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「貴族価格」(きぞくかかく)とは、価格が割高であること。
作品関連グッズや、コンセプトカフェのメニューが庶民には手が出せないレベルの高額商品であった場合に使われる。
推しのグッズが欲しい。それは古来より、萌えの沼にはまりこんだ者が必ず抱く欲求である。制作側もそんなファン心理に応えるべく、推しをデザインしたグッズを供給するのが常である。
これら元ネタが存在するグッズはキャラクター人気で売り上げが見込める一方、原作者や製作チームに一定の原作使用料を支払わなくてはならない。グッズの原価にこのロイヤリティ料が上乗せされるため、同レベルの一般商品と比べてやや割高になる傾向がある。
少々の上乗せであれば、購入側も原作者へのお布施として納めるのもやぶさかではない。しかし、あまりに高額の上乗せ分を要求されてしまうと、庶民の稼ぎでは賄いきれない。金も時間も持て余している貴族向けの価格、「貴族価格」と呼ばれることとになる。
高額上乗せ商品の頻出スポットのひとつがコンセプトカフェ。作品へのロイヤリティに加えカフェ施設の家賃光熱費、人件費なども賄う必要があるため、それらコストがどんどんメニューに加算され、結果として「キャラのコースターつき冷凍食品カレー1食3,000円」という貴族もびっくりな高額商品が爆誕してしまう。
また、地下アイドル界隈も貴族価格の頻出スポットのひとつだ。これは物販がグループの主な収入源となる業界の構造が原因である。ただ、こちらはグッズの売り上げが推しの収入に直結しているため、物が手に入るお布施として納得ずくで納めているファンが多い。
キャラクター商品黎明期に、粗悪品にキャライラストをつけて高額販売をすることで、ファンからの反感を買ったキャラグッズ界隈だったが、2000年頃から新潮流が生まれた。中堅社会人として、そこそこの小金を稼ぐようになった、かつてのオタクキッズをターゲットとした高レベル商品の登場である。
作中のディティールを完全再現し、大人の体に合わせてリサイズした変身ベルト。作中キャラが身に着けていたものと、そっくり同じデザインの高級ジュエリー。さらに、デザイナーを起用し、高級ブランドと手を組んで開発された推しジュエリーや推しアパレル、推し香水などが発売されている。
ブランド側で素材やデザインを厳選し、高級感を演出。大人のプチアクセントとして普段づかいできるレベルにまで昇華したことで、やや割高であるものの「このクオリティなら、お金を出しても惜しくない!」と人気を集めた。
中には、作品の世界観を逆手に取った貴族価格商品も。
ホストクラブを舞台にした漫画『星屑の王子様』ではキャライラストをプリントし、スワロフスキーで飾られた水ボトルを販売。価格数万円の非常に高額な水なのだが、ホストクラブで出される水としては割と当たり前の価格。むしろ店で出すならサービス料込みで50万円はくだらない、と世界観を的確に表したグッズとして話題を呼んだ。
さらに、これらの流れを受けて価格数百万円を超える本物の貴族をターゲットとした商品も開発された。本職のデザイナーと相談し、推しモチーフのアクセサリーを作れるジュエリーブランド。マインクラフトとバーバリーがコラボして製作した、バーバリートランクいりのXbox。YouTuberヒカキンが300万円を超えるバカラのグラスピカチュウを購入して話題になったことも。
本物の貴族の遊びは、底が知れない。
「アニメ化にあわせて、やっと推しのキャラグッズ出るんだけどさあ……」
「前からほしいほしい言ってたじゃん。買いなよ」
「日常バージョンと戦闘バージョン、さらにアナザーバージョンもいれてフルセットで50,000円は貴族価格なんよ! 庶民には無理なんよ! クオリティはいいんだけどさあ!」
「バイト増やそっか」
「無理ぃぃぃぃ……」
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