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第1話「秀才字書きと天才字書きの話」が公開され、その後も続けて作品が発表されるごとに読者が急増していき、今や新作が公開されると「綾城」「おけパ」など登場人物の名前がTwitterのトレンドに入るほど。
同人界隈のコアでマニアックなネタを扱いつつも、誰でも楽しめるようなテンポの良さと細かい状況説明、感情描写の秀逸さなどの魅力があり、創作に携わっていたり実際に同人活動をしている読者の心を掴んで離さない話題作となっています。
INDEX
シリーズ内における「神」こと綾城、彼女の友人であるおけけパワー中島(通称:おけパ)、そして毎話ごとの主人公。彼女たちの全員が字書きであり、同人誌即売会やP支部と呼ばれる投稿サイトで自身の同人小説を発表しています。
お知らせです。同人女の感情が単行本になります!
書名は『私のジャンルに「神」がいます』
発売日は2020年11月12日です。
書店に本が並ぶと思うと…めちゃくちゃうれしいです!!!!
いつも読んでくださっている皆様のおかげです。本当にありがとうございます…!
最高の一冊を目指して頑張ります! pic.twitter.com/PoM4iVbCBk— 真田 (@sanada_jp) October 3, 2020
『ジャン神』は字書きが主人公のストーリーですが、描かれている内容は同人活動をしているすべての人々の共感を呼ぶものとなっています。普遍的な同人活動の悩みや創作することへの苦しみ、喜びを網羅した構成だからこそ、特定の人々だけにでなく幅広い層に届く作品となっているのではないかと推測します。
また、第2話『神字書きがジャンル移動する話』では、活動ジャンルを移動してしまった綾城に心底惚れ込み、彼女を引き戻そうと執念を燃やしながら小説を執筆し、結果的にそのことが綾城の耳にも入り功を奏す友川という女性が登場します。
これは俗に「クソデカ感情」と言われ、彼女たちはこの感情を原動力としながら自身の創作に熱意を燃やしています。秘めた思いながら具体的な行動を起こす理由に直結することもある「クソデカ感情」は、一種のネット用語でありながら私たちが生きる上で抱く感情を表す言葉としてとても近しく、また誰しもが持ちえる「人間としての側面」を見せています。
大抵の人は、この「クソデカ感情」を抱いている人間のことを客観的に見てみたい、という欲求を持っています。傍から見れば、誰かや何かに夢中になっている人のことを見るのは興味深くもあり、「好き」という感情を拗らせたその姿は自分自身にも似通ったものがあると感じることができるからです。
そんな「クソデカ感情」を描いた作品であるからこそ、本作はより読者と近い距離にあるのかもしれません。
秀才字書きと天才字書きの話です 1/2 pic.twitter.com/UihOFBscHz
— 真田 (@sanada_jp) June 7, 2020
そのせいで彼女は他の綾城を慕う女性たちから敵視や嫉妬をされたりといったこともしばしば。しかしたまに機転のきいた行動をしたり、主人公たちと綾城を繋げるパイプの役割をしてみせたりなど、一概に憎まれ役とはいえない絶妙なキャラクターとして人気を博しています。
誰しもが楽しめる「すべての創作する人へ向けた」マンガでありながら、登場人物たちと深く共感できる特定の層にも「えもいわれぬ感情の行く先」を届け、嵐のような共感を呼び覚ます『私のジャンルに「神」がいます』。
最も大きな魅力はやはり、シンプルな人物相関で同人界の「あるある」を表現してみせているリアルな描写力なのではないでしょうか。
神字書きがジャンル移動する話 1/3 pic.twitter.com/9GqlLWGn4x
— 真田 (@sanada_jp) July 2, 2020
最終回を見届けた後も、単行本という形で「同人女たちの感情」にまた触れられる……ファンにとってこんなに嬉しいことはありません。彼女たちが創作に打ち込み、切磋琢磨した姿が紙媒体で見られる日を楽しみに待ちたいですね。
(執筆:安藤エヌ)
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