numan編集部
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ゲイであることを隠して生活する高校生・安藤純(金子大地さん)と、そのクラスメイトで、腐女子であることを隠して生活している三浦紗枝(藤野涼子さん)の出会いから、2人が直面する葛藤や、周囲を巻き込んで築き上げられていく関係性が描かれます。
そして純と同じくゲイで、恋人がHIVと戦っているミスター・ファーレンハイト(声:小野賢章さん)。ネット上だけの友人でありながら、純が唯一すべてを打ち明けられる彼の言葉が、純の心と物語を動かしていきます。
「交わるはずのない二人が出会ってはじまる、純粋でねじくれた青春群像劇」と銘打たれたこの物語、純と紗枝それぞれの視点を印象的なシーンとともに追っていきましょう。
INDEX
妻子がありながら純の恋人でもあるマコト(谷原章介さん)に紗枝について打ち明けると「理解者になってくれるかも」と言われますが、純にはそうは思えません。
そんな純にミスター・ファーレンハイトは、紗枝の重大な秘密を知ってしまったことを謝るべきだと諭すのでした。
「クラスの中にそういうやつがいたとしたらどうする?」という純の質問に対し、紗枝は「ゲイなんて現実にそうそういないし……」と答えてしまうのです。
夕焼けの差し込む車中に1人残された純は「勘違いしちゃいけない。彼女が好きなものはBLであって僕ではない……」と心でつぶやくのでした。
BLイベントに水族館と、紗枝にさんざんふりまわされ「腐女子って面倒くさ~いって顔してる」と紗枝に茶化された純は、“腐女子”ではなく“三浦さん”が面倒なのだと答えます。
口が悪い!と憤慨しつつも「(腐女子はこうだと)決めつけないのはすごい。決めつけるほうが簡単だ」という紗枝。それははからずも、ミスター・ファーレンハイトが話したことに通じていました。
それはある夜、純がミスター・ファーレンハイトに対し、「(紗枝の)単なる趣味と(自分の)人生の根幹を支える性指向を一緒にしてほしくない」と不満をあらわにしたときのこと。
「僕はそうしたくない」「わかったふりをしたくない」
「三浦さんは腐女子だからこういう人なんだって決めつけたくない」
それはきっと、純自身の思いでもあったのでしょう。ゲイだからというだけで、決めつけられたくない。わかったふりをされたくない--あらためてそんな気持ちを口にし、頭上を泳ぐペンギンへと手を伸ばす純。
そんな純を見つめながら、紗枝はその姿をそっとカメラに収めるのでした。
水族館からの帰り、バスの中で純の好きなものを聞き出そうとする紗枝。最初は「別にない」と言っていた純ですが、「音楽とか?」と水を向けられた純は、QUEENについて語り始めます。
ストーリー性の強さ、音で物語を表現してる世界観……それは、純が“この社会に生まれたことが苦しくて苦しくてどうしようもないときに救ってくれた”楽曲。イヤホンを2人で半分こにして「Good Old-Fashoned Lover Boy」を聴きながら「純粋に、好きなんだ」とはにかんだように言う純に、紗枝は「好きなものあるじゃん」と笑いかけるのです。
「好きなものを好き勝手に、好きだって言える時間が1番好きだな」
それは、純がゲイであることを知っている視聴者からすれば目に余る行動ですが、純にとっては、ありのままの自分をさらけ出している紗枝の姿がきっとまぶしくうらやましいものに映ったでしょう。
そんな紗枝にも、腐女子であることを必死に隠す理由がありました。それは中学時代、腐女子であることがクラスメイトにバレてしまい、友だちがひとりもいなくなった過去。
学校では腐女子であることを隠して生活している紗枝にとっても「好きなものを好き勝手に好きだと言う」ことを許してくれる相手はきっと貴重。だからこそ、こうして偶然に出会った純の存在は、とても特別なのかもしれません。
一方で、カートを引きずりながら池袋の街を歩く紗枝や、どこかで見たことあるような水泳アニメの造形(笑)、さらに推しキャラの缶バッジを見て「眼球に縫いつけて生活したい」という腐女子仲間のセリフなど、細部のリアリティにも「さすがNHK……」と言いたくなるようなこだわりが見え隠れしていましたね。
第2話では、紗枝が純に告白!? 予告でミスター・ファーレンハイトが純につきつけた選択肢もなかなか厳しめ。純とマコトさんの関係が途切れているわけでもなさそうだし、一体どうなってしまうんでしょう……。第2話も目が離せません!
執筆:森本マリ
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