zash
子供の頃から培ってきた映画、海外ドラマ、特撮、アニメの知識を活かして活動中。各媒体でコラム、取材レポート、インタビュー記事を執筆する他、雑誌やマスコミ用リリースへの寄稿も行っている。
こういった部分に、池松さんの演技が非常にマッチしているように感じ、望まない力を手に入れてしまった改造人間としての悲哀をより一層強調することに成功していると思いました。
『ドキュメント「シン・仮面ライダー」』内でも明かされていたように、撮影が始まる以前のリハーサル中、足に怪我を負ってしまった池松さん。製作発表記者会見に松葉づえをついて登場したことが大きな話題となりましたが、それもまた池松さんの本作にかける思いが現れた結果だと思います。
怪我をしても尚、CG以外のほぼすべてのアクションを自らこなし、自身が演じないアクションの場面でもスーツアクターとのコミュニケーションをとりました。
制御できない凶暴性や自らの力と暴力を行使することへの葛藤といった、改造人間の心の奥底に眠る感情を掘り下げ、アクション中の動きで体現して魅せたのは素晴らしかったです。デザイン性を重視したレザーのスーツを纏っての、文字通り“命がけ”の演技は大変だったと思うのですが、その努力が見事に結実した演技だったと言えるでしょう。
とりわけ仮面を被ったままセリフを話す場面が好印象で、ほんの小さな動きで感情の起伏を表現し、仮面の上からでも表情がわかるのは、すごいの一言に尽きます。
『ドキュメント「シン・仮面ライダー」』内でも、本物にこだわる庵野監督からの要求に四苦八苦しながらも理解を示し、熱心に新しい演技を引き出そうとする様が映し出されていました。その苦悩や葛藤が最終的に報われた形となったわけです。
ドキュメンタリーで映し出されたようなさらなる高みを目指そうとする現場は、俳優としての池松さんにとってこれ以上ない大きな財産となり、きっと今後の俳優人生に大きな影響を及ぼすことでしょう。
そんな本郷猛と相反する性格を体現するキャラクターが、仮面ライダー第2号こと一文字隼人です。
オリジナル版の一文字隼人は本郷と比べて非常に明るい性格の持ち主で、お調子者のイメージが強かったのですが、『シン・仮面ライダー』でもその部分は継承しつつ、ニヒルな笑顔も印象的なキャラクターへと昇華させた印象です。
演じる柄本佑さんの一筋縄ではいかない存在感も相まって、本郷すらも凌駕する魅力を放っていたと言えるでしょう。
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