numan編集部
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稽古はオンラインミーティングアプリ「Zoom」などを活用し、観劇は配信課金システム「ファン⇄キャス」、 会場は池袋に誕生したLIVEエンターテインメントの複合施設ビル「Mixalive TOKYO」(ミクサライブ東京)の「Hall Mixa」を使用という、新感覚舞台の内容をレポート!
6月28日に行われた、小澤廉さん主演、川本成さん作・演出の舞台「好きな場所」。
一回限りの公演ということで、その内容に込められたものを、川本成さんにお聞きしました!
INDEX
ひとまずホッとしております。
それが緊張だったのかワクワクだったのか何なのか。とにかく今まで味わったことのないような新鮮な気持ちになりました。そしてやはり、観てくださる方々がいらっしゃってこそのエンターテインメントだと嬉しくなっちゃいました。本当にありがとうございました。
――無観客・配信型だからこその演出など、苦労された点や工夫された点を教えてください。
たくさんのリモート演劇やオンラインエンターテインメントも立ち上がる中で、自分が感じたことや、逆に今やれること、面白いことを詰め込んだ作品になったと思います。
今しかやれないことばかりでしたね。
こういった時期に新しいことをやらせてもらえるのは、とても有難いことです。
脚本にも入れたのですが、自分が「当たり前だと思ってたこと」を改めて見つめ直しましたね。やっぱり今までの方法論に甘えていた部分と、その上でもっともっと深い部分の面白いことを編み出したいなあという今回でした。
でも大事なことは結局生身の身体で伝えに行くというか。
デジタルな方法論が一歩進んだなという中で、より一層アナログ感の重要性も分かった稽古でした。
小澤くんはとても実直に、前のめりかつストレートに向かってきてくれました。
そんな小澤くんに色々演出的なことを言いながらも、なんだか自分にもそれが返ってくるような不思議な時間でした。そして、僕自身も様々な感覚やアイデア、インスピレーションを小澤くんを通して獲得することが出来たような。一緒だから産み出せた作品だと思います。
今回の企画、小澤くんと一緒で本当に良かった。ありがとう。
またなにかやろうぜ。
やっぱりエンターテインメントの根幹は「お客さんが観てくれて完成する」ということだと改めて強く思いました。
今回とても嬉しい経験をさせてもらったし、今後も次々と皆様に楽しんでもらえるようなことを考えていこうと、今メラメラとしております。
「初、自宅配信です!」コメントと共に、室内がモニターに映し出され、小澤さんの座る座椅子の背後のカーテンや、BOSEのスピーカー、自分の写真がロック画面のiPhone、最近プレイしているゲームなど、お気に入りのアイテムが紹介されていきます。
などと考えていると、楽しそうに『キングダムハーツ』の話をする小澤さんの声に救急車のサイレンがかぶってきて……。さらに、立ちあがった拍子にマグカップに入っていたコーヒーをこぼしてしまい、机や座椅子が水びたし。
しかも、こぼしたコーヒーを拭こうとしたキッチンペーパーが3枚しかなくて……。気を取り直して、最近読んだ宇宙の本の話をしていると、今度は外からけたたましい消防車の音が。さらに、玄関チャイムの音が鳴り、宅配で届いたのはペグハンマー!
「今年は花見できなかった」という自粛続きの今年の春の話題から、「ひとりでずっと家にいると、僕の居場所がなくなってしまった気がする」「当たり前だと思っていたことが、当たり前ではなくなってしまった」と想いを吐露していきます。
すると、チャットに「Ren Ozawa」なるアカウントから「申請します」というコメントが。小澤さんも「さっきから申請がきてて……Ren Ozawaって誰だろう?」「許可してみてもいい?」と観客に問い掛けます。
「俺は、お前だ」
という声と共に画面に映ったのは、もうひとりの小澤さん!
そして、「当たり前だと思っていたことは、当たり前じゃなかったんだ」と意味深なヒントを残して退出する「Ren Ozawa」。
どうやって壁を壊せば……と言われたことを考え出す小澤さん。
当たり前だと思っていたことは、当たり前ではない!?
背後のカーテンを引っ張ると、そこにあるのは窓ではなく壁で。さらに、その壁が昭和のお笑い番組のセットさながらに倒れていくと、そこは「Hall Mixa」のステージという仕掛けが!
まさかの展開に、観客のチャットも騒然。
そして、ミュージカルで舞台への想いを歌います。
水玉シャツの上にゴールドのジャケットとシルクハットを着用、クイックルワイパーをステッキにダンスも披露。楽しく歌い踊りますが、「ここは僕の好きな場所だけど、客席にお客さんがいない……」と切ない顔に。
再び現れたもうひとりの小澤さんが「好きな場所は取り戻せたのか?」と問い掛けると「みんながいないと、この場所は取り戻せないみたい」と小澤さん。すると「新たな場所に連れて行ってあげるのが、お前の役目なんじゃないのか?」と、もうひとりの小澤さん。
「劇場はなくならないから、いつか戻ってくればいい」という言葉に、モニターに手を差し伸べ、観客を新たな場所へと連れ出します。
そして、スタンドマイクの前にたたずむ小澤さんの下に、客席に仕込まれたバンドメンバーが集結! 生バンドの演奏で「好きな場所」への想いを込めた歌を歌います。ラストは劇場の階段を駆け上り、ロビーを出て「Mixalive TOKYO」の正面入り口へ。ビル全体を見上げたところで、エンディングという、Zoom配信やチャット機能を駆使した、まさに“今だから”できる最高の舞台となりました。
「泣いちゃった!」と言う川本さんに、「俺も泣きそうだった!」と小澤さん。展開されて床状態になった、部屋の壁だった板にあぐらをかいてのトークショー。芸歴の長い川本さんをして「こんな気持ちになったのは初めて」と言わしめた、今回の『ひとりしばい』。この歳だけど、入学式みたいにドキドキしたと語るおふたり。
舞台序盤に登場した小澤さんの自宅風のセットは、実際に川本さんがZoomの打ち合わせをした際に映った小澤さんの部屋が元になった“疑似小澤の部屋”とのことで、スピーカーやゲーム機だけでなく、なんとペグハンマーも小澤さんの私物!
今回が初めましてだったというおふたりですが、息はぴったりは、本編で小澤さんが「お客さんがいない!」と言ったときに、チャットに溢れた「ここにいるよ!」というコメントにグッときたと語り合います。一人芝居はひとりで演じるけれど、大勢のスタッフと観客に囲まれ、されに今回は画面の向こうの観客という新たな形も。
お芝居を超えるお芝居の領域に足を踏み入れられた、と語るおふたりは「この気持ちを持って再会したいね」と語ります。チャットの声援や「88888」のコメントから「拍手、聞こえてますよ」という言葉が胸に響く、まさに“今この時”を描いたお芝居に大きな拍手が聞こえてくるようでした。
■『ひとりしばい』Vol.2「好きな場所」主演・小澤廉さんへのインタビューはこちら!
小澤廉×川本成『ひとりしばい』「好きな場所」主演・小澤廉にインタビュー「芝居が芝居ではなくなる境地に」
会場:Zoom
チケット料金:3,000円(税込)
主催:舞台「ひとりしばい」製作委員会
企画・制作:講談社/Office ENDLESS
公式HP:http://officeendless.com/sp/hitorishibai
公式Twitter:@hitoshiba2020
ハッシュタグ:#ひとしば
©舞台「ひとりしばい」製作委員会
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