すなくじら
下町育ちのエンタメライター。アニメ&映画ジャンルを中心に執筆活動中。ダークファンタジーやゴシックなテイストの世界観の作品が好きです。乙女ゲームの新作情報が生き甲斐。
――ここからは、2023年12月発売のニューミニアルバム『アイコトバ』についても聞かせてください。まず気になったのは、アルバムのタイトルです。『アイコトバ』 は“愛の言葉”と“合言葉”の掛け合わせでしょうか?
高塚:
その通りです。実は、僕が唯一作詞したアルバム3曲目の「!!!!!!!!(エクスクラメーション)」の歌詞に「合言葉」というワードが出てくるんですよ。
タイトルを決める時に、前作『ホシノオト』がカタカナ5文字だったので、今回もそれに合わせたかったんですね。それで今回、僕が作詞した「!!!!!!!!」から、タイトルに合いそうな言葉を探しました。
――そもそも今回、作詞初挑戦ですよね。どういった経緯で作詞をすることに?
高塚:
アーティスト活動をやらせていただいている中で、ずっと作詞作曲に挑戦してみたいとは思っていたんです。作曲はともかく作詞ならそこまで難易度も高くないだろうと、今回アルバムを作るにあたって挑戦してみました。
だけど、実際書いてみると難しすぎましたね。作詞家さんへのリスペクトしかないです。
――「!!!!!!!!」には、ストレートな飾らない言葉が歌詞に綴られていて、作詞初挑戦とは思えないくらい素敵でした。
高塚:
ありがとうございます……!
「!!!!!!!!」では、自分自身と、自分を応援して支えてくれたファンの皆さんに向けて曲を作りました。もっとおしゃれにしたかったんですけど、ちょっと無理でしたね(笑)。
きっと作詞家さんだったらもう10パターンくらい伝え方が出てくるんですけど、僕は「とにかく(気持ちを)届けたい!」しか出てこなかったんですよ。分かりやすく例えるなら、“感謝の手紙”のような曲になりました。
――曲調はゲームのオープニングのようにキャッチーで、明るい気持ちになれます。
高塚:
たしかに! 「!!!!!!!!」は、曲を先につくっていただいたんです。僕は専門的な要望は出せないのでざっくりと、「ゲーム曲っぽい雰囲気やゲームの主題歌っぽさを出して欲しい」と作曲家さんにお伝えしていました。
つくっていただいた中から2曲で迷ったのですが、「ストーリー性のある曲調はこっちだから、この曲で作詞してみよう!」と今の曲を選んで、メロディに合わせて歌詞をはめ込んでいきました。
だから、より難しかったんだろうなって。とはいえ、作ったものに気持ちを込めて歌うのは得意なので、この作り方でよかったとも感じています。
――今回はさまざまな作詞家・作曲家・編曲家の方との二人三脚で曲を作られていますよね。
高塚:
そうなんです。「僕らのアンサー」と「My words of love」は、藤本(記子)さんと福富(雅之)さんというご夫婦で作詞作曲・編曲をされている方たちに作っていただきました。僕が好きな『アイドルマスターミリオンライブ!』でも多くの名曲を作っています。
そんな2人にお会いする機会があって、ソロで活動していることを話したら、「作詞作曲できたら嬉しい」と言ってくださって。名刺もいただいたので、今回アルバムを制作するにあたってダメ元でオーダーさせていただきました。そしたら、2曲とも了承してくださったんです……!
お2人の曲のキャラクターへの寄り添い方にずっと感動していたので、今回ご一緒できたことは本当に嬉しいです。
――それは嬉しいですね。藤本さん、福富さんに曲をつくっていただくにあたって、高塚さんはどのようなオーダーをしたんですか?
高塚:
「エモさのあるロックな曲」「おしゃれで切ないバラード曲」とかなりざっくりお願いをして。お2人なら絶対理想の曲を作ってくれるだろうと思っていたら、想像以上のアウトプットで「さすが」の一言でした。
エモさのあるロックな曲「僕らのアンサー」は、本当に前向きになれる曲です。寂しい気持ちやエモーショナルな気持ちを織り交ぜながらも、最後には未来に向かって前向きな気持ちになれるような曲になったと思います。
リリイベで歌った時は、みんなの笑顔を見ながら歌ったこともあって、レコーディングの時のエモさとはまた違う、楽しく前向きな気持ちで歌えた気がします。そういう気持ちの変化に寄り添っていろんな色を見せてくれる曲だと感じました。
――一方、「My words of love」はバラード曲。ガラッとテイストが変わります。
高塚:
僕は音楽ジャンルの中でもバラードが特に好きなんですね。藤本さんと福富さんにお願いしたもう一つの理由に、シンガーソングライターとして活動されているので、「エモいバラードが得意なんじゃないかな?」と勝手な推測もあって(笑)。
『アイドルマスター』のキャラソンの時も、お2人のつくるバラード曲に心を掴まれたので、今回はバラードをお願いしたいなと。切ない曲や感情を込めた曲が大好きなので、「聴きながら浸ってもらいたい」と思いながら、レコーディングで歌いました。
実は、藤本さんと福富さんもレコーディングに来てくださったので、当日は緊張しましたが……。
――好きな方たちの前で、その人たちがつくってくれた曲を歌うのは緊張しますね……!
高塚:
本当にその通りで(笑)。でも、楽しくまっすぐ歌えたと思います。
1人の音楽好きとして、「僕らのアンサー」と「My words of love」は、仮に自分が歌う曲じゃなかったとしても本当に良い曲だなと感じています。藤本さんと福富さんの楽曲、絶対にまた歌いたいです!
――続いて、アルバム4曲目の「story tears」についてはどうでしょうか?
高塚:
前回のアルバムで「強がりヒーロー」という曲を作っていただいた、ボカロPとしても活動しているTeary PlanetチームのNanaoさんにお願いしました。「強がりヒーロー」が大好きで、次の機会があったらまたぜひお願いしたいと思っていたんです。
前回は色々オーダーをしたんですけど、今回はNanaoさんの自由に作っていただこうと思って、ボカロっぽい音や得意とするスタイルで作ってもらいました。
「強がりヒーロー」もそうでしたけど、Nanaoさんの言葉選びって本当に僕が言語化できないものを全部表現してくれるんですよ。前向きな力強い歌詞で、僕のポジティブな性格を表してくれていると思います。
また、Nanaoさんらしさのある、力強くて爽やかな最高の曲になっています。アニソンやボカロが好きな人には刺さるんじゃないかな。皆さんを明るいパワーで引っ張っていくような曲ができたと思います。オーダーしていないのに、僕が求めていた曲そのものみたいな感じでしたね。
――高塚さんが求めていた曲そのものということは、レコーディングも楽しく歌えそうですね。
高塚:
本当にそう。レコーディングも曲がいいと楽しく歌えるんですよね。この曲も楽しく歌いました。
広いところで歌っているイメージと言いますか……。ライブとかで歌えたら楽しいんだろうなと想像しながら気持ちよく歌わせていただきました。
――5曲目の「Reclaim the sky」は、物語性のある曲ですね。
高塚:
この曲は、“僕の趣味”として歌いたかった曲です。PCゲームやギャルゲーの音楽を作っているproject lightsの仲村(芽衣子)さんに作詞、丸山(公詳)さんに作曲をお願いしました。
丸山さんとは以前『スチームプリズン』という乙女ゲームのレコーディングでお会いしました。ソロで活動することになった時、「丸山さんが普段作る男性向けゲームっぽい曲を歌いたい」と思っていたので、念願叶いました。
丸山さんがこれまで手掛けてきた楽曲から「こんな雰囲気の曲がいい」と選ばせてもらって。自分の中で、ストーリーを作りながら歌いました。
――ぜひギャルゲーの主題歌として使ってほしい1曲ですね!
高塚:
それはもう本当に……!ギャルゲー大好きな僕としては、ギャルゲーの曲に憧れがあったのでとても嬉しかったな……。
「いつかは男性ゲームのオープニングなどをよく歌われるような女性のアーティストに歌ってほしいな」という願いもあったりします(笑)。
――女性アーティストさんが歌うとまた違う雰囲気になりそうですね! では、アルバム最後の「High 5」はどんな曲になりましたか?
高塚:
「!!!!!!!!」でも作曲・編曲を担当してくれたWEARTさんは、前回のファーストアルバムでお世話になった方です。多様な曲を生み出してきたチームのみなさんに、今回「High 5」は、ライブの最後に歌えるような、みんなで楽しめる曲を作りたいと思い、お願いしました。
ライブで盛り上がるクラップ曲です。レコーディングも本当に楽しくて、ライブを想像しながら歌いました。
――こうして5曲揃うと、とてもバラエティ豊かなアルバムだなと思いました。全部リード曲でも良いくらい素晴らしいクオリティですね!
高塚:
嬉しいです! なので、リード曲選びも相当悩んで、全曲を揃えてから選びました。
本業でアーティスト活動をしている方はアルバムをたくさん出す機会があるかもしれませんが、僕は声優として活動しているので、次にいつアルバムをリリースするか先が見えないんですよね。だからこそ、いろいろなシチュエーションで聴ける曲を多く入れたかったという思いがあります。
夕日が綺麗な時間や朝、ゆっくりしたい休日、ドライブ中……さまざまなシチュエーションに合う曲を作って、皆さんの日常の中でいつでも聴けるアルバムになったと思います。
――声優の活動と歌手活動を並行している高塚さんですが、それぞれの活動同士が影響を与えていることはありますか?
高塚:
表現するという点では、どちらも同じだと思っています。僕は小さい頃から歌が大好きで、部屋にこもってGLAYやサザンを歌いまくっていたんです。その感情表現が、芝居に繋がっていきました。
結果的に今、声優とアーティストとして活動していますが、歌うことでお芝居とは違う表現ができているので、両方が上手く作用しているのだと思います。
――お芝居、歌のほかに、今回のアルバムから作詞という「書く」表現にも挑戦していますよね。新しい表現への挑戦はいかがでしたか。
高塚:
歌詞を書くのは本当に難しい……! 芝居をしているから色々な言葉を知っているはずなのに、それが歌詞に繋がらないんですよね。エモーショナルな歌詞を書こうと思ってメモを取っていたのですが、昔の黒歴史みたいになっちゃって……振り返っても、ちょっと恥ずかしくなってしまいます(笑)。
――そのメモに何が記されていたのか気になります(笑)。また作詞をする可能性はありそうですか?
高塚:
今後、作詞で書いてみたいテーマは3つあります! クリスマスソング、家族に向けた曲、そして実家で飼っていた猫のラッキーに向けた曲も書けたら嬉しいですね。
特に親への感謝は、歌で表現したいんです。自分の人生の中で、素敵な歌を教えてくれたのも親なので。今も新曲をリリースするたびに聴いてくれているので、家族に向けた曲をつくった時にはあえて事前に何も伝えずに、「あれ?これって……」とビックリさせたいと思っています(笑)。
――素敵な目標ですね! それでは、今日のお話では“推す側”としての高塚さんの姿について伺いましたが、最後に“推される側”として声優活動と歌手活動の2つの“推され方”に感じる違いを教えてください。
高塚:
推されるのはどちらも嬉しいことに変わりはないんですけど、歌手活動の場合、作品のキャラクターを通さずに、“高塚智人”として推してもらえる嬉しさはありますね。
声優としての僕を推してくださる場合、キャラクターを通した高塚が好きと言っていただくことが多いですが、歌手活動では僕個人として好きになってもらえる。それは違う嬉しさを感じます。
どんな業界でもそうですが、特に芸事は応援してくれる人がいないと成り立たない仕事だと思うんです。だからこそ、受け取ってくださる方への感謝を絶対に忘れたくないですね。
今回のアルバムでは、“歌手・高塚智人”としての感謝の気持ちを歌に込めて、皆さんに届けられたらと思っています。
(執筆:すなくじら、取材&編集:阿部裕華、撮影:小川遼)
高塚智人 2ndミニアルバム『アイコトバ』
2023年12月13日 リリース
-CD収録内容-
1.僕らのアンサー
2.My words of love
3.!!!!!!!!
4.story tears
5.Reclaim the sky
6.High 5
-M-CARD収録内容-
1.「僕らのアンサー」Music Video
2. 撮影オフショット前編
3. 撮影オフショット後編
●初回限定盤
CD+M-CARD
¥3,300(税込み)
MUCD-8177/8
●通常盤
CD Only
¥2,200(税込み)
MUCD-1519
高塚智人(たかつか・ともひと)
1992年8月25日生まれ、東京都出身。A型。
高塚智人 アーティストページ:https://dreamusic.co.jp/artist/tomohitotakatsuka/
高塚智人 公式X(旧:Twitter):https://twitter.com/tomohito0825
高塚智人 アーティスト公式X(旧:Twitter):https://twitter.com/takatsuka_staff
すなくじら
下町育ちのエンタメライター。アニメ&映画ジャンルを中心に執筆活動中。ダークファンタジーやゴシックなテイストの世界観の作品が好きです。乙女ゲームの新作情報が生き甲斐。
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