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ゲーム自体は『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生』から、『スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園』『ニューダンガンロンパV3 みんなのコロシアイ新学期』と3作を重ね、さらに『絶対絶望少女 ダンガンロンパ Another Episode』といったスピンオフも制作された他、コミカライズ、アニメ化、舞台化とメディアミックスも盛り上がった超人気シリーズでもあります。
(ちなみに舞台版では、苗木誠役を本郷奏多さんが、日向創役は横浜流星さんが演じており、今考えてもキャスティングが豪華すぎる…!)
そんな『ダンガンロンパ』の生みの親ともいえる小高和剛氏を始め、キャラクターデザインの小松崎類氏、サウンドの高田雅史氏ら『ダンガンロンパ』シリーズ制作陣が贈る完全新作『超探偵事件簿 レインコード』はその発表とともに注目を集めました。
"雨が降り続く奇妙な街で未解決事件に挑むダークファンタジー推理アクション"と銘打たれた本作の制作について、そしてそんな作品を生み出す小高和剛氏を形作るモノとコトについて、お話を伺いました。
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https://news.denfaminicogamer.jp/interview/221111a
(※numanの兄弟サイト電ファミニコゲーマーでのインタビュー)
INDEX
小高和剛氏(以下、同) 今までの僕の作品って、ほとんどが2Dなんですよ。そして『レインコード』はフル3Dのゲームです。
小松崎(※小松崎類氏 『ダンガンロンパ』シリーズのキャラクターデザインを務めた)の2Dイラストもたくさん表示されますけど、キャラクターが全部3Dになったことで、動きも含めてよりキャラの個性を際立たせることが可能になりました。
だからキャラクターの魅力や愛着がより増していると思います。
キャラクターが表示されて流れてくるテキストを読むだけ──よりも、一緒に見てて面白い、プレイ動画を見ても面白いゲームになるように力を入れています。
3Dなので街中を好き勝手に移動できたりとか、いわゆるゲームっぽい部分も増えていますね。ただやっぱり3Dゲームが苦手な方もいるのでそこはバランスを取っています。
そうですね。3Dで視点動かして見たかったら見れるよ、みたいな。自由度を求めない方は単純にストーリーを楽しんでもらえればよいですし、やりたい人だけがやれる流れにしてあります。
体感的には『ダンガンロンパ』と変わらないんじゃないかな。あれが3Dになってる感じでしょうか。ストーリーもどんどんいろんな展開が起きて息つく暇もないイメージなので、『レインコード』は『ダンガンロンパ』同様"やめ時が難しいゲーム"になると思います。
大きく変わったことはないですね。時間の長さは単純にもう物量が多いってところです。
キャラクター数もそうだし、街中もそうだし、謎迷宮の仕掛けやトラップなども含めて、とにかくバリエーションがひたすら多いので、やっぱり時間がかかってしまいました。
結構作品によってまちまちですね。おおまかな枠組みだけ決めて小松崎に書いてもらってからキャラを考えちゃう場合もあります。
『レインコード』の場合は「世界中の未解決事件を撲滅する」と掲げる特殊な組織に所属してる「超探偵」というキャラなので、まずその組織っぽさを決めました。基本となる制服とか、その制服はどの程度着崩してもよいか、みたいなところですね。そこからは超探偵の能力と大体の性格を決めてデザインしてもらいました。
『ダンガンロンパ』のときもそうだったんですが、まず設定ありきで小松崎にそこから想像されるものを描いてもらう。そこから二人でブラッシュアップしていきますね。
──今作の「超探偵」たちは、事件の調査に活用できる超自然的な力「探偵特殊能力」を持つという設定ですよね。もしご自分が超探偵となるなら、何の能力者だと思いますか?
欲しい能力という意味なら、トラブルに会わない能力ですね、事件に出くわさない危機回避能力。探偵としては出世しないですけど(笑)。
──そうなるとそもそも事件が起こりませんね(笑)。
そう。『名探偵コナン』(青山剛昌/小学館)の逆パターンがいいですね。絶対事件に居合わせないっていう(笑)。
──探偵なのに(笑)。そして今作の主人公となる探偵見習いのユーマですが、最初にキャラデザを拝見したとき、まずユーマの半ズボンに目が行ったんです。こう言ってしまってなんですが、「ショタキターー!!」みたいな(笑)。
今回『レインコード』を作るにあたって、探偵モノだし、ファンタジーっぽい雰囲気もあるので、少し可愛らしい路線の方がいいかなと。最初の『ダンガンロンパ』ぐらいの等身でいこうという話をしていたんです。
その中でもやっぱり主人公はちょっと可愛い方が映えるかなと思いました。『ダンガンロンパ』も苗木誠が一番可愛い路線ですからね。そこからユーマは子どもっぽさが強くなりました。パートナーになる死に神ちゃんが人型になってお姉さんっぽくなるっていうのが決まっていたので、対比で少年っぽい方がいいなと。
実は親が○○だったとか、実は○○で生まれたとか、そういう強烈なエピソードがあればいいんですけど(笑)。
ごく普通の家庭で育った割には、作ってるものは普通じゃないものになっちゃったなと思ってはいます。なんでそんな人間になっちゃったんだろう?
思い返せば、子どもの頃はキン消し(※キン肉マン消しゴム)がすごい流行ってたので、キン消し集めて、物語を作るとかはやってましたね。みんなやってるのかな。
あと、スーパーマリオの新しい面を考えるみたいなこともやってましたね。今で言う『スーパーマリオメーカー』ですよね。
それから連載マンガの続きを妄想するとか。まあ、普通の子どもだったんじゃないかな。
※キン肉マン消しゴム…『週刊少年ジャンプ』に連載されたマンガ『キン肉マン』(作:ゆでたまご)に登場するキャラクターのゴム人形型消しゴムのこと。1983年に発売され大ヒット商品となった。
やっぱりバトル物でしたね。『キン肉マン』とか『北斗の拳』とか好きだったので、まず集団戦。超人の特性も生かしながら陣営作ってこういうシチュエーションで相手方に攻めていく、みたいな。新しいオリジナルキャラも考えて作ったりもしてましたね。
──あの頃の小学生男子が目に浮かびますね(笑)。他にはどうですか?
本もマンガも昔から好きだったので、江戸川乱歩の『怪人二十面相』とか明智小五郎シリーズとか読んでました。後はやっぱり『ジャンプ(※週刊少年ジャンプ)』かな。
江戸川乱歩も、一応子ども向けの全集だったと思うんですけど今じゃ考えられないくらい結構グロいものもあったりして。
「怖っ」て思いながら読んでました。
──確かに江戸川乱歩は子ども向けでもかなり怖い描写のある作品ありますよね。そして中学からは男子校に。
そうです。中高一貫の男子校に進学して、そうするとやっぱり地元だけじゃない人間が急に入ってくるし、そのおかげでいろんな文化に触れる機会が増えましたね。
元々マンガとかゲームはすごい好きだったんですけど、いろんな奴がいろんな雑誌買ってくるのでそれを皆で回し読みして。
そのうち担当が決まってくるんですよ。お前は『ジャンプ』、お前は『ヤンマガ(※週刊ヤングマガジン)』とか。
それで中高時代はマンガ雑誌は全部制覇する勢いで読んでました。
そのうち、なんかこうメジャーよりはサブカルの方へ興味が向いていきまして。
──皆が知らないものを知ってる自分カッコいい、みたいな?
そんな感じかもしれない。皆電車通学で家も遠いので、そんなに友達と毎日毎日遊べないんですよ。だから代わりにラジオをよく聞いてました。伊集院光さんとか、オールナイトニッポンとかね。
そういうの聞いてるとどんどん趣味嗜好もサブカルの方に寄っちゃうんですよ。
ゲームもね、皆がスーパーファミコン買うから、自分はメガドラ(※メガドライブ)買っちゃうぞって。
※メガドライブ…セガ・エンタープライゼスが1988年に日本で発売した家庭用ゲーム機。1990年に任天堂より発売されたスーパーファミコンの人気に押され、日本では爆発的なシェアを獲得するまでには至らなかったが、今でも根強いファンは多い。
最近ゲームクリエーターの方々と話をしてて「そういう過去があるともうサブカルから逃げられないよね」って。
メジャーな作品を作りたいというよりも、サブカルの方に行っちゃう、どうしてもそうなっちゃうよねって話をしました。
だから学生時代のサブカル志向みたいなものは、今の自分にも影響しているし、根付いてるポイントかなと思っています。
そうですね、マンガだとやっぱりジャンプですよね。『SLAM DUNK』とか『幽遊白書』『ドラゴンボール』。
もちろんそちらも読みますが、ヤンマガの『ゴリラーマン』とか『ドラゴンヘッド』なんかがプチサブカル。で、本当のサブカルになると『ガロ』。
『ガロ』まではなかなか辿り着く人も少ないんですけど、僕は結構好きでした。中学生の時から御茶ノ水のでっかい本屋とか神保町まで行って相当マニアックな本を買ってましたね。つげ義春とかもその頃に読んだんじゃないかなぁ。
※ガロ…『月刊漫画ガロ』。1964年~2002年頃まで青林堂が刊行していた漫画雑誌。その先見性と独自性で一時代を画し、個性的な漫画家たちの作風は「ガロ系」とも呼ばれる。
※つげ義春…日本の漫画家。「ガロ系」と呼ばれる作家の1人でもある。独特の作家性の強い作品は熱狂的なファンも多い。代表作に『ねじ式』『紅い花』など。
だから時間も周りも気にせず、女子に受けそうな話を拾おうとも思わず、ただ単純に自分の好きなものだけ追っかけてしまう感じでしたね。
流行りの音楽番組をチェックして、女の子に「ねえ、あれ聞いた?」とかそんな話をするタイミングもないから別に音楽番組観る必要ない(笑)。
一番いい時期に異性に対してそういった手間や意識を使わずに済んだっていうのは、なんか大きいんじゃないかな。
でもやっぱ歪みますよね。絶対僕は男子校勧めないですけどね(笑)。
自分の学生時代というか、あの時の男子中学生たちの惨状を思い返すにつけ「これはやらない方がいいぞ」って思いますもん。
男の子って幼稚じゃないですか。しかも女性の目もないから歯止めが効かなくて本当に大変なんですよ。
もうここには載せられない話ばかりです。
当時中学生だったんですが、第一話を読んで感じた衝撃といったら『ドラゴンヘッド』以上のものはやっぱりないです。
自分の作品でも、掴みであれぐらいのことができたらすごいなと思います。
──では、好きな探偵やミステリー作品は?
ベースはやっぱり明智小五郎とかシャーロック・ホームズとかが好きですね。
ミステリーの中でも、「新本格」と呼ばれるジャンルが出てきてからは本当にかなり捻ったというか捏ねくり回した作品がたくさん出るようになりました。
新本格には分類されないかもしれないですが、伊坂幸太郎さんや西尾維新さんなんかの作品も出てきて。
ああいったミステリーという形で様々なものを描いていく作品は好きで、自分もミステリーをやりたいと思うようになりました。
ただ事件が起きてそれを解くだけじゃなくて『屍人荘の殺人(今村昌弘/東京創元社)』みたいに○○混ぜちゃうみたいな作品にも可能性を感じますね。
そういう捻った作品が結構好きですね。
──ご自身の作風もやはり新本格ミステリーに近しいなと感じます。
謎解きとか殺人トリックに関してはそうですね。
ただ、新本格とかそんな言葉知らなくてもよくて、そんな細かいことはどうでもよくなるぐらい、なんか面白そうだぞってくらいの感じで広まってほしいですね。
そこからこんな突拍子もない事件があるんだぐらいの感覚で、小説やマンガに入っていったりね。
※『DIABOLIK LOVERS』…2012年にオトメイトから発売された恋愛シミュレーションゲーム。元はRejetが手掛けるシチュエーションCDシリーズで、とにかくドSなヴァンパイア兄弟にイジメられつつ恋を育む。こちらもコミカライズ、アニメ化、舞台化とメディアミックスを拡大している人気コンテンツ。
──いかがでしたか?
いわゆる恋愛シミュレーションゲームって、こんな感じなんだなと。それと、結構主人公を粗雑に扱ったりするキャラが居たりするじゃないですか。そういったキャラは自分がライターだったら書けないなって思いましたね。
──俺様だったり、ドS系だったりするようなキャラとか?
そうです。僕、姉が二人いて根っからのフェミニストなんで、女性はあんまり雑に扱っちゃいけないって思いがあって。
──それは……後が怖そうですもんね(笑)。では、そんな小高さんが乙女ゲームを作られるとしたら?
登場キャラクターが全員爆弾付きの首輪をしてて、ヒロインと恋愛失敗すると爆破されちゃうやつとかどうでしょうね。
生死がかかってるから男性側はすごい必死でアプローチするんだけど、ヒロインはそれを見極めて最後に残った一人と付き合わないとならない。
──デス乙女ゲーム(笑)。
スイッチはヒロインが持ってて、3日に1回必ず誰かを選んで爆破しなければならない。
生き残るために男性側も嘘をついて好きだ好きだって言ってくることもあるわけですよ。だからそれを見極めなくちゃならない。
──めちゃくちゃ救いがなさそうだけどすごく面白そう! そもそも男性側が必死になる乙女ゲームってあまりないですよね。そういう点からもフェミニストだと仰るのがよく分かる気がします。
その点はやはり毎回難しいと思うし気を使っている部分でもあります。
簡単にしないとクリアできない人もいますし、かといって100人が100人クリアできると、それはもうただの作業でしかない。アクション要素がある意味がなくなってしまうんですね。
今回の『謎迷宮』の場合は、謎解きをアトラクション化したものだと捉えていただければ一番わかり易いと思います。ジェットコースターに乗りながら謎解きをしてるイメージです。
その中でアクション要素が少なくなってしまうとアトラクションっぽさが減ってしまうので、謎解きとアトラクションの楽しさは両立できるように考えてます。
──アクション要素を取り入れるというのは、最初に仰っていたようにテキストを読ませるだけの作品にはしたくないという気持ちがあるからですか?
そうですね。『ダンガンロンパ』もそうですが、今回『レインコード』でも非常に強いのは、ぱっと見たときに面白そうだと思えるゲームにすること。
それって俗に言うアドベンチャーゲームが1番弱いところだと思うんです。絵面が地味なのでぱっと見で面白そうに見えない。
そこを乗り越えていきたいし、これまでゲームやったことないけどやってみようという数をどれだけ増やす事ができるかがポイントだと思っているんです。
だからどれだけ面白そうに見せられるかを追求した結果がアクションパートを取り入れた謎迷宮だったりのアトラクション要素ですね。
推理アドベンチャーという範疇で考えると、小説と違って絵にしてしまうので、殺人が起こって血が流れてて──というシーンは全年齢ではまず難しいですよね。ゲームは特に厳しいので。
人が死なないという意味でいうと、いわゆる日常系ミステリよりは、やっぱり密室とかバラバラ殺人とか見立て殺人とかそういったものに僕は怖さも含めての魅力を感じます。
リアリティのある殺人事件よりは、現実じゃなくフィクションだとわかった上で楽しんでもらいたいなと思うんです。だから殺人ならよりパズル的であった方が面白い。
実は僕の作品であまり動機ってでてこないんですよ。ダンガンロンパもそうですけど、動機を入れると生々しくなりすぎてなんか嫌だなと。
もっとこうカラッと「人が死んでる、犯人は誰だ?」みたいなことがやりたいんですよ。
『レインコード』の場合は『ダンガンロンパ』より悪意は少ないので(笑)、子どもにもできるというかむしろやって欲しいと思います。
他のキャラクターについては……驚きのキャスティングです、とだけ言っておきます(笑)。ちなみに『ダンガンロンパ』とはキャストの被りはありません。
──それはキャスト発表がめちゃくちゃ楽しみですね! それでは、最後に本作の発売を楽しみにされている方に一言お願いします。
僕たちトゥーキョーゲームスの作るゲームは、キャラクターを如何に生き生きと魅せるかというところにすごくこだわっています。
『レインコード』は、『ダンガンロンパ』以上にキャラクター数が多いです。すごく魅力的なキャラクターが揃っているのできっと一人は気に入るキャラクターが見つかるのではないでしょうか。
本作の特徴の一つである謎迷宮もアトラクション要素を意識していますので、どこかテーマパーク的な楽しみ方もできると思います。
全体的な世界観はティム・バートンみたいなダークファンタジーなのでそういったものが好きな人にも楽しんでもらえるかな。
ビジュアルやPVを見て、なんか面白そうだなと思ったらぜひプレイしてみてください。
<公式 サイト>
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