ヤマコシ ショウコ
フルート奏者兼Webライター。好きなショタは小夜左文字、アイドルはランカ・リー、RPGはドラクエ。
自分の好きなアニメのキャラクターやアイドル、俳優など自分が夢中になっている対象「推し」、そんな推しを応援する活動「推し活」。空前の推し活ブームの日本では、いまやオタクだけの概念ではなく一般的にも広く使われるようになりました。
では、海外のオタクはどのように「推し活」をしているのでしょうか? 「11月4日(いい推しの日)」にちなみ、オーストリア在住のオタクライターがドイツ語圏の推し活事情を【前後編】で調査。【後編】の今回は実際の海外オタクたちに「推し活」のアレコレをリサーチします。
⇒【前編】オタク女がドイツで「推し活」してみたら…グッズ予約に敗北し、イベント視聴できずショックで寝込んだ。痛バつくるのもめっちゃ大変!
INDEX
さて、【後編】では実際に周りのドイツ人やオーストリア人に聞いた推し活・推しに対する理解や日本の推し活の印象などについて紹介していきます。
筆者の調査では、推し活・推しという日本語や概念を知っている人が6割、知らない人が4割といったところ。今回の調査で「初めて聞いた」という方もいました。
概念を「知っている」と答えた人に推し活をどのように理解しているかも問いかけたところ、「自分の好きなスターやキャラクターに、プレゼントで愛情を表現すること」といった惜しい回答から「キャラクターやアイドルを応援する活動」とシンプルかつ的確な回答も見られました。
「推しはずっと心に残って特別だと感じる存在のことだと認識してるよ。実際に存在しないキャラクターであっても、強い繋がりを感じるんだよね。そしてすごく共感できるキャラクターに出会ったりすると、コスプレで演じてみたくなったり、絵を描いてみたり、音楽を聴いたりといった欲求が出てくるんだ。キャラクターとその世界を知るのは楽しいよね」(29歳/男性)
「言葉は知らなかったけど、私には応援している人がいて(初音ミクとアンティック-珈琲店-のボーカル)、そのために彼らのCDを買ったりグッズを買ったり、定期的にライブを見たりしてるよ」(性別非公開/33歳)
「実際の日常でも使われている言葉だよね。推しに執着することで精神面で支えられることもあれば、実際の人間関係が希薄になることもある。アイドルはその側面を上手く利用して、長年ビジネスで活かしているんだよね」(40歳/男性)
アニメファンであれば、日本語を知る機会は恐らくアニメからがほとんどでしょう。よく考えてみると、「推し」は聞いたことがあっても「推し活」は実際アニメでもあまり聞かない言葉なのかもしれません。
例えば最近話題の作品『推しの子』は海外でも『Oshi no Ko』というタイトルで知られていますが、作中で「推し」という言葉は出てきても「推し活」という言葉は(筆者の覚えている限り)出てきていないはずです。
次に、推しがいると答えた人に「どんな推し活をしたことがあるか」を聞いてみました。
基本的には「グッズを買う」「ライブやイベントに足を運ぶ」「コスプレをする」という回答がほとんど。一般的に日本で代表的な推し活として考えられる活動と何ら変わらないようです。
「『ONE PIECE』のモンキー・D・ルフィが私にとってすごく特別な推しだよ。私の人生を導いてくれる存在で、作品を読んだり見たりすることは私にとってすごく意味のあることなんだ。他にも好きなキャラクターはいるけど、ルフィは別格なんだ。
推し活ではコスプレやグッズの購入、アニソンの視聴やイベントの訪問はもう何年も定期的にやってるよ。最近はHATSUNE MIKU EXPOに行ってライブを見たりグッズを買ったりして楽しんだよ」(29歳/男性)
「私の推しは『呪術廻戦』の五条悟、『BLEACH』の黒崎一護、『ハイキュー!!』の影山飛雄。バンドだとSPYAIR、ONE OK ROCK、Eveが好きかな。推し活だとぬいやフィギュアとかのグッズを買ったり、推しキャラクターのコスプレをしたりしてるね。
今年のフランクフルトのイベントでは影山飛雄のコスプレをしたよ。ほかにも『鬼滅の刃』の竈門禰豆子と『文豪ストレイドッグス』の中原中也のコスプレもしたことがある。推しのバンドに関してはYouTubeやTikTokで追ってる。以前カッセルで開かれたアニメイベントでは春奈るなと佐咲紗花のライブを観たよ」(27歳/女性)
一方、日本だとかなり一般的となった「グッズとカフェなどで写真を撮る」という回答はほぼありませんでした。コラボカフェや推し活カフェがなくても、グッズを持って行ってレストランやカフェで写真を撮ることは物理的には可能では、と思う方もいるでしょう。
しかし、アニメファンではないドイツ・オーストリアの人にとってアニメや漫画はいまだ子ども向けのコンテンツ。普通のぬいぐるみでさえも、持っている大人は少ないと聞きます。そんななかで推しグッズやぬいを出して撮影するのは、かなり勇気のいることなのかもしれません。
また、日本の「推し活」という概念を知っている人に、印象的だったことや驚いたことについて聞いてみました。
よく見られたのはコラボカフェやコンセプトカフェについての回答。やはりコラボカフェ系は日本独特の文化だと実感。しかし、筆者が住んでいるオーストリアには伝統的でかわいいカフェがたくさんあるので、コラボカフェとはまた違った楽しみ方が出来ると思います。ただ前述した通り白い目で見られるし、まぁそういうことではない……ってことですね。
回答のなかには「最近の日本の推し活は近代化しすぎ。昔のように、喜んで人との接触を図るべきだと思う」というモノも。
本人がバンドが好き、友人がアイドル好きだという方の回答のため、オンラインイベントを指しての感想のようです。また、推し活中の日本人の態度に感銘を受けたという回答も。
「日本はキャラクターとの繋がりが私たちの国よりも一般的だよね。こっちだとアニメ・漫画界隈でもその辺りを理解していない人もいるから。あと日本だとキャラクターや作品の愛着を深めるためのイベントや特別なカフェがあって、それを満喫できることに感銘を受けたよ」(29歳/男性)
「アニメ関連のカフェがすごく印象に残っているよ。アニメに関連したテーマパークとか鳥取砂丘コナン空港もすごく面白いよね」(27歳/女性)
「コンサート中の日本人の礼儀正しさは驚くべきもので、押したり押されたりすることがない。バンドメンバーが観客席に向かって投げたものに対してじゃんけんが行われるのもすごいね」(33歳/男性)
今回筆者は記事の調査のなかで、一人のアニメファンのドイツ人女性・ロキさんと知り合いました。話を聞いてみたところ、かなり熱心なオタクであることが判明! せっかくなので根掘り葉掘り聞いてみました。
――ロキさんの推しや好きなアニメは何ですか?
ヤマコシ ショウコ
フルート奏者兼Webライター。好きなショタは小夜左文字、アイドルはランカ・リー、RPGはドラクエ。
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