2022年3月よりテレビ朝日系にて絶賛放映中の特撮ドラマ『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』。日本人には馴染み深い「桃太郎」を題材にした「スーパー戦隊シリーズ」第46作です。
「スーパー戦隊シリーズ」というと、5人組のヒーローが敵を眼前にして名乗りを上げ、協力プレーで敵を粉砕、最後は巨大ロボでとどめを刺すというのが物語の定石でした。
『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』テレビ朝日公式サイトより
via 『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』テレビ朝日公式サイトより
しかしながら、この『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』は何やら様子がおかしい…第1話の段階からそんな印象を抱いていたのですが、放送開始から半年が経過し、物語が折り返し地点を迎えた現在、これまでの「スーパー戦隊シリーズ」とは
異なる様々な“違和感“が浮き彫りになってきたのです。
※記事の内容上、ストーリー展開に触れています
“名乗りポーズ”すらない。常識を打ち崩す数々のポイント
「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」は、ドンモモタロウを中心に、サルブラザー、オニシスター、キジブラザー、イヌブラザーの4人をお供にしたチームで構成されています。彼らが人間の欲望が原因で怪人化した「ヒトツ鬼」と戦っていくストーリーが展開されます。
ここまでは王道の「スーパー戦隊」らしいストーリーラインなのですが、実はそうとは言い難いものがあるのです。
まずドンブラザーズの面々は「スーパー戦隊」特有の名乗りポーズを見せません。
戦う前に自らが何者であるのかを敵に提示するというのは、昔から「スーパー戦隊」だけにとどまらず、時代劇などから脈々と受け継がれてきた、ヒーローものの常識のようなものでした。そんな常識を打ち崩すかのように、ドンブラザーズは名乗りポーズを見せることなく、戦いに身を投じていくわけです。
こうなってくると、ファンはいつになったら名乗りポーズを見せてくれるのか? はたまた、もしかしたら見せることはないのではないか? といったモヤモヤした気持ちにさせられてしまいます。
さらに本作が常識破りと思わせる描写もあり、名乗りポーズを見せていないどころか、第28話時点で未だ主要キャラの5人が揃って変身するといった場面も存在していないのです。
というのも、放送開始から最初の数話では誰しもがお互いの正体を知らない状態で物語が展開され、その後、偶然に次ぐ偶然が重なり、ドンモモタロウ、サルブラザー、オニシスター、キジブラザーの4人は正体を知ることになったのですが、指名手配犯という設定が成された犬塚翼/イヌブラザーのみ、誰もその正体を知らないのです。
しかし、犬塚翼という素顔の時にはそれぞれの変身者と顔見知りで、なぜか変身する瞬間だけは別の場所にいて…というややこしい話なのですが、イヌブラザーが犬塚翼であるという事実をドンブラザーズのメンバーが誰一人として知らないというわけなのです。
こういった展開は、これまでの「スーパー戦隊」では絶対にありえなかった…というか、考えもしなかった斬新なアイデアだと言えるのではないでしょうか。
なぜ、ここまで斬新な切り口の「スーパー戦隊」が誕生したのか? その理由は本作の脚本家にあると思います。
型破りな展開は“戦うトレンディドラマ”脚本家の影響?
『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』のメインライターを務めるのは、「スーパー戦隊」や「平成仮面ライダー」で有名な井上敏樹氏。
もはや東映特撮作品のレジェンドとでも言うべき脚本家の井上氏が「スーパー戦隊」で再びペンを執るのは、実に31年ぶり。1991年の『鳥人戦隊ジェットマン』以来のことなのです。
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『鳥人戦隊ジェットマン』と言えば、
全編トレンディドラマ仕様になっており、今なお「スーパー戦隊」の歴史の中で一際異彩を放つ存在。その後手掛けた『仮面ライダーアギト』や『仮面ライダー555』も同様でしたが、とにかく毎度のことながら、
古参のファンを驚愕させる型破りなストーリーを見せつけてくるのです。
そんな井上氏が脚本を執筆していることが大きな要因となり、予想の斜め上を行く衝撃を視聴者に与えているストーリーが繰り広げられているのだと思います。
もう一つ、本作を観ていて衝撃を受けた展開がありました。それは第13話で主人公の桃井タロウが命を落としてしまう描写です。
「作品の主人公が早くも退場!?」と驚かされた矢先、今度はその代役となる桃谷ジロウが登場するという予想だにしない展開。きっと視聴者の誰しもが驚きを隠せなかったことでしょう。
しかしながら、その後、紆余曲折を経てタロウは帰還を果たすことになるのですが、主人公が一瞬とはいえ、命を落とし交代するといった描写は、これまでには観たことがなかったので大変な衝撃を受けました。(「仮面ライダー」ではこういう描写は多いのですが…)
そのまた、桃谷ジロウというキャラクターも曲者で、ヒーローに憧れる二重人格の男というキャラクター設定。
その素性は謎も多く、未だ正体がハッキリしていません。
そういう点では主人公の桃井タロウもまだまだベールに包まれたキャラクター。ドン家の末裔であると言及されているものの、未だ多くの謎を残しています。
そして、オニシスターこと鬼頭はるかを盗作と訴えた椎名ナオキの正体なども気になるところです。
その他にも、合体ロボを等身大サイズで描いたり、前作『機界戦隊ゼンカイジャー』ネタを随所に散りばめたりと、正直なところ、全く想像もできないような作風を醸し出している『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』。
これから放送終了まで半年の間に、一体どんなストーリーを私たちに見せてくれるのか…楽しみは尽きません!
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『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』概要
【暴太郎戦隊ドンブラザーズ】スペシャル動画
<キャスト>
■暴太郎戦隊ドンブラザーズ
ドンモモタロウ:桃井タロウ(ももい・たろう) 樋口幸平
サルブラザー:猿原真一(さるはら・しんいち) 別府由来
オニシスター:鬼頭はるか(きとう・はるか) 志田こはく
イヌブラザー:犬塚 翼(いぬづか・つばさ) 柊太朗
キジブラザー:雉野つよし(きじの・つよし) 鈴木浩文
桃井 陣(ももい・じん):和田聡宏
■脳人(のうと)
ソノイ:富永勇也
ソノニ:宮崎あみさ
ソノザ:タカハシシンノスケ
<スタッフ>
プロデューサー:
井上千尋(テレビ朝日)
白倉伸一郎(東映)
武部直美(東映)
矢田晃一(東映エージエンシー)
深田明宏(東映エージエンシー)
原作:
八手三郎
脚本:
井上敏樹
監督:
田﨑竜太
アクション監督:
福沢博文
特撮監督:
佛田 洋(特撮研究所)
主題歌:
「俺こそオンリーワン」
歌:MORISAKI WIN
作詩:及川眠子
作曲/編曲:フワリ