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「桜に攫われそう」(さくらにさらわれそう)とは、桜に攫われてしまいそうなほど、儚げな印象の人物を形容する表現。
主に女性が使用するオタク用語のひとつ。
BL用語として広まったこともあり、男性キャラクターを対象に使用されることが多い。
具体的な元ネタや発祥時期は不明。
広く知られるようになったのは、BL界隈において「桜に攫われそう(=それほど儚い雰囲気)」な受けキャラクターに対して使われたことから。少なくとも2014年頃には、BLに詳しい女性オタクの間では、一定の認知度がある比喩表現となっていた。
インターネット上では、たびたび初出についての論争がなされている。
中でも「桜の木の下で、攻めキャラクターが受けキャラクターを思わず引き寄せ『お前が桜に攫われそうだったから』と心情を打ち明ける」という仮想シーンが有名。
一方でBLマンガ以外にも、古くから様々な作品で「桜」+「特定のキャラクターの喪失を憂う」というシーンが描かれている。
代表的なものとしては、
・小説『桜の森の満開の下』(著・坂口安吾/1947年)
・少女マンガ『あさきゆめみし』(著・大和和紀/1979~1993年)
などが挙げられる。
日本文化において、桜は美しく幻想的なモチーフとして多用され続けてきた。
一方で開花時期が短いことや、その散り様の印象から、「儚いもの」としてのイメージも根強い。こういった印象や過去の創作物を礎に、1980年代以降の同人BL界隈や出身作家たちの作品の一部が組み合わされ、現在の「桜に攫われそう(な男性キャラクター)」としての比喩表現が確立していった可能性が高い。
近年はBL作品以外でも、キャラクターの比喩表現として幅広く使用される傾向にある。
ただし引き続き、使用者は圧倒的に女性が多い。
「桜に攫われそうなAくんのイラストを描きました」
「新規絵の推しがあまりにも桜に攫われそうで……」
「いつも桜に攫われそうなキャラにハマってしまう」
「私は『桜に攫われそうな方が攻め』という趣味なんだよね……」
「◯◯作品で一番桜に攫われそうなのは△△くんだと思う」
▼「桜に攫われそう」と言われやすいキャラクターの特徴
前述の通り、元ネタとなる作品やキャラクターが明らかになっているわけではないため、「桜に攫われそう」はあくまで個人の主観であり、具体的な条件が存在するわけではない。そのため以下の一例は、あくまで「『桜に攫われそう』と言われやすい」キャラクターの傾向である。
・病弱である
・精神的に不安定である
・故人である(故人として登場する、作中で亡くなるエピソードがあるなど)
・華奢な体つきである
・綺麗系の美形である
・色白である
・髪や瞳、衣装などの色が白系である
・退場が匂わされている(死期が近づいている、引退の可能性がある、囚われの身であるなど)
・自己犠牲的な一面がある
▼類似表現
「桜に攫われそう」がメジャーな表現として普及する上で、類似の表現・概念も生まれている。
以下は特に知名度が高い表現の一例。
・ひまわり畑で見失いそう(ひまわり畑で消えそう、ひまわりを背景に笑ってそうなど)
・雪に紛れて消えそう(雪に攫われそう、雪に溶けそう、雪に隠されそうなど)
・夕焼けの海に溶けてしまいそう(夕焼けの海の波間に消えそう、夕焼けに攫われそう)
▼対義語も生まれている?
2022年にX(旧Twitter)の一般ユーザーが「『桜に攫われる』の対義語は『波に乗ってやってくる』」と投稿し話題になった(※1)。「波に乗ってやってきそうなほど、生命力に溢れた勇ましい印象がある」キャラクターの比喩表現として、一部のユーザーから認知され始めている。
※1
「桜に拐われる」の対義語に関するポスト
https://x.com/mikan_t_r/status/1496451271620177923
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