numan編集部
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ゲイであることを隠して生活する高校生・安藤純(金子大地さん)と、腐女子である三浦紗枝(藤野涼子さん)2人が直面する葛藤や、周囲を巻き込んで築き上げられていく関係性が描かれます。
そして同じくゲイであるミスター・ファーレンハイト(声:小野賢章さん)。ネット上だけの友人でありながら、純が唯一すべてを打ち明けられる彼の言葉が、純の心と物語を動かしていきます。
第8話の前に印象的なシーンとともに振り返っていきましょう!
INDEX
久しぶりに登校した純は、紗枝から同性愛についての話し合いがクラスで行われたことを聞きます。ですが、同性愛はおかしくないという結論が出ても、自分が同性愛者だと名乗り出る人はいなかった。いたかもしれない同性愛者に余計なことをするなと思われたかもしれない。
「私の言葉は、どうすれば安藤くんに届くの?」と、うわべだけの「理解」の無意味さに悔しさを募らせます。
さらに小野(内藤秀一郎さん)がディスカッションの場で発言した「同性愛を気しないと言っても、実際に明かされたら気になるに決まってる」「聞こえのいいことばかり言うのは卑怯だ」と発言していたことも明かされ、純は複雑な表情を浮かべるのでした。
全校生徒がざわつく中、自分がどのようにしてBLに出会い、ハマっていったかを語りはじめます。最初は呆気に取られていた教師陣ですが、紗枝が中学時代にBLが原因で受けたいじめの話題にさしかかったところで、マイクを取り上げようと乱入。
そこへ真っ先に駆け上がり、教師から紗枝を守ろうとしたのは亮平(小越勇輝さん)でした。
舞台上で、純との出会いや恋の喜び、そして直面した現実と悲しみを語りつづける紗枝。純は立ち尽くしたまま、じっと紗枝を見つめていました。涙でつまり、それ以上語れなくなってしまう紗枝のマイクを、横から奪ったのは小野でした。
「いつまでそこでボ~ッと突っ立ってんだよ!」名指しで小野に煽られた純は、全校生徒の視線が一身に集まる中、壇上の紗枝の元へと一直線に駆け出し……!
「大事な話をしようとしてるんだ!」
「今までずっと踏み潰してきたものと、ないことにしてきたものと、ちゃんと向き合おうとしてるんだ!」
「またなかったことにして終わらせるなんて、絶対にさせねえぞ!」
もしかすると亮平には、誰にも言えずに苦しみ続けてきた純と、いま、きっと必死の覚悟で自分のことを話している紗枝の姿が重なって見えていたのではないでしょうか。
そして、そうやって苦しんできた純に全力で言葉を届けようとする紗枝を守ること=本当の紗枝を知ることこそが、亮平自身の恋心への、亮平なりの「けじめ」のようにも思えました。
紗枝は、純と水族館へ出かけた日の会話になぞらえて、純の心を代弁します。
「摩擦をゼロにするように、空気抵抗を無視するように、僕をなかったことにしないと、世界を簡単にして解いている問題が解けなくなってしまう」「だから僕はこっち側でおとなしくしているよ」
それはもともと、紗枝が腐女子であることについて純がファーレンハイトと交わした会話でした。そんな事実を知らないはずの紗枝は、ひとりで考え抜いて純の心にたどり着いたのです。
「彼は自分が嫌いで……私たちが好きなんです」「でも私は……彼のことが本当に好きで……」
そして、紗枝の覚悟の強さと愛情の深さは、常に純に否定的だった小野をも動かします。小野に「ケリをつけろ」と言われた純は、こんなふうに自身の心に確かめるのです。
「世界を簡単にする。たったひとつ、大事なことだけ残す」「大好きな女の子が泣いている」
壇上の紗枝のもとへ駆け寄り「ごめん。あと、ありがとう」と抱きしめる純。ついに純の目の前の壁を壊れた瞬間を見たような気がしました。
「すみませんでした!」と頭を下げる後輩に純は戸惑いますが、彼は実は自分もゲイであることをカムアウト。ずっと悩んでいたのに傷つけるようなことを言ってしまい、ずっと後悔していた、と。さらに、終業式での純の姿を見て「自分勝手ですが、生きる勇気をもらった」と言いました。
純は、その後輩にこんなふうに言葉をかけます。
「お互い、肩の力抜いて頑張ろ」「僕ら100望んで 10返ってくればいいほうだから」
「ゆるく生きていかないと壊れるよ。僕は今日それを学んだ」
そうしてすべてを手に入れることが無理でも、たしかに「手に入る」ものはあるのだと、紗枝の決死の告白を通して、純は実感したのだと思います。今度こそ、たしかに、紗枝の気持ちは純に届いた。そしてそのことが、純の何かを変えたのだと、はっきりとわかるシーン。穏やかに後輩に笑いかける純の笑顔が、とても印象的でした。
紗枝との関係、亮平たちクラスメイトとの関係、マコトとの関係、母との関係。それぞれに、純が導き出した答えとは? いよいよ最終回、今夜放送です!
執筆:森本マリ
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