numan編集部
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人の脳内に潜り込み、記憶を操る能力を持つ者達がいた。
彼らのその力は、事件の揉み消しや暗殺など、裏の世界で利用されてきた。
人の精神を壊すほどのその力は、同時に彼ら自身の心を蝕んだ。
彼らはお互いを鎖で縛り付け合うように、脆く危うい心を守った。
彼らは恐れと蔑みからpet(ペット)と呼ばれた。
伊勢直弘さん(以下、伊勢):いや、あらすじを”簡単に”、説明するというのが非常に難しい作品です。なので先に見どころを言ってしまえば”複雑に作りこまれた世界観をどれだけ分かりやすく表現しているか”というのが見どころです。
世界観にさえ没入できれば、非常に感情移入しやすいのがこの作品の魅力の1つなので。この世界における”ルールづけ”を、どれだけ視覚的にも簡潔に見せられるかにこだわっています。言葉だけの説明だと、どうしてもオーバーフローしてしまうので……。
谷佳樹さん(以下、谷):僕は普段、原作がある舞台に出させていただく時に、原作のファンの方でも、初見の方でも、同じように楽しんでいただけるようにと思っています。今回も勿論、その気持ちは同じなんですが、『pet』に限っては、“ヤマ”と”タニ”(※1)、『pet』という作品の中の”ルール”を分かってみていただいた方がより楽しめます、ということを自分のブログに書きましたね。普段はこういうこと書かないんですけどね。
伊勢:それだけしっかりとこの骨太な世界観に没入してほしいってことだよね。
なるせゆうせいさん(以下、なるせ):そういうことですね(ドヤ顔)。
伊勢:今の一言で、なるせさんが総合監修してくれたということで(笑)。
(※1:ヤマ:人の記憶において、最も幸福な記憶が集まる場所。タニ:人の記憶において、最もつらい記憶が集まる場所。)
なるせ:我々、凡人だからね(笑)。
谷:そうなんですよ(笑)。悪い意味ではないんですけど、すごすぎて理解が出来ない! ってなります。でもだからこそ、惹きつけられるんですよね。
なるせ:『ぶっせん』(※3)のようなコメディ作品を描かれていることもあるし、かと思えば、『イムリ』や『ペット』のような人間のドロドロした深層心理に迫っている作品もあって、幅が広い。手塚治虫先生とかもそうですけど、マンガ家さんって、その世界の神様の目線で、俯瞰で見た物語を描いているのかな、すごいなと思います。
伊勢:どこかでこの世界を実際に見てきたんじゃないかっていうリアリティがあるよね。自分から湧き出る発想だけで、どうしてこんなすごい世界が思いつくんだ!? と驚きます。でも、登場人物たちの人間臭さには覚えがあるな、という感じ。
(※2:『イムリ』: 文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞した、三宅乱丈によるSFファンタジー。『コミックビーム』にて連載中。不可思議な超能力を操る3つの民族が闘争と暴政の歴史を織り上げてきた星、ルーン。その世界の運命を大きく変えるひとりの少年・デュルクが自らの宿命に目覚める。)
(※3:『ぶっせん』:三宅乱丈のデビュー作。2013年に吉沢亮主演でドラマ化、のちに舞台化もしている。"仏教専門学園"略して"仏専(ぶっせん)"を舞台にしたコメディ要素の強い作品。)
伊勢:先ほどお話した通り、まずは世界観を分かりやすく表現することで、ヒューマンドラマに集中してもらえるようにと思っています。どうしても専門用語も多いのですが、稽古場でも「説明を説明するな、説明を会話しろ」と役者さんたちに言っているんです。用語1つ取っても、その用語をその人物がどう捉えているかで、ただの説明台詞にならないと思うから。
映像も使うのですが、映像に頼り過ぎず、演劇ならではの場面転換の方法も用いて、”条件付け”もしています。「さっきと同じように場面転換があったから、これはさっきと同じ状況なんだな」というように分かりやすく見せていく――演劇らしいことをすごくしているなと感じます。
なるせ:そうですね、演劇ですねぇ。
伊勢:今、総合的に監修してもらいました(笑)。
なるせ:(笑)。真面目な話、昔からある演劇の手法と、今時のスタイリッシュな演劇の手法が上手くマッチングしてるなと感じています!
谷:金髪で、鼻にピアスつけてて……ビックリしますよね。
なるせ:本番は坊主頭です。
伊勢:あと全裸ね。
谷:いやいやおかしいですよね(笑)!? ちゃんとキャラクタービジュアル通りに出てきますよ!
お話をいただいた時から、今までやったことのないビジュアルにわくわくしました。でも、初見で悟のビジュアルをぱっと見た時に感じた印象と、今の印象は全然違うんです。原作、台本を読んで、伊勢さんに演出をつけていただく中で、どんどん悟のバックボーンが見えてきて……。
例えばコスプレもそうですが、人って変身願望があると思うんです。悟のこの容姿にもそれに近い理由があります。彼はお客様に感情移入してもらいやすい立ち位置にいると思うので、ぜひ観ていただきたいです。
――ビジュアルが解禁された時のファンの方のリアクションはいかがでしたか?
谷:ビックリだけど、新しい姿が見られそうで嬉しい、というリアクションが多くてとてもありがたいです。あとは伊勢さんとは『BOYS★TALK』で、なるせさんとは『イムリ』で過去にご一緒させていただいているので、またお2人と一緒のお仕事で楽しみにしています! というお声もいただきましたね。
なるせ:伊勢さんと僕の演出って結構違う?
谷:いやもう、全然違いますよ!!!
なるせさんは役者を泳がすというか、1回役者に委ねて好きにやらせて、たまに”棘を刺す”感じ。伊勢さんは一緒に感覚を共有しながら積み上げていって、大枠を一緒に作る感じで。
段ボールで表現すると、伊勢さんは一緒に段ボールを用意してくれて、その中に役者が荷物を敷き詰めていく感じ。なるせさんの場合は……まず段ボールがない!
なるせ&伊勢:(爆笑)。
伊勢:今回なるせさんとは初めてご一緒するんですが、アプローチの仕方が全然違うので、話していて新鮮で楽しいです。
なるせ:でも似ているところもありますしね。面白いです。
――『イムリ』など数々の舞台に立たれている谷さんですが、役によってそれぞれ違う印象を受けます。伊勢さん、なるせさんから見た素顔の谷さんはどんな人物ですか?
伊勢:役者としての谷佳樹さんは非常にシンプルです。いい意味でも、悪い意味でも、信念があって真っ直ぐな人。役に向かって真っ直ぐだから、演じる役によって印象が違う”カメレオン俳優”と感じる方もいるのではないでしょうか。稽古していて、一緒に役の解釈を積み上げていく感覚を共有できる役者さんです。
なるせ:不器用だけど視野が広い。良くも悪くも、繊細で素直だから、他の人の言葉、台詞をちゃんと拾って反応ができる人なんですよね。
伊勢:分かる。繊細で素直。
なるせ:あと意外と殺陣が上手い! ちょっとね、意外だった。
谷:え、嬉しいです(笑)。ありがとうございます。
谷:皆がプロだなというのを感じます。重いストーリーなんですけど、皆がちゃんと切り替えができるから、オンオフがきちんと出来ているなと。
なるせ:大人な人が多いよね。
谷:主演の植ちゃん(植田圭輔さん)は流石だなと思います。色々な作品に出られていて本当に多忙で、稽古期間も限られる中、稽古場が始まった時点で、もうすでにヒロキがそこにいたんです。「うわ、このレベルで仕上げてくるのか」ってビックリして……しかも、ここから本番に向けてさらにギアを上げてくると思うので、器用な役者さんだなと思います。ちゃんと現場でご一緒できるのは実は初めてなので、本当に勉強になるし嬉しいです。
――12月の舞台ということで、皆さんの来年の抱負を教えてください!
伊勢:沢山働く……。
谷:いやいやいや伊勢さんは働き過ぎですよ(笑)。新しい舞台の発表があるとだいたい伊勢さんじゃないですか!
伊勢:それは盛り過ぎだよ(笑)。でも、好きなことが仕事に出来ているから、ありがたいなと思って、これからも沢山色々なことをやっていきたい。元気に楽しく、そして何よりお客さんにも楽しんでもらえるものを作っていきたいです。来年の抱負じゃなくて人生の抱負になっちゃいますが。なるせさんは?
なるせ:えー、僕は……結婚かな(笑)。
谷&伊勢:(爆笑)。
谷:思ってもないことを!
谷:僕は、不器用で、1つのことしか集中できないんです。ラインしながら人と会話すると、会話してる内容をそのままラインしちゃったりとか(笑)。だから先のことは考えずに、目の前のお仕事に全力を出すことで、それがきっと未来に繋がる、というモットーでいつもお仕事させていただいています。なので来年もそのスタンスを崩さず、頑張りたいですね。
伊勢:来年はイノシシ年だから、ジビエ料理でも一緒に食べに行こうか!
谷:いいですね! 猪突猛進に頑張ります(笑)。
――最後に、観劇されるお客様に、一言ずつお願いします。
谷:きっと幕が開いたらあっという間だと思います。キラキラした2.5次元ではなく、人間ドラマ、会話劇をしっかり見せることで、どこかにこんな世界が存在するんじゃないか、というリアリティを感じていただけたら嬉しいです。続きが気になるような終わり方をするので、「あの後どうなったんだろう」っていうワクワクや考察を今年最後の想い出の1つとして持って帰っていただけたらと思っています。
伊勢:華やかな世界というよりも、ずっしりと重い世界なので、1人1人の役者の生きた会話を見せられるように、一生懸命稽古を進めています。それぞれの登場人物の気持ちを受け取りに、劇場にお越しいただけたら嬉しいです。
なるせ:”世界観”という言葉が沢山出てきたのですが、『pet』は僕らが日常生活しているこの世界と地続きになっているとは思うんです。SF要素が入って、でもリアリティがある“世界観”が構築されています。そこに生きている登場人物たちの気持ちのぶつかり合いをぜひ劇場に観に来ていただきたいです。お待ちしています。
舞台『pet』─壊れた水槽─は草月ホールにて12月5日(水)~9日(日)まで公演中。様々な登場人物の思惑が交差するこの作品――ぜひ劇中の人物に感情移入して観てみてはいかがでしょうか。
舞台『pet』―壊れた水槽― | |
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公演日程 | 2018年12月5日(水)~12月9日(日) |
会場 | 草月ホール |
キャスト | ヒロキ 役:植田圭輔 司 役:桑野晃輔 悟 役:谷佳樹 林 役:萩野崇 桂木 役:君沢ユウキ ロン 役:伊勢大貴 ジン 役:あまりかなり |
アンサンブル | 佐藤輝、田中崇士 |
原作 | 三宅乱丈 『ペット リマスター・エディション』 (ビームコミックス/KADOKAWA刊) |
協力 | TVアニメ「pet」 |
総合監修 | なるせゆうせい |
演出・脚本 | 伊勢直弘 |
制作 | オフィスインベーダー |
製作 | 舞台「pet」製作委員会 |
公式サイト | https://pet-anime.com/stage/character/ |
公式Twitter | @pet_anime |
Copyright | ©三宅乱丈・KADOKAWA /舞台「pet」製作委員会 |
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