好きな作品は無限にあれど、
“はじめて好きになった作品やキャラクター”はより印象深いもの。
自分がオタクになったきっかけでもある作品を語る本シリーズ。
今回はゲームから飛び出し、アニメや実写映画などでいまや世界的人気を誇る『ポケットモンスター』シリーズについて、ライターの宮本デンさんに思い出を語っていただきます。
DVD『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲 完全版/ピカチュウのなつやすみ』(メディアファクトリー)
via DVD『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲 完全版/ピカチュウのなつやすみ』(メディアファクトリー)
ポケモンに初めて触れたときのことを覚えていますか?
私が初めてポケモンに触れたのは1997年に放送されていたアニメ『ポケットモンスター』の第1話でした。小さい頃に見たので当時のことは朧げですが、サトシとピカチュウが喧嘩しつつも、最後にはサトシを守るシーンを見て感動したことはよく覚えています。
それからポケモンえほんシリーズの『ピカチュウげんきでちゅう』『おばけを見ちゃったヒトカゲくん』(ともに小学館)などを経て親しんでいき、毎週テレビの前でアニメが始まるのを待つようになっていました。
そして、『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』と短編映画『ピカチュウのなつやすみ』を観て、幼かった私は完全にポケモンの虜になりました。
初めての自分のポケモンとの出会いと、アニメへの憧れ
ゲームの『ポケットモンスター』シリーズ自体に触れたのは少し経ってからのことです。
初めて手にしたのは、1999年にゲームボーイのソフトとして発売された『ポケットモンスター 銀』。これからは自分の分身が、自分のポケモンと一緒に冒険をしていくことができるようになる。そのことに胸が躍り、ゲームにはかなり熱中しました。
ウツギ博士からチコリータを貰ったときのキュンとした気持ちは、生涯忘れることはないと思います。美しくてかっこよくて強くて、今でも大好きなパートナーです。
『ポケットモンスター 銀 専用ダウンロードカード特別版』(任天堂)
via 『ポケットモンスター 銀 専用ダウンロードカード特別版』(任天堂)
それでもやはり私の原点であるポケモンはアニメ。根底には
「ゲームでもアニメのようにポケモンと過ごしたい」と思っていました。アニメと違い、ゲームだとポケモンは常時モンスターボールに入っています。
システム上仕方のないことですが、例えばご飯を食べたり、一緒に歩いたりはできないため、アニメのサトシとピカチュウみたいにそこに当たり前にいる存在として一緒に過ごしたい。バトルをするだけでなく、日常を共にして暮らしていきたい。そういう気持ちは常にどこかにありました。
そしてその気持ちに応えてくれるかのように、近年では『ポケットモンスター 剣盾』を皮切りに割とアニメに近い雰囲気でポケモンと接することができるようになったと感じています。
【公式】『Pokémon LEGENDS アルセウス』FINAL PV
2022年に発売された『Pokémon LEGENDS アルセウス』は、いつものバトルを軸として進めていくストーリーとは異なり、ポケモンの調査をするのが主目的で、自由気ままにポケモンの世界を走り回ることのできる世界観が構築されていました。「ただ生き物としてそこにいる」ことを感じることのできるこのシステムは、まさに私が求めていたものでした。
野生のポケモンを観察するもよし、自分のポケモンを愛でるのもよし、ひたすら散歩するもよし。長年のポケモンで確立された「当たり前」を大胆に取っ払ったからこそ遊び方は無限大で、どこまでも広いフィールドで自由にポケモンと過ごすことができる…。
『Pokémon LEGENDS アルセウス』では何にもとらわれず、気の向くままにポケモンと時間を共有することができました。普段のポケモンシリーズとは確かに毛色が違いましたが、ポケモンという「生き物」に対する深い愛情を感じる作品でした。
『Pokémon LEGENDS アルセウス 』(任天堂)
via 『Pokémon LEGENDS アルセウス 』(任天堂)
ゲームとしてではなく「ポケモンのいる世界」が当たり前のように扱われる楽しさ
そして昨今では「アニメのような世界」を飛び越えて、現実的な「ポケモンのいる世界」に向けて急激に描写が進化してるのを肌で感じています。
2022年11月18日(金)に発売された『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』。プレイした際の感想で多く言われているように、私も全く先に進むことができません。ポケモンが生物としてどういう動きをするのか、共存している場合はどういう役割を担っているのか、どこに生息し、何をしているのか。そういうのがポケモン一匹ずつに対して細かく描かれているため、その観察と驚きでストーリーを進めることができないのです。
【公式】『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』Final Trailer | Ed Sheeran - Celestial
ハリウッドで映画化された『名探偵ピカチュウ』では特に顕著ですが、DJドゴームや消防隊に所属するガーディなど、現実的な私たちの生活に溶け込んで共存する様子が描かれる様になってきています。現在でも多く使われているハッシュタグ「#ポケモンのいる生活」で描かれた光景には、大勢の人が共感を示していました。もはやポケモンは単純に「架空の生物」であるとは言えないほどに身近な存在です。
既にポケモンはアニメに近づけるだけではなく、「ポケモンのいる世界」を改めて現実世界にデザインする段階に入っているのだと思います。それらがポケモンを愛する人たちによって次々に生み出され、自分の分身が存在するゲームに反映されていくことに、途轍もないワクワク感と喜びを覚えるのです。
【公式】映画「名探偵ピカチュウ」予告①
「ポケモンのいる世界」が現実になるそのときまで
「ゲームとしてではなく、ポケモンと一緒に過ごしたい」
そんな荒唐無稽のように思える夢を少しでも現実にしようと、試行錯誤が繰り返されるポケモンシリーズは今や私にとってかけがえのない存在です。
『Pokémon Go』(ポケモン ゴー)ではAR機能を使用して、日常生活の中にポケモンが映し出されたときには、決してこれまでのゲームでは得ることのできなかった感動がありました。
いつか本当に現実世界でアニメと同じようにポケモンと過ごすことができるのかもしれない…そんな妄想が突然現実となって目の前に現れたようで、しばらくはずっとAR機能ばかり触っていました。子供から大人まで分け隔てなくポケモンを目にして笑顔を浮かべる姿を見て、こういった形でポケモンは現実世界に存在していくんだな、と感慨深くなったことを覚えています。
『Nintendo Switch ポケモンLet's Go! ピカチュウ・ Let's Go! イーブイ スーパーミュージック・コンプリート』(株式会社オーバーラップ)
via 『 ポケモンLet's Go! ピカチュウ・ Let's Go! イーブイ スーパーミュージック・コンプリート』(株式会社オーバーラップ)
きっと、数年後には私が想像もつかないほどに、ポケモンがより近くに存在している未来が待っているのだと思います。私は初めてポケモンに触れたときのあのキュンとした気持ちを抱えて、どこまでもポケモンを愛し続け、穏やかに共に過ごしていけることを願っています。
■『ポケモン』から学んだ“好き”を貫く大切さ。多様性の時代にあの言葉が響く
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【公式】アニメ「ポケットモンスター」第1話「ピカチュウ誕生!」