マンガ家・荒川弘が私たちに伝えてきたこと。『ハガレン』『百姓貴族』で描かれた人生哲学

荒川先生自身が農家出身であるため、命のやり取りは小さい頃から間近で見てきたと『百姓貴族』のなかで語っています。食用として出荷されるだけでなく、実験動物にするか屠畜するか、といった選択に何度も直面してきたそうです。

そんな経験を経た荒川先生によって紡がれたこの作品は、先生自身がどうその気持ちと折り合いをつけていったか、そんな一つの答えが描かれているようです。

農家ってどうなの、荒川弘って何者なの!?(体力的な意味で)『百姓貴族』

『鋼の錬金術師』で世界的なヒットを生み出した荒川先生ですが、その人生は色んな意味でなかなか驚異的です。農家として身につけた圧倒的な体力と知識をフルに活用し、出産を経ても原稿を落とすことがなかったとか......。

SNSをやらず、表舞台にもあまり姿を表さず、当初は性別すらも(意図せず)隠れていた荒川先生について知れるのが『百姓貴族』。農業についてはもちろんのこと、愉快なご家族のことやどのようにして漫画家になっていったかも描かれてるため、荒川先生の作品のファンなら必見です。

基本はギャグテイストですが、時折荒川先生の作品のルーツとなるような体験が描かれていることもあり「この経験があの描写に繋がっているのかな...」と考察するのも楽しみ方の一つです。

『百姓貴族』7巻(新書館)

『百姓貴族』7巻(新書館)

手がけた作品はいずれも驚異的な人気を博し、世代を問わず愛され続ける荒川先生の作品。
いつまでも色褪せない完成度の高さとそのメッセージ性の強さで、今後も長く愛され続けることでしょう。

そんな作品を生み出した荒川先生の自伝エッセイ・コミック『百姓貴族』は2024年7月よりTOKYO MX、BS朝日ほかで放映中です。

(執筆:宮本デン)

アニメ『百姓貴族』1頭目『牛乳』

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宮本デン

音楽と酒とネット文化、そしてアニメ・ゲームに心酔するサブカルライター。大衆が作り出すカオスがどこまでいくのか見届けたいという思いで、日々執筆活動を行っています。表現に対する深読みや考察が大好きなオタク。あなたの好きなカルチャーを、深く独自に掘り下げます。

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