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『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』が戦隊モノの常識を覆しているので語りたい。多様性の現代に相応しい意欲作だ

『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』テレビ朝日公式サイトより

『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』テレビ朝日公式サイトより

via 『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』テレビ朝日公式サイトより
むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。おじいさんは山へしば刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。おばあさんが川で洗濯をしていると、川上から大きな桃が「どんぶらこ、どんぶらこ。」と流れてきました…。誰もが知っているであろう童話『桃太郎』の一節です。

しかしながら、「桃太郎」の物語には様々なバリエーションがあるとされており、地域によっては全く異なる形で伝承されているものもあると言います。そんな『桃太郎』のお話が、なんと! 「スーパー戦隊シリーズ」の一部となって、語り継がれようとしています。

それが『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』です! 日本における元祖グループヒーローとも言える『桃太郎』がモチーフになるのは意外にも初めてとなる本作の魅力をご紹介します。これまでの「スーパー戦隊シリーズ」の常識を覆す革命的な点とは?

イエローから始まる物語、初の男性ピンク…革新的な意欲作

『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』は、今から21年前、ある男性が大きな桃型のカプセルに乗った子供を見つけたことから幕を開けます。その後、時間は進み、現代。才能あふれる漫画家として将来を期待された鬼頭はるか(志田こはく)でしたが、実は彼女の漫画が盗作であることが判明。

高校生にして人生の転落を経験したはるかは、謎のサングラスをかけることによって、異次元空間を目視できるようになり、オニシスターとしての力に開眼。
「桃井タロウ」という男に忠誠を誓えば、失ったものを取り戻せると謎の男性に言われ、「桃井タロウ」なる人物を探し出そうとしていきます。

……と、ここまでが1話の冒頭ストーリー。
『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』は、これまでの「スーパー戦隊シリーズ」の常識や概念を真っ向から打ち崩しにかかっている印象を大いに受けます。それは戦士として覚醒する登場人物たちの描写にも表れています。

元来、「スーパー戦隊」作品の中心として存在し、最初に覚醒する瞬間が描かれるのは、赤いヒーローすなわちレッドだったことが多かったのですが、本作は主に“イエロー”のスーツを身にまとうオニシスター・鬼頭はるかの視点から物語がスタートするのです。

もちろん戦隊の中心人物はレッドであるドンモモタロウなのですが、女性ヒーローの視点から物語を始めるという部分には、多様性が求められる現代らしさを大いに感じた次第です。

このエピソードからもわかるように、本作は製作陣の「革新的な作品を目指す」という意欲が存分に込められた作品になっています。
まずタイトルに「レンジャー」や「ジャー」という文字が踊らないのは、シリーズ第36作『特命戦隊ゴーバスターズ』以来10年ぶりのことであり、さらには5人というチーム構成の中で、内2人が完全なるCGキャラクターである点など、斬新な要素も非常に多い。

思えば、ここ数年の「スーパー戦隊シリーズ」というのは、その歴史に新風を吹き込もうと意欲的に新鮮な要素を取り込んできた印象を受けます。

シリーズ第41作『宇宙戦隊キュウレンジャー』は基本メンバーが9人で構成され、続く第42作『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』は異なる2つの戦隊を主人公に据えました。
前作の第45作『機界戦隊ゼンカイジャー』は基本メンバーのうち一人だけが人間という異色の作品だったのも記憶に新しい。

1975年放映開始の『秘密戦隊ゴレンジャー』から45年以上にもわたって紡がれてきた歴史がある「スーパー戦隊シリーズ」ですが、時代の流れと共に変化してきていることが伺えるのです。

そしてシリーズ第46作『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』です。前作で歴史に一区切りがついたことを受け、ここから新たな歴史を築いていくことを予感させる作品になっていると言えるでしょう。

その中でも特にフォーカスしなければならないのが、メンバー構成。ちょんまげをつけたドンモモタロウ、ゴリラのようにマッチョで真っ赤なお尻がトレードマークのサルブラザー、鬼のように角の生えたオニシスター、身長2m以上のキジブラザー、身長100cmという超小柄のイヌブラザーと、実に個性豊かな面々が顔を揃えています。

前述のようにCGで表現されたキジブラザーとイヌブラザーは変身前の素顔のキャラクター性も非常に面白く、男性でありながらピンクの役割を果たすキジブラザーに変身する雉野つよしは、冴えない中年サラリーマン。ヒーローらしからぬ雰囲気をプンプンさせる人物なのです。

彼に関しては、史上初めて男性のピンクということもあり、他のヒーローのパワーを借りる際には苦労することもしばしば……。

一方のイヌブラザーに変身する犬塚翼は、変身後の可愛らしい姿とは裏腹に逃亡犯という設定。仮面ライダーの変身者として逃亡犯というのは何人か思い浮かびますが、戦隊ヒーローでこういったキャラクター設定が成されているのは珍しいのではないでしょうか。

前作の世界観を継承。アベンジャーズ的展開に期待!

さらには、前作『機界戦隊ゼンカイジャー』の世界観を踏襲した内容になっていることにも驚かされます。

ドンブラザーズは「アバタロウギア」と呼ばれるアイテムを駆使して他のスーパー戦隊のパワーを借りることができます。それだけではありません。なんと前作で主人公・五色田介人役を演じた駒木根葵汰が「スーパー戦隊シリーズ」史上初の2年連続となるレギュラー出演を果たしており、その活躍が期待されているのです。

五色田介人がマスターを務める喫茶店「どんぶら」には、どこか既視感を覚えてしまうかも…?

このように前作の世界観を継承し、新たな物語を紡いでいく手法は、どこかマーベル・シネマティック・ユニバースのようなアメコミ映画に見られる描写と似ている部分もあり、もしかしたら今後の「スーパー戦隊シリーズ」は、世界観を共有した形でのユニバース化がされるのではないかという期待感すら抱いてしまいます。

巨大ロボと巨大化した敵との戦闘が繰り広げられるサイバー感あふれる異空間での戦いは、さながらかつての特撮ドラマ『電光超人グリッドマン』を彷彿させることでも大きな話題となった『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』。
これから約1年にわたり、われわれにどんな戦いを見せてくれるのでしょうか。

(執筆:zash)

【暴太郎戦隊ドンブラザーズ】スペシャル動画

■オタクの生きる理由だ…『ゼンカイジャー』に共感の嵐!次回予告には『テニプリ』界隈がザワッ
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『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』概要

<キャスト>
■暴太郎戦隊ドンブラザーズ
ドンモモタロウ:桃井タロウ(ももい・たろう) 樋口幸平
サルブラザー:猿原真一(さるはら・しんいち) 別府由来
オニシスター:鬼頭はるか(きとう・はるか) 志田こはく
イヌブラザー:犬塚 翼(いぬづか・つばさ) 柊太朗
キジブラザー:雉野つよし(きじの・つよし) 鈴木浩文
桃井 陣(ももい・じん):和田聡宏

■脳人(のうと)
ソノイ:富永勇也
ソノニ:宮崎あみさ
ソノザ:タカハシシンノスケ

<スタッフ>
プロデューサー:
井上千尋(テレビ朝日)
白倉伸一郎(東映)
武部直美(東映)
矢田晃一(東映エージエンシー)
深田明宏(東映エージエンシー)
原作:
八手三郎
脚本:
井上敏樹
監督:
田﨑竜太
アクション監督:
福沢博文
特撮監督:
佛田 洋(特撮研究所)

主題歌:
「俺こそオンリーワン」
歌:MORISAKI WIN
作詩:及川眠子
作曲/編曲:フワリ

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numan編集部

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