YOASOBIがアニメ『ブルーピリオド』と好相性のワケ。『夜に駆ける』のルーツはボカロP楽曲にあった?

大ヒット曲『夜に駆ける』で若者を中心に一躍人気アーティストとなったYOASOBI
楽曲制作担当のコンポーザー・ayaseさん、そしてボーカル・ikuraさんの二人によるこのユニットです。デビュー曲以降も『ハルジオン』『もう少しだけ』など様々なヒット曲を生み出す彼らですが、その活躍はCMやTV番組のタイアップだけに留まりません。

「小説を音楽にするユニット」と謳っているように、実はアニメを始めとした二次元コンテンツに関しても、非常に縁の深い楽曲をいくつかリリースしている彼ら。
本日はそんな、今まさに大人気ユニットであるYOASOBI×二次元コンテンツの人気曲をピックアップしてご紹介。

今期注目アニメやYOASOBIの原点ともなった楽曲など。現役アマチュアミュージシャン&音楽ライターとしても活動する私・曽我美なつめが、各曲のおすすめポイントとあわせてその魅力や、楽曲の人気の秘密を解説致します。

『夜に駆ける』(YOASOBI) (289580)

via 『夜に駆ける』(YOASOBI)

『群青』は『ブルーピリオド』から発想を得た楽曲

9月25日、YouTubeのDMMpictures公式チャンネルにて『プルーピリオド』と『群青』のスペシャルコラボPVが公開されました。

YOASOBI『群青』は元々お菓子のCMソングとして書き下ろされた本作ですが、実は本作はとある在絶賛放送中のアニメ『ブルーピリオド』からインスパイアを受けて作られたものでした。

毎日を退屈に生きていた主人公が、自分が初めて本気で打ち込める「美術」に出会い、その世界で仲間と共に青春を燃やす物語。
本作のテーマ・美術の世界だけでなく、どんな世界でも一流を極め、より高みを目指す道は、終わりのない辛く険しい物でしょう。けれどそこに叶えたい夢があって、果たしたい目標があって――。

そんな世界をYOASOBIは見事に表現。「踏み込むほど苦しくなる」「今でも自信なんかないそれでも」「全てを賭けて描く」などの歌詞とひりつくような歌声、疾走感のあるメロディがマッチし、唯一無二の楽曲を創り出しています。

夢中になれる何かへ情熱を燃やす全ての人の背中を押してくれるのが、この『群青』であり、『ブルーピリオド』という作品でもあるのです。

ブルーピリオド×YOASOBI『群青』スペシャルコラボPV

このように、YOASOBIは作品世界の表現を得意とするユニットです。これは今回の『群青』×『ブルーピリオド』コラボ以外でもいえることでしょう。

『BEASTERS』原作者の小説を楽曲にした『怪物』『優しい彗星』

YOASOBIを語る上で、今はもうこの曲を欠かすことはできません。

アニメ『BEASTERS』第二期OPの『怪物』。現在この曲はYouTubeでも1.2億回再生を突破しており、名実共に『夜に駆ける』に次ぐ彼らの人気曲ともなっています。

YOASOBI「怪物」Official Music Video (YOASOBI - Monster)

実は同じくこのアニメでは、ED楽曲『優しい彗星』もYOASOBIが担当。両主題歌共に、『BEASTERS』のキャラたちが登場するPVも公開されています。

これらの2曲を聞く際にはせっかくなら、やはり楽曲の元ネタ小説についても押さえておきたいところですね。

先述の通り、これまでにも様々な小説を曲の原作としているYOASOBI。今回の『BEASTERS』主題歌2曲についても、当然元となる作品があります。
注目したいのはそれらの小説を、なんと『BEASTERS』原作者であるマンガ家・板垣巴瑠先生が、この曲のためだけに書き下ろした点でしょう。
公式サイト(https://bst-anime.com/)にも掲載中のこの短編小説は、どちらも『BEASTERS』の登場人物に纏わる小話です。

ウサギに恋をしてしまったオオカミの青年。共に死線を潜り抜け、奇妙な縁と絆で結ばれたライオンとシカ。相手を好ましく思う感情は、人としての純粋な物なのか、それとも抗えない捕食の欲求なのか。

YOASOBI「優しい彗星」Official Music Video (YOASOBI - Comet)

どこまで行っても、食べる・食べられるの関係が後ろ暗く付き纏う草食獣と肉食獣。
本能と理性の間で葛藤しながら、それでも皆「自分はどう生きるべきか」という問いを抱え続けて生きるキャラクターたち。

アニメだけでなく、楽曲そのものを通しても。日々様々なことに迷い悩み生きる私たちにも、親身に迫る問いかけが描かれている、そんな曲ともなっています。

ルーツはVOCALOIDにあり?ayase『幽霊東京 feat.初音ミク』

上記のように、様々なアニメ作品とのタッグも有名となっているYOASOBI。
彼らの魅力は何といっても、楽曲制作担当であるayaseさんによるポップでキャッチーなサウンド。彼の作る曲が、その人気に大きく貢献しているといっても過言ではありません。

そんなayaseさんですが、現在のYOASOBIという活動形態に至るまでに、実は紆余曲折を経たアーティスト活動を行ってきています。
その中のひとつが、VOCALOID・初音ミクを使用したボーカロイドプロデューサーとしての活動でした。

2018年からボカロP活動を始めたayaseさん。2019年発表の『ラストリゾート』でその名が一躍知れ渡った後、同年11月に発表されたのがこの『幽霊東京』です。

本楽曲を表題としたアルバムは自主制作にも拘わらず、初の発売となった即売会でなんと即完売。現在はダウンロード版も発売されており、今なお多くのボカロ好きを中心として愛される作品でもあります。

幽霊東京 / 初音ミク

一聴すればわかるように、『夜に駆ける』とも地続きになるようなテイストがすでに見え隠れするこの曲。
スマートでスタイリッシュな打ち込みサウンドと、初音ミクという音声ソフト特有のボーカルのマッチ感も絶妙ですね。

この曲を聞くとYOASOBIというユニット、あるいはayaseさんというアーティストが、売れようとしてあの曲を作ったのではなく。元々このような音楽性であった彼らに、ようやく時代が追い付いてきたのだ、という事を感じられるのではないでしょうか。

夜に駆ける

今でこそ、大勢からの支持を得るポップソングメイカーである彼ら。ですが原点とも呼べる部分にはVOCALOIDを始めとした、二次元コンテンツによる要素も多大に含まれたユニットでもありました。

現在のYOASOBIの大きな活躍には、そういった元々の素養。そして彼らと同じように、これらの二次元カルチャーの中で育ってきた大衆リスナーの支持。その二つの奇跡的な合致があったということが、本作からは感じ取れるようにも思います。

ポップソングは好きだけど、ボカロやアニソンは興味ない。あるいは逆にボカロやアニソンは好きだけど、ポップソングには興味ないという方も、この機会にぜひYOASOBIの存在を入口として、それぞれの楽曲を一度聞いてみてはいかがでしょうか。

もしかしたらそこから新たな音楽やアーティストとの出会いが、あなたを待ち受けているかもしれませんよ。

YOASOBI プロフィール

コンポーザーのAyase、ボーカルのikuraからなる、「小説を音楽にするユニット」 。2019年11月に公開された第一弾楽曲「夜に駆ける」は2020年12月にストリーミング再生4億回を突破し、Billboard Japan 総合ソングチャート"HOT100"にて2020年年間1位を獲得。第二弾楽曲「あの夢をなぞって」は原作小説がコミカライズ、第三弾楽曲「ハルジオン」は飲料や映像作品とのコラボレーションを果たし、7月20日に第四弾楽曲「たぶん」、9月1日にブルボン「アルフォートミニチョコレート」CMソング「群青」をリリース。

12月には鈴木おさむが原作小説を手掛けた楽曲「ハルカ」を発表。2021年1月6日に満を持して初のCD『THE BOOK』をリリース。
豪華な仕様が大いに話題を呼び、オリコンデイリーランキング初登場2位を記録しながら、配信では全ての楽曲がApple Musicストリーミングチャートで15位以内に同時ランクインするという快挙を達成。立て続けにリリースしたTVアニメ『BEASTARS』OPテーマ「怪物」、EDテーマ「優しい彗星」も各種チャートで1位を獲得。

2月には、初のワンマンライブ『KEEP OUT THEATER』を新宿・ミラノ座跡地の工事現場にて開催し、同時視聴者数4万人を記録する盛り上がりを見せた。原作小説の書籍化や映画化など、音楽以外の領域にも展開の幅を広げている。
YOASOBI公式サイトよりより引用)

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numan編集部

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