脚本家・虚淵玄(ニトロプラス)さんインタビュー|美しすぎる布袋劇人形たちのアクション活劇! 劇場作品『Thunderbolt Fantasy 生死一劍』上映(1/2)

脚本家・虚淵玄(ニトロプラス)さんインタビュー|美しすぎる布袋劇人形たちのアクション活劇! 劇場作品『Thunderbolt Fantasy 生死一劍』上映(1/2)
台湾では知らない人間はいないと言われる"布袋劇(ほていげき)"という伝統芸能をもとに、虚淵玄さんが原案・脚本・総監修を担当した“Thunderbolt Fantasy Project”。 2016年にテレビ放送されると、その官能的な布袋劇人形と火薬も血しぶきも舞うカンフーファンタジーの世界に、ファンから熱すぎる注目が集まりました。 今回、劇場作品として『Thunderbolt Fantasy 生死一劍』の上映(2017年12月2日~)を迎えるにあたり、改めて虚淵さん自身に『Thunderbolt Fantasy Project』の魅力について語っていただきました。

■虚淵玄さんプロフィール
1972年生まれ。ニトロプラス所属の脚本家・小説家・シナリオライター。
シリーズ構成、脚本を手掛けたTVアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』にて、文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞を受賞。『Fate/Zero』、『翠星のガルガンティア』、『楽園追放 -Expelled from Paradise-』、『PSYCHO-PASS サイコパス』など数々のアニメの原案や脚本を手がけるほか、『仮面ライダー鎧武/ガイム』で実写作品の脚本にも進出、活躍の場を広げている。
17年11月には、国民的コンテンツであり初の長編アニメーション映画として制作された『GODZILLA 怪獣惑星』も公開。全三部作である本作では、シリーズ構成、脚本を担当した。

■『Thunderbolt Fantasy Project』とは
台湾ならば誰しもが知る伝統芸能である人形演劇“布袋劇”。その魅力に惚れ込んだ虚淵玄さんが、完全新作ストーリーを書き下ろし、台湾布袋劇で随一の知名度とクオリティーを誇る制作会社“霹靂國際多媒體股份有限公司(以下霹靂社(ぴーりーしゃ))”とコラボレーションした日台合同映像企画が『Thunderbolt Fantasy Project』です。
2016年にテレビシリーズ『Thunderbolt Fantasy 東遊劍遊紀(とうりけんゆうき)』が放映。
諏訪部順一さんが演じる流浪の剣客・殤不患(しょう ふかん)と、鳥海浩輔さんによる謎の美丈夫・凜雪鴉(りん せつあ)との宝剣を巡る武侠譚、人形劇という従来のイメージをぶち破る布袋劇ならではの全て人の手による撮影で生み出される映像は圧巻。
時間も生死も超越する壮大すぎる流離物語が病みつきになると話題になりました。その外伝として、劇場作品『Thunderbolt Fantasy 生死一劍』に続き、続編としてテレビシリーズ第2期の制作が決定しています。

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『Thunderbolt Fantasy Project』制作の経緯

──まずは劇場作品のお話の前に、テレビシリーズ『Thunderbolt Fantasy 東離劍遊紀』第1期について、ファンからの反応はいかがでしたか?

虚淵玄(以下、虚淵) 人形劇でカンフーアクションというスタイルが、日本ではかなり目新しいものだったと思うのですが、皆さんよくついてきてくださったなと。自分が想定していた以上の幅広さで受容してもらえたので、そこは自分としてもすごく幸せに思っています。
台湾においては、あちらの伝統に海外のテイストを混ぜるようなものなので、逆に怒られると思ったんですよね。日本で例えたら、歌舞伎の公演を見て感動したアメコミの作家が「私も脚本書きたいでーす」って言うようなものですし(笑)。
でも意外にあちらでも「これはこれであり」という評価をいただけたみたいで、そこは本当に心強かったし、ある種日本での成功以上に大きなハードルを超えられたな、という手応えがありました。

──布袋劇とはどのように出会ったのですか?

虚淵 『仮面ライダー鎧武/ガイム』をやっていた2013~14年頃ですが、たまたま台湾でサイン会がありまして、ちょうどそのタイミングでやっていた霹靂社さんの展覧会を見に行ったのがきっかけです。
布袋劇のクオリティーの高さは、もう間違いなく世界に受け入れられるところまで到達していると思いました。これだけのクオリティでしかも長く続いているものが、隣の日本に全然伝わっていないってちょっとありえないだろうと、衝撃を受けましたね。
実は以前にも、『聖石傳説』という作品が日本公開されたのですが、あまり知られていない。今のこのクオリティなら伝え方を工夫して日本に紹介すれば広められるのではないかと思い、その場でDVDボックスを買って霹靂社さんに対して新企画の企画書を作ろうとしていたのです。
一方、サイン会の会場で取材を受けたときに、僕がそのDVDボックスを持ってはしゃいでるところが写っちゃった(笑)。それが台湾の地元の新聞に掲載されて、その記事を見た霹靂社さんからも、オファーが来まして。こちらとしては渡りに船でしたね。最初はあちらの劇場作品のスピンアウトを作ろうという話で始まったのですが、やっぱり日本向けにちゃんとチューニングしたものを一から作った方がいいのでは、となりまして、『Thunderbolt Fantasy Project』が始まりました。

──布袋劇を日本に紹介しようと思われたとき、ターゲット層としてどのあたりを意識されていましたか?

虚淵 女性ですね。
今回の企画は女性頼みをはなから意識していました。最初に布袋劇を見た博覧会で、一番イメージしたのが日本のドール文化でした。
これだけドールのお客さんがいるのであれば、彼女たちに向けたコンテンツとして勝負できるものになるだろうという思惑もありましたね。
布袋劇ならではのキャラクターの美麗さは、女性にうけるだろうなと。美しいものを愛でるのはやっぱり男よりは女性の感覚だろうと思いますし、衣装の絢爛さも、宝塚とかそちらに通じると思います。
アクションは、本当に男の子向けのジャンプ路線なのですが、それを演じるキャラクターがすごく美麗で繊細な衣装をつけて、しかも絶対作画が崩れることもない(笑)。ですので、最初にフックする、一番頼みになる客層は女性だとの思いはありました。

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