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劇場版となり、一作の映画としても大きな業績を残したこのエピソード。今回ご紹介する名言は、この無限列車編の終盤で主要キャラの1人である嘴平伊之助が発したセリフです。
※なお、本記事は性質上『鬼滅の刃』無限列車編の内容を含みます。
INDEX
鬼殺隊最強の隊士の1人、柱である煉獄杏寿郎を目の前で喪った炭治郎たち三人。
心強い仲間を喪った悲しみと、なにより自分達が強い敵を相手に一切太刀打ちができなかった無力感。
それに打ちひしがれる主人公・炭治郎に対し、伊之助が放ったのが上記の台詞です。
『鬼滅の刃』という作品は全体を通して、多くの犠牲を払ってなお、それでも進み続けなければならない辛さを描くシーンが多数登場します。
中でもこの無限列車編は、それを主人公の炭治郎や私達読者が一番最初に体験させられたエピソードでもあることでしょう。
そんな思いをした経験があるのは、必ずしも作品の中の登場人物だけに限らないのではないでしょうか。
当然自死を選ぶ人が増えているということは、自死を「選ぼうとしている人」が増えているということでもありますね。
つまり自死を選ぼうとしたものの結果的に選ばなかった人たちも、潜在的には非常に増えているということです。その理由にも、様々なものがあるでしょう。
そのような、生きる選択肢しか残されていなかった人がきっと大多数なのではないでしょうか。
⇒次ページ:伊之助が発したからこそ重みがある
この伊之助のセリフは、現実に生きる私たちにも共通するそのメッセージに改めて気付かされるものとして。きっと原作や劇場でも、多くのファンの涙を誘うのでしょう。
このセリフのシーンはそんな彼が、初めて被り物からあふれるほどの涙を流しながら、悔しさや悲しみといった人間らしい負の感情をあらわにした箇所ともなっています。
その伊之助の涙に、思わずもらい泣きしてしまった方もきっと多いはず。
出会ったばかりの炭治郎が鬼の犠牲となった人たちを弔っていることに対し、以下のようなセリフを発しています。
「死んだ生き物は土に還るだけ」という言い回しは、ある意味で初期の彼が持っていた死の概念がまだ残っていることも同時に表しています。
ですが一方で煉獄の死に対してあそこまで大きな感情を吐露した点から見るに、着実に彼の中では人間という生き物の死の概念が変わりつつあるのでしょう。
(執筆:曽我美なつめ)
炭治郎と同期の鬼殺隊士。常に猪の頭を被る不思議な風貌で、好戦的な性格をしている。
山育ちで触覚が鋭く、視界に入っていないものでも居場所を捉えることができる。(アニメ公式サイトより引用)
■スタッフ
原作:吾峠呼世晴(集英社「週刊少年ジャンプ」連載)
監督:外崎春雄
キャラクターデザイン・総作画監督:松島晃
脚本制作:ufotable
サブキャラクターデザイン:佐藤美幸・梶山庸子・菊池美花
プロップデザイン:小山将治
コンセプトアート:衛藤功二・矢中勝・樺澤侑里
撮影監督:寺尾優一
3D監督:西脇一樹
色彩設計:大前祐子
編集:神野学
音楽:梶浦由記・椎名豪
アニメーション制作:ufotable
配給:東宝・アニプレックス
■キャスト
竈門炭治郎(かまど・たんじろう):花江夏樹
竈門禰豆子(かまど・ねずこ)※:鬼頭明里
我妻善逸(あがつま・ぜんいつ):下野紘
嘴平伊之助(はしびら・いのすけ):松岡禎丞
煉獄杏寿郎(れんごく・きょうじゅろう):日野聡
魘夢(下弦の壱)(えんむ・かげんのいち):平川大輔
■イントロダクション
2019年4月より放送を開始したアニメ『鬼滅の刃』。家族を鬼に殺された少年・竈門炭治郎が、鬼になった妹の禰豆子を人間に戻すため、《鬼殺隊》へ入隊することから始まる本作は、人と鬼の切ない物語、鬼気迫る剣戟、そして時折描かれるコミカルなシーンも人気を博し、国内のみならず、全世界で大きな話題となった。
そして2020年、TVアニメ“竈門炭治郎 立志編”に続く物語“無限列車編”が、劇場アニメーションとして描かれる。
炭治郎たちが次に向かうは、闇を往く《無限列車》。
多くの人が行方不明になっているこの列車を舞台に、新たな任務が始まる―。
■ストーリー
果てなく続く
無限の夢の中へ―
蝶屋敷での修業を終えた炭治郎たちは、次なる任務の地、《無限列車》に到着する。
そこでは、短期間のうちに四十人以上もの人が行方不明になっているという。
禰豆子を連れた炭治郎と善逸、伊之助の一行は、鬼殺隊最強の剣士である《柱》のひとり、炎柱の煉獄杏寿郎と合流し、闇を往く《無限列車》の中で、鬼と立ち向かうのだった。
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