『フルーツバスケット』本田透の優しい言葉が心に響く。悩んだときに読みたい名言3選

1998年から2006年にかけて『花とゆめ』で連載された、高屋奈月先生原作の『フルーツバスケット』。連載終了から15年以上が経つにも関わらず、二度のアニメ化、舞台化、映画化、そしてスピンオフ作品がつくられるなど、幅広い世代で愛され続けている作品です。
そんな『フルーツバスケット』が長く、そして多くの人に愛される理由のひとつが、主人公「本田透」の人の心を包み込む優しい言葉の数々です。

※本記事は性質上、ストーリーに触れています。

『フルーツバスケット』1巻(白泉社)

『フルーツバスケット』1巻(白泉社)

via 『フルーツバスケット』1巻(白泉社)
『フルーツバスケット』(以下『フルバ』は、母親を事故で亡くした女子高生の「本田透」が、異性に抱きつかれると十二支の動物に変身する呪いを持つ「草摩家」の人々と交流し、成長していく物語です。
母を亡くしテント暮らしを始めた透は草摩紫呉や同級生の草摩由希と親しくなります。その縁もあり、透は「草摩家」でしばらく生活することになり、十二支の呪いを持つ「草摩家」の人々との交流が始まります。

じつはそれぞれが深い闇を抱えており、劣等感やトラウマと戦っている『フルバ』の登場人物たち。そんな草摩家や周囲の人々の救いとなるのは、主人公・透の言葉なのです。日常生活で悩みにぶつかったときに思い出したい名言をご紹介します。

【1】人と自分を比べてしまうときに…

『愛蔵版 フルーツバスケット』1巻(白泉社)

『愛蔵版 フルーツバスケット』1巻(白泉社)

via 『愛蔵版 フルーツバスケット』1巻(白泉社)
人を羨ましく思ったり、自分と他人を比べて「自分には全く良いところなんてない」と思ったりしてしまうことはありませんか?

十二支の「鼠」の呪いを持つ草摩由希と、十二支に入れなかった「猫」の呪いを持つ同級生の草摩夾は、お互いが羨ましいからこそ嫌い合っていました。
人から「王子様」のように扱われることも多い由希は、異性に抱きつかれて鼠の姿に変身することを恐れ、一歩引いた距離感で人に接していました。それに対して夾は、本人が嫌がっても周囲の人から遠慮なく構われるタイプの人間です。

透は、そんな2人が互いに自分にないものを持っているからこそ、羨ましく妬ましく思っていることを知り、文化祭の準備で作っていたおにぎりを見ながら、自分が気づいたことを夾に伝えます。
「例えば人の素敵というものがオニギリの梅ぼしのようなものだとしたら、その梅ぼしは背中についているのかもしれません…。」
「世界中誰の背中にも、色々な形色々な色や味の梅ぼしがついていて、でも背中についているせいで、せっかくの梅ぼしがみえないのかもしれません」
「…誰かを羨ましいと思うのは、他人の梅ぼし(ひとのせなか)ならよく見えるからなのかもしれませんね」
「私にも見えます。ちゃんと見えてます。夾君の背中にある立派な梅ぼし」
(2巻8話より)
人を羨ましく思う気持ちを捨てることは難しいですが、自分の良いところは自分では分からないだけで、人からは見えていることを教えてくれる例え話です。
『フルーツバスケット』2巻 (白泉社)

『フルーツバスケット』2巻 (白泉社)

via 『フルーツバスケット』2巻 (白泉社)

【2】素直に「大好き」と言えないとき…

人に対して素直に「大好き」だと言える人は少ないと思います。

十二支の「寅」の呪いを持つ草摩杞紗は中学でいじめを受け、声が出せなくなっていました。十二支は動物の種類によって髪や目の色に影響を受けるため、杞紗も寅のような髪と目の色をしていました。人とは違う「見た目」が他の生徒の気に障り、いじめられるようになったのです。
大人しく引っ込み思案な性格の杞紗は、いじめのことを親にも話すことができず家出をしてしまい、そこで紫呉に保護され透と出会いました。

『フルーツバスケット』10巻(白泉社)

『フルーツバスケット』10巻(白泉社)

via 『フルーツバスケット』10巻(白泉社)
寅の姿で透と出会い、思わず透の手に噛みつく杞紗でしたが、迎えに来た母親に「どうしていじめのことを黙っていたのか」と責められている時、透が「大好きだから言えない」「嫌われたくないから」だと自分の内面を代弁してくれたことで心を開くようになります。
そんな杞紗は、しばらくの間紫呉の家に居候することが決まり、透の後ろをひよこのようについて回るようになりました。そんな杞紗が可愛く、大好きになった透は「大好きです!」と素直に杞紗に伝え、その結果杞紗は言葉を取り戻し、学校へ行くことができるようになりました。
(5巻27話、28話より)
見た目のせいでいじめを受けた杞紗や、人と違うことで悩んできた十二支にとって、自分を好きになるというのは非常に難しいこと。だからこそ、「大好き」だと素直に誰かに言ってもらえることは、嫌いな自分を少しでも受け入れるキッカケにもなります。

作品内のキャラクターへだけでなく、読んでいる人へも同じように人に好きだと伝えることの大切さを教えてくれるエピソードです。

【3】子供っぽい自分が嫌になったとき…

『フルーツバスケット』11巻(白泉社)

『フルーツバスケット』11巻(白泉社)

via 『フルーツバスケット』11巻(白泉社)
「自分は子供みたい」だと悩んでいる時に響くのがこのシーン。

透がバイトへ向かう途中に出会ったのは十二支の「羊」、草摩燈路でした。燈路は大好きな杞紗がいじめられていることを知りながらも助けることができず、ずっと苦しんでいました。それなのに突然現れた透が杞紗を救ったことが悔しく、何もできなかった自分が許せず、透に嫉妬までしてしまう自分が子供のようで苛立ってしまい、透に当たるようになります。

そんな燈路が透に思わず「何でこんな…子供な訳?オレ」「何もできないくせにっっ」「子供(ガキ)のくせに…っ!」と心境を吐露します。
しかしそんな燈路に対して透はこんな言葉をかけます。

『フルーツバスケットanother』1巻(白泉社)

『フルーツバスケットanother』1巻(白泉社)

via 『フルーツバスケットanother』1巻(白泉社)
「自分はまだ『子供』だと、自分自身で認めるのはとても怖くて、避けてしまう人も多いってお母さん言ってました…だから」
「だからちゃんと認めることができる人はとても…」「とても勇気を持っているって…」
「燈路さんは何もできなくないです」「杞紗さんを守る素敵な王子様になってゆけます。だって燈路さんの胸の中にちゃんと、勇気があるのですから」
(7巻38話より)
自分を子供だと認めることは、思春期の人だけでなく大人でも難しいことです。むしろ大人になってからの方が、難しいかもしれません。このエピソードでは、「自分を子供だと認めるだけでも十分すごいことだ」と気づかせてくれます。
成長しきれていない自分に悩んでいる人にも、暖かく寄り添ってくれる透のセリフが胸に響くのです。

見れば明日から少し勇気がでるかも

『フルバ』は連載終了から15年以上が経過した作品ですが、主人公本田透の言葉や成長は、いつまでも読む人の心を軽くしてくれるふしぎな魅力があります。

漫画、アニメ、舞台、映画とさまざまなシリーズがある本作は、今から挑戦しても遅くない、「大人になって疲れてしまった」という方にこそ読んでみてほしい作品です。ぜひ、『フルバ』の世界に飛び込んでみてください。

(執筆:Shion)
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TVアニメ「フルーツバスケット」The Final / 本PV

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numan編集部

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