜紹朋とは仕事モードをどれくらい出せばいいのか、楊子翔との距離感はどれくらいか、そして物語が進むにつれてその度合いをどう調整すべきか、そこがこの役を研究するうえで一番難しく感じた部分です。なぜなら、彼は昼と夜とでまったく違うからです。
昼……つまり仕事の時の彼は、掴みどころのない完璧で冷静な秘書で、誰とも一定の距離を置きます。でも物語が進むにつれて、ほかのキャラクターとも親しくなっていき、仕事の時とは違うプライベートな一面も見せていきます。彼はまた、誰に対しても人当たりがよい八方美人なので、みんなにはそれぞれ違う自分を見せています。私はこの点を常に意識しつつ、すべての話数、すべてのシーンの前に時間をかけて彼について研究し、演技に取り入れました。
──本作に出演が決まったときはいかがでしたか。また、相手役への印象はどうでしたか?
ジン・ユン(金雲):
「まだいける」と最初に思いました。実は最初は楊子翔役でオーディションを受けていたんですね。その後、制作側との面談で姜紹朋役について聞かれ、「チャンスがあれば、紹朋役もぜひ挑戦してみたいです」と伝えました。
それから正式に配役が決まったときは「ああ、終わった!」「挑戦が始まるぞ!」と。
予想していなかったすごく大きな課題が目の前に現れたからです。
全力で頑張りました。気に入っていただけたら嬉しいです。
リン・ユー(林宇):
僕も同じで、オーディションで受けたのは楊子翔役ではありませんでした。
だから、楊子翔を演じると決まった時は自分が楊子翔のどこに似ているか分からず……もう、パニックになりました(笑)。
(全員・笑)
リン・ユー(林宇):
その時は本当に不安でした(笑)。
金雲への第一印象は、ちょっと近寄りがたいな……と。仕事の場だったので、服装もスタイリッシュな感じですごく輝いていました。それに背が高いでしょう?(※金雲さんは190センチ超の高身長!)
もう彼に近づく勇気などありませんでした(笑)。
でも、本作の最終オーディションで再会して目が合った瞬間、最初のあのクールで近寄りがたい印象は打ち砕かれました。とても温かい人だろうなと感じました。
本当に仲良くなって互いに打ち解けたのは、撮影を通してですね。撮影が進むにつれて呼吸がぴったり合うようになってきたので、とても大事に思えます。
ジン・ユン(金雲):
林宇を初めて見たのは本作のオーディションの時です。あまり喋るタイプではないんだな、いつも笑顔で礼儀正しいなと思いました。
それから配役が決まり、撮影が終わった今ではすごく……うるさい子だなと思います(笑)。
(全員爆笑)
ジン・ユン(金雲):
時々彼の口を塞ぎたくなります。本作の第1話みたいに、彼のおしゃべりを止めたい時があるんです(笑)。
リン・ユー(林宇):
あれ?そう? (ニヤリ)
ジン・ユン(金雲):
でも、時々彼はすごくかわいくて、愛されキャラですね。
リン・ヨンジエ(林詠傑):
僕もオーディションは楊子翔役で受けました。でもしばらく連絡がなかったので、落ちたと思っていたんです。その後もう一度来てほしいという話をいただき、王信家という役をもらいました。
実は2回目のオーディションで相手役として手伝ってくれたのは林宇だったんです。本当は金雲の予定だったようですが、席をはずしていたのでたまたま林宇が。
リン・ユー(林宇):
楊子翔もまだ分かっていないのに、成豊桀なんてもっと分からなかったから大変でしたよー!
(全員爆笑)
リン・ヨンジエ(林詠傑):
そう。めちゃくちゃでした(笑)。
合格を知った時はすごく緊張したけど、すぐに撮影が始まると聞いてすぐ台本読みや役作りに専念しました。
家佑の第一印象は、とても真面目だなと。台本を手にすごく緊張していたので。ちょっと近寄りがたい、話しかけにくい人なのかなとも思いました。でも今は、本音で話せる間柄です。
リン・ジアヨウ(林家佑):
最初にドラマの資料をもらったとき、成豊桀?なんて不思議な名前だろうと思いました。(※)
でも台本を読んだ後は、演じるのが楽しみになっていました。
『Be Loved in House 約・定~I Do』で私が演じた役の名前(慕囚良/ムー・チウリアン)もすごく変わっていたんです。ただその作品ではあまりキャラクターを見せられる機会がなかったので、今回の成豊桀役は、性格もよく似ているし、その時に披露できなかった演技も含めてやってみようと思いました。個人的にはとても満足しているキャラクターです。
ちょうどキム・スヒョンさんのドラマ『涙の女王(※2)』を観ていて、彼もヒロインの下で働く役だったので、勝手に親近感を覚えつつ、そういう頭の切れる仕事のできる役を演じることが楽しみでした。なので、オファーをもらった時は緊張よりも楽しみの気持ちの方が大きかったです。
詠傑は隣にいるだけで安心感を与えてくれて、まず優しい人だなと思いました。撮影を通じて一緒に過ごす時間は増えましたが、そうですね……第一印象から変わらず、とてもいい人ですね。彼の外見から受ける第一印象と、実際の性格はすごく似ているかも。
※「成豊桀」…もともとは成丰桀。台湾ではあまり使われない簡体字を使った珍しい名前なのだそう。逆に慕囚良の方はこれまた難しい名前らしく、日本名で例えると一(はじめ)さんと躑躅森(つつじもり)さんみたいな感じでしょうか(笑)。
※2『涙の女王』…韓国tvNにて2024年3月より放送されたドラマ。
財閥三代目の「デパート業界の女王」と田舎出身の「スーパーマーケットの王子」の夫婦を巡るロマンティックコメディ。
──オーディションやワークショップでの出来事やエピソードを教えてください。
リン・ユー(林宇):
最終オーディションでは、その時まで残った俳優達が一同に介して、演技指導の先生の指示に沿って演技をするというセッションがあったんです。僕は、金雲とは少し離れた場所に立っていましたが、先生から彼に向けて感情をむき出してほしいという指示があったので、そこで初めて彼と演技をすることができました。
1~7の数字だけを使って自分の感情を相手に表現するという内容だったのですが、僕は演技開始後すぐに涙が溢れて感情が爆発してしまいました。演技でこんな経験をしたのは人生でも初めてでした。言葉の制限があったので、手話で何かを伝える必要がある場合の状況と似ていて、このセッションでその感覚を深く感じられました。
ジン・ユン(金雲):
そうですね。僕もその時、林宇と合わせた演技がよかったので、その次のセッションからは無意識に林宇の方を向いていた気がします。磁場が合うとお互いを引きつけ合うのかもしれませんね。
──本作でも撮影前に合宿が行われたと伺いました。
リン・ジアヨウ(林家佑):
面白いのは、私たちの生活習慣が全く違うことです。(合宿の時は)いつも最初に起きるのは私でした。私が起きてみると……、
リン・ヨンジエ(林詠傑):
僕はまだ寝てる。
リン・ジアヨウ(林家佑):
そうそう。私には朝のルーティンがあるので、それらのルーティンが全部終わるころにちょうど彼が起きるんです。
詠傑は出かける前の支度が短いほうなので、そこからでも間に合っていました。部屋にはバスルームが一つしかなかったんですが、奪い合う必要もなくすごく相性がいい感じでしたね。全く異なる生活習慣を持つけど、お互い補っているというか、相性もよくて呼吸も合うなんてなかなか興味深いなと。
リン・ヨンジエ(林詠傑):
僕も同じです。みんなと一緒にスケジュールをこなすだけでも仲良くはなれますが、やはりこうして同じ空間で一緒に食べて、過ごすことで、違いや共通点に早く気付くし、互いへの理解も増える気がします。合宿の時は本当に素直にたくさん話し合いましたね。
──撮影時の思い出は? 印象に残っているエピソードがあったら教えてください。
ジン・ユン(金雲):
病院で涙を流すという非常に重いシーンを撮った日が印象に残っています。その日はたまたま自分の撮影シーンが多く、朝から泣いて、昼も泣いて、そして夜も泣き続けました。感情の消耗が激しく、自分が空っぽになってしまうんじゃないかと思うくらいでした。でも、最後の泣くシーンを撮る時には、これで最後だと思うと幸せな気持ちになりました。こんな重いそして大事なシーンを演じ切ったという喜び、ちゃんと成し遂げたという嬉しさでいっぱいでした。いい思い出です。
大変だったのは、アドリブで演技をすることもあり、その場で手話をする必要があったことですね。手話の先生が毎日現場に来られるわけではなかったので、すぐに手話が合っているかどうかのチェックができず、その時は本当にプレッシャーを感じました。
リン・ユー(林宇):
最後のシーンの撮影はかなり時間がかかりました。屋外での撮影だったし夜だったので、僕の演技が決まらなければ、スタッフも含めてみんな帰宅できない、というプレッシャーもありました。何だか複雑な気持ちでした。
でも撮影が終わったら、彼ら3人が現れて、しかも金雲はケーキまで持っていたんです。すごく感動しました。大変だった気持ちが一掃されて本当に幸せを感じました。一番の思い出です。
リン・ヨンジエ(林詠傑):
オフィスでの撮影ですね。みんなは先に撮影を開始していて、僕はまだ撮影2日目だったんです。舞台しかやったことがなかったのでドラマ撮影に全く慣れていなくて。だから、ただ歩くだけでもその一歩一歩がことごとくカメラを邪魔していて、もう苦痛でした。
それからも立つ位置や動線を気にするあまり演技に集中できない、悪循環でしたね。その日は本当に落ち込みました。でもその日だけで、その後は順調でした。家佑がいろいろ教えてくれたんです。彼の助けでカメラの前でどのように動けばよいかが理解できました。失敗は成功の母ですね。
リン・ジアヨウ(林家佑):
自分の撮了日(すべての撮影を終えた日)が特に記憶に残っています。ケガをした楊子翔をお姫様抱っこするんですが、彼の「離して」という言葉に素直に手を放す……というシーンですね。(第1話)
撮影が終わったら、詠傑が花束を抱えて立っていました。金雲も林宇もその場にいて。その瞬間、すごくいい作品、そして自分が好きなキャラクターを演じきったという達成感が湧いてきました。ここいるみんなで一緒に成し遂げたという感激もありましたね。一方で、成豊桀を手放したくないという気持ちも強かったです。
一か月の撮影は長いと思ったこともありますが、何だかすごく短く感じました。楽しい現場でした。意見の衝突が起きる時もありましたが、それも作品のため、もっといい作品を作るためでしたね。本当に楽しかったし、あの日の感動は今も残っています。
──それでは最後に日本のファンに向けてメッセージをお願いします。
リン・ユー(林宇):
早く日本のみなさまと会いたいです。たくさん応援してください!
ジン・ユン(金雲):
ドラマを観ながら手話の勉強も真剣にお願いしますね。日本に行った時はテストしますよ?(笑)
リン・ヨンジエ(林詠傑):
私たちのこのドラマを通して、本当の愛と幸せを感じていただければ幸いです。
リン・ジアヨウ(林家佑):
このドラマが、私たちが積み重ねたこの愛がみなさんにも伝わりますように!
『看見愛』キャストインタビュー、いかがでしたか?
次ページからは、制作陣にインタビュー。
『看見愛』制作のきっかけや、競争が激しくなっているBLドラマ事情についても伺いました。
鈴木れな
物心ついたときから生粋のオタク人生を歩んでウン十年。最近の沼はアジアBLドラマ。 2次元から3次元までいろんなモノ・コトを推してます!
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